ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Nature 雑草 フローラ/ファウナ

帰化種と二重・多重国籍草

Erophila verna 001-1 姫ナズナ 畑の堆肥

白い原っぱ。 パット見だと、霜がうっすらのようにも見える。あるいはヤナギやポプラの綿毛が風に吹かれて広がっている…。先日の暖かい三月末の光景だから、いずれもそぐわない。遠くから歩いてきて、何だろうと訝った。路傍から畑に踏み込んで、かがんで見て初めて分かった。Frühlings(独)Vroegeling(蘭)と言う雑草だった。春早く咲くので「早咲っ子」と言う感じで呼ばれる。和名を探した時、ナヅナの前にヒメを付けると分かり、意外に思った。アブラナ科の花からか? 似ているようで似ていない…そう私は思う。

Lamium purpureum 002-1 ヒメオドリコソウ(姫踊り子草  堆肥

紫の花が遠くまで一面に見える。この耕作地一角も「早咲っ子」と同じように、一つの雑草で覆われている。欧州の典型的な春を告げる雑草たちの二つ。それぞれ他の雑草は見られない。作物収穫後に耕され、そしてそれぞれの種がまかれた結果である。まもなくこれらの雑草地が耕され、計画農作物が播種(ハシュ)される。すると雑草それぞれの持ち味と言うか、それら農作物の生長促進に役立つ成分を持つ雑草が選ばれているのではないだろうか。

耕作地=畑は春になると、耕される。昔は農夫/婦が人力とクワ、そして牛馬によって行った。欧州では機械≒トラクターで耕される。最近、大型機械を要するローン農耕企業が請負う傾向にある。もはや農家それぞれが自分のトラクターで土地を掘り起こすことは少なくなりつつある。多種多様なマシンを備え、耕作からタネ巻き、収穫まで請け負う企業に依頼するのが効率良い。

農家は人手から機械に成り、徐々に大規模になってきている。中途半端な耕作面積や機械化では、経営効率が悪く、立ちいかなくなっている。農家の主は肉体労働者と同時に農業専門知識の実施者でなければならず、実体験と農作業ソフトウェアーの総合力に従う経営者になりつつあるのでは…。

耕される広い耕作地は冬の間に、特定の植物を育成している。その植物は春の来るころに枯れても枯れなくても、そのまま耕される。そして次に植えられる穀物や野菜の堆肥となる。耕地を豊かな土壌として、維持するのは農家の基本なのだが、一方で冬場も栽培成長中もモノカルチャーにならざるを得ない。

大規模な一つの作物への集中、一種の家畜への集中をメガ・モノカルチャーと言うそうだ。大量集中工場生産と同じ効率的な生産性が至上目的だから、自然及び環境に与えるマイナス面が大きい。一昔前、数十年前、麦畑や野菜畑の合い間に出てきた雑草の類はもはや生存の機会を奪われつつあるらしい。作物成長の障害物を取り除く徹底的な努力が採られるから、それらの土壌で生きていた菌類や土中生物が消滅するらしい。同時にそれら植物を食草とする昆虫が生存できなくなる。

Lamium purpureum  004 Collage ヒメナズナとヒメオドリコソウ
画像説明はヒメ「ナズナ」表記。「夏無し」由来説に従うと「ナヅナ」になる。

白と紫の原っぱの近接画像。農作物の収穫後から次期播種までの準備期間で、早春に開花する雑草の例。上の画像から推理されるように、ヒメナズナ4枚花弁の直系は5㎜に満たない。笠をかぶった踊り子が並んだように見えるオドリコソウの小型版のヒメオドリコ草もさして目立つサイズでない。

そこで行政(市町村)は観光資源にもなる放牧・耕作地の風景作りのために、農家と相談し合い、より大きな美しい花を持つ堆肥植物のベルト地帯を奨励したりする。ヒメナヅナやヒメオドリコソウでは誰も美しいと思わぬ。その代り、地中海近辺の自生種や遠く南米や極東の派手な栽培植物の種まきをする。見事に成功する例も多く、沢山のウォーカーの眼を楽しませる。

ところがこれには地元フローラ愛好家や生物専門家が異議を唱える。時に思わぬ異国の花々が勢力を伸ばし、本来の植生を混乱させたり、あるいは同種を圧迫する弊害が生れる可能性があるからだ。


Erophila verna 001-3 Collage met Geldersetasje

ヒメナヅナ名は日本古来の春の七草・ナヅナからの借用。ナヅナは別名ペンペン草と言われ、右の3㎜ばかしの花が受粉すると逆三角形の袋のような実を沢山つける。果実が女性の持つハンドバックや財布のように見えるので、我が村では「フェーデルランド地方の小さなバック」と呼ぶ。コイン入れのような名称が諸語に多いのは流れ星を見た羊飼い三名が財布の底をたたいて、聖母マリアとその子を祝った物語から。分類命名者(リンナエウス等)も果実形から連想し、キリスト教者なら自然な共通イメージだろう。

ナヅナの葉っぱを古代庶民は日常ヴィタミン野菜として、平安期の宮人は御飯と混ぜて食べる菜採として食文化の雅を観た。植民地合戦の欧州諸民族は食い気より、銭(ゼニ)気が優先し、あらためて学/種名Capsella bursa-pastorisに付いている`財布`を見直したかもしれない。

ヒメナヅナ左画像の一番上の花は受粉をして、子房が大きくなっているようだ。さらに進むと内部の種子を宿す鞘状になる。ヒメナヅナはこうして一年に何度も世代交代を繰り返す。日本帰化は江戸期か? 東インド組合会社の船荷詰め物である乾燥植物に混ざった種子からかもしれない。

その名前元のナズナは古く、古代における穀物伝来絡みで大陸から渡来した雑草らしい。つまり、いずれも帰化種なのだ。彼らはユーラシア様々な土地との多重国籍草と言えるのでは。


Lamium purpureum 02 Collage オドリコソウホトケノザ

ヒメオドリコソウもオドリコソウの小型版として和名をもらっている。左の白い花が(欧州基本種)オドリコソウ。日本のオドリコソウは基本種とやや違うらしい。私には比較できることが出来ないうえ、恐らく難しすぎる。だから同じオドリコソウとしておこう。

有名な`仏の座`と言う雑草もご覧のとおり、ヒメオドリコソウと同じ紫色で同じ口唇型と言われる花を持っている。これら三つは兄弟姉妹で極めて近い関係、現在は三つとも南北の半球に広がる。元々欧州~西ユーラシア自生種と聞いたけれども、地球上の隅々で帰化している古手だと言う。日本へは明治時代の帰化種、とどこかで書かれているのを見た。ほんとなら意外に新しい。

白い原っぱは滅多にないと思われる。「春の早咲っ子」草の後に、何が植えられるのか? またシソ科ヒメオドリコ草の大群は日本各地でも見られると思う。ひょっとすると、いずれも日本の作物に既に役立っているかもしれない。趣味の畑をする隣人に聞くと、これら一風変わった雑草は連作を避け、異なる今年の植えつけ作物のためではないかと言う。 素人の私には作付後にもう一度、さらに来年、足を運び確認すると納得できるだろう。


[蛇足]
「帰化種と二重・多重国籍草」題名は帰化人と二重または多重国籍者をイメージ。日本国家は、20才以上で日本国籍を持つ個人に複数国籍を認めていない。これは国際的に、珍しい。殆どの先進国は複数国籍を認め、それらの旧植民地諸国はそれを見習っている。個人の法的実在証明としての国籍は一つであるべき、と言う主張を日本はしている…と解釈される。
私はこの論理を支持する。そして人間以外の生物にたいしては正反対の立場に近い。いつか国籍論、複数国籍の問題を取り上げてみたいと言う気持ちが本題名に出た次第。
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Politics and economics 政治/経済

ドミニック・シュトラウス-カーン 現実は幻の如し、幻が現実の如し、

もしあなたがIMF (International Monetary Fund=国際通貨基金)のボスならば、日頃忙しい勤務地ワシントンから息抜きに華やかなニューヨークに遊びに行きたいと思うだろう。昨年7月26日 「ディアロ vs シュトラウス-カーン」と言う話題を拾った。一風変わった珍事で、IMFボスが関わる事件で一夜にして世界ニュースのトップだった。

話題の主は簡略にDSKと見出しに書かれた。ドミニック・シュトラウス-カーンと言うのが読みで、いずれも欧州中にある名前と苗字だ。このDSK氏はこの 時、外交官特権を持つ罪に問われない立場にいた。いかなる嫌疑があっても、国際条約によるこの特権が国内法より優越するのだ。

ドミニック親分は若い時からセックスにかけて知られ、昨年も公事からのんびり私事の楽しみでニューヨークに宿を採ったと思われる。宿の部屋係のディアロ嬢との一件をお読みいただくとして、通貨基金トップの公人と無関係に自由な私人としての権利を私は尊重したい。


DSK 03
ロンドン警視庁の第1の優先事件はPhone Hackingこと電話盗聴捜査だが、昨夜の抗議行動で女子2名と男子1名の学生を逮捕して、治安維持の本領を示した。

昨日DSKは政経論争会に出席するためロンドンに着いた。ケンブリッジ大の論争グループが、訴訟を受けている人物でも判決が出ていないならば、ゲストに相応 しいと彼を招いたのだ。ところがこの人物の招待が同じ大学の女子学生たちの怒りを買った。理由は7月NYの件、先日フランス国内のセックス会主催嫌疑など 幾つかが考えられる。

後者は若い女性(プロスティチュート)に報酬を支払いベッド入りする会の共同組織者だったと言うもの。ダルタニアンか三従士かと言う面構えの御仁だから、そうした大胆な話が沢山あるのだ。ケンブリッジ女子学生にしてみれば、元IMFボスは女性の敵。そんな人物は大学 ディヴェイト・イヴェントに相応しからぬと言う理由である。

ナフィッサトウ・ディアロさんはギニア移民(今年33才)。昨年のNYブロン クス地区裁判所にDSKを出頭させた女性。手錠をはめられ、頬をこけさせ眼光の鋭い彼の表情を覚えている方があるだろう。フランスへ逃避する寸前、空港で 逮捕され、直ぐに独房に入れられた。この人物が国際通貨基金のボスだから、世界が驚きトップニュースになった。

数時間後、大金の保釈金が支払われ、逃亡せず裁判に出る保証を与え、彼はNY豪華ホテルに落ち着いた。資産家の女房の助けだったと言われる。その後、裁判場面が実況で伝えられ、とどのつまり裁判官はディアロ証言の信憑性を疑い、訴訟そのものを取り下げた。

DSK 043

しかし今なお彼女の弁護士は、国際機関の官僚特権を逸脱する犯罪だとして彼の再裁判を主張して係争中。これを受け、ブロンクスの判事ダグラス・マッキオンは 現在検討中だと言う。一度、検事側の訴訟が取り下げられ、再び再審請求を検討中と言うのが良く分からないのだが。アメリカ人弁護人は、事件発生当時の立場 `外交官及び国際機関官僚特権`に固執して切り抜ける他に策が無いと思われる。

昨年、彼はNYに駆け付けた女房に付き添われ帰国。待っていたのは若い女性作家からかつてのセックススキャンダルの訴訟だった。それを和解に持ち込み(これも女房の資産の御蔭と思われる)、やや一息して体調を戻 した。しかし社会党第1のフランス大統領候補者として、ダメージが大きかった。正式候補者はフランソワ・オランデに回った。

ロンドン・ヒースロー空港に於ける昨夜の抗議は言わば、この好色実力者につく付録のような出来事である。女子学生の気持ちを斟酌するが、討論会での彼の説を聞く方が面白いのではないだろうか。セックススキャンダル如しでビクともしない人物と言うのはやはり`傑物`なのでは…。討論会主催者の時事を得たゲストと言う視 点に共鳴する。

「私を襲い侮蔑した彼の行為に対し、正義の裁きをしてほしい」はギニア移民女性の言葉。昨年の訴訟取り下げると言う検事声明の後で、メディアに紹介された。乱暴された女性の心からの声に聞こえる。

一方でこのホテルにおける不可思議な事件はフランス大統領選挙と関わる謀略説が存在する。社会党立候補者DSKを恐れたニコラ・サルコジーのマフィアによっ て起こされたと言う説だ。この場合のマフィアとは、本人が知らないにも拘らず、本人の意向を酌んだ取り巻きを意味する。マフィアはワナをかけ政敵を排除するのである。*[プーティン大統領のシステムとは、彼を取り巻くマフィアをトップ組織とするロシア的中央集権の利権構造を意味する]

強力 な証拠が幾つか挙げられている。彼の部屋に残されたライターだとか、ホテル外のディアロと数名フランス人との出会い、DSKの部屋にいた時間とディアロの 侵入時間との整合性…etct。仕掛けが上首尾に行った後、ディアロを含む一味が上機嫌で談笑していたと言う目撃者の存在。またNYホテルに現れたフランス人のボスらしきはサルコジー選挙陣営の主要人物らしい。アトランダムだが、出典はさるUSの有能な調査ジャーナリストによる詳細な検証レポートである。

UK の大スキャンダル・盗聴問題も10年後にスポットライトを浴びたのだ。メトロポリタンによる捜査見直しと今回ならではの厳しい議会公聴会、さらに検事による多人数の聞き取り調査会が生れた。きっかけをつくったのはガーディアン紙の調査ジャーナリストによる詳細な事件簿著書である。

もしも 将来、フランス大統領選とのリンクがゲノムの重なりのように証明されたりすると、ドミニック・シュトラウス-カーンは好色をネタにした濡れ切れを着せられ たことに成ろう。ハンガリー移民の息子ニコラ・サルコジーがあらためて収監されたり、現実は幻の如し、幻が現実の如し、目くるめき歴史≒ロマンになるのだが…。
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Nature 雑草 フローラ/ファウナ

蕗の塔 & フキノトウ(蕗の薹)

欧州の赤いフキ Collage 04

日本の今、あるいは数週前? フキノトウが収穫されたのでは。山野の湿地に自生する野生フキではなくて、種から育った畑のフキノトウ。秋田蕗と言われたり、幾つかの栽培フキがあるそうだ。野生種ほど苦くないそうだ。

上画像は雌だけの群落で、近く1㎞圏内に雄群落は無い。したがって地下茎で増殖する。クローン増殖にあたり、形質がすべからく等しい遺伝子情報を共有している。クマン蜂や蝶々が密を吸っているが、1㎞以上の距離をまたいで雄株の花粉を運んでくる場合もあり得るだろう。雌または雄だけの群落に滅多に見つけられないが、数回私は実生独立個体に出くわした。それは太い横に這う地下茎を持たず、長い細網根だけを土中に伸ばしている。

ヒブリデと言うのはもともと野生イノシシと飼いブタのアイノコを意味した。21世紀はハイブリッドと言われ、ポジティブなイメージだと思う。トヨタが先駆けて開発したガソリンと電気を組み合わせた交雑自動車だ。ややネガティブだった語彙をポジティブに衣替えした日本企業に敬意を表する。

しかし、古代のヒブリデも現在のハイブリッドの清々しいイメージだったかも知れぬ。荒々しい野生イノシシを囲いに取り込んで、既に家畜化されていたブタと見合わせ、二世を作ること。ここから良形質を選択繁殖するのは家畜文化における勝れた営為だったのだから。*では上記ブタは何処から来たのか?と言う素朴な疑問が生れる。鶏と卵のような話になる…。

昔の文部省が`間の子`を差別用語と決めたらしいが、勝手な偏見に満ちた差別用語リストだ。語彙の全ての意味は文脈によって決まる、語彙だけで差別用語ウンヌン論は同胞日本人を小馬鹿にしている。お上が下々(シモジモ)を導くと言う発想は陳腐この上無い。

本来のヒブリデは極めてニュートラルな語彙だった。上の赤紫の`フキノトウ`の学名はPetasites hybridusと記述される。正直に言って、何故``間の子`と言う種名がついているのか私には分らない。

この赤紫のセイヨウフキは日本`蕗の薹`と違い、塔のごとく立ち上がる。だから蕗の塔と私は呼ぶ。毒々しい印象を受ける。私は日本フキと同属ながら、ビビりながら試食してみた。すると日本の野生`蕗の薹‘と同じ、大変な苦さである。これでは食べることが出来ない。苦いだけでなく、鼻をつく特有のゴムっぽい臭いもある。

日本のフキノトウ食習慣はこの苦さを百%殺さずに、他の食材または調味料と組み合わす知恵でなかったか。天麩羅は代表的だが、微かな本来の苦さが地の天ぷら粉と天麩羅露と調和して美味いのでは…。蕗のほろ苦さが発揮される。ここから蕗の薹だけを生に近い形で食する人はいまい。各地/各料理屋で、天麩羅にしたり、おしたし風だったり、塩/胡椒で炒めたり、それぞれの工夫があるに違いない。

欧州の蕗 Collage 00

右は昨日出たセイヨウ蕗の薹の雌花。左の拡大像で分かるように、一つ一つの花が筒状になっている。中央に1個から3個の仮雄蕊が見える。仮雄蕊と言うのは雄蕊の先っぽにつく葯が言わば不能で、雄蕊の役目を果たさない。生殖機能を失っているが、その底にネクターをだし昆虫を呼び寄せる。周囲の白い線状群が雌蕊の花柱であり、先っぽ柱頭が二分かれしている。

欧州の蕗 Collage 01のコピー
右が♂群落の雄花。雌花と同じ筒状花だが、一つの花は5枚花弁を持つ、その真ん中から出ているのが雄蕊である。その底に蜜腺があるので、昆虫があつまる。すると、体長10~15㎜クマン蜂は腹部に葯を一杯引っ付かせるのだ。花粉即ち白い粒粒が持ち去られた後の雄蕊の先っぽは細い槍状の2本になっているのが認められる。表面積を広くして沢山の`粒`をくっ付けるためであろう。

上の左右の画像は日本フキノトウ雌雄とほぼ同じ構造と思われる。基本的な与粉・受粉の仕組みが同じものを一つの属にまとめるのは納得できる。日本フキの花びら色は白、茎は明るい緑だろう。色味から言うと、それは食べられそうな感じがする。なお両親が栽培していた畑のフキは巨大な葉と見事な長い茎を持っていた。それらは滑らかで、緑の光沢感があったのではないか?赤フキ葉の表面はやや縮れ、白い毛が生えているような印象を受ける。いずれしっかり観察してみたい。

欧日二つのフキ Collage 02

左: 西洋蕗の雄株。緑の垂直柱は竹。落下している竹の葉から蕗の葉が出てきた。
右: 雄株で、恐らく日本のフキと思われる。このグループも地下茎繁殖で、全て同じ形質を持つ。
左のセイヨウフキが右の日本フキより、わずかに早い開花である。いずれも花期の後に、茎が1mほどのびる。葉っぱ面積は日本フキの方が広いようだ。右画像の状態になる前の、筒状花が外皮に覆われている時の、砲弾状の蕾が料理屋で珍重されるのではないだろうか?

早い夏に両者とも葉っぱと茎を最大限に成長させる。すると日本人が昔から行ってきたように、欧州でも収穫できる。欧州人でフキを食べる人はいない。大きな葉っぱを雨よけ帽子に見立てた語彙が蕗の欧州名の多くであるから、食材としての発想は昔からなかった。そのかわり欧州民族は、牛豚などヒブリデ改良の肉製品と、子牛のために雌牛が出す乳からの脂肪に溢れた酪農品とに努力を傾注した。

北半球あちこちに十種近いフキ仲間があるようだ。上述二つに加え、欧州からアジアに掛けて自生する`白蕗`だけを私は知っている。これは蕗の薹状にならず、一つの株から数本の茎を伸ばして、同時に茎の周囲から花軸をのばす、色模様は日本フキと同じ緑と白の取り合わせ。

欧州の白いフキ Collage 03の2

赤フキの茎と葉、白フキの芽ぶきと茎、藪椿の葉で1日アクヌキ後に、茎は皮をむき、葉小刻みにして試食。苦みを上手に抑えれば、日本栽培種と同じように、美味い酒の肴に成る。今年の5月以降に、いろいろ試してみよう。
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Art 絵画/ 建築

トゥルーズ郡/市/県 & トゥルーズ-ロートレック


トゥルーズと言う固有名詞をどなたも聞いたことがあるに違いない。私は学生時代の講義で初めて知見を得た。19世紀欧州絵画史で習った画家、アンリ・ド・トゥルーズ-ロートレック。後にトゥルーズは地名でもあると分かった。画家のポスター作品を知っていたので、首都パリに近い場所だろう…。と、思い込んでいたが、10年ほど前にそこに遊んだ娘からピレネー山脈と地中海と三角形を成す場所と教えてもらい、我がうかつさに呆れる。


Toulouse-Lautrec Collage 02
描いているのは作品「ムーラン・ルージュ」1890年。この頃まで同時に劇場のポスターデザインを行った。

地図で確認すると、ご覧のとおり明らかだ。パリから遠く、100年以上前なら大変な田舎ではないか。とは言えど、娘から聞くとローマやフランク王国時代からのオレンジ色の建築群や見どころがワンサカあるそうな。ヴァカンスの彼女たちはトゥール・ド・フランス自転車レースの一つエタッペのゴール日に遭遇して、街が湧いていたそうだ。

胴体/頭の上半身が普通で、下半身が小人の体躯を持つアンリはトゥルーズで生まれ育った。家系が代々の伯爵で、言わば県/郡/市を含む地方領主であるから、ロートレックの前に地名を被せる由緒ある貴族苗字と言うわけ。絵画史に名を成す画家で貴族家系がちらほら散見されるが、アンリほどの知名例はあまりない。エリザベス・スチューアート(冬のボヘミア女王)の三女ルイーゼ・マリア・ホランディーンが肖像画を良くしているけれど…。

トゥルーズ-ロートレック伯爵は不具の息子を作った自らを責めたそうだ。様々な小人症状名があるらしいが、昔は身体障害者と言われなかった。不具/奇形/片輪と扱われ、偏見の対象…。父親は馬に打ち込み、馬の素描と油絵をこなした才能を息子が継いでいるらしいと知り、アンリ18才の時に本格的画家修業の道に進ませるのだ。

セザンヌやドゥガ等の印象主義の面々と共通項がある。互いに影響を与え受け、切磋琢磨している。画家であり、イラストレーターまたはポスターデザイナーとして仕事をする。ムーラン・ルージュ(赤い風車=カンカン踊り劇場)のための一連ポスターイラストは、浮世絵の影響が顕著だと私は思う。

のびのびと跳動する線と幾つかの色を線内にベタに塗りこむ手法。構図も大胆だ。ヴィンセント・ファン・ゴッホと同じように、何度も開かれたパリ万博を契機にするジャポニカ旋風が無ければ、生まれなかったポスター作品群。彼のスタイルは同時代の画家やイラストレーターに大きな影響を与えた。そっくり真似挿絵が頻出している。ちなみに10才ほど若いアンリはパリ時代のヴィンセントに面識がある。


Toulouse-Lautrec Collage 01

ポスター時代のあとの画家的な変化・成長も興味を引く。ポスターの印象から一寸想像できない。ゴッホ的な画法や薄い軽いタッチの新印象派風な作品を残している。しかし一般にはムーラン・ルージュの宣伝挿絵が彼の名前と結びあわされているようだ。浮世絵からインパクトを受けたデザイナー的直観。左様な論が正解かもしれない。

言い換えると、ポスターデザイナーとして新境地を開き、パリ夜の遊興の華やかさを世界に知らしめたんですね。150㎝有るか無しかの絵描きが器用になんでもこなす。しかもパリ名所である赤い風車の名を一層高めるのだから、非常に知られた存在であったと思われる。加えて二つ語彙からなる貴族名だから、絵描き仲間と画商世界で知らない人は居ない。ユニークなこの画家は生来の障害のためか、わずか37才の生涯だったのが残念でならない。


[蛇足]
トゥルーズの固有名詞が浮かんだのは、御存じ通り、フランスが喪に臥したテロ事件からだ。メラ・モハメッド(24)と言う若者がまずパラシュート部隊の兵役3名を、一週間後にユダヤ祭司とその幼い二人を殺害した。犠牲者7名でもう一人は不明。兵隊たちはアフリカの黒人である。

彼はフランス第4の都市トゥルーズの市民。家族は旧仏植民地のアルジェリア人。移民問題とそう遠くない。42万人口の8万余がアルジェリ出身だと言う。5分の1弱の相当な比率。アルカイダ絡みの訓練に参加していた。ネオナチ思想に染まっていたとも伝えられる。

反ユダヤ主義があるのは明らか。黒人にも偏見を持っているようだ。先ほど、既に逮捕されている兄弟一人に加え、母親逮捕のニュースがあった。聞き取り程度と思われるが、詳しい捜査調査がしばらく進行するだろう。

300名の警察/対テロ特殊部隊が彼のアパートを二日間取り囲んだ。踏み込んだ要員とマシンガン銃弾を交した。警察責任者は「自分で窓から飛び出し、落下した時は死亡していた」と発表。実際は猛烈な火力で、窓外にぶっ飛ばされたようだ。

大統領選挙戦の真っ最中のため、事件発生と共に、選挙戦は休戦になった。女性3名+男性7名=10名の立候補者の犯人死亡後の選挙調査順位が明らかになった。2日間の間しばしば、国民への静かなる対応を訴えたのは現大統領だから、この事件はサルコジーに有利に作用した。サルコジー30% → オランデ 28% → ル・ペン15% → バロウ10% →、、、

選挙戦が再開された。「国内の治安」問題が新たに生まれた選挙論点。現役有利が常識としても、選挙民は浮気だ。10人の立候補者は徹底的に公平なメディア手段を得るから、2%差なら、抜きつ抜かれつつのレースになるだろう。

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Nature 雑草 フローラ/ファウナ

梅と桜 梅の実やサクランボ

京の北野に白梅町(ハクバイチョウ)と紅梅町(コウバイチョウ)と言う町名があると思う。それは北野天満宮の紅白の梅の木からでは…。確か相当な古木が植わっていたのだが、半世紀前の記憶だから、今はもう寿命が尽きたのかも知れない。サクラに比べると長寿するといわれるが、平均寿命について知らない。下の画像は友人から送っていただいた三月初めの`初梅狩り`の様子。

紅白の梅 北野天満宮 Collage 01

右の枝が斜めに画面を二分している様子はファン・ゴッホが北斎だったかの浮世絵を真似た習作を思い出す。ほんとは、北斎の浮世絵構図を思いださねばならないが、ゴッホ美術館(またはクルル・ミューラー美術館)やカタログでしばしばその真似画を見るので、つい順序が逆になる。もし北斎のオリジナルならば、欧州印象派の度肝を抜くきら星のごとく彼の作品群があるから、大目に見てくれるだろう。と言うか紅梅の絵がどれだけ深くヴィンセント・ファン・ゴッホに突き刺さったかを想像するのである。

友人夫妻は初々しい出たばかりの梅を満喫したと言う。菅原道真を祭る天満宮は全国に沢山あるらしい。それぞれに素晴らしい梅の木、恐らく紅梅揃って植えられているのではないか。サクラでなくて、道真と梅の縁をうかつにも私は知らない。あるいは聞いたけれど、忘れている。天満宮はすべからく梅の名所だが、天満宮でない梅の有名どころは全国にあるらしい。

本来ユーラシア大陸西部の樹木で、支那を始めにそれぞれの地域・民族で固有の文化があるだろう。つまり薬や酒や果実、生け花などの世界に於いて、お国柄が展開されていよう。梅を愛でると言うだけの観点については、アジアは一つなのだ。

梅を欧州に伝えたのは19世紀植民地時代のプラント・ハンター。直接には、出島で働いた館長や商官医たちの情報と船荷(梅のタネ≒梅干し)送りである。日本の梅干しカルチャーは有機農法(Bio)食品が流行りだした1980年代から広く知られるようになった。相当数の梅幼木が実際に日本から輸出されたのもその頃と思われる。

二枚の写真を見ると、なるほど葉っぱが出ていない。サクラと梅との違いと言われる。同じバラ科だが、そのあたりが属の分かれ目なのだろうか。

Prunus avium 050-05 wild cherry, sweet cherry Collage

22日と23日(本日)は異例の暖かい気温だったそうだ。この数日で欧州の桜が一挙に花開いた…と思った。欧州自生の桜とはサクランボである。本来のサクランボが20世紀前に野生化して、山間に咲くのである。一方、様々なサクランボ品種が20世紀間に渡り開発され、もちろん日本に移植され日本固有の優良品種が作出されている。

さて三枚の画像は一本の木である。サクランボの`桜`と思うのだが、葉っぱが全く見えない。葉は明日から出てくるのだろうか? フィールドで見るサクランボの木はやや細長い鋸歯のある葉を花弁と同時期に出すのである。我が村のサクランボの木は、所謂ヤパンセ・ケルセンと言われるソメイヨシノなどの繊細で綺麗なサクラと比べると、心持ち粗野な印象を受ける。

折り返る愕片や雄蕊雌蕊の表情は欧州サクランボの一つであって不思議でない。しかし葉っぱが出ていない…、少なくとも今日は。もそっと様子をみてみよう。欧州の桜仲間に小木種としてまだ2つある。英語仮名でブラックソーンとプラム・チェリィーと呼ばれるようだが、上の本日の寸法と印象から違うんですね。

セイヨウスモモと言う仮名が日本で使われ、これは梅と同じ3x4㎝果実で紫に熟すプラムまたはプルーンと呼ばれる。杏(アンズ)と異なるのだが、スーパーマーケットなどでは両方紛らわしく使われている。アンズもセイヨウスモモも桜仲間である。北半球の出身地が異なるようであるが、近縁種だから互いに交雑し合う。それらはサクラ属のドメスティカ(≒果樹園に取り込まれた=園芸交雑種)と一括され、市場に出る多くはどっちか似だと言っても、全く分からない。

Prunus avium Wilde Kersenboom 04

良 くわかっている画像を紹介する。`野生桜(ワイルド・チェリー)`と言われるサクランボの木の伐採例。この樹木の管理者によると、毎年のようにどっさり やや小さな実を付けたそうだ。真っ直ぐな幹長は25mある大木で、大変な値打ちがある。胸高直径1mに近く、滅多に出ない逸材なので、買い手は直ぐに決 まったそうだ。それ故、私も村の自然管理グループ一行と共に見学に行ったのだった。

サクランボの果実を目的としない`野生種`は材木価値が優先する。桜材の家具は最高級品に属する。その果実は高い枝になっているために食べられなかったが、開花期は見事で、その林縁を飾った。数年の乾燥期間を得て、恐らく家具に加工され、桜木目の永遠の真価を発揮するだろう。

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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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