ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Hacking, Spy and Battle of secuarity

国家の舵取り それとも 商いか :「トニー・ブレアの弁明それとも正当主張」

アンソニー・チャールズなんて言う名前をきくと、アントン・カーレルも独蘭系にぎょうさんあるだろうな~とつまらないことを思う。そんな名前なら保守的な、日曜に教会に行く地方の名士に似合う。新教よりも旧教を信じ、何事も秩序良く収めている。宗教を信じる…そんなことは最早あり得ないのだ。キリスト教社会のなれの果てである現代だからこそ、その最も心地よいグループに所属することが肝要。アンソニー・チャールズはスコットランドとイングランドそれにまあウェールズも含める王様連合国家の最長政権の首相を務めた。

あざなの方が通り良い。トニー・ブレアと言う。法律家だった親父はエディンバラの名士で、土地の伝統である旧教家族だったのは言うまでもない。スコットランドは盟友フランスと常に徒党を組み、イングランドに対抗した。南のイングランドに行くより、短い海道をぬけてカレーあたりに上陸すれば、そこはもう旧教に満たされている。若いトニーが親父に反するように、長髪を振り振りロックグループで歌を歌い、数年フランスに暮らしたのも、多少の分けありだったかもしれない。

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今週はじめ、リヴァーソン公聴調査委員会に、彼が出席した。電話盗聴スキャンダルは昨年6月末に、殺害された少女ミリー・ドーラ―の携帯記録の改竄を契機にして一挙に波紋を広めた。ルパート・マードック署名入り全面謝罪広告、タブロイド紙ニュース・オブ・ザ・ワールドの廃刊など、過去に例のないすったもんだの末に設置された委員会である。下院で真っ赤になって自己弁護したデーヴィット・キャメロンが「こりゃアカン、面目に掛けて公聴会を作るぞ~」と昨年7月に決心した結果である。

成ったばかりの新首相はブライアンHリヴァーソンと言う63才を起用。Sir称号を持つから、言わば30年勤続して名誉教授資格を得たような検事ヴェテランである。ピカッと良く手入れされた剥げ頭の人で、雰囲気は穏健。日本にも名誉教授職が存在する。長年勤めあげたご苦労に贈る資格である。メディアに出てくる真面目な先生方に相応しいタイトルだ。ブライアン卿はブリテン人だから、これにニタッとユーモアが付く感じ。

タブロイド紙による警察トップ供応にジャーナリストによる捜査官買収、メディアと公衆との在り方、メディアと政治家との関係。これら3テーマのセッションに従い、それぞれ被害者または証言(加害)者を招待してきた。委員長は6名の陪席判事を補佐人として、さらに6名を法廷弁護人として指名した。

下院公聴会はウェストミンスター議事堂内の小さな部屋で行われたが、リヴァーソン聞き取り調査はウェストミンスター地下鉄駅を出た所、あの寺院向かいにあるエリザベス二世会議センターで行われている。既に警察官/被害者/ジャーナリスト等50名~、、、が委員長自身と‘検事役‘の質問に答え、証言を行っている。例えばこれまでの記事で人気俳優ヒュー・グラント(Hugh Grant)出席を扱った。

トニー・ブレア59才は1997年5月から2007年7月まで、3次の内閣の首班を務めた。労働党内閣として長期記録と思われる。彼の役目は、10年間に為した事項への質疑に対して正当防衛しつつ、政治家(首相)が持つべきメディアへの心構えを提言すること。あるいは両者間の今後の平和的共存のためだ…。

ブレアは小一時間だったか、法廷弁護士の丁寧な質問に、弁明であり、同時に正当な主張を行った。聞く人の立場によって言い訳に響き、また正義に思えるのだ。ユナイティッド・キングダムの新聞テレビは何れの語彙もあからさまにあげていないようだ。女王の国であるから、同時にQEⅡ自身のために、彼女が任命した宰相を傷つけてはならないだろう。前々任者マーガレット・サッチャーの今年の映画が連想されるが、長期の宰相であった人々はいかようであれ尊重されよう。修羅場を抜けて、国家を舵とったのだから。

2名の人物は同じ場所に座っている。右はルパート・マードック。80才を越したばかりで意気軒昂。1997年ブレアがダウニング通り10番の官邸に入って以来、労働党を支え連携してきたメディア企業のオーナー。正確に言うと、合衆国在籍ニュース・コープNCのオーナー。NCは世界各国に出先を持ち、UKはUSに次ぐ(と言えど比較にならない売上)重要市場だ。傘下の数ある新聞の統括本社ニュース・インターナショナルに、マードックは初め右腕Les Hinton…、さらに長男ジェームスと5番目の娘レベッカを配しUK部隊を維持成長させてきた。

ヒントンは1995~2007期間のNIのCEO。傘下日曜ゴシップタブロイド紙ニュース・オブ・ザ・ワールドNOWが盗聴によるセンセーショナル記事で部数を伸ばした時期。今年の公聴会と警察捜査によって同系紙サンも盗聴とIT担当官買収など、同じ違法をしていた事実が判明。NC系でないデイリー・ミラー紙を含め、多くのメディア関係者が事情聴取を受け、逮捕者が続出した。

振り返ると、私立探偵を使う盗聴が当たり前になっていた時、レベッカ「嬢」と言う感じの若い秘書がマードックの目を引いた。彼女をまず編集者に昇格させた。数年後NOWからSUN筆頭編集者に抜擢移籍。切れ者の編集者…と考えて良いのだろうか? 2007年UK統括会社NI社長としてヒントンの後を継がせる。ヒントン差配の期間にレベッカはUK組織のトップに上り詰めたわけだ。わずか10年余だから、実の娘を4人持つマードックの5人目の娘と揶揄される。

盗聴日常業務を指示する同僚と机を並べ、傘下タブロイド紙の現場を歩いたレベッカ・ブルックスがヒントンと共に盗聴を知らなかったと言うのはお伽話である。知らぬ存ぜずを公聴会や事情聴取で繰り返した。

既に10年以上前から私立探偵と彼らに盗聴を依頼した記者の逮捕が相次ぎ、UK責任者ヒントン始めNOW関係者の公聴や裁判が続いている。ヒントンはもちろん企業ぐるみの犯罪を否定、記者たちが勝手にした違法行為と主張。

次画像の上はそうした場面。若造風情のコールソンを見ると、事件は既に長期間にわたっていることがわかる。マードック系新聞の懸命なカバーが功を奏し、一般に殆ど取り上げられなかったのだ。

前列左:ヒントン、右マードック。後列左:アンディー・コールソンと思われる。右:ブルックス。
彼らの表情から7~10年前の法廷場面。コールソンとブルックスが同列同職の頃だろう。

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下はチャリー/レベッカのブルックス夫妻。深刻な憂鬱を抱えているとは想像できない。
先月、証拠隠滅容疑で、運転手・秘書等近い人々6名を含め、二人は訴訟された。


チャーリー・ブルックスはデーヴィッド・キャメロンと同窓。キャメロン選挙区オックスフォード・シェアーのクリスマス・パーティーなど政治イヴェントにも妻と共に出席する。妻はNIのチーフ・エグゼティブである。彼女は首相にメイルを送り、首相は地元の親しい仲間感覚で返事する。彼女のボス・マードックが官邸裏口からいつでも歓迎されたように、レベッカもインタヴューなど簡単に約束をとり、足しげく官邸に出向いている。他新聞の有力記者のインタビュー頻度と比較できないのである。

ダウニングストリートを巡るマードック資本との`親しさ`が昨年7月、公に浮上した。ブルックスの元同僚でNOW編集者コールソンが官邸首席報道官になった経緯とその1月辞任を主要テーマとして、下院公聴会質疑とその事情記事が出ると、キャメロンはウェストミンスター議会のベンチから立ち上がり、湯気を立てて弁明演説を行わねばならなかった。

一方ニュースコープNo2のヒントンはロンドンNIから転出、ウォールストリート・ジャーナル誌を出版するダウ・ジョーンズ社CEOに就任していた。キャメロンがスキャンダル徹底調査を打ち出した数日後、NI期間の責任上、ヒントンはNCすべての職を辞した。NI傘下企業群の違法行為にしらばっくれた過去の言質が問い直されるだろうから…。実際は辞任によって長年のコンビを組みマードック帝国を築いた僚友ルパートの防波堤を果たす意味がある。

それは即ちブルックスの幕が閉じられることだ。ヒントンの下でブリテン国籍者として傘下タブロイド紙を運営し、逮捕された探偵や記者たちへの補償支払いと盗聴被害者への(秘密の)賠償などをルパート長男ジェームス・マードックと共に扱ったのだから。広範な社会的スキャンダルに於いて、マードック親子に次ぐ中心人物がこれ以上、職に留まれないのは明らかだった。その辞任は彼女の正しい判断である、とキャメロンは記者発表。仲間内のバツの悪さを噛みしめたに違いない。

ジェームスはヒントンとブルックスを凌ぐ事実上のUKトップだった。NCはBSkyB(ブリティッシュ・スカイ・ブロードキャスティング)と言うテレビグループの39%筆頭株主で、ジェームスはそのマネージャーである。ブルックスの抜けたNI当面の責任者になったが、NC/NIはBSkyB 全株取得をめざし政権と交渉最中だった。

それはBBCと並立する民間企業の誕生になる。ゆえに政府の許認可事項で、メディア政策の焦点だ。ジェームス/レベッカによるキャメロン及び担当閣僚へのネゴが身内の親しい雰囲気で進んでいたが、キャメロンが湯気を立てて間もなく、BSkyB全株買収の計画放棄をNC/NIが公表。首相による買収OKと言うスキャンダルを上乗せするわけにいかない。今年に入りジェームスはBSkyB代表を辞し、ロンドンを去った。マードック帝国は旧大英帝国を傷つけ辱め、自ら身を引かねばならなかった構図に見える。

盗聴に留まらず、深刻な問題の本質が見えてきたと言うべきだろう。巨大なメディア企業が一国の政策を左右する。また国家治安のトップ人事に介入するような状態。血まみれ新聞売上競争の結果、密かな盗聴や買収/供応によって事件当事者や捜査側警察から情報入手、それをTVセンセーショナル番組と組合せる…。国家の舵取りよりも、商いが優先する。

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首相現職時、イラク派遣部隊の兵隊たちと。 右はリーヴァ―ソン委員会の答弁中の表情。

ブレアの在籍期間、マードックは15番目だとか20番目の閣僚だったと、当時の官邸主席報道官で元労働党員のプライスが公言する。ロンドンに豪華アパートを持ち、自家用ジェットで来るたびに、閣僚並みと言うより、もっと自由にダウニングストリ―ト10番地に出入りした。選挙キャンペーンの財政を支えたかもしれぬが、例えば対イラク戦争の国内世論操作に協力した。サダム・フセインは核兵器を装備していると言う例の‘国際常識‘雰囲気醸成をバックアップしたと言うこと。ニュースコープNCはブッシュとブレアとの両BB政権にとってメディアの要を果たしたのである。

長髪スタイルでフランス語を流暢に話すアンソニー・チャールズと言う若者が凝り固まった労働党に新風を送った。労働者の党であるから、商いする資産家の喜ぶような政策を選挙スローガンにしない。欧州の所謂`社会民主主義`のアマチャと言うか、捨てきれない保守的残滓が多くある。例えば企業の解雇(首切り)に足かせを付ける。組合スト権の尊重、基本産業の国有化…。その上に拍車をかけるのが平和ヘイワの戦争反対/核兵器反対の常套文句。

しかし彼は左の定型定番を破った。さもなければサッチャーからメイジャーへ続く保守党政権を覆せなかった。そして彼はジョージWブッシュと戦線を組んだ。もしも保守党が継続したなら、当然US+UK軍のイラク進攻に``アンソニー・チャールズ・ブレアの労働党``は連日デモを組み執拗な反対をしたに違いない。左様な`左`お決まりは日本にも染みついている。社会党/共産党と言うのは欧州社会民主主義の底にある腐ったリンゴ部分を共有している。

小ブッシュと対イラク政治戦略について膝を突き合わすブレアは労働党々首ではなかった。アングロサクソンの栄光を担う歴史的立場にいたと思われる。ブレアはブッシュと会談後のマードックを何度も迎えたと言われる。この親しい気楽さをして、後に彼はメディア王・若妻の赤ん坊の名付け親になっている。そして英国教会から抜けて旧教に改宗したそうである。そこが、信じるも信じないも、彼の今に相応しい枠組みと言うか、落ち付ける場所だったに相違ない。

イラク参戦の反対に回ったのは保守党だった。ドーヴァー向うのフランス保守党も、皮肉にも石油利権と武器輸出利権のためと、アンチ・アングロサクソン伝統とのためにイラク介入に渋った。欧州政党の左右が国内事情とそれぞれのイラク利権ゆえに、混乱して見える時期だったが、欧州政治は常にそうなのだと言えよう。

キャメロン政権の特定メディアグループへのドブ漬かりは実はブレア時代のそれを踏襲したに過ぎない。政権と言う実体にとって、必要なのは強い見方である。人々に影響を与え、その決定を左右するメディアの味方だ。労働党と保守党と言う違いはなく、政権党の宿命…。これにルパート・マードックは巧みに乗ったと言うこと。共和党/保守党あるいは民主党/労働党の政治信条はどうでも良い。商いが政権を選ぶ。政権が商いを選ぶ。


[蛇足」:
作る積りもなかった本ブログが走り出したのは、言わばこのスキャンダルのお蔭。ロンドン警視庁と言う名で推理小説などに登場するスコットランドヤードに捜査官182人のチームが設置される。Operation Weetingと呼ばれる。それより先にウエストミンスター下院の「文化・メディア・スポーツ」委員会によるマードック親子を第1回にする公聴会が持たれ、BSkyBサテライト局が連日実況中継を行った。ブレアのような大物の場合、ライブで流される。こうした実際に、野次馬根性に衝かれたんです。
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Nature 雑草 フローラ/ファウナ

Camellia & Dogwood  椿と花水木

花水木こと Flowering dogwood 白と赤の色違い植栽園芸種。
総苞4枚の天辺がまだくっ付いている。蕾は総苞が風呂敷状に包み込む形で育つ。 
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川の流れる向うに文字が見える。川の手前この位置/角度からシャッターを切った人は多いだろう。4月27日である。ヤマザクラ系の桜が殆ど散り葉桜になり、サトザクラ系がまだ盛りの頃だった。向うの大の文字が見える山は如意ヶ岳。ダイモンジまたはミギダイモンジと言われ、京の大文字の送り火の元祖である。上手の南側・賀茂川からずっと、鯉のぼりと背後の東山連山など気ままに撮りながら歩いている途中だった。

立派な民家に思われる屋根並び手前に、黄色と桃色との木々が目立って美しい。何の木だろう? 直ぐに赤のハナミズキと黄のレンギョウと思った。この場面を気に入り、時々参加している樹木サイトに「ハナミズキ談義」に画像upして紹介。この風景が公開されるや否や、ハッと逡巡した。桃色はハナミズキでなく、サトザクラかもしれない。いやはや、そうに違いないと言う後悔に襲われる。これはドジなことをしたと、「近日、機会を作り対岸に渡り、確認する」訂正文を直ぐに続けて書き込んだのです。皆さんの推測はいかが? 

Camellia & Dogwood はジョン万次郎がうまれる子供たちのために考えた名前だ。これは津本陽の小説の話だ。この二語の意訳的意味は「椿と花水木」。女の子ならばカメリア、男の子ならドッグウッドと名付けようと言う筋書きである。

逐語訳的もしくは分類学的に片仮名に書きなおすと「ツバキ属とミズキ属」に成ろう。ツバキもミズキも日本語名として、最近しばしばユニセックスな男女いずれにも聞く名前である。横文字そのままのカメリアと言う女の子はUS中に沢山いるだろう。だが、ドッグウッドはどうだろうか。ドッグを(動物の)イヌと解すると「犬木」と解釈される。そんな男の子の名前はまず聞かない。

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Dogwoodの語源、特にdogにイヌ科イヌ属の飼い犬以外の説がある。生物名の語源に必ずと言って良いほど諸説がある。あれこれ説をとくことが学者やマニアの余興や楽しみになっているのだ。大抵は歴史的な考証や証拠に欠ける戯れ言である。なぜなら、生物の科学的探究は言語学と`ほぼ`無関係と言えるから…。ここでは日本語「往ぬ→いぬる→去ぬ」と絡むことや、「犬畜生」と言う一段劣ったものと言う観念を挙げたい。それらはウエブスター辞書に所収される、動物である飼い犬=dogの6~7番の意味と共通している。

ブナに劣るブナと言う意味でイヌブナがある。イヌガシ・イヌマキ・イヌツゲなど近似例に事欠かない。小サイズとか、小自生域とか、主要種にくらべ二次的と言う場合が多く、必ずしもネガティブでない。Dog綴りにも、そのような意味が隠されている。「犬の分際で…」とか「犬野郎」と言う発想はインターナショナル、と言うかオオカミあたりから囲いに採りいれられ、飼育化された犬が人間の友達と言う積極面と共に、消極面として負わねばならなかった宿命である。

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ドッグウッドと言う樹種仲間は一般に小木だ。ただのドッグウッド、と言うか標準的なのは欧州で「赤い」が付く。小枝が濃い赤味を帯びるので、赤が種名になっている。一つの花はこんもり傘型の直径4~5㎝に見えるが、実は細い花びら十字形4枚と雄蕊4本、雌蕊一本を持つ小さな花が沢山集まる構成になっている。言わば集合花で、それは黒い実の付き方によって理解できるでしょう。

1827~1898年のこの期間、日本唯一英会話達者な人物がジョン・万次郎だそうだ。鎖国期間に海の外に勉学に行けない。彼は魚業中に嵐に会い漂流するうちにアメリカ船に救助された。年上仲間はハワイに滞在したが、14才彼のみはアメリカに渡った。10年間の生活・勉学後の1851年に帰国した。若い時のUS生活と努力/才能ゆえに、自在に米語を話せるようになっていたと言う。私にはそれが納得できる。

帰国時24才だから、滞米中の結婚が予想される。太平洋を渡った``例外者``を扱った著作は多くある。しかし黒船来航時代の唯一の米語会話の能力者とその名前が一般に広く知られるのは1986年以後らしい。戦前著作本(中濱東一郎編著)をupgradeした井伏鱒二による漂流記がベストセラーになったためだ。わづか四半世紀前に過ぎず、意外に思う。10年後の1996年に、津本陽版が出ている。彼は予想される所帯持ちを小説化しているのだ。万次郎は未婚だったが、話作りの展開は面白くなろう。

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ミズキを水の木と書くのは幹を切ると水が出てくるからだ。このミズキを代表とする仲間は多く、日本でミズキ属と一括している。このグループはさらに幾つかに仕切られる。中心になるミズキ亜属は北半球あちこちに散らばっている。シラタマミズキと言うのは白い実をつける、たぶんこの下位グループの園芸種であろう。

数種しか無い小グループもある。例えば1㎝ほどの黄色花をドーッと咲かせるのはサンシュユ亜属。経済圏並びに似た日欧米中のそれぞれ兄弟種が存在する。ミズキの白い花と、その枝を水平っぽい上方にのばす枝振りと全く異なる。セイヨウサンシュ果実は濃い赤色に熟し、試食すると甘みがある。普通は小鳥たちの好物になる。なおセイヨウサンシュユの成分が犬の皮膚病に使われたと言うDogwood説もあるが、確証がない。

「カメリアとドッグウッド」と言う組み合わせを津本が考えたのか、それとも戦前の伝記著者にそんな逸話が記述されているのか不明である。カメリア属が欧州にお目見えするのは1820年代で、出島の商官医フィリップ・フォン・ジーボルトの送り出した日本フローラの苗や種子の一つだった。

それは赤い花のヤブツバキで、最初の荷はちょっとした間違いでロッテルダムに行かずベルギー・アントヴェルペン港に陸揚げされた。初め大学町レ―ヴェンで馴化育成された。恐らく圃場中心域フェントがその後のヤブツバキ園芸種の展開に貢献したと思われる。

これらがUK圃場フェイッチ家系やオランダ系商会によって合衆国東部(ニューアムステルダム=ニューヨークやワシントン)に移植され、椿ことカメリア文化を形成していった。ツバキ園芸界はミズキより遙かに大きく広い。ヤブツバキを基礎にして、大グループから小グループへの下位系統と、それらの間の互いの交雑グループがある。このツバキ人気がジョン・万次郎の滞米中に進行していた。作家が取り上げる格好の素材…。

そして男の子用の樹木名ドッグウッドは一つのミズキ属の種(シュ)を指す。自生地は合衆国の西側1/3に渡り、一般にflowering dogwoodと呼ばれる。他のミズキ属に比べ、花サイズや色が目立つからであろう。これを訳して「花水木」。ミズキ属の小さな亜属に属し、日本自生種の「山法師」と極めて近い。従って別名をアメリカヤマボウシと言う。逆に山法師をJapanses flowering dogwoodと呼ぶのは理屈にかなう。

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白い頭巾をかぶる法師(修業僧)たちは山の尾根伝いにお経を唱えながら歩く。その様子を白い花(実の花びらは中心にあって小さい)が連続して並ぶ開花盛時に例えたそうである。白い列が階段状に見える。その一つ一つをテーブルトップにみたてて、Table dogwoodと言われたりする。左下の赤い果実はイチゴのような集合果で、柔らかくトロット甘い。丹念に集めてジャムやジュースに出来る筈だ。

Benthamidia (Cornus) frolida Corrage 03

トップ画像の白赤2つのハナミズキの天辺に集まる総苞が四方に開くと、やや緑がかった個体の上のような状態になる。総苞片の頂が青紫に見える。この部分が頑丈にくっ付いていた。右奥手に見える蕾では総苞4つのタガが外れ、これから総苞片を広げようとする場面である。中央に本当の花の蕾群が見える。蕾が育つと、右下の画像のように小さな花が4枚の花弁を開き反り返る。4本の雄蕊がやや四方に傾きながら突き出ている。1~2本の雄蕊を欠いた花個体も散見する。

総苞片の`色彩計画`はかなりのヴァリエーションがあるようだ。赤白間のトーンが揃っている。また2色まじりも見られる。花と言うか、華やかなプレゼンテーション故のFloweringと言う形容詞が付いているわけだ。日本の山法師も迫力ある開花を演出するが、こんな``破廉恥``風では無い。

欧州の標準ドッグウッドでないが、米国を代表するドッグウッドと言うのが十分に理解される。ジョン万次郎は4~5月のドッグウッドを始めて見た日本人である。津本が架空の米国人妻と万次郎をどのようにハナミズキ世界に置いたのか、私は知らない。赤ん坊出生に備える目的だけに、Dogwoodを見出しにすまい。本物の万次郎は通詞として、US事情通として、あるいは捕鯨船や当時の船舶専門家として、日米外交の裏方を務めたが、生前中にハナミズキは日本に渡来しなかった。

没後17年の大正4年に、東京に苗木が送られた。それは東京市長・尾崎行雄が1912年にワシントンに桜を寄贈した返礼であると言う。寒いニューイングランド地方だから、寒さに強いソメイヨシノの選択に気を使ったのではないだろうか。同時に、桜をして日韓併合後のアジア一の強国のプレゼンスに思われる。

こうして合衆国の華麗なドッグウッドが日本に根付くようになる。昭和晩期に歌や映画がつくられたらしい。あたかも日本ヤマボウシの兄弟姉妹のようにハナミズキの名が、ドッグウッドの代わりに、広くなじまれるようになった。だからUS東部出身の舶来樹木と知る人は少ない。

Benthamidia (Cornus) frolida en Acasia Corrage 06

様々な園芸種が出現して、日本あらゆるところに植栽されている。平家ならずば人に非ずと言う感じがしないでもない。理由は白赤と言う紅白が揃い、左様な愛でたい樹木で、なおかつ和名の響きがよいこと。おまけに温暖な気候がそれを助けている。欧州ではどうだろう? 残念ながら、そこではこれらの条件が揃わない。

ハナミズキと言う実態と語感とは完全に「帰化」したと言えるだろう。園芸植栽種が日本の山野に野生化したと言う文脈でない。昭和初期のジャズが着床したように…と言うことだ。アメリカン・フットボールと応援バトンガールズの日本チームが先ごろドイツ連邦ノルトラインウェストファーレン州のドルトムント市を訪れている。へ―ッと驚いた。最後まで試合を見なかったのだが、彼らはドイツチームに勝ったのではないか。大正4年に太平洋を渡ってきたハナミズキは2012年5月のアメリカン・フットボールの日本チームのような塩梅だったと思われる。バトンとコスティームにつく白や赤のキラキラする輝きを花水木に見立てるに過ぎないけれど…、
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女性名ファウナとフローラ その外来種テーマ With The Birds

Fauna & Flora と言う名前の姉妹がいる。父君が生物専門家で、長女をファウナ、次女をフローラと名付けた。語尾にaを付けると女性形だから、これらはなるほど女性名らしく優しく響く。長男次男ならばファウヌスとフローリスだったかもしれない。これもどこかにありそうな兄弟名だ。

動物と植物の二世界を姉妹名にするのだから、おおらかかで楽しい発想ではないか。動物好き、昆虫好き、詳しくなると蝶々や毛虫などと専門化してゆく。植物好きなら、樹木好き、草花好き、個別化してゆくとスミレやフクシア専門、あるいはランとかキノコだけとか細かく深化。

侵略生物 01
上は欧州から日本を侵略している。 下は日本から欧米を侵略している。

航海時代以降、人と物の移動が始まり、それは近代工業革命後より激しくなり、現代は人を含む生物の移動交流は未曾有の広がりと深さに達している。その功についても罪についても、様々な影響と結果を引き起こし、各国それぞれで法整備にも実際検疫にも激しい手続き傾向にあるようだ。

導入種・外来種は意図して、あるいは偶然に、AからBに入り、逆にBからAにも入る。本ブログは少し植物に関っている。日本だけに育つイタドリやクズが欧米に導入され、繁殖し過ぎ、侵略種の筆頭である。現地の植相を破壊するのだ。

欧州から日本に入り駆除対策が取られる植物も多い。例えば欧州出のアブラナ科キレハイヌガラシは農地の大敵だ。豪州出のメラノキシロンアカシアは荒地緑化に役立つが、一端増殖すると景観をガラッと変え、根絶が困難になる。

フローラだけではない。ファウナの侵略的帰化種も話題になる。ヌートリアと言う不思議な動物を目撃したが、哺乳類だけで無い。昆虫・爬虫類・両生類、あらゆる生物にわたる。天敵目的で導入され、効果を果たす代わりに、在来種を駆逐してしまう複雑な例もある。

The Birds corrage 02
風呂敷を広げず、先日アムステルダムで見かけた例を報告しよう。引っ越し数日作業で朝方に向いの集合住宅並びを見ると、鳥の往来が騒々しい。緑色のインコで、距離から目算して相当な大きさに見える。フラームスのカケスくらい(20~30センチ)あろう。嗚呼、これが噂の熱帯インコの「公害」だと好奇心に駆られた。

インドあたりから輸入したのが逃げ出し住宅街に適応した。初例は1968年と言うから既に44年、完全に都市環境に適応しているわけだ。植物種子を主食に、果実・小昆虫など都市型緑環境にあって十分な餌を得られる。

首回りに青線が入るので、和名を輪掛本青インコと言う。何と不器用な品の無い名前だろう…。故郷インドと生存環境の違いは大きい。世代交代を繰り返すうちに様々な変異がおこり、もはや純粋種はいないと言われる。

今年ハーグの一住区におうよそ3500羽、アムステルダムに3200羽が報告されている。この数が飽和状態かどうか不明だが、得られる食糧の量に棲息数が左右されるだろう。害と言われるが、多くいるのはこのインコだけでない。自生鳥ムクドリも野生化したハトも住宅街の糞害を引き起こしている。

The Birds corrage 01


騒々しい彼らにまじり、カラスもハトも朝食活動か?行ったり来たりしている。黒いカラスは特にアルフレッド・ヒッチコックのスリラー映画 The Birds を連想させる。家ガラスと言われる。学名Corvus splendensだが、文字通り(英語)House Crow と言い、住宅街で生きる鳥を示している。中国・印度あたりの出らしいが、欧米・アフリカ広く進出帰化しているらしい。するとこれもジーン(ゲノム-=遺伝子)が変わっているだろう。

1963年にヒットした当時の話題作。鳥の群れが並ぶ。その鳥たちは家ガラスだったかも知れない…。カモメは屋根裏部屋を見に行った主演女優ティッピーヘドレンを襲うから、嘴の武器性をいかんなく発揮している。当時コンピューターの無い映画つくりだから、大量の本物の鳥を繰り出し‘演技‘させた驚くべきフィルムである。まさしく鳥家と言われる専門家が必要だった。余談だが、その離れ地の小学校教師役を演じる女優はスザンヌ・プレシュットだった。彼女は鳥の襲撃で殺されるのだが、何故か、私はシナリオに賛成できなかったことを覚えている。[補註1]

ファウナとフローラいずれも、現代は殆どの場合、商い目的で、さもなければ農業・漁業目的、または学術目的で導入/移入される。自生生物との関係に於いて多くの場合は何らかの問題を引き起こす。防波堤を高く堅牢にしても、完璧なディフェンスは難しい。例えば日本に存在しない菌類などを防ぐのは容易ではない。

日本にも動物と植物の侵略的外来種のリストがある筈だ。ファウナ即ち動物界に、ホモサピエンスこと人間も含んでいいのかもしれない。Chinaとは支那を意味する。Chinaの正統人種は漢民族らしい。とまれ、一党独裁を享受し謳歌するわずかな支那人種がチベット/ウイグル等を圧政かつ侵略している。支那と言うファウナは侵略種として、レッドリストに掲載されてしかるべきだろう。


【補註】

1.アルフレッド・ヒッチコックは同胞UK作家のダフネ・デュ・モーリアに惚れこんでいた。題名レベッカや鳥などをそのまま映画化、いずれも話題を呼んだ。後者 The Birds主演したティッピー・ヘドレンが昔の撮影時の事実をつい数か月前に公にした。ヒッチコックは彼女に頻繁にチョッカイを出したと言う。あんなデブの汚らしいオッサン!と言う分け。セクシュアル・ハラスメントはこの数十年の法的概念にもなっている言葉。半世紀前は力のある人物による左様な行為は当たり前だった。彼女は高名な映画監督に見いだされ、スターへの道のために黙って耐えていた…。``力のある``とは物理的な性的暴力と共に、年上や上に立つ指導者を指す。ヒッチコックも教会聖職者も、最近BBCトップエンターテイナーのジミー・サヴィルも、彼らは上に立つ地位とスター性を用いたわけだ。大阪知事になったお笑い漫才師と似ているが、サビルは20代から85才没まで生涯を通じ、性犯罪を行ってきた。細部事実が解明されつつあり、同時にBBC関連で知名なプロデューサー/ミュージッシャンたちが逮捕されている。サー・ジミー・サヴィルと卿タイトルをもらっている。皮肉にも、サー称号は地に落ち汚濁に紛れている場合が多い。サヴィレの国民的人気を称える立派な墓地が取り払われ、只の地面に変わった。スキャンダル浮上後の家族の意向である。芸術的墓石は亡くなったが、彼の現代史に果たした役割は留められる。
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51才と58才のドイツのオバサン

Nortrhine Westfahren 地方議会選挙 Corrage 02

ライン川沿いに平行に走る街道をなぞると、左右に置いてある選挙看板がまだ目立つ。先週の日曜日に行われたNRW(ノルトライン・ウェストファーレン)州選挙の立て看板だ。この街道は21世紀の昔、ローマ軍がケルンからナイメーフェンまで進出したルートである。逆にたどると、NRW州を貫き、州都デュッセルドルフやバラ香水の古都ケルンに至る。ローマの軍兵たちが足にヨモギを結わえ進軍制覇した地域に軽い地すべりが起きた。

前回選挙で互角の連邦政権党CDUと州政権党SPDのバランスが崩れた。社会民主党の州首相・ハンネローレ・クラフトの大勝だった。前回とほぼ同じ支持率を得た緑環境党との連立、赤+緑の州政権が継続する。ただし今回は少数でない多数与党なのだ。

彼女のライバル・キリスト教民主党ノルベルト・レットゲンは水膨れ対策の薬用植物ヨモギの手当てを忘れたのだろうか。選挙は足次第なのだから…。逆にクラフト51才が前回に3%上乗せした薬は「人気」なのだ。中道左派SPDキャンペーンの掲げた政策がCDUのそれより優れていた、なんてことはないのだ。選挙政策は公約に過ぎない、選挙民は知っている。皺の増えつつある51才オバサンの印象がレットゲンより遙かに良かった、そういう人気なのだ。

連邦首相・元カトリック司祭の娘。娘であるが既に58才・アンゲラ・メルケルは13日以前にデュッセルドルフの応援に駆け付けた。彼女自身の内閣メンバーで同時にNRW州CDU党首を兼ねる`大物`ノットゲンの勝利を信じていた節がある。少なくとも10%弱の支持を失う大敗を期すとは夢にも考えなかった。すっかり貫禄をつけた女性初のキャンセラリンは「黒い日曜日」の三日後に、ベルリンで突然の内閣改造を発表した。環境大臣の首を挿げ替えたのだ。ノットゲンに代えて、彼女に忠実な議会調性委員のアルトマイヤーを任命。

女性宰相は福島原発事故発生の三日後に、ドイツ原発17基を将来全面廃止する宣言をした。以来、彼女はノットゲンの具体的原発政策を期待していた…。魔の日曜日敗北によって、この苛立ちが爆発した。盟友バイエルン州のキリスト教社会党CSU党首ホルスト・ゼーホーフェルと緑党幹部とが辛辣なノットゲン批判を公にしたから、挿げ替える腹は固まっていた。支持率10%減少だから当然のすげかえと言うべきだが、大方のジャーナリストやSPD党首ジグマル・ガブリエルには意外で`非情`な措置に映ったと伝えられる。

メルケルおばさんに州選挙敗北があい続く。連立内閣人事の交代とスキャンダルも続く。先般、安っぽい小金受け取りスキャンダルによって任期途中で大統領クリスティアン・ヴュルフが、それに先立って国防大臣カルル・テオドールが博士論文盗作で、それぞれ辞任せざるを得なかった。かつてメルケルのライバル、ヘッセン州首相ローランド・コッフも移民嫌いの過激さで辞任状況に追い込まれたようだ。加えて連立パ-トナーであるFDP党首ウェステルウェレも国連安保理リビア票決に於けるチョンボなどで党首を退いた。ギリシャ債務問題に端を発したユーロ危機に立ち向かわねばならない東独出身の宰相は身内人事に於いて踏んだり蹴ったりなのである。土俵際と言って良い。

Nortrhine Westfahren Corrage 03

13日選挙の小さな驚きは先の地方選挙で負けがこんでいた自由民主党FDPが生存圏5%をクリアーする支持率を得たこと。これもクラフト人気と同じで、説明するのは難しい。対照的に東独由来の極左政党‘左‘が生存支持率を大きく下回った。その代りに、国民総管理システムに代わる透明な政府を訴える若者集団‘‘ピラーテン=海賊党‘‘が伸長している。つまり自由保守右派と市民的前衛左派と言う相反する二つの党がNRWで勢力を得たのである。この頃の選挙はさっぱり分からない。と言うか、こう言うのが今風な選挙なのだ。アメリカ的人気選挙と言うのはこの今風なチンプンカンプン選挙をも指すと言えるだろう。

Nortrhine Westfahren 地方議会選挙 Corrage 04

日曜選挙は二つのCDU要職を兼ね、次期首相と言われたロットゲンの個人的失墜物語だった。そのコインの裏側はハンネローレ・クラフトの舞い上がる人気である。18日現在の「もし今、総選挙があれば」大手調査によると、ハンネローレvsアンゲラの首相になる比率は39%vs36%である。クラフトは党友で党首のジグマル・ガブリエルを上回る支持を集めているのだ。シュレーデルに続く中道左派首相で、加えて社会民主党の女性初首相が実現し得ると言うこと。

メルコジー(Merkel Sarkogy)の蜜月時代は去った。本日シカゴG8で、メルケルとキャメロンとがギリシャのレフェレンダムについて記者会見をしている。曰く:ギリシャのEuro圏離脱はギリシャ自身が決めるべきだ。G8公式見解は、ギリシャはユーロ圏に留まるのが望ましい。メルコジーがあんなに必死になったギリシャ救済のニュアンスが消えている。

公式発表とは大違いで、廊下や会食の何気ない雑談に於いてNATO参加各国首脳の腹は決まったようである。ギリシャのユーロ離脱はあり得る。もうジタバタしないと言うこと。車椅子の独財務相シャウベルは多くを語らないが、もう用意はできていると言う感じだ。ドイツ首相と財務相の表情が落ち着いているのは「ほぼ国民半分がユーロ導入を失敗と考えている」と言う有力新聞の調査結果によるのかもしれない。その先に地中海諸国(ギリシャ・イタリア・スペイン・ポルトガル)グループと北部グループの内部分離案が控えている。

ハンネローレ・クラフト:私はそんな案件と無関係、NRW州に集中すべき仕事が山積している。連邦首相への意気込みは皆無である。現時点でのスタンスは、2013年総選挙においてメルケル対立候補をSPDトップ三名の党友に任せること。しかし選挙が近づくと、人気具合で立つ可能性はある。彼女は政治家である。

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Nature 雑草 フローラ/ファウナ

勿忘草(3) [Fairy-tale>Mythology]

In 12 century in the early spring Rhine flowed fast and strong with full snow melt water. Rudolf, a young crusader walked along the river with his lover. He wanted parting gift to her because soon had to leave for Jerusalem.

He found some beautifl group of blue flowers which grew very nearby stream. Passion with which he wanted to present the beauty to her caused him to carelessness. In a moment, his foot slipped on wet grass and he fell down into the stream. He could not himself lift because of heavy armor. While being swallowed by the rapid water he cried towards her *Vergiss-mein-nicht*.


雑草Vergiss-mein-nicht(フェルフィス・マイン・ニヒト)はこの通称によって、良く知られる。もし神聖ローマ帝国時代の物語が異なる呼び名、例えば葉の形からつけられたと言うかつての`ネズミ耳(の鷹薬草)花(Mausohr-Habichtskraut)`であれば、これほど人気を博す植物に成らなかったに違いない。人に限らず動植物も名前による運不運があるのだ。

和名・勿忘草(ワスレナグサ)は上述ドイツ原語の主語抜きの訳だ。「勿」と「忘」の返り点読みで「わすれる=なかれ」に「草」を付ける。「ワスレナグサ」または「ワスルナグサ」と読めよう。すると「ナ」は否定語でなければならない。一方で後三つの文字ナグサは「菜草」と響き、快い連想につながる。偶然か、命名の妙あるいは巧みが感じられる。

忘れな草 Corrage 03


言葉がドイツ語のように、日本の庭で一般に見られるワスレナグサ種は欧州から明治期に導入されたとされる。軍医総監・森鴎外の知見が関わっているのだろうか? それが学名を参照する限り、上の画像のワスレナグサ種である。毛深いのは属の特徴であるが、比較的乾いた土壌に生えて、ふつう花直径が2~3mmの青い花弁を持つ。

しかし明治のその導入以来、日本全国に野生化したと言われる本種が2~3㎜径の花かどうか、私は確認できない。なぜなら時々日本のサイトで見る本種の花径はぐっと一回り大きい寸法に思われるのである。しかも一般的に「湿地を好み」と言う日本文の説明がついているので、疑問符を付けざるをえない。小さな青い花で湿地に育つのは「ヌマ(沼)ワスレナガサ」と言うのが別にある。紹介/観察者の方々が欧州自生種を実際に観察していないせいだろうか。もしも寸法違いの場合、野生する過程で他園芸種との交雑の可能性が考えられよう。



「忘れな草」と、始めと最後を漢字で表記した(1)と(2)記事で、学名綴りや日本自生種について述べた。それは「懐メロ」テーマとの関わりだった。その時、日本人2名による作詞作曲の歌題名が「忘れな草をあなたに」と言う事実をウッカリ見逃していた。先週、野原歩きの途中にちょっと珍しい個体に出会い、その縁でYouTubeでその歌を探して聞いた時に、うっかりに気づいた。



「勿忘草」と言う草花名だけの歌がある。それは日本人による作詞作曲でない。私は日本と欧州との二つの歌を混同していたようだ。あたかも幾つか知っているワスレナグサ仲間をまごまごして取り違えるように。

忘れな草 Corrage 02


見辛い現場写真だ。それは珍しい個体と普通個体(一番目の画像)とが隣同士にあって、紛らわしいためである。何となくピンク色、または肌色っぽい花をつけているのが滅多に見ない色変わり個体だ。左下の側面画だと、かなりピンクに思えるが、個体全体にある10カ所ほどの成長花序すべてがうっすらとしたピンク色、即ち右下写真の色味なのである。

果軸の先が無限成長していき、だいたい4つ5つの花グループを形成する。時に標準色ブルーにピンク系の花が混じる場合がある。しかし一つの個体全ての花がピンク系を示す例は、私の観察経験ではめったに無い。個人的に異例だけかもしれないが…。

もしこの果実を採取して播種してみて、同じピンク系の花が咲くならば、突然変異的な変種として認めて良いかもしれない。この個体の葉っぱと茎すべてが全体または部分的に微かに赤みがかり、明らかに隣や周囲の個体達と印象を違えるのも、変種としての期待を抱かせる。

忘れな草 Corrage 01


3つ目のコラージュは「森」ワスレナグサと勝手にした種である。花径がノハラ種より倍以上する。属名と種名の二名方だけなら、日本唯一の自生種エゾムラサキまたはミヤマワスレナグサと同じ種類になる。恐らくゲノム解析をすれば、その次に来る違いが出てくるのではないだろうか。

日本野生化種と種苗店で求め庭で育つワスレナグサの外観・印象は左上の青い花弁で花径8~10㎜と思われる。しばしば市場に出回る園芸種はもっと大きな寸法を持つ。この左上の種(シュ)は欧州(中央部)の自生種で、かつそのまま庭に植えられる代表ワスレナグサだ。普段の環境で最も目にする種類で、実際上これが90%ほど占めているのではないか。

二名方だけからの和名「エゾムラサキ」と呼ぶのはこの時点で避けたいと思う。日本の自生種と細部の塩基配列まで同じである確率は極めて小さいだろう。遠い昔の「祖モリワスレナグサ」を共通にするかもしれないが…。

Myosotis silvatica Ka 010 Witte kreur

白い花は青い花株と同じほど散乱したタネから生えてくる力がある。借り農園地などに広がっているようである。肥料を投入した土壌ならば勝手にドンドン育つと言うことらしい。いつか本物の野生種になるかもしれない。友人の借農園地の歩道端で採取したタネを我が庭に播種すると、一年目にかなりの白花個体が出た。しかしいかなる面倒も見ず、余分肥料もしないので2年目から徐々に減り、今年は数個体に過ぎない。

ピンクの花Cはこの10年ほどで、庭で見られるようになった。左上の標準種にたまたま出た色変わりを選抜育成して作出したのだろうか? 二つ目のコラージュのような例からの園芸種と言う気がする。明瞭なピンク色で、感心も寒心もする。その内に、これら三色以外の花色が出てくるに違いない。木本のライラック(ムラサキハシドイ)やチューリップの勢ぞろいのカラースキーム作出例があるのだから…。

「忘れな草をあなたに」…、この日本人による日本の歌が何故まだインターナショナルにヒットしていないのか、まだ考え及んだことがない。YouTubeでフォレスタと言うコーラスグループと倍賞千恵子のカバー版を聞いた。全く異なる歌唱と、コーラスとソロと言う違いがあるけれど、いずれも音楽音痴の私には心の底に響く。日本人によるこの歌は多くの日本人歌手によってカバーされている。メロディーの美しさに加え、魅力ある植物名も左様な人気に力を貸しているように思う。

一つの花は決して複雑な彩模様のような構造を持たず、そして綺麗だと私には言えない。乾いたあるいは水っけのあるビオトープに2~3㎜小花のグループを沢山持つ個体が軍団のように群れる時、ワスレナグサの真価が発揮されよう。

左様な遠景群団の美しさが、ルドルフ青年…十字軍遠征の若き将校であって重い金属鎧を身に着けていたに違いない…を荒れ狂う濁流に呑み込んだ。春先の雪溶け時期である。神聖ローマ帝国領内の大河ラインか、その支流の不幸な出来事だった。これ故に、ワスレナグサの名前が21世紀の今に継続している。
[may 18th 2012]
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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