ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

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Miscellaneous Human History 雑史/外伝

Voor wie de klok luidt  誰がために鐘は鳴る

誰がために鐘は鳴る
Voor wie de klok luidt
       Wem die Stunde schlägt
         Por quien doblan las campanas
           これらの訳の原文は下記の英文           For Whom the Bell Tolls

これは1624年上梓された病と健康あるいは祈りに関する本から引用されているらしい。作者ジョン・ドンネはカトリックから宗旨替えしてアングリカン教会の司祭になった人物。一風変わった形容・比喩を駆使する詩人だったらしい。法律家でもあったそうだから、当時の上流文化知名人だ。

スチューアート王家近くにいたのだろう…長患いから回復したばかりのドンネは、恐らく普通人にとって難しい言葉に満ちた詩的なこの著作を皇太子チャールズに捧げているのである。50過ぎの大文学者が20代半ばの若者に贈る本だから、忠臣としての詩魂を込めた内容と想像される。

チャールズはエリザベス・スチューアートの四つ下の弟で、翌年3月末に父親ジェームスが亡くなり、載冠する。この前後、ハーグ住まいのエリザベスは亭主フリッツとロンドンに数度の船旅をしなければならなかった。幼い時から新教育ちの姉は、一寸かたくな弟と仲がよかった感じを受けますね。

彼女の子供たちに油絵を教えた画家をフェーラルト・ホントホルストと言う。エリザベスは彼を弟に推薦紹介し、フェーラルトのキャリアー作りに貢献している。王侯が芸術を支える小さな例。画家は王宮ホワイトホールに出むき、かなりの肖像画を描いています。同時代フラーンダレンの画家アントニ・ファン・ダイクもチャールズ載冠前やジェームス等の肖像画を残し、ロンドンが"ダッチ・ペインター"づいた頃ですね。[エリザベスやホントホルストの日記ご覧ください]

ジョン・ドンネによる「誰がために鐘が鳴る」を含む数行の意味を私はよく読み取れない。17世紀初期に通じる英文屋諸氏の講釈を聴きたいところです。宗教的意味も有りそうだし、人類愛や動物愛などが絡んでいるように思われもする…。後の批評家はメタとフィジックスの統合語をつけた詩のジャンルを作り、彼を英文学史に収めている。

アーネスト・ヘミングウェイはハヴァナでこれを読んだのか? それとも心地よく響くこの句をずっと暖めていたのかも知れない。共産化以前のキューバは独裁者に支配されつつ、貧しくのどかな土地だったと思われる。スペイン風なハヴァナの街並みがジャーナリストとして取材中のアーネストにインスピレーションを与えたのではないだろうか。

彼は街の一角に立つホテルでスペイン内戦の悲惨を書き始める。For Whom the Bell Tolls句の放つ風景を、作家はゲリラとフランコ軍との生々しい戦いの話のどこかにそっと描いてみたかったのでは。作家のイマジネーションがキラッと光るような場面に…。

昔、テレビでこの題名の映画を見た。イングリッド・ベルフマン(英仮名:バーグマン)が初々しかったのを覚えている。北欧スエーデンは日本のように山岳に恵まれ`山`付き苗字が多い。`山の人`家系のイングリッド嬢は"風と共に去りぬ"製作者Dセルズニックによってハリウッドに迎えられ一挙にスターになり、相手役は桶屋の末裔であるゲーリー・クーパー。彼は細身の一寸頼りない知的な役を演じる人気俳優だった。

シナリオがどう進んだのか全く覚えていない。「誰がために鐘が鳴る」と言うタイトルが何となく似あいそうな感じも受けるが、しかしドンネがチャールズに捧げた本にある該当箇所の短い段落と直接に繋がるものはない。何かを思わせぶりに説明する表徴文であるから、戦いと死があれば鐘が響く自然さがある。太平洋戦争真っ只中1943年封切時の世相とスペイン内戦がマッチした点と、常ならぬ恋とメタフィジック性たる題名によって大ヒットする。ネーミングの妙であろう。

クロッケンはklok の複数で幾つかの鐘。ラウト即ちluidtは鳴る/響くと言う三人称単数動詞。...dtは蘭語文法のネックで小中学生は苦労する。これからLuidersは鳴らす人たちになる。一個の鐘をつく、あるいはベルをならす人を含めて、だからクロッケンラウデルスは鐘つき人たちを指す。

複数の鐘を据え付ける大きな鐘突き搭はいわば演奏装置と言える。音楽を奏でることが出きる。左様な演奏できる複数個の鐘システムをカリオン(≒カリヨン)と言う。これを扱うプロの職業もクロッケンラウデルと呼ぶことが出きる。ひょっとすれば、カリオニストなんて言うかもしれない?

昨日エピローグ篇の主題VTRpanorama番組タイトルはヘミングウェイの小説題名を借りています。ジョン・ドンネから数えれば、二つ目と言うかマタガリになります。ベルギー連邦フラームス語圏ですから、Voor wie de klok luidtと綴られます。上手に借りていますよね。4名の警鐘人たちは誰のために鐘を響かせたのでしょう? 

良心のため、国民国家の公正さのため、警察地域の人々のため、、、どれも当たっている。一言で言うなら`サヴァイバル`か。嫌がらせをうけ、おっぽりだされ、そのまま死ぬわけにいくまい。組織で生き残ることを選択した(特に2名には)以上、戦わねばならない。

パノラマのドキュメンタリー「誰がために鐘が鳴る」使用言語はフラームス語(オランダ語ヴァリエーション)。ベルギー北部言葉の女性発声は低音質で枯れ声っぽいのがお分かりになるでしょう。YouTubeに短いニュース(5C4mh_si-jY)がupされるのは納得、ところが本日探してみると50分番組(oLwhTUtc5iw)がそのまま視聴出きるらしいことが分かりました。YouTubeの容量に驚きます。

//www.youtube.com/watch?v=5C4mh_si-jY&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=oLwhTUtc5iw&feature=related

本ブログは画像容量の限界に達しました。削除しうるものと新しい画像を交換する一時的方法をしばらく採れそうです、、が。やはり一杯はいっぱい。ラクテンサポートによると、門戸を誰にも等しく広く開くため、1名による複数ブログ設置を受け付けないそうです。故に別のブログ提供先に移動する、あるいはそこに作ったブログに連想が繋がるタイトルをつけて継続する。ファイルを収容する提供先が違うだけ

受容力無限に思われるYouTubeと楽天との商いレヴェルを比較するのは無意味ながら、日米のギャップと言うか、スケールの違いを思ったりします。タツ年に変わる一区切りでもあり、(煙草をすいませんが)一服して、何かしないといけません。応援してくださる方から、幾 つかヒントをいただき、感謝申し上げます!
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Terrorism テロ

[エピローグ篇:ハッセルト] 馴れ合い政治  調査追求ジャーナリストの役割

13世紀ハッセルト。堀をめぐらした砦が分かる。左右は欧州一の広さと言う日本庭園。姉妹都市・伊丹市の寄贈らしい。
hasselt met Japansetuin


ブリュッセルの中央P委員会がどうやら地方に丸め込まれたらしい。警察(Politie)組織の不正を審査する委員会は法務大臣管轄である筈。Hazodi警察の腐敗について証拠付きの訴えを受けた委員会が地方裁判所の判決待ちで動かなかった…。

こうした国の(治安維持に限らぬが)組織の働きぶりをチェックする機関が日本にもある筈。ベルギー連邦Hazodi警察の場合、P委員会に加え、労働裁判所、州諮問委員会、腐敗防止委員会、地区警察行政長会議など分けの分からぬのが揃っている。今回、これらの何処も機能していない。言っても動かないのだから、分けが分からぬだけでなく、建前だけ揃っているんですね。

2名に罪ありとする検事をP委員会は信じたのだろうか? 調査せずに2年放置だから、P委員会と地方検事の腐敗と言うか、知り合い関係が怠慢を呼んだ…。左様なネットワークは国を問わず、役所人脈間でしょっちゅう起こっていると思わないでいられない。

鐘を打ち鳴らしたクロッケンラウダーにすれば、信用する中央のチェック機関が検事とグルになって動いているように見える。ショックを受け、打ちのめされて不思議でない。土俵際に追い詰められた2名の無実を勝ち取ることが、当面の弁護士の目標だ。イーリス・エクセルマンと言う40代だろう、苗字通りの切れる弁護人ならいいのだが...

彼女は警察関係の弁護で知られているらしく、警鐘者4名はその評判に通じていたのだろう。事務部門長のヴェテランであるフランケンは旧知だったのかも…。イーリスが考え、4名を説得したと考えるのが自然だろう。無実を勝ち取り、不正を世に知らしめる手段としてメディアを使うこと。幾つか採る弁護戦略の一つでしょう。”強欲のミスマネージメント”腐敗実態はフラームスのラジオテレビ(VRT)の時事調査番組パノラマ(Panorama) に持ち込まれるのです。

ヴェトナム戦争やニクソン政権の実態を報じたUS、それに総理の犯罪で活躍した日本の例。それぞれメディアの力はご存知の通りで、あまりにも有名。しかしメディアに騒いでもらって名を売って、弁護士商い繁盛をめざす輩は一杯います。野暮な話は取り上げられない。タイミングが良く、幸運も必要なのは世の定め…。この関門をパスしてパノラマ責任編集者とウィムを動かしたのがドシェー(資料)を揃えたエクセルマン女史の説得力である筈だ。

マルク・デュトローのケースは例外と思われる。複数の少女を誘惑、自宅秘密地下室に閉じ込め、無理強い犯して殺害を繰り返した。検察・警察とその担当部所間の縄張りや不協力のお蔭で、少女たちが消えたにも拘わらず、捜査は膠着した(北鮮の日本人拉致事件で、家族の訴えは警察の箸にも棒にも引っ掛けてもらえなかったとか…嗚呼、国が滅びる)。

これを転換させたのはメディアだった。パノラマ他メディアは当局の長期間の無能ぶりを追及、議会にデュトロー諮問委員会を立ち上げさせる。こうした犯罪とお粗末な当局に抗議するブリュッセル都心を埋め尽くした何十万人もの白いマーチをご記憶でしょうか…。デュトロー裁判は世界の耳目を集め、日本報道陣もワロニアの古都に出向いてきましたね。

ブリテンのゴシップ盗聴もメディアであるが、ここで言うメディアとは調査追求するジャーナリストを指す。刑事が捜査活動するのに比喩できる。違う点は捜査権無しで、証拠を集め、検証しなければならない。そして記事にするか、映像にして発表する作業。映像メディアは印刷メディアとやや違い、欧州各国の場合は時事番組とリンクしている。追求する時間が必要であるから、今日あった出来事をニュースとして報道するのと異なる。またエンタメ・盗聴タブロイド紙とも別世界だ。この分野は故にインヴェスティメント・ジャーナリズムと言われる。根気に加え、しばしば被疑惑側の脅し/反撃に対する勇気が必要になる。

VTRジャーナリストのファン・デン・アインデ(Wim Van den Eynde)とジャック・セーファールトは4ヶ月をかけて、黙々と調査と事実チェックを繰り返した。ウィムの低い落ち着いた声が印象的だ。彼は全ての関係者にインタヴュー申し出をする。誰にも意見を述べる機会があったということは重要な点である。

たいていの連中はそわそわとなって、上ずる感じなのだ。インタヴューに応え映像に紹介される人々のさまざまな立場が浮き上がるのは勿論だが、そそくさと申し出を断る経緯もまた事実追求のきっかけなる。

パノラマは休暇期間を終えた最初のドキュメントとして、火曜日10月6日20時から異例に長い50分ドキュメンタリーを放映。関係者へインタヴュー依頼するウィム個人の電話中の姿とその会話内容、療養するアニタを除く3名告発人とその証言、更に市長/検事/他関係者による言動公開フィルムと弁護士イーリス証言との突合せ検証場面、、、


チェス盤の駒の動きを登場人物の動きに連想させるイメージを挟みながら、ドブにつかる組織の異臭を視聴者にふんぷんと匂わせる。それは一つの地域において名士たちが互いに熟知しあい、よそ者に物言わぬ閉鎖性の世界でもある。同時にステフ・ステーファールが地域議会を"アルタナティブ社会党"過半数で占めてから続いている"左=リンクス"政治の暗闇なのだ。

放映直後からフラームス語のソーシャルネットワークが俄然やかましくなった。翌7日、新聞見出しトップも他テレビラジオの全メディアがこれを報じる。新フラームス同盟党ドフロート(Degroote) 議員が2年間いかなる調査もしなかったP委員会を査問する議会委員会を招集したいと声明。同時に告発人を訴訟したが、有給休暇採りや保険詐欺をした警察コミッショナーを訴訟しない地方検事の矛盾と「出鱈目の告発4名の口封じをする」と言う時代錯誤的言動を指摘。

Lamon,Claes en Rubens


同じ日、Reyers Laatと言う23時TVトークショーに市長と任命されたばかりの新ヘッドコミッショナーが出て、インタヴューを受けた。市長クラースはまだパノラマ放映を見ていないと断りながら次のように公言:

ドキュメントは一方的に作られているようだ。既に私は新コミッショナーと組織再生作業に入っている。4人の配置転換は嫌がらせを終わらせる誠心誠意の私の気持ちだ(ヴェラは倉庫のような一人ぽっち部屋。アンマリーは廊下の隅机)。昨年9月の検事告訴に対応して、不正行為をした2名の戒告停職処分をしたのは正当な措置である。(1年以上の自宅謹慎処置を受けている)告発人へ謝る理由は全くない。

警察の弁護士であるヒューゴ・ラーモンの「ジャーナリストは裁判官でない」、槍玉に上った検事ルーベンスの「ドキュメントは一方的でまだプロのレヴェルに達していない」と言う批判が記事にでる。彼らはデュトロー事件を忘れているのだろう。臭いものに蓋をしたい側の”強がり”か…。ファン・デン・アインデのひと言「二人は冗談言ってるんでしょ」の反応が記事に付される。

金曜9日、パノラマドキュメントを見たヒルデ・クラースは7日夜のトークショー言辞を180度返す。前任者から引き継いだドシェー(資料)に充分に対応してこなかったかも知れない。だとしたら4名に謝ると声明。するとすぐさまN-VAとVB(フラームス優先)野党議員たちブログに「なんと傲慢な、ヒルデは知っていて何もしなかった」と辛辣な批判が書かれる。

日曜11日、地方裁判所の2名への完全無罪判決が出る。裁判所の前は報道陣であふれ、本人2名を代行して判決を受けた弁護士エクセルマンが笑みを浮かべて応えている「裁判は私たちの声を聞いてくれた。公正が示された。これが腐敗の告発を始めるスタート点です」。マイクの束に追われるラーモンは判決を受け止めると言い、上告するかどうかは地方検察の検討/判断に帰すると不在のルーベンスに下駄を預けた。地方検事の惨めな敗北とモラルの失墜は明らかだ。

Vrijgesproken


10月13日議会に於ける法務大臣解答。連邦政府の新政権成立手前のため、仮大臣(と言えど前期から4年以上務める)Stefaan De Clerck(クレルク)が四党の質問に応えたもの。

P委員会のハッセルト事件への関与について議会調査助言委員会を開く。
2. 鐘突き人=内部告発者に対する明確な法整備を行う。既に複数党の提案が出ている。

ハッセルトのクロッケン・ラウダース2名無罪判決に対する検察上告をしない。
4. 1月に150頁hazodi腐敗資料が検事ルーベンス扱いになっている。彼自身が深く絡んでいる故に、これを検事総長Yves Liégeois(リーフォーイス)に移管する。

ルーベンス自身の停職処分の可能性や他機関の進める今後の関係者処分について、クレルクは明言を避けた。だが、これで連邦政府責任閣僚の基本方針が出たわけ。警鐘者の意図が本元に伝わったと言うこと。これに従って、かなりの数になる地方行政機関と各種団体(委員会)が調査に取り掛かり、作業を進めていると思われる。ブリテン・フォーンハッキングと同様な長い時間が掛かるでしょう。

12月8日に当座の使い込み金額調査結果が出る。半分の額が警鐘者4名中の3名によって違法受領されたと言う報道がでた。弁護人イリースがすぐに、被・告発側の仕掛けた罠/嫌がらせだと、侮辱と名誉毀損の理由で訴えている。

告発された"名士たち”はあらゆる手段で4名をいじめるだろう。今後小さないざこざが続くだろう。4名の職場復帰がどうなるか? 停職あるいは辞めざるを得ず、自宅謹慎/療法期間の損害賠償がどうなるか? ベルギーの法整備とハッセルト界隈のクロックラウダー事件の実際処理はこれから始る。

ヒルデ・クラースと言うオバサンは事実に突っ込まず、力のある古参同郷人に踊らされていたマリオネットだった。オドオドその場限りの対応に終止した彼女の今後、例えば次選挙での市民判断が興味深い。土地の馴染みは良心の公正や正義より遥かに強い。ヒルデの2期目継投は多いに有り得るだろう。あるいは追求調査過程で、知らなかったと言う言明の嘘が明らかになったりすると、辞職せざるをえない状態もありえよう。

当分ハッセルト界隈に石工職人組合の亡霊がさまようのかも知れない。
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Oh every day 日々そうそう

クリスマス劇 キリスト教社会の伝統

クリスマス劇は日本の教会でも演じられると思います。多くの場合、6才ほどの子供たちが分かる内容。流れ星がイエルサレムの方向に流れ、3人の羊飼いの前に天使が現れ、馬小屋のマリアと生まれたばかりの赤子を祝福すると言う話。

クリスマスに至るまでの日々に、キリスト教保育園や小学校でこの伝統行事が行われる。町や村、家庭や店舗あちこちで馬小屋の様子が展示されます。これを終えるとクリスマス休暇(2週間ほど。US一般ではもっと長いとか)に入る。クリスマス・ディナーの準備やヴァカンスに旅立つ気分が溢れる。そして往く年来る年を迎える季節のクライマックスである。

Kerstspel


東方から祝いに駆けつける三人の王の物語と、悪魔の仕掛けたリンゴを食べるイヴとアダムがエデンの園から地上へ追われる劇とは10才前後の子供たちを対象にして、この時期から新年6日頃にも催されるでしょうか。ルドルフ・シュタイナー教育だけでなく、ほか幾つかの教育思想に於いても、これら3つをセットとする場合があるそうです。
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Miscellaneous Human History 雑史/外伝

国葬二つ ピョンヤンとプラハ セイヨウヒイラギを添えて

Pyeongyang は平壌 のアルファベット移しですね。平→Pyeong→ピョン、壌→yang→ヤン。朝鮮の方の会話を傍で聞くと、印象は中国会話と大きく違います。それぞれ独立言語だから、デンマーク/スエーデン/ノルウェイ諸語間の違いのようなものでしょうか。私の父は漢字の四声をこなし、「お父さん、北京時代ペラペラやったのよ」とペラペラでなかった母が思い出して感心していました。晩年の数年、漢文筆写を楽しみつつ朗読していたそうです。父から、北京発音と平壌発音の違いを私は教わることがなかった。

ピョンヤンで本日、指導者の国葬は行われたのでしょうか。それとも明日や明後日か…。ヒステリーと言う語彙を時々聞きます。欧米メディアの一つの解釈だ。独りでいる時と異なり、こうして集団に属する時、人々の間にヒステリー現象が発生しやすいらしい。一つになる同化現象なのかどうか…? フットボールの試合でしばしば暴動が発生する。あれも一種の集団暗示現象だと言う。さもあらん…

あちこちの筋から、指導者継承を円滑なく行うため、引き締めるため、浮つき分子の粛清が行われる可能性が述べられている。不穏分子らしき同胞人を“消す”こと。CIA出やロイターの記事だから、信憑性があるのではないか。仮にあったとしても、iPhoneを持つ人はいず、西側ジャーナリスも入れませんから直ぐに外部に漏れてこない…

ヒステリー

悲しみにくれる写真の間に、何故頼りない樹木を置いたのか? 指導者へのクリスマス飾りである。

維持整備道でなく、倒壊した樹木を超えながら勝手な森歩きをする。稀に、中の写真のようなセイヨウヒイラギに出くわす時がある。林内の中間層を形成する陰樹で、ふつう樹高5~6mになる。突然生えている、、、そんな印象を受ける。Hülse、Hulst、Hulstbaumなどと言われ、緑が輝き果実の血色が滴るので、クリスマスの花輪や門飾りに相応しい。ただしクリスマス需要には斑入り葉や実付きの良い小型の園芸種が対応しています。

人のこない林内だからこそ、ヒョロヒョロながらも育ち、良くぞ結実したのであろう。公空間ならとっくに名無しのまま始末されている。こんな果実が成るのだから、近くに雄株が植わっていなければならないだろうと思う。公式にはヤナギ類や人間と同じ雌雄/男女が別なのである。オット、ひょっとすればこのヒイラギは機能する両性花を咲かすのかもしれない。調べてみなければならない。

幼く若い時の本種は葉を分裂させ、あるいは端を尖らせ、それら先端を棘にする。森に生息するそこそこ大きい食性動物はリス、フランダースのカケスぐらいだから、そんなに武装する必要がないと勘ぐるのだけれど…。

北鮮の国民80%(あるいはもっと)が食いはぐれと言われる。西側諸国の様々な人道組織をつうじる援助食糧で食いながら得ているのが実情だ。それにも拘わらず核開発を進め、軍事作戦を展開して西側に刺を向けている。刺々しくすることが独裁政権のサヴァイバル戦術なのだ。

かつて、帝国主義諸国を開放すると言う共産ドグマの狂気だったが、今や5~%わずかな支配層による必死の自己防御に他ならない。それを華美な衣装を着け初めた法螺吹き獅子が支えている。同じドグマを党綱領に刻む支那と言う国ですが。

111221 Praag 国葬


ヴァーツラフ・ハーヴェルのプラハ市中行進をチラッとサテライト実況で見ました。向こうのカーレル橋から手前まで見送る人々で溢れている。若い女性がインタヴューに答えて曰く:ヴァーツラフ、彼は道徳のシンボルで、私にとってはアイコン(≒アイドル)。さようならと別れを言いたかったの。 同じ思いの人々が遺体を載せた車と共に、彼を金曜まで安置する古城へ静かに歩いていく。

マーチとひらぎ


上画像の中央の女性は未亡人ダグマル・ハブロバと言う人らしい。同じヴァーツラフ名のクラウス大統領が思い出の言葉を記す記帳中に、チェコは3日間の喪に伏すと言う説明がありましたね。

なお欧州一般に香典の習慣はなく、従って記帳はお返しや謝礼品贈呈を滞りなく行う実質的役割はない。その社会相互システムは別の形である。記帳はだから、故人へ語りかけ、故人の思い出を綴る純粋な文集である。

金曜23日に、国葬が行われるそうです。昨夕と今日、表敬記帳をしたプラハ在の全ての大使館代表は言うまでもなく、ドイツのヴルフ、フランスのサルコジー両大統領はじめ欧州連合27ヶ国の君主や首相/外務大臣が儀式に参列するでしょう。旧東欧共倒れの中での、ソフトタッチの着地を主導した人物に相応しい葬儀に成るでしょう。合掌。
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Miscellaneous Human History 雑史/外伝

天国と地獄 いずれの切符か  Václav HavelとKim Jong-il 


Václavはヴァーツラフとチェコ語で読むそうだ。 Havelはハーヴェルだろう。Kimは金でキムと分かり、Jong-ilはジョング・イルだろうか。前者75才、18日の日曜午前に、後者69才は土曜にそれぞれ亡くなったそうだ。

ヴァーツラフと言う耳慣れない名前は正式名称Česká(チェスカ)共和国では一番に知られる正当な伝統男子名でないだろうか。十世紀の伯爵領主で、のち国の守護聖人に祭られている。日本名の太郎のような感じだが、聖人だからもっと箔が付いているのです。

プラハの古臭いひなびた中央駅(数年前)から南に少し歩くと、西に向かって下る広い通りと言うか広場にぶつかる。7月24日YouTubeとDSK日記の画像に中央花壇のある通りが見えます。[7月下旬のボヘミア篇(上/中/下篇)、プラハ大学 ヤン・ブリンデなどもご覧ください]

プラハ 駅と広場

ヴァーツラフ通りは時計搭の建つ場所と違い、広場より”通り”で1989年の秋、共産独裁から民主化への運動の大群衆で埋まった場所です。通りに入りきれず、このあたり一帯が人々の大海になった。当時24時間常時放映する唯一のCNN看板女性リポーターが興奮して伝えている。

運動母体は”市民フォーラム”。中心人物がヴァーツラフ・ハーヴェルです。ワルシャワパクト軍の戦車がチェコスロヴァキア全土に進駐したのは1968年8月。インタネットも他の手段も殆どなく、外の世界に分からない出来事だった。改革的なプラハ劇団のリーダーだったハーヴェルは職を終われ、その後何度も投獄される。

ソヴィエト軍駐留下の20年の「正常化」を反政権に徹した猛者であるから、ポーランド連帯からの大うねりを受けて巧みに市民フォーラムを組織化したんですね。因みに初代ヴァーツラフ以降10~13世紀だったか、ポーランドとボヘミアは事実上または形式上、同じ王を戴いていた。遠い昔の馴染かも…。

ハーヴェル達のフォーラム運動は血を流さない革命でした。同時進行したルーマニアやこの間のリビアに於ける大量の血の革命と大きくことなる点ですね。かつてオランニェ・ナッソウの頭領ウィレムが大軍をひきい海峡を渡った。義父ジェームスをフランスに追い出し、無血で翌1689年に女房と2人王制を樹立。そのウィレムをハーヴェルに重ねるつもりはありません。ただ正確に300年後と言うリンクをはってみるのです。

ビロード革命の二人

ヴァーツラフはプラハの春を束の間よびよせたAlexander Dubček(アレクサンデル・ドゥプチェク)をフォーラム戦列に直ぐに招いたのです。私などは遠の昔に、シベリアに送られ闇に葬られたと思っていました。そのドゥプチェクが返ってきたのは大変な効果と言うか、人々を熱狂させたとドキュメンタリーが伝えています。さもあらん…視ていた私もぞくぞくしたんです。バルコニーでヴァーツラフと並ぶドゥプチェク画像を見た西側の人々は歴史の泡立ちにこっくり頷くことができたでしょう。

カーレル橋

チェコ語でカーレル橋と言い、先王の妹と結婚してルクセンブルグからボヘミヤに招聘されたヤン(本名はJohan)の息子Karelを名付けた橋。何十体もの彫像が見甲斐あり、プラハ5指に入る観光名所。ヤンは14世紀欧州の座頭市。めくらになり尚も勇猛に戦った武将。息子カーレルは武に長け戦略に勝れ、皇帝選挙に勝ち、欧州の英知を迎えるプラハ大学を設立。

朝鮮半島の北の国の69才の御曹司がなくなり「オオ、ディアー我等の大指導者」と泣き咽ぶ映像が流れたのはご存知の通り。TV発表するアナウンサーから、あらゆる場所の人々まで、嘆き悲しんでいる。ただ事でない光景では…。我が子を突然の事故で亡くした母親のような悲痛に相似できるでしょう。

チェコでは見られません。民主化に尽くし、大統領職を長期つとめ、祖国に貢献した人物への尊敬と悲しみが静かに厳かに表現されたのは言うまでもありませんが、「泣き叫ぶ」と言うアドレナリン放出的な異様は見られません。共産主義は内的な人間性に欠ける。外めに激しく泣いても、泣くことの出来ない心の痛みをどうするのだろう。

金ヨングと北鮮ドイツ大使館

サテライト局で誰かが”北鮮得意のデモ/やらせ/演出だろう”と評している。確かに”愛すべき指導者”の写真は白々しいヤラセなのだが…、北鮮普通の人々は、政権に都合のいい情報だけを与えられた”洗脳された状況”にあるからでは。1945年8月15日の敗戦を伝える玉音放送に於いて、似たような場面がありましたね。

戦前の日本は、現在の北鮮と同じ、情報統制された社会だったからではないでしょうか。負ける筈のない神の国と繰り返し刷り込まれた。その祖国が負けた。故に悲報にくれ嗚咽するのは条件反射的と言わねば。日常生活で常に一方的な情報しかなければ、心の平衡も傾かざるをえない…。

幸いかな、昭和天皇が亡くなられた時、日本国民は昨日今日のチェコの人々と同じ、しめやかに故人を偲ぶ落ち着いた態度だった。旧東欧圏の人々は20年の年月を経て、EU連合のコモーン・センスを共有しつつあると思われる。彼らの平常心は北鮮から伝わる凄まじい号泣を違和感で受け止めるだろう。

先ほどのサテライトニュースが、北京のフー・ジンタオ(Hu Jintao) の哀悼の意を伝えています。金日成”御曹司の崩御”なれば当然か。曰く:支那と北鮮の友好関係は変わらず、今後もピョンヤンを強く支持するそうな。軍と党と政府の三つを掌握する人物が言うのだから、日米韓台はフムと確認せねばならない。

数少なからぬ日本人を拉致した部門責任者は誰だったか。数百万人の餓死した同胞への深い大きな悲しみは何時、何処で公にされたのか。緑豊かな稲の広がる風景はDie Demokratische Volksrepublik Korea (英省略形:DPRK)の何処にあるんでしょうね。民主を冠する人民共和国だが、こんな嘘っぱちの”民主”が出て来てうんざりする。外から観察すると、やりきれない思いにかられる。もし内から見る人々がいるならば、その何倍もおぞましいだろう…。

キリスト教社会において天国と地獄は絵画的イメージで明らかです。ヴァチカン宮殿の一つの礼拝堂をご覧になった方なら、良くご存知ですね。人間わざと思われない大仕事にビックリします。作者は長い名前、難しいのでコピペしますとMichelangelo di Lodovico Buonarroti Simoniと言う天才、しかも当時並外れた長寿の人。一般に姓はブオナローティ、名はミケルアンジェロ。

前奏ならぬ前話が長くなりました。彼の「最期の審判」の迫力ある主題は、イエスの審判なんです。つまり死者を天国と地獄へふるいわける決定作業。天国と地獄を語るブロッガーによれば、天国行きはヴァーツラフ・ハーヴェルで、これは明らか。キム・ジョング・イル御殿様は、ヘル即ち地獄落ちだそうだ。

いや、一寸待て! レーニン/スターリン/毛沢東の犠牲者の数を見よ。それに比べると、我なしたる数など微々たるものぞ。ブオナローティ画の右側の列に俺だって加わりたい。と言う腹出たる御曹司の呟き(トィッター)が、皆さん聞こえますか…。

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Profile

ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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