ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Euro crisis 通貨危機

Referendum & CEO`s income そのⅡ [ワンサカ富豪が出る理由]

昔ドイツ;Wehrmacht Kraftwagen 軍用車両(将校専用)。67年前も現在も基幹産業。
     文末参照→スザンネ・ハンナ・ウルズラ・クアント。
 
   BMW 03

欧州連合加盟国の政権担当全員が2月28日末にブリュッセに集まり、2年前からの懸案事項の合意に達した。金融業経営トップのボーナス額は定額年俸の2倍を超えてはならない。来たる4月に正式決定、2014年から施行実施される。このEU方針はスイス連邦,先ごろの国民投票提案と一線に並ぶ。

リーマン・ショックの大津波によって、2008年例えばアイスランドやアイルランドで日本バブル破裂と同じ事態になった。通貨クローナは円に対し急落、円建て住宅購入したアイスランド人々は破産に等しく購入家屋から追い出された。アイルランドでも湧きに沸いていた住宅投機は氷点下になり、失業者が急増。震源地の米国と同じ状態に陥った。

  The City
      欧州金融中心。 上;The City 遠景  下;Bank of England

続いて上二つの国と緊密な関係に在る銀行が傾いだ。互いに貸し借りする欧州銀行の経営と財務内容が露出されて行く。手持ち資金の100倍貸出しと言った例に見られる融資実態。連鎖的に住宅金融や高金利で顧客を釣った銀行のパニック資金引き出しが発生、不安が現実になり倒産が続き、大銀行は国家移管された。巨大銀行不安が起こると、欧州/世界は壊滅するだろう…と言う切実な理由によってどの国も必要資金を融資、半ば国有化と言う国家保証を与えなければならなかった。

王様連合のUnited Kingdom (UK)では、最大銀行 の香港上海銀行(HSBC)とロイヤルバンクオブスコットランド(RBS)の二つ大手も住宅金融銀行等と共に 国家融資(税金)を要請して受け入れられた)。前年に蘭ABN-AMRO買収によって資金不足をおこしたRBSはリーマン連鎖で二重苦に陥り、経営陣の無様が明るみになった。サー称号CEOの辞任は避けられなかった。彼を支えた重役陣は議会公聴会で、無責任経営実態を淡々と告白するのである。

ロンドンの一角Cityは欧州金融の中心である。世界の大銀行が軒並み出先を置いている。City銀行間取引の標準金利(Ribor)の非法操作スキャンダルで、資産量で世界有数バークレイズ銀行の当時CEOボブ・ダイアモンドは2012年30ミリオンポンド(円安になり現在40億円ほど)を稼ぐ予定だった。不法商いの責任を取り`切腹`したが、30に代えて10近い`退職ご褒美`を懐にして、税金おおかたを持つブリテン庶民が呆れかえっている。コモンセンスも良心もないなーと呟く実に`優しい`トゥイーターがいた。[補註1]

2月20日頃ブリュッセルに27ヶ国財務相が集まった。26ヵ国は金融業トップ報酬規制に賛成した。ボーナス目当てで経営者は短期的な利益追求に走る。それが金融恐慌に加担したのは明らかである。手早く業績を上げることが報酬アップに繋がる。そのためにトリックや半ば不法のグレイゾーン行為に走る。公に言わないが、業界の常識と言う理屈が用意されている。左様な悪循環を断ち切らねばならない。その手段がボーナス抑制手段である。

2008年11月に政府融資を受け2013年なお`国有化`状態のロイヤルバンクオブスコットランドのロゴ。CEOのJohn Hourican今年ボーナスは£4m(現時点の5億7600万円)。政府管轄組織でとびぬけた報酬額。「損失計上金融機関トップのボーナスを抑制する」つまり褒美を出すに値しないと言うキャメロン首相の声明にも拘らず…。
      The City 02
ブリュッセルのオズボーン財務相(右縁)。規制案に独り反対したが、26対1で時勢に逆らえなかった。


26ヶ国の同僚に対しキtャメロン内閣の財務相(チャンセラー;独宰相と同じ語彙)オズボーンは、孤軍奮闘した。UKには、金融業ボーナス規制に反対する理由があった。もしもCity経営陣が年俸サラリーの2年分ボーナスしかもらえないのであれば、シティーそのものの価値が低下すると考えるのだ。

英国にとってシティー金融街は国家的利益に関わる。大英帝国はシティーと共に天下を謳歌した。この刷り込み思想は容易に消えない。シティーがマイナス価値になると、国民総生産もマイナスになる。故に自由なボーナス額によって優秀な経営陣を常に集めなければならない。言い換えると、金融専門家への報酬の多寡によって、商い儲け度が左右され、それが国家経済に諸に影響する。利益を創出する人は勝れたマネージャーである。言い換えると、優れたマネージャーに報酬を惜しんではならない。[補註2]

これは哀しいかな、従来繰り返されてきた保守論理である。これをドイツ連邦アンゲラ・メルケルも信奉する。正当な保守だから。彼女の右腕シェーブレ(Wolfgang Schaeuble)財務相はドイツ産業を牽引する企業トップへの影響を恐れ、やはり定額年俸と連動するボーナス規制に反対する。

      BMW 02
 上;メルケルとシェーブレ 下;Bayerische Motoren Werke(バイエルン発動機工場)ミューヘンの3シリーズ生産ライン。同じ3シリーズの工場が支那に稼働した。最も小型廉価なタイプで、1980年代に着地し、30年後もBMWファンで普通の人が購入できる人気車種。支那においては高級車に属しようが、大金/小金持ちが無尽蔵に居るので商い繁盛している。
九月に総選挙を迎えるキリスト教民主(CDU)は、しかし、ボーナス規制の荒波に殆ど抵抗できないと思われる。メルケル-シェーブレはスイス・レフェレンダムから四月の規制案承認までの主要政治課題を受け入れざるを得ないだろう。さもなくば、社会民主SDPマニフェスト「際限のない経営トップ報酬への枠作り」に選挙民を奪われるだろう。わずか一年に何十ミリオンユーローを稼ぐアメリカ式資本家を擁護する政党のイメージを払拭しなければならぬから。

億万長者あるいは富豪と今は言うのだろうか。半世紀の昔は百万長者と言ったように思う。つまりインフレ率が百倍と言うことかも…。さて本稿は、富豪は吐き捨てるほど生まれると言う趣旨だ。とは言え、富豪の定義を私は知らない。億万長者はボーナス込の年俸が最低一億円以上と言えるかもしれない。それくらい稼ぐ人を資産家とか大金持ちとか、羨望をこめて普通人は呼ぶと思われる。

例に挙げたRBS/HSBCはセミ・ナショナル銀行と言える。後者の定額年俸+ボーナスの収入額が£2million以上のマネージャーは190名ほどあり、£1m(1.44億円)以上なら500名余になる。各省庁の高級官僚が内心カンカンに怒っている、と言うのは頷ける。いずれも言わば公務員なのだから。

以上の二つで千名前後の億万長者がいることになる。するとシティー金融街すべて合わせると数千名になるだろう。数千と言うのは2~3千名を意味するが、過去の資料も現時点の信頼すべき出所も皆無だから、実際はもっと多くの億以上の収入者がいると思われる。政治的要請に負け、しぶしぶ公開する年俸とボーナスは数字操作で下限に抑えられる筈だ。

ベルギーでは経営失策のトップ銀行家が退任時に数百万ユーローを受けとり、やはり億万長者ぶりを発揮している。メディアで明らかになると、ほぼ千万の国民があきれ返り、議会は国庫に返済させる方法を議論している[補註3]。議論になるが、実際は何の効果もない。銀行が自ら定めたボーナスとゴールデン・ハンドシェイクのルールあるいは習慣に第3者は干渉できない。出来る場合はスイスの採ったレフェレンダムのように法制化の手続きを踏まねばならない。

組閣出来ない混迷イタリア共和国ではイタリア銀行幹部のボーナス抑制が新聞をにぎわしている。ひょっとすれば、国家中央銀行も銀行ボーナス習慣に染まっているのかもしれない。過去10年、ベルルスコーニ政権だったから、ホクホク報酬が産業界の常識になっていた公算は大きい。大富豪ベル老に続く富豪がとりわけ銀行家に多いために、下院で過半数を得た左派が声だかにスイス法制化に続けと叫んでいるのだ。

沢山ある`狼の砦`と言う町で一番有名なのはニィーデル・ザクセン州にある。ドイツ国民車ビートルズが生れたハノーヴァーに近い町。フォルクスワーゲンの実質的総本山である。イタリア超高級車ランボルギーニ、チェコのスコダ、スペインのシアット、国内ではアウディ―等を傘下におさめ、トヨタと世界一を争う。昨年の伸びは普通なのだが、他欧州メーカー売り上げが数十%落ちたために、目立つ。相当数いる取締役の一人が2011年よりボーナス減ったのが分らないとこぼしている。8億円が7億円になったと言うようなことだ。CEOのウィンテルコーンだけが14億から20億円に増加したに過ぎない。曰く;わずか6億円増に過ぎない。

取締役平均年俸はワーゲン工場ラインの組み立て労働者年俸の700倍と言うレポがある。同じ企業で同じ人でありながらブルーカラーとホワイトカラーの差は人間的比率を逸脱している、と緑環境党議員が指摘。ロンドン金融街の下っ端と幹部との差はこれほどのギャップはない。なぜなら金融企業一般の報酬は他産業より抜きんでて高いからである。

先述のフォルクスワーゲン取締役ご仁はこぼしながらも、選挙に向かうメルケル政権に同意している。ドイツ連邦は欧州1経済力。企業トップ陣は多かれ少なかれVWと同じ`富豪`報酬を得ている。これら多くの富豪も時代の変化に妥協してゆくと思われる。つまり政治的雰囲気/流れが、常識知らずのCEOと重役陣ボーナスについて、トーンダウンした。人間的公平な給与比率に実際なるかどうか、それは疑問であるが…。

15年前ダイムラー・ベンツがクライスラーを買収、ダイムラー・クライスラーに社名変更。CEOは確かシュランプ某と言う人で、独米企業合体の成功により、特別ボーナスを得た[補註4]。とてつもないその額が当時の世界を驚かした。同じ時期トラックメーカー・マンネスマンがインタネット事業に参画、独市場1/3を占有していた。これをブリテンのフォーダフォーンが買収。マンネスマンCEOはこの売却でシュランプに並ぶボーナスを得た。この2例が言わば、大富豪に手早くなる見本になった。買収・合併が盛んになり、巨額報酬を入手して優雅に引退と言うパターン。

こうした美味い汁を狙ったのがABN-AMROの買収ドラマだ。英/白/蘭/西の銀行トップによるプロジェクト。表面はダイナミックな経済活動である。裏面は謀略めいたボロ稼ぎである。関連4か国でアッパレ事業大失墜したマネージャーたちの買収経緯の法的調査が行われた。議会公聴会や特別委員会などが設置され、金融業の`汚い`面が世に知らされる。

現代大富豪の古典的な例はヘンリー・フォードや松下幸之助である。近い例では本田宗一郎もいる。発明家で製造事業を起こし、その努力が報われた。誰もが認め尊敬に値する現代史の偉人。この頃の金融業マネージャーはサラリーマンから組織を這い上がりトップに成った人々。人事だけに長け、一見ジェントルマンと言うタイプ。ヘンリーや幸之助と比べるべきもない雑魚である。自分で必死で起こした事業でない。願わくばラクチンして富豪になろうと言う連中。

Integrität(インテグリテート)これをアンゲラ女史が何度も使った。先日のブンデスターク、ベルリン議会の答弁やり取りである。キプロスとハンガリー財政破綻で忙しい合間の、余談のような大企業経営者報酬についてだ。多少キプロスと関係が無いでもない。彼女のキリスト教民主党CDAや自由民主党FDPへの献金は大企業とその経営陣による。有り余る利益と報酬ゆえに、`インテグリテート`気分で献金するのでは…。

この語彙は政治的腐敗の際に登場する。全ての国で繰り返される。良心・正直・正義・人間性etct..それらが秩序だって個人内部に備わっていること…だろうか。残念ながら、ドイツ連邦にもインテグリテートに欠ける御仁が満ち溢れている。何かにつけて税金をチョロマカス議員に公務員、警察トップに州議会から市町村の役人まで…。

師のヘルムート・コールと並ぶ三選を目指す女性宰相の言葉を翻訳するとこうなる;「選挙に勝つために、どうかトップの方々、御自分に厳しく良心的な態度をお取りください。懐を温めるだけの卑しい振る舞いをくれぐれもなさらぬように切に望みます」。総選挙前の夏までに、天文学的ボーナス習慣を金融業だけでなく一般産業に適応させる何か法律を定めたいようだ。報酬だけでなく、企業の社会責任や行動指針、文化や国民健康・介護面における取組などに及ぶ内容である。

      BMW.jpg
BMW R 75/Wehrmachtsgespann:数多くのハリウッド戦争娯楽映画に必ず登場するつとに知られるサイドカー。ロンメル将軍のアフリカ軍、特に機甲師団と共にこのサイドカーが砂漠で良く機能する。ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」に各種軍用車両が登場してカッコウイイ。冷戦時代のスパイ映画にこのサイドカーがリチャード・バートン演じる主人公たちを追う場面がある。バイエルン発動機製造の晴れ姿である。

スザンネ・ハンナ・ウルズラ・クアントと言う人を2007年テレビで知った。ドイツ公共第1局放映の半ば告発ドキュメントの印象を受けた。先の大戦でヒトラー政権に協力した資本家とその企業と言う筋だった。クアントはメルケル宰相と共にドイツ連邦の代表的女性と言って良いだろう。メルケルより8才若く、バイエルン発動機工場(Bayerische Motoren Werke)オーナーの長女で、遺産相続と油の乗り切った実業家としてドイツ一の大富豪だからである。因みにベルルスコーニの富豪度110位代で、彼女は50位前後。

戦後すぐ蘭国からBMWはBoeren Mest Wagenの略とからかわれた。百姓の糞荷車と響く。占領支配され憎しみは深かったから頷けよう。1960年代半ば、Hans Glas自動車製造会社を合併買収したベー・エム・ヴェーは2輪車に加え4輪車市場に打って出る。スポーツカーレースで腕を磨き、70年代にスポーティーな乗用車イメージを浸透させ、80年代にドイツ自動車産業の雄として名実共に国際ブランドに成長。ホンダと並行する経緯である。ライバルと言うのが正鵠を得ている。

戦争犯罪を犯した企業と言う批判。クアント家はそれを認めていない。と言うか公に Nein oder jaを明かにしていない。BMW筆頭個人株主で最重用監査取締を務めるスザンネ・クアントの発言はなく、誰にも真意は分らない。クアント家族は大富豪を連ね、告発ドキュメント後に調査基金協会を発足させている。そして21世紀に入り、所有する企業群労使の公平な分配を目指すと言う異例な企業姿勢を公にしている。次世代は汚名返上すべき努力しているのだろうか。

メルセデス・クライスラーとフォルクスワーゲンとが、やがて先発BMWに習い、企業社会公共性に転ずる公算が考えられる。すると連鎖的なボーナス抑制気分が好むと好まざるにかかわらず広がるだろう。
スザンネに続くハンナ・ウルズラは親の二人祖母名と想像される。つまりこれら女性たちが一次二次大戦に間接的に協力した雰囲気があるならば、その責めをプラスに変えたいと言う気持ちになるかもしれない。クアント家の富豪たちがメディアに登場するのは皆無であるが、彼女を先頭に彼らは偶然スイス・レフェレンダムのホットアイテムの先を歩いているのかもしれない。

蛇足のように一つ書き加える、富豪がワンサカ生まれる理由が本題であるから。クアント家メンバー例をだすまでもなく、富豪はいまやワンサカ存在する。共産主義を基礎にして成立する支那に於いてこの20年に急増したのだ。2013年の今日、中華人民共和国に一体何十万の億万長者=富豪が存在するのだろう。[補註5]

支那ファンによると、Jiang Zemin(前々主席)とWen Jiabao(前首相 温家宝)の側近と家族に富豪が数多く生れているそうだ。不思議な現象と解するより、北京雛壇に座る連中の巧みなコネ使い/腐敗、そして13億あたまかずを制御できない共産式資本社会の混乱結果であるまいか。ソヴィエト連邦崩壊後にドッと出た1次富豪現象とやや似ているようにも思われる。現在は1次がプーチンに淘汰され、2次富豪時代になる[補註6]。支那の富豪現象が今後どうなるか、誰にも予測できない。ビッグバンのような政治/社会/経済上の爆発が十二分に起こり得る…。

[補註];
1. 参照;2012年7月11日; 拝啓小沢一郎殿 ダイアモンドに続かれよ [茶割焼酎おでん屋 談義]

2.TUC(600万会員を持つブリテン商業組合連盟)の議長フランシス・オーグラディー曰く;全ての労働者が賃金カットを受ける苦しい危機にあって、ポケットを知らん顔でふくらます例えばHSBCトップStuart Gulliverのボーナス£2m(2億9千万円)を許すことを出来ない。
2008年末にHSBC/RBSにテコ入れした労働党政権当時のアリスター・ダーリングは既にその時に、天井を突き抜ける経営陣ボーナスについて激しい批判をしている。リーマンショックが衣替えしたニュー・レイバーを再び動かしたのだ。ブレア―は労働者の党をアップグレイドした。プロレタリアの党でもはやない。シティー経営陣がいくら摩天楼のような報酬を取ろうが、法人と個人の税金を収め、ブリテン経済に貢献するならばし、OKだった。ニューレイバー支持者は豊かな人々にシフトするかのようだった。そして今2013年、新しいし地平がもとめられている。

3.2007年ベルギー/オランダ・FortisグループがRBSとスペイン・Santanderと組み、蘭大手ABN-AMROを買収。その翌年にリーマンショックの波が襲った。三つの銀行連合による無理やり買収が露呈され、それぞれ手深い傷をおう。フォルティスグループ株価はゼロに等しく下がり、バラバラに解体されざるを得なかった。この過程でCEOフェルウィリストのお粗末な采配と共に、取締役陣との株価維持する情報操作が問われた。フォルティスはベルギー/ルクセンブルグ/オランダそれぞれの部分に国有化され、前者はその後フランス大手BNP Paribasに売却された。ベルギー資本の大手銀行はデキシアを残すのみだが、これもスキャンダルで分割されヨタヨタ。

4.Fokker社は世界最古の飛行機製造企業だった。フレンドシップと言う知名な軽快な型番を覚えている方は多いだろう。ロッキードやエアーバス両社大型化の波と苛烈な市場状況によって経営危機に陥った。この機に乗じてシュランプは蘭国の名門を欲した。メルセデス・ベンツと航空事業の2本立ての野心。8千名ほど雇用員と関連会社を救うため、政府援助を前提にした交渉が繰り返され、買収合意に達した事情がある。
だがシュランプ目論見は落墜。蘭政府に税金無駄使いさせ、技術者たちは主にUS軍事航空企業に散って行った。フォッカーは消滅、雇用員殆どは失業。世紀の合併と喧伝されたベンツとクライスラーも相乗効果は出ず、成功と言えな。シュランプの報酬がカットされたと言う話は聞かない。

5.百万名富豪説がある。支那に対する羨望/願望説? それとも百万程度ならば人口1/1000=0.1%ゆえに確率的にあり得る説だろうか?

6.今日もEUは小国家キプロス救済にテンヤワンヤ。露西亜富豪がこの小島の銀行に資産を隠しているのが判明。スイスへの財産逃避はあるが、キプロス`洞窟`に隠すのは名案ではないか。税官も普段一寸考えつかない。大枚のねむるかなりの口座数が確認された。キプロス国家予算を上回る莫大なブラックマネーだとか。財務当局は一種の`封鎖`を行うだろう。ブリュッセルはこうした税逃れ口座に15%の課徴金を取る方針。十万ユーロ(1500万円弱)以上の預金を持つキプロス国民も数%を国庫に支払うようにするらしい。つまり預金額に応じ、と言うこと。数十ミリヤルド(兆)ユーロ援助融資をEU/ECB/IMFが決定するので、キプロス自身も痛みを分かたねばならない、と言うのがメルケルさんの昨日の言い分。ロシア富豪にとって片腹痛いか? 次の駐車地を探すか?
スポンサーサイト

Euro crisis 通貨危機

危機の本家 ギリシャ 

ベルギーGenk市は6万5千人口。ベルギー・フォードはほぼ5千人を雇用する。工場閉鎖によって人口1/13の雇用機会が失われる。インタビューを受けた組織担当者が溜息をもらした:「ギリシャ倒産の騒ぎさえなければ…」。

これを前項の落ちに書いた。書いた後、直ぐに思った。ギリシャ政府が真面目に国家運営をしていれば、フェンク最大の雇用企業の閉鎖は無かったか? 彼の呟きは5千名市民の正直な感想だろう。こぼれた水は盆に返らない。ギリシャの水はこぼれて当たり前だった。[補足1]

パルテノン神殿と稲妻。我が数千年ヘレニズム文化に亀裂が走る、ジョークするトィーターがいる。
EU財政超過指標(当時3.3%あたり)を遙かに超えるギリシャ事情が明るみになって以来、ギリシャはカオスに続くカオス。
ギリシャ危機 04
銀行員のデモ。先日の内閣方針、増税と節約をあげている。15年前、銀行利率ゼロ政策の日本で抗議デモが起こっただろうか。失われた15年は膨れ上がった風船の破裂だった。[補足2] 


昨日コスタス・ヴァクセヴァーニス(ギリシャ語を読めないので私流読み)と言うギリシャのジャーナリストが逮捕された。彼は政府文書を密かに入手して公開。無用な社会不安を起こした容疑らしい。文書はスイス銀行に口座を持つギリシャ資産家名リスト。

政府要人や重要経済人、ほか多くの著名人を含み、長年に渡る彼らの脱税証拠になろうと言う代物。特に借金国家運営が明るみに出た後、スイスへの資産移管が進んだ。総額€1.5bn (補足3) のスイス口座所有者はギリシャ社会上層部を網羅している可能性がある。

海外資産逃避と無関係な庶民こそが危機の被害者だとするなら、このリスト公開のインパクトは大きかった筈。月初めのジェネラルストライキさらに組織別ストライキが派生的に起こる一つの原因になっている。

資料は2009年1月にジュネーブ勤務のフランス銀行員による``ハッカー産物``。スイス大銀行安全管理のお粗末だが、ウィクリーク創始者アッサンジュ口座凍結へのハッカー攻撃とリンクするかもしれない。そして多くのギリシャ名がリストに散らばる噂が広がる。スイス当局の盗難批判にも拘らず、資料は仏財務省に渡り、時の大臣クリスティネ・ラガルデがCDコピーをギリシャの同僚パパコンスタンティノウに引き渡している。ゆえに資料はラガルデ文書と言われる。

政治もカオスにドタバタ混迷を続ける。この6月に、EU残留、EU債務融資を受け、EU指示に従うと言うサマラス保守党が左翼との連立内閣を発足させる。前途は多難、誰もどうなる実は分らない。その財務相ストルナーラスが当面の緊縮政策のEU合意を得たと発表する。
     ギリシャ危機 03
ところが車椅子で知られるウォルフガング・シェーブルが「イヤ、俺は合意しとらぬ」と、一もんじゃく。世界金融安定策論議でギクシャクした東京からシンガポールへと車椅子と共に廻って来た彼はどうも気分が乗らないようだ。既に3~4年、この問題に掛りっきりである。ドイツ財務相と言えど、ユーロ圏からのギリシャ離脱を数か月前から織り込んでいると思われる。


前々財務大臣パパコンスタンティノウはラガルデからCDを受けとり、それを昨年7月に後任者に引き継いだそうだ。しかし税務当局は脱税取締りに動かなかった。政権の意向だろう。取り締まれば恐らく緊縮政策に支障をきたすほどの障害が起こる…。国家の非常事態に`些細な`脱税問題で火を煽る事態を避けなければならない。[補足4]

希臘社会の税制が全く機能していない。手短に言えば、税金が集まらない。国家歳入が少なければ、ギリシャ国債保持諸国への支払いすら滞る。税金をちょろまかすのはラガルデ・リストにある著名資産家だけではない。中間階級も庶民もすべからく巧みに脱税を試みるそうだ。公に語られないが、政治家と公務員と市民と…みんな仲良しなんだとギリシャ通が言う。

アテネの国会議事堂はすっかり有名になった。何かあるとこの建物と前の広場が画面に紹介される。
     ギリシャ危機 01    
右:ゲオルギオス・パパンドレウ 2009年秋から2年間の首相。パパンドレウは世襲の首相職家系かと、私は錯覚した。日本政治家に世襲が多いが、長い目で見ればマイナス面が強いのでは…。左:パパンドレウ政権時の財務相ゲオルゴス・パパコンスタンチノウ。


30日(火曜日)の小さなニュースは:スイスのUBS(Union de Banques Suisses)銀行の1万人削減計画。名うてのスイス銀行だ。フィクションだが、ゴルゴサーティーンも口座を持つ。独裁者たちと家族その取り巻き、軒を並べて秘密口座を持ち/持ったと言われる。フィリッピン元大統領マルコス、リビア42年支配のガダフィー、池田大作の風評もある。自国銀行をもはや信用できないギリシャ資産家は3年前からスイスに殺到した。当然…。

USBは1998年にバーゼル本社のスイス(連盟)銀行とチューリッヒ本社USBとの合併で誕生。欧米日で巨大銀行が生れた時代。ゴルゴや池田某氏は合併以前だから、バーゼルかチューリッヒかどちらに詣でた? 現在も2本社制を取るが、投資/資産/マネージングの3本柱がどう配置されているか不明。世界50カ国にフランチャイズ展開、6万名以上を雇用する。

昨日の人員削減発表の対象は主に投資銀行。つまりギリシャに端を発した金融危機は`投資`を直撃した。ギリシャ`帳尻合わせ借金`経営が判明する以前、南欧は投資ブームに沸いていた。ギリシャからイタリア・スペインを経てポルトガルまで豪華なホテル/邸宅が建ちあがった。日本土地バブル期に酷似する。

ギリシャ`発覚`で`投資`も鎮火した。新建築は閑古鳥が鳴く。売りたいが買い手無し。やがて朽ち果てる。USB投資銀行の利益計上は1年前が最後である。連続して4半期決算に莫大な損失を被った。企業再編は人員削減から始まる。そのスイス金融機関にギリシャ顧客がどっと増えたのはきっちり理屈に合っている。

逮捕チームが彼の居間に入ってくる様子までラジオ実況で伝える。画像は連行される様子で、拍手をする人が見える。税務当局は脱税者の氏名リスト`ラガルデ`文書を持ちながら、いかなるアクションも取らなかった。曰く;リストを入手した以上、これを公開するのはジャーナリストの義務である。昨日の事件であるから、支持メディアや組織が保釈措置を採ったかどうか不明。、
     ギリシャ危機 02
2009年初めにハッカー資料をコピーしてギリシャに引き渡した仏財務相クリスティネ・ラガルデは、国際通貨基金IMFボスに横滑り。初の女性ボスだが、それは前任者DSKことドミニック・シュトラウス・カーンが昨年5月にセックス・スキャンダルによって辞任したからだ。同じフランスからと言う理由が大きい。彼女は先の10月半ばの年次総会のため東京・仙台に顔を出している。IMF融資はEUと並び、ギリシャ救済の要になっている。


28日、ギリシャの抱える天文学的借金処理について、トロイカ裁断があった。トロイカとはEU(欧州連合委員会)ECB(欧州中央銀行)IMF(国際通貨基金)の三者。昨年、債権側の銀行は任意に焦げ付き(損失)計上を行う。今回は債権諸国が保有ギリシャ国債を部分棚上げする[補足5]。言い換えると、買った国債を紙屑として捨ててしまう措置。国民が納めた税金が無駄使いされるわけだ。

2年前、隣村のお上さんが危惧していたことが現実になった。オーシ―(旧東ドイツ)復興に継ぐギリシャ救済のために村道の舗装が後回しになる。蘭国に於いては二次ルッテ内閣のサムソム労働党との政策締結に5千億円だか5兆円だか(数字は大きすぎて分らない)戦後初めての未曽有の節約額を折りこんだ。先月、消費税率が19%から21%に上がったばかりだ[補足6]。豊かな中央欧州も北欧もこうした緊縮を余儀なくされているのだ。全てがギリシャから始まった債務問題に起因する。

30日は今日。ギリシャAntonis Samaras(アントニス・サマラス)首相が国際金融機関との折衝に於いてきたる新節約案と予算について了承を得たと声明。次の手続きはギリシャ議会が正式承認すること。もし議会が認めない場合、我が国はカオスに陥る。つまり手立て無し、ギブアップの状態になるのだと。300議席中176の過半数だが、社会党との連立なので、造反議員が26名以上になる場合がありうる。

サマラスにとって正念場だから、決意してあらためて下院議員全員に警告を発した格好になる。トロイカ了承については既に先週Yannis Stournaras(ヤニス・ストルナーラス) 財務省が懸命にメディアに説明している(上の画像参照)。さらに念を押さざるを得なかったのは彼自身が経済専門家であること、加えてドイツ財務相やブリュッセル議会の`疑問符`が伝わっているからだ。

Troikaとギリシャとの意思疎通/解釈が今一つハッキリしない。(テレビ電話による会議だったためか?) 仮に融資側三組織が了承したならば、来月期限の債務支払い必要額3兆円が融資される。(但しECBとIMFの試算額はそれぞれ異なり、出所によって違う数字が見られる)。ギリシャは一息つけるが、真剣な細部にわたる節約を実行しなければならない。失業率25なにがし%でスペインよりコンマ以下の差で増しなのだが、失業手当は直ちに最低生活費になるそうだ。これまでのサラリーの70&と言う常識を破らなければが国家再建を出来ない…。

一方、救済の主役ドイツ各紙にギリシャ自身の財政再建具体策について喧しい論議が展開されている。約束済みの国家企業の民間化や歳入増加が全く実現していない。もう3度目の救済はないのだから…。いったい本気で(健康体に戻るために)極貧に甘んじる覚悟があるのか? 国家倒産してEU離脱しても、その後は何もない。地獄が待っているとドイツのある新聞。こうした批判と悲観論がある一方、約束を守るなら峠を越せる。左様な期待論もあるのだ。

借金返さなくても良いよ!と公組織がギリシャに好ゼスチャーを示す。民間債権者(銀行)でない公の組織とはEU加盟諸国に他ならない。彼らにとって大いなる損失であっても、統一通貨ユーロ維持のために他の選択手段がない。そう、少なくとも独仏は確信して他諸国を説得している。トロイカが知恵を集めた三月レポートと間もなく出る調査研究レポートもギリシャの通貨圏離脱はユーロ崩壊の初めだと示唆するだろう。

隣村の知り合いの上さん曰く;ユーロが無くなったら、不便だわね。マルクを再びギルダーやポンドに両替するの‼ 
ギリシャ・エーゲ海の島嶼ではレストランやホテルさらに青く輝く海と海岸までzu verkaufen *(売り)看板が林立して、ドイツ人観光客を待っている。

[補足]:
1.過去ずっと財政不足を補うため政府(から省庁/市町村まで)海外金融機関から借りまくり、EU報告への帳尻合わせをして来た。欧米大銀行にとって国家(公行政組織)の破綻はありえない筈だから、ギリシャ国債を買い、喜んで融資を継続してきた。ECBに調査チームが出来たり一日査察が入るなど深刻な事態が明るみになる。欧米金融機関は昨年30%前後の焦げ付きを計上。ブリュッセル(EU)による一種の徳政令お達しだった。独仏銀行とUSモルガンなど数行の損失額が目立つ。

2.おおかたの日本人は優しく上品になったのだろうか。実体のない``土地投機``経済運営をした政権に対する、正当な抗議も怒りも表明できない/しない気質になったのだろうか。

3.1500億円か? $と€は¥に対し、やや換算しやすくなった。対ドル80円、対ユーロ95円と言った感じが続くならば、大目に百円勘定すると体感を得られるような気がする。

4.国家危機に事件に関わる重要人物を救済すること。言い換えれば臭いものにきっちり蓋をすること。たとえだが、佐藤榮作の造船疑獄を思い出す。前パパンドレウと現サマラス政府は時間もなく、何年もかかる裁判沙汰を優先させる具を犯さず、ラガルデ文書の一件は`何もせず傍観`そしてジャーナリスト短期拘留で済ませると思われる。

5.これを英語彙ではhaircutと呼んでいる。ギリシャを身軽にするために全部の髪を刈り取る分けに行かない。救済側諸国民が自政府のそんな勝手を許す筈がない。わずかだけヘアーカットすると言う揶揄。

6.失業率25%のスペインでは、消費税を8%から23%に大幅アップ。逆に言えばこれまでの8%が非現実だった。スペイン国民はラクチンを享受していた。と言うか政権は国民に迎合していたのだ。消費税に限らない、休暇期間に年金取得年齢、、。南欧は一般に労働組合が強く、思い切った政策が採り辛い。


Euro crisis 通貨危機

ユーロ危機とリンクする自動車産業の悲哀

過去半世紀、日本は消費者を満足させる高品質商品を作る製造業の一番ではなかったか。製造業によって、ひと時USとEUとの差を詰めたのである。代表は電気電子と自動車産業。失われた15年にこの差が逆に広がり、韓国・支那の追い上げが激しくなる。また台湾・マレーシアなど小ドラゴン諸国やインド・ブラジルの勢いも凄まじい。

マイクロソフト/アップル/グーグル/フェイスブックと言う`ソフト`、知的`忍術`企業は重要だ。だが、日本の屋台骨は他の追随を許さなかった製造産業ではないだろうか。それはEUを伺うと、良く分かる。ドイツを見られよ。その優れた機械・自動車製造によって、EUの骨格なのだ。牽引力はフォルクスワーゲン/ベンツ/BMWの車族である。

ブリテンもフランスもイタリアも…基本的に同じだ。フランスPSAにRenault、イタリアFiat、さらにUSのGMとFord傘下の欧州車族。これらグループが揃って売れ行き不振にあえいでいる。ユーロ危機によって市場規模が縮小[補足1]した。言い換えると、過剰生産設備の縮小を余儀なくされていると言うこと。 

3日前にUKフォードの工場閉鎖のニュースがあった。長いフォードのUK生産の終焉を意味する。
     Auto Industry disaster In Buritan
サザーンプトン工場と関連ダージェンハム施設で主に商用車を請け負っていた。再来年末までに完全撤退予定。合わせて1400名の職が失われる。トランジッションと言う馴染のバン/貨物車シリーズは人件費の安いスペイン・ヴァレンシアに生産移管するそうだ。深刻な高失業率25%のスペインに対する点滴のようなリリーフだ…。その見返りはサザーンプトンの嘆き。


フランクフルトとパリと二つの大きな自動車ショーが確か今月初めにあったと思う。スイスやベルギーでも行われた。フォードやプジョーだけでなく、長い間、売り上げ欧州一を謳歌したドイツ・オペルの悲惨状況が目立つ。オペル家創業の伝統メーカーがアメリカ資本GM手中になっているが、オペルブランドはドイツの人々にとって愛着ある`我が車`である。2008年9月リーマンブラザース倒産を契機に世界大不況が発生。お膝元US自動車産業は莫大な政府融資を受けざるを得なかった。GMは倒産措置を取り、巧妙に再生したが、欧州傘下グループの負担に喘いでいる。数年オペル売却に右往左往…、やや一息したが、ドイツ国内プラント幾つかの閉鎖は必至である。

フォードはスエーデンの伝統メーカー・サーブを所有していた。不況で手放さざるをえず、スッタモンダの末、超高級スポーツカーメーカー・蘭スパイクカーに譲った。小が大を呑みこむ話題だったが、オーナー・ミューラーの舌上手に乗せられた格好だ。この時代にマイナーな高級車は売り辛い。ほどなくサーブは消滅した(参照;2011年9月10日;スエーデン製のイメージ)。

ブリテン大島の海向かいのベルギーで、サザーンプトン閉鎖の2日前にGenkフォードプラント閉鎖が決定した。フェンクの工場は欧州自動車生産の大規模なひとつで、乗用車の大型車を請け負っていた。買い控えは大型車から始まるので、閉鎖対象になった大きな理由だと言う。ベルギー・リンブルフ州の街にとって深刻なニュースで、ベルギ連邦では発表以来、連日ニュースに上がっている。
    Auto Industry disaster Genk
デトロイトのフォード本社はUS国内を含め、世界戦略の大手術を敢行中だ。欧州生産の再編成によって6500名を削減、生産台数で18%減、年間450~500ミリオン$節約を目指すと言う。


日本車は欧州に於いて故障率の最も少ない、と21世紀初めまで言われていた。信頼度に於いて、現在でもその評価は変わりないと思われる。日本メーカーは地震・津波・原発の多重災害とタイランド洪水などによって大きな損害を受けたと思われる。そのニュースと共に、スマホのサムスンと並んでヒュンダイ(現代)やキア(起亜?)と言う韓国自動車メーカーが相対的にイメージをあげているように思われる。事実、市場占有率を上げている。まだ日本車との数字の開きは大きいのだが。

欧州メーカーにとって支那市場は企業存続の鍵になる、と言われる。少なくとも産業トップ人が声を揃えて言う。それをヘボ政治家が繰り返す。過去数十年の支那経済成長に従うと、信じるも信じないも、時の勢いなのだ。だが日本は難局にある。トヨタも日産もホンダも三菱もすべからく支那市場の見通しを練り直しているらしい。

フォードに先だってPSAグループ(プジョー・シトロエン)がパリ近郊プジョープラント閉鎖を決定。ギリシャから始まった債務問題がイタリア/スペイン/ポルトガルに拡大、この南欧の売り上げが激減したのが引き金になった。8000名が失職するそうだから、オランデ大統領にとって頭が痛い。痛いだけでなく、彼の支持率がぐっと下がった。
      Auto Industry disaster Paris
30年前仏蘭西に大小合わせ10ほどのメーカーがあったような気がする。現在は2つのグループに集約され、三つのブランドがある。フランス人独特な作りで、故障多発するが、欧州では根強い人気がある。PSAもルノーも日米メーカーと連携しつつ最大市場の支那に焦点を据えている…しかし大事な本家市場が重体に陥っている。
 

ご存知のように、「小日本叩き潰せ」と言う反日デモとそれによる日本製品不買の嵐のせいである。尖閣諸島問題をアジアの宿敵同士の睨みあいと言う構図で描き、その延長の荒れ狂うデモをサテライト各局が繰り返し紹介したのである。東と南の支那海のシーレーン全域を支配/領海下に置く侵略的背景を観る人も国もないようだ。フィリピンもヴェトナムも、全ての海上輸送関連諸国の国際問題の筈だが…。

欧州にとって他人事なのだ。弱小民族圧殺の人権問題を見て見ぬふりをして、要は支那との商いを円滑にすること。(数字を作り上げている感の強い)経済高成長7.5%の大市場に、ドイツは最も機敏に動いている。あたかも支那事変における枢軸国ドイツ・ジーメンス社のジョン・ラーベのように、だ。[補足2]

日本車は半分減? もしそうなら異常である。いや、支那全土に吹き荒れた反日デモが異常だから、その結果の売り上げ半減は当たり前と言うべきだろう。とまれこの穴を埋めるのは、プジョー/シトロエンでもフィアットでもオペルでもない。GMとフォードも穴を埋めていない{補足3}。ヒュンダイ・キア韓国勢では支那の人々のイメージに合わない感じがするが、どうだろう。

もうお分かりでしょう。大方はドイツ車がトヨタ・ホンダなど日本車に変わっていると言うこと。ブランドで言うとフォルクスワーゲン好調がこれを証明している。また高級車メルセデスベンツとBMWの支那市場圧倒的強さは従来から変わらない。これら2社の最大お得意はアメリカだったが、支那が早晩とって代わるそうだ。レクサスは高級乗用車の一角として世界で名を成したが、支那における数字はここで不明。もしあったとしても、今回の事件で割を食わなければならないだろう。

欧州自動車市場が13%縮小しているとして、そのマイナスをドイツメーカーは最小限に留めていると言うこと。ベルギー・フェンク工場組合活動家はこう説明する; 「ドイツ労働者の平均給与はどの周辺国より低いために、企業再編に関し有利。残念だが、ベルギー平均供与は欧州で一番髙いために、フェンク閉鎖が優先された。
加えて曰く;もしもギリシャ人が真面目に働き、EUに財政事情を正直に伝えていれば、こんな債務問題に成らなかったかもしれない。大火事の成る前に消し止められた筈。嗚呼…、

[補足];
1.欧州平均で13%と言う数字を見た。工場閉鎖による解雇人員と同じで、メディア出所により確定できない。プジョーの重役によると、数年以内に欧州5~10プラントが閉鎖になるそうだ。自動車産業は関連/下請け裾野が広い。失職するのは幾つの万単位になるのだろうか。
2.John Rabe、日本軍南京攻略時、民間人保護に尽力したジーメンス社派遣ドイツ人。武器商いに関わった筈。彼の証言=日記文献が大虐殺の一つの資料になっている。同盟国・日本の軍隊に対しての活躍を称賛するドイツ本も上梓されているそうだ。
3.とは言えGMは外国メーカー売上トップ。VWは成長著しく、来年見込みは9%増。


Euro crisis 通貨危機

ユーロ危機で芽を出す分離独立主義

不景気だとセパラリストが元気になる。地球上あちこちに分離独立運動があり、数え切れない。時代によって上手に`親元`と袂を分かち独立する例がある。歴史上、平和的分離はまず見られない。戦い無しに分離した初例は20世紀を待たねばならなかった。

ポーランドに芽生えた共産主義崩壊の津波がおこった1990年以降、例えばチェコスロヴァキア・ビロード革命後のチェコとスロヴァキアのような分離もこの範疇に入れてよいかも。すると東欧やバルカンにウジャウジャ分離独立を見る。今世紀初頭の東ティモールや昨年7月の南スーダン独立。占領されていると感じる人々はしばしば別の言語/歴史/文化を持っていると考える。

通貨危機との絡みで欧州三例がアップデイトな話題。それらはベルギー連邦のフラーミング、ブリテン王様連合のスコットランドスペイン共和国のカタロニアである。前者の理由はウェーヴェル(42才)と言う政治家の人気に関係する。後者二例の背景は南欧に端を発した債務問題・統一通貨危機・緊縮節約政策による失業率高騰…、八方塞がりの状況になると、分離主義が常に頭を持ち上げる。

上と中はNVA党首Bart de Wever。上は昨年の選挙大勝時、中は日曜日14日の地方選挙大勝で挨拶するバルト。ある薬の効き目で50㎏減量。この異様な変わりざまが何となく北ベルギー即ちVlaanderen(フラーンデレン)の来たる変化を暗示するような気もする…
        Separalism Vlaming cor
下;アントヴェルペン市役所(onder; Antwerpen stadhuis)16世紀半ばルネッサンス建築。中央部分はバロック的でやや表情をちがえる。でかくて賑やかな建物だから、ユネスコ世界遺産になったのもうなずけるゾ。

新フラームス同盟N-VA党首ウェーヴェル(Bart Albert Liliane De Wever)は14日選挙の結果、フラーンデレン最大都市アントヴェルペン市長になると見られる。ベルギー連邦は三語圏(蘭・仏・独)からなり、フラーンデレンはほぼ北半分を占めるオランダ語圏で308の行政単位を持つ。フラーンデレン議会と政府が連邦議会/政府と共にブリュッセルにあるのだが、フラーンデレン中心は地理的文化的にアントヴェルペンと言うべきだ。

ブリュッセルは連邦を構成する三つの政府・議会が集まり、しかもEU議会もある言わば多機能/一点集中`東京`である。フラーンダレン語を話すのは人口の10~15%に過ぎない。ブリュッセルは地理的言語的にフランス語圏に属するのだ。もしもフラーンデレンとフランス語圏ワロニアとがそれぞれ独立すると、ブリュッセルは後者の首都になるだろう。

アントヴェルペン(Antwerpenをブリテン人はアントワーペンと読む筈)は100%フラーンデレン故に実質的に最重要な都市である。市長は90年に渡り社会党に占められてきた。ベルギーに於ける社会主義の実際を知らないが、キリスト教民主主義と並ぶ支持を長期間受けていたことになる。14日の選挙結果が90年の伝統を破る。革命に近い変化が北ベルギーに起こっている印象を受ける。

昨年7月N-VA(エヌーヴァ)は南ベルギーのフランス語圏社会党を上回る第2院議席数をえて、ベルギー最大党になる。だが一党過半数に遠いため、中道左派連立政権に対する最大野党に甘んじている。その時点で地方行政区308のフラーンダレン色分け地図を見ると、N-VAが占めるのは所々である。先の日曜選挙でこの地図の殆どがN-VA過半数地域に変わった。地すべり的勝利だ。

バルトの党は今回フラーンデレン25~30%の支持を集めたようだ。残り75%が分離にJa(≒OK)すると、私にも考えられない。殆どの人々は連邦よりもさらに進んだ自主性を望みつつ、しかし完全独立国家までの分離を考えていない筈だ。とは言え、この傾向は2014年の下院選挙につながるとベルギー人は言うまでもなく隣国も他EU諸国も考える。つまりN-VAの綱領が国政/連邦レヴェルに影響を与えるわけだ。その核心テーマは北ベルギーの分離独立なのだ。

     Separalism Catalan cor
上の地図はイベリア半島の東南部、カタロニア地方。首都はバルセロナ。旗は独立した場合のカタラーン国旗

今日の日曜日、西班牙のバスケンランドで地方選挙が行われたそうだ。あいにく結果もニュースも聞かなかったのだが、その地方出身ラホイ首相の正念場になる。EUからの莫大な債務援助をネゴする西班牙政府は一方でかつてなかった緊縮政策を進めている。それに対し連日ストライキが各地で打たれる。25歳以下の失業率35%…、いやもっと大きいかもしれない。ギリシャと同じだから、暴動的なデモが発生する。

カタラーン又はカタロニアと言う闘牛の本場。フットボールチームのバルセロナの土地。ガウディ―の教会はカタロニアのバルセロナに立っている。ここは他
スペインに比べると豊かであると言う。何故われわれの稼いだ分が我々の年金に反映されないのか? ラホイ政権は財政の栓を堅く閉じ、あらゆる分野で出費がカットされる。年金が減って怒り天をさしたカタラーン人士はここに至り、西班牙からの分離を蒸し返し始めたのである。 


アーレックス・サルモントとデーヴィット・キャメロンがスコットランド分離に関する近未来レフェレンダム合意文書にサインしている。
アーレックスはスコットランド民族党の党首。
       Separalism Skotland cor

     先日の自党大会で、将来への分離に関するキャンペーンについて説明する党首。

1503年、ヘンリー7世の長女マーガット・チューダーがスコットランドのジェームス4世に嫁いだ。ランカスター系分家チューダー当主・ヘンリーはバラ戦争を勝ち抜きヨーク家エリザベスと結婚し、イングランドに平和をもたらした。同じ理屈で戦いを繰り返す敵国スコットランドとの融和を図るために、彼はジェームスと娘との婚姻を模索して、1503年に停戦協約と同時にその婚姻締結に成功した。

この政略結婚[補足1]が1世紀後のクラウン合体の前提になるのだった。マーガレットの曾孫ジェームス6世がイングランド国王ジェームス1世として二つの王冠を戴くことになる。歴史と言うのは偶然の結果だ。もしエリザベス1世が所帯して健康な子を作っていれば、青いたすきのスコットランド国旗と赤十字のイングランド国旗が重なって大ブリテン国旗にならなかった。少なくとも早い1世紀後に合併しなかっただろう。いずれ起こったであろうが、それはマーガレット婚姻と無関係になる。

スコットランド王ジェームス名も后マーガレット名もいわば伝統で同じ名前ばかりが登場してややこしい。チューダーのマーガレットは北欧や大陸(デンマーク/ノルウェイ/フランス)からのマーガレットで無い点が肝心な点だ。ブリテン島内から嫁いだから、マアその後の歴史が回ったと言えるかも。

そして余談一つ。船好きジェームス旦那が確か航海中事故で没したために彼女は1514年再婚[補足2]。1才半の赤子ジェームスが5世として王に立ち後見指南役を迎える。だが再婚旦那ダグラスが権力欲につかれ、王を幽閉、横暴を尽くす。このお家騒動ドタバタ劇をネタにした「湖上の美人」叙事詩が後に書かれ人気を博す。マーガレット曾孫がカッコよく輝いて物語が跳ねるのだが、それもこれもマーガレットの孫スコットランド女王マリーとマーガレット兄ヘンリー8世の娘エリザベスとの確執を経たジェームス6世によるスコットランドとイングランドの統一合体へ導かれていくのだ。

波乱万丈の美しい騎士物語の時代から4-5世紀が経った。アーレックス・サルモントは不況と節約財政でスコットランドが連合国家(United kingdom)に寄与する財政額は受け取る額より遙かに多い。もし分離独立すれば、一人当たり千ポンドの増収になる。加えて北海地下油田収入を100%国家財源に出来る。独立国家として、EU加盟が実現する。ポンドと言う融通の利かない通貨から、欧州全域と円滑な経済関係を結べるなど、分離キャンペーン・リーフレットの準備に余念がない。

目的はレフェレンダム(国民投票)に於いてUKに留まる派に勝つこと。マーガレット・チューダーが嫁いできた独立国家の栄光を取り戻すこと。留まると考える人々が最近の調査で圧倒的だが、もしもアーレックス派が勝つようなことになれば、再びジェームス国王名を復活させイングランドに並ぶ立憲君主国になるのか[補足3]、それとも非民主的王室への税金無駄使いをしないリパブリック・オブ・スコットランドになるのか? それはリーフレットに書いていないように思われるのだが…。


[補足];
1.王侯貴族の結婚は常に政略結婚だがら、あえて書くのがおかしい気がする。
2.マーガレットとジェームス夫婦は仲睦まじかったと思われる。彼女は10年の結婚生活に六度の出産をしている。幸と言うべきか次男ジェームスだけが幼逝せずに育ちあがった。再婚・再々婚による子は無い。唯一の子がその後のUK王室流れを左右した…。流れ途中の小石に枯葉が溜まったり、溜まらなかったリ、、歴史とはそんな感じか。
3.いつの時代にも崩壊した王権子孫を騙る連中がいる。事実、イランのシャー直接血統だとか帝政ロシア・ロマノフ血続きとか言うのが居るのである。どこかに眠る資産/財宝目当てだろう。もしも、もしも立憲君主の復古調ならば、さぞ多くのマーガレット血筋が君主の名乗りを上げるだろう。すると湖上の美人に続く、21世紀のシンデレレラ物語…

Euro crisis 通貨危機

欧州連合 通貨危機 二ヶ国内閣のリセットなるか


一つ目は御存知ギリシャ。パパンドレウさん頑張ったけれども与党の人心離れやはり辞職、野党を加え、昨日から祖国救国内閣つくりのようです。戦前日本の大政翼賛会と言うような雰囲気かも知れませんね。

二つ目はこれも御存知のイタリア。
Italian Debt 02

明白な数字で、イタリア経済はヘナヘナになったと野党有力人が喋っています。上の見出しはグローバル・ショックウェイブで、Tsunamiを言い換えています。人災的な危機感をこめているのですね。

議会票読み 1
イタリア議会も階段半円型、閣僚の座る席は議長席の下に二列並ぶ。

議会票読み2

二列閣僚の真ん中の首相席に集まっているのは党首とその与党メンバーで、票読みしているのではないでしょうかね? 全体審議の過程で、与党支持が過半数を割ったそうですから、節約案の個別議決の一つの結果を検討しているとか…。シルヴィオの僚友ウンベルト・ボッシが「お前さん、止め時なのよ!」とはっきり言いましたが、べルルスコーニは審議伸ばしや手続き過程で、これまでのように徹底的に粘るのでしょう。このあたりはオザワ某氏に似ている感じですね。

イタリアの、あっちゃこっちゃに見られる瑠璃色のフィンカ属二つの比較画像がありました。前回の処女信仰物語と倒れそうな中道右派内閣と、何の関係があるのかと御叱りを受けそうです。申し訳ないデス。

Vinca major & minor
Profile

ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
この記事にリンクを貼る
タグリスト

access
access online
現在の閲覧者数:
Latest trackbacks
Search form

Powered by FC2 Blog | | Template Design by スタンダード・デザインラボ