ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Oh every day 日々そうそう

マーリオンの日常  [Roosevelt+Busch+Halsema絡み]

2011年7月18日の記事[マーリオンやらレベッカやら…]の前部を分かち以下にupdate。

Rosa canina 04 Hondsroos

野生の薔薇。葉表が縮れている。日本出自のハマナスに酷似。ハマナス園芸種が逸出して野生化しているのだろうか? ニュージーランドでハマナス帰化が知られ、米国南部(テキサス/カンザスあたり)庭から逃げ出しているらしい。19世紀初頭にハマナスが蘭英仏白などバラ`先進`国で栽培された可能性が考えられる…。そんな園芸農家がルーズヴェルト姓を名乗れば、ハマナス由来のUS大統領と言うファンタジー/エピソードがうまれそうだ。


日常と言うのは退屈な繰り返しに過ぎない。
この台詞をあちこちで読んだり聞いたりする。

ハンブルグ友達一家とクリスマスを共に過ごそうと一家で出かけた。友達の上さんが私の相棒と喋っていたのを覚いだす。曰く;「同じ繰り返し、毎日子供達を学校に送り迎えし、買い物をし、洗濯をし、食事を作るのよ。アア疲れるわ~」。辛くて我慢できず、本気で怒っているのでない。久しぶりに親しく語りあえる同業同士の、何気ない井戸端会議の平和な風情。

どちらも角っぽい北東ドイツ弁で喋っているので、そんなに寛いだ響きは(私に)無い。Marionと言う何処にも転がる地名や女性名で、ダントツNo1マリア無数の変化形の一つ。マノンやマリアンは比較的近い。そこではマーリオンとaにアクセントを置く言い方、300kmほど離れている私のところだと2音節目のonを強めるので、なるほど北欧州辺境地が北ゲルマン方言の宝庫だと分かったような気になる…。

しかし例えばUS50州で仮に聞き取り調査すれば、千差万別になるだろう。ドイツ移民が圧倒的だった頃から1世紀経ち、気候風土差と絡めば、舌の動きなぞドッと変る、と地元G大学専門学者が言う。そうか~なるほど、Wブッシュ親子のつぶれたテキサス訛りが証拠のひとつかもしれない。

ブッシュは大西洋を越えて1~2世紀後に名を成したドイツ系苗字。敷地を藪ばかりにほったらかしにして置くと、ブッシュの家と字名がついて、やがて苗字になる。そんな塩梅であちこち転がる地名/苗字である。同じ大統領で知名な苗字はルーズヴェルトだろう。野バラの咲く平原と解するとロマンティックで綺麗に響く。バラの畑と考えるとバラ栽培農家がナポレオン弟治世下で登録した姓。由緒ある家系あるいは貴族名として、それ以前に見られないようだが、どうだろう。

呼び名で言うとテオ(Theodore)とフランク(Franklin)のUS大統領が出た。一世代違う遠い従兄弟同士。と書くと、Wブッシュは親子で、井戸端会議風に言うなら凄いンダ。従兄弟二人大統領の家系綴りはRooseveltで、あのメイフラワー号の清教徒移民以後のブリテン移民の末裔と思われる。オリジナルは van Roseveltや Rosenveltで、ナポレオン全盛前後の蘭→英への移民、と言うか両国ごちゃ混ぜ状況の結果。何々村のバラ作り屋と言うvanはうっとうしいので取り去り、母音o重ねで上手に舌に乗るようにした。アングリカンナイゼーションと言われ、言葉だけでなく多くの分野で見られる現象。日本英語彙、例えば野球用語ナイターに似た移し替えである。

マーリオンとは数年前電話で話した。たまたま同じ名の長女たちが母親になり次世代を産んだ。オマ(おばあちゃん)になった彼女の日常はどうなんだろう? 熟年オバサンの筈だから、子供送り迎えする繰り返しの日常で最早あるまい。アンゲラ・メルケル政権の債務国援助に対し"外目はともかく、自国民に使わず外国援助ばかりなのよ”とオカンムリのようだった。

昨今の日常は、ただの繰り返しで無くなったように思われる。ケーブルニュースが本格化して茶の間に流れるようになった時、阪神大震災の映像が飛び込み、TVを見た独蘭の誰かが親しい日本人に直ぐに見るように電話をかけたりするようになった。

戦車に乗せられたカメラ(マン)からの進撃中の戦場も飛び込んでくる。精密照準による戦闘機攻撃の破壊効果が時間遅れであるが、テレビで放映される。それら報道はしかし、イラク戦のような本格的規模の戦争において激しく管理された。記者は軍にインベッド(組み込)され、半ば演出された戦闘ゴッコをあたかもヴェトナム戦争時代のように"本物”として伝えた。本物に違いないが…。

サテライト24時間ニュース時代に突入すると、戦闘や反政府デモが現在進行形で分かるようになった。今日のアフガンやリビアの小地域紛争は多機能携帯一つで現場を伝える。FaceBook /Twitter/YouTubeなどSocial Network Media抜きで印刷メディアも映像メディアも語れない。わずか半年の流れと言って過言で無い。

バラック・オバマにデーヴィッド・キャメロンすらトゥイートして、政治的リークを勘定しながら様子を見る時代になっている。一方で、不器用で出来ない要人がまだ多い。その違いは政治スタイルの違いになるかも知れない。まだ損得は分からない…とは言え、話題を作り関心を引き、支持者の投票行動を促すのが政治家たる条件である。トィートしない政治家志望は職業不適格者になるのかもしれない。

欧州政治家でもっとも早いTwitterはフェムケだ。Femke Halsemaと綴る人で、今年やめた蘭グリーン環境党々首。キャメロンやエドワード・ミリバンド、本日渦中の人Rebekah Brooks等と数年以内で括れる世代。

沸騰中の政治課題に気軽に"つぶやき”政治的意思を伝える。様子見でもある。これがが直ぐに既成メディアに流れるので効果抜群である。彼女は同時に勝れたディベーター。資料を読みこなした議会討論を展開する。あるいは後に、欧州政治家一つのスタイルの元祖と評価されるかも。環境党が場合によって紛争地域への軍事進出政策をもつこと。左様な現実未来性を示し、一休み後の復帰を期待する人も多い。

とは言え、ソーシャルメディアと極東・日本の政治家との関わりがどうなのだろうか。地元利益と地盤、あるいは議員半分が世襲のような日本`家庭事情`から離陸しつつあるのだろうか。

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Ordinary People 雑人雑名

Boris + Boris & Ascot 二人ボリス と アスコット

[補注]; 補註の別名は脚注か? ここは脚でなく頭だから[頭注]。

1.クノイチは女性忍者を指す。普段は分らないが、実は使命を帯びた忍者と言うコミック筋がしばしばある。横文字だと、スリーピング・スパイになる。目的成就のために充分な時間をかける。左様に真面目なクノイチはするのだが、今風クノイチは好い加減で、ずっと遊び心に富んでいる。

ロシア人Anna Vasil’yevna Kushchyenkoが短いUK滞在中に知り合っったAlex Chapmanと学生結婚、UK市民権とチャップマン苗字のUKパスポートを入手した。アナはブリテンで名ばかりの職歴をつけた後、ニューヨーに単身で移住。イギリス人として表向き不動産業を営む。彼女の筋書きは「実は『防衛計画ロシア情報をUS企業/ペンタゴンに売込交渉する』大役を担っている」と言った類だった。

このトリックで機密を知るUS関係者に接触し情報入手する目的だったわけ。表向き商いのインタネットメディアを開始後まもなく、彼女は連邦捜査局の監視下におかれた。充分な学習訓練を受けたプロ即ちFSB要員でないため、FBI局員に直ぐに感づかれたのである。スパイごっこを楽しむような振りが見え、逆にFBIおとり捜査にはまり2010年6月逮捕される。仲間10名ほどと共に、翌月ウィーンに移送され、モスクワから飛来したジェット機に乗り移り本国に送還された。10名と1名との4半世紀ぶり露米スパイ交換劇だった。[参照2011年7月;ロシアスパイ]

在ること無いこと虚実ないまぜの女性で、元KGB勤務の父親がプーチンとリンクしているために担ぎ出された素人スパイの公算が強い。このスぺクタクルスを帰国後に売り物にして、講演活動/ヒューマン・ライト運動/ナイトクラブショーなど何でもありのゴシップスターになっているそうな。昨年はキャット・ウォークのファッションショーに出ている。稼ぐ手立てが31才になり枯渇してきたのかも知れない。``美しすぎるスパイ``は帰国後のキャッチフレーズだが、ロシアに何処にも転がるダサイ女に見える。


田園と森が周囲に広がり、池を傍に控える屋敷の俯瞰画像。この地域はアスコットと呼ばれる。似たような城や豪邸があちこちに散らばっている。大ロンドン圏と言う概念がある。行政上の正式名であり、即ち首都圏を指すが、UKでもっとも大きなメトロポリタン域と解して良いかも知れない。人口密集地域で、日本だと東京圏や大阪圏に相当。日本のメガロポリスは建築/住宅が途切れずに続くが、大ロンドン圏はご覧のようにゆったりと田舎に近い郊外の雰囲気を持つ。欧州大都市圏は平野部に多く、言わば普通の`広がり`だ。

ロシア・プーチン政権から`指名手配`的扱いを受けるボリスの屋敷。亡命者で富豪ゆえに、ボディーガード達が詰めている。映画ゴッドファーザーに登場するマフィアの屋敷の趣がする。厳重な監視装置が施されているそうだ。
Boris 4


アスコットは都心ウエストミンスターから西へ25㎞ほど。行政区Surrey countyに属する。広大な森、美しい湖、緑が起伏するゴルフ場、環境良し、都心との距離良し、アスコットに住いを定められるならば資産家に違いない。下々の庶民は一寸住み辛い。広い庭とデカイ家の維持に悲鳴を上げる。

6月にロイヤル・アスコットが開催される。英国らしい5日間ほどの競馬行事。ロイヤルだから、御婦人方は着飾り、何より帽子のファッションが知名。殿方は長高帽子に燕尾服。ヴィクトリア女王がご臨席される行事ゆえに、馬も人間も華やかであらねばならなかった。大障害レース/グランド・ナショナルと双璧の競馬行事ゆえ、映画場面にも良く使われる。エリザベス2世老人の趣味・競馬の醍醐味を味わいたくば、アスコット廻りをしよう。
Boris Boris 01

ボリス・イェルチンがゴルバチェフの後を襲い、大統領になった。赤地に鎌とツルハシを組み合わせた共産主義国旗は赤白青のオランダ国旗を真似た白青赤の三色旗に代り、ロシアは民主主義国家に名ばかりの衣替え。ボリス・ブレゾフスキーはイェルチンの気に召され、元国営企業2つを元手にあっと言う間に大富豪になった。


ブレゾフスキーを筆頭に1ダース以上のにわか富豪(Oligarchy)が輩出、共産時代から民主時代への混乱に乗じた無数の資産家が生れるのである。国営企業を民営にする時、管轄省の高級官僚たちが狡猾に動いた。彼らがマネージャーに横滑りしたケースが多い。言い方を変えれば、一党独裁下の企業を私物化すると言う前代未聞の流動混乱期だったと言える。

イェルチンからプーチンへの架け橋期に、マアマア維持か、全く新世代のプーチン支持富豪たちが出てきた一方、没落した成金がでたのは言うまでもない。戦国のような状況だった。先読みする人々は、自由と税金逃れのために、短期間に儲けた資産を欧州/南米など各地に分散移管。ビジネスに好都合な格安税地帯に移住する家族も多かった。極寒の土地しか知らない連中にとって地中海がパラダイスに成ったのは頷けよう。

Boris 3

3月16日土曜日、ロシアから資産を世界あちこちに移し`難民`として国外逃亡しなければならなかったブレゾフスキーが亡くなった。67才に過ぎない。直ちに全ての人々が暗殺の疑いを持った。警察は直ちにアスコット現場周辺を封鎖、化学物質の痕跡を屋敷内外で調査追跡。毒殺を疑った分けだ。遺体を浴室で発見したのはボディーガードの一人Nikolay Glushkovh。スカーフの跡が首回りにあり、首つり死と思われる。しかし自殺でなく、ボスは殺されたと考える。殺される以外、ボリスは死ぬ筈がないのだから、とニコライは信じる。

亡命者の死はロンドンと同様にモスクワを沸かせずにおかない。二つの面を挙げよう。一つは庶民にとっての、富豪おとぎ話の`落ち`として。もう一つは自国公安(スパイ)組織の`勝れぶり`としてだ。連邦内部のジャーナリストの口ふさぎからこうした海外における暗殺まで、「蓋然性の高い事実として私たちロシア人は考えている」と近くのインテリ露西亜女性が言う。

現地UKに於いて例えば下のオコナー。7年前のロシアスパイ毒殺が改めて浮上。類似性について述べているが、検証的な細部のような気がする。つまりはUKとRussiaその時の外交関係に収縮する。冷戦時代、MI5(メトロポリタン・インテリジェンス5課)とKGBとのスパイ合戦映画が懐かしい。これが21世紀に継続している。FSBは様々な形で学生/ビジネスマン/アーティストなど`素人`を活用している[補註1]。スパイされる側(この場合UK)は議会公聴会の専門部で審議したり、時に該当本人/グループを強制送還する。

21世紀に入る前後、FSB長官プーチンの快進撃が始まった。ボリス・イェルチンの後継者を探し、そこまで育てたのは他ならぬもう一人のボリスだった。彼はイェルチンの大統領当選の縁の下の力持ちを務め、その後チェチェン戦役を終了させる為に重要な役割を果たし、誕生まもないロシア連邦の参謀役だったと言える。だがイェルチン後継者選びが命取りになった。KGBで実施経験を積み、内向的な怜悧な人物像を見抜けなかった…。

ボリスはユダヤ家族に1946年モスクワ生まれ、数学の才に恵まれ、博士資格を取り科学アカデミー会員に出世。この知性を車販売ビジネスに生かし、まもなくロシア下院Dumaに当選、政界に出る。その時の同僚議員に Roman Abramovich(ラーモン・アブラモヴィッチ)がいる。彼はフットボールクラブ・チェルシーのオーナーになっている。

上述のようにボリスは、イェルチン参謀役でプーチンを取り立て、後にそのプーチンによる政敵/政商狩りによって2000年にUKに逃れる。4年後に亡命資格を得る。ロシア政府はその間ボリスの身柄送還をしつこく要求し、同時にボリス暗殺指令をおびたFSB要員を派遣。スコットランドヤードのレポートによると、ボリスはFSB数回の試みから逃れているらしい。

元スパイ専門家オコナーの解説。アスコット界隈で少なくとも2名亡命ロシア人が原因不明で亡くなっている。古い例だが、ソヴィエト時代の亡命者Alexander Perepilichnyyがジョッギング中に亡くなる。2008年にボリスの商売仲間 Badri Patarkatsishvili が自宅で突然死。いずれも心臓麻痺と言う専門家の見立てだが、ロイアル・アスコット界隈の`謎`として残されている。
KGBの後継組織としてFSB(国内公安治安局)が生れ、国内の名前を持ちながら海外で暗躍する。東独に常駐し西独市民をスパイに仕立てたと言うプーチンの直接指揮による。組織/技術共にソヴィエト時代にまして柔軟になっている。証拠を殆ど残さないので外交クレームにならないそうだ。逆にクレームが付くような仕事をしない組織と言うこと。
Boris 5

2006年に毒殺されたAlexander Litvinenko。ロシア連邦情報局FSB要員中にUKに亡命。北ロンドン自宅で、紅茶に放射線物質を入れられ、インテンシブケアー中に病院死する。ブレゾフスキーによるとプーチンの指令を受けたFSB2名が実行したらしい。


UK市民権入手後、ボリスは身辺を固める一方で、あらゆ手段で自国の反プーチン運動/人々を支援している。同時に数多くの裁判訴訟を起こす。成算ありと考えるケースは数学者のクールな算段だったのだろう。例えば長者ランクを発表するフォービス(のインタヴューを受けた後の出鱈目で被った損害)を訴え勝訴している。亡命ロシア人の商才躍如である。

ボリスとアブラモヴィッチの抗争は石油企業売却に関するらしい。二人のロシア人がビジネスをすれば、必ず内輪争いになる。シシリー・マフィアとの共通項が多い。彼らいずれも、争いの手取り早い解決手段は暗殺と心がけている。この裁判は昨年夏に、アブラモヴィッチに軍配が上がる。彼のバリスターが徹底的にボリスの汚い恐喝まがいの商い手口を立証したそうだ。

敗訴ゆえの裁判費用負担が3500万ポンド(現時点で40億円ほど?)。それに二人目妻の離婚慰謝料が1億ポンドと言われ、ボリスは破産に近いか窮乏状態になる。金目のタブローなど売却、資金作りに努めている。あれやこれや鬱病的な精神状態になっていたと親しい友人が証言する。愉快な調子の良い時と、ふさぎ込んで別人まがいの時と、浮かんだり沈んだりの半年だったと語る近親者がでている。

松本清朝の推理小説は動機を要にして一時代を作った。推理小説大作家は動機無し殺人はあり得ないと言ったのだ。数ある動機の持ち主を探っていくと、`ホシ`のランキングを挙げられる。モスクワの冗談に、1.プーチン、 2.が無くて 3.元の二人の妻(子供計6人)と言うのがある。モスクワおおかたの市民にとって、ボリスは不法手段で稼いだロシア税金を国外に持ち出した祖国の裏切者になるそうだ。左様な人物なら、別れた妻や子どもにも動機ありとする、やや品のない冗談である。

いったい何千何万のロシア人が暖かい海外に居住しているのだろう。ロシア国籍を持ちながら海外に住めるのは元手があるからだ。本音は資産隠しと税金逃れと思われる。ボリスのようなお尋ね者はまず少ない部類であろう。多かれ少なから彼らの商いは本国と関係するから、時の政権と良好な関係を保つ必要がある。因みにラーモン・アブラノヴィッチはプーチン取巻き/お気に入り新興財閥でない。と言ってボリスのような敵対亡命者でなく、ロシア石油含みのビジネスを巧みに行い、モスクワ-ロンドンを往復している。

アスコット周辺の封鎖が一段落しても、ボリス自宅内の鑑識調査、さらに彼のメイルや談話がトレースされ、家族/雇用者/接触者たちの徹底解明が続く。スコットランド・ヤード内の数部門が力を合わせ早く決着が付く…ことはないだろう。政府/企業との癒着でトップ陣の首がとんだ`官僚お眠り`組織だから。そもそも、債務危機による節約で予算不足にあえいでいる組織である。`憂鬱症による発作的自殺`で落着させるのではないだろうか。嫌疑あれど、証拠みつからず、真実は神のみぞ知る。

BBCの1と2局のニュース画像にアスコット封鎖現場の警察官たち姿が見える。ポリス帽子に白と紺の格子模様の帯が回っている。UKポリスのアイデンティティーで、なかな格好良い。帽子デザインは男女で異なり、それぞれブルーのネクタイとマッチしている。女性ネクタイは、紺色のアスコットタイ。首元の巾広いタイプで女性に似合う。蘭や仏でも採用されているから。警察官1/3の女性時代のスタンダードの趣がする。20世紀初頭、ロイアル・アスコットの競馬観覧で現れたファンションである。
 
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Uprising 抗議デモ/アラブの春

Anglo-French vs Syria/al-Assad 何もせず傍観するのが良策? 

Anglo - France (又はFrench) は政治用語か両者の歴史的関係を示す用語。12世紀ノルマンのイングランド征服あたりから近・現代までの抗争あるいは同盟の経緯を述べる時に用いられる。アングロはUnited Kingdamではない。UKは16世紀半ばのスチューアート朝から成立した`王様を一人に寄せ集めた`呼び名で、イングランド/ウェールズ/スコットランド/アイルランドを含める大ブリテン全ての民族を含む概念。それより4世紀前に起ったノルマン侵入はプランタジネット朝をおこし、その支配領土はイングランドと大陸側ノルマンディーであった。海峡を挟むこの親和性をアングロ-フランスと言う概念で示す…と考えると分りやすい。

1月末のアレッポ。アサド・レジームはキリスト教徒とバース党エリート集団と出身地北部(Alawitesアラウィート)に支持基盤をもつが、それらから決別した人々は多い。国内の数多くの女性がソーシャルメディア上に苛烈な状況を伝え、国外(EU圏)ではメディアを通じ反政府パブリケーションを行っている。画像は自由シリア軍(FSA)1グループの女性リーダー。スカーフをかぶり武器を取る女性。
       Syria 03
        2月17日シリア民族連合体会議、正面の雛壇。


先ごろUKとフランス、言い換えるとヘイグ(William Hague)とファビウス(Laurent Fabius)両外相がEU/NATOの合意なく両者コンビだけで、反政府グループに武器供給する姿勢を公にした。政府への抗議デモが血で染まってから既に2年を経過、子供を含む3万名近い生命が失われている。例えばナトー長官ラスムッセンが「間もなくアサド政権は崩壊する」と幾度も声明、首都ダマスカスすら政府軍と反政府軍の市街戦になるまでに進展。政権の実効支配域はダマスカスの半分くらいに過ぎない。北部と砂漠の広がる東部、つまり国土の大部分が既に行政も届かぬ無政府地帯。にも拘らず、政権はまだ居座っている。

なぜか? ヘイグによるとロシアが武器と軍事顧問を常に供給しているからだ。さらにイランが武器供給に加え、イスラム革命軍の部隊を潜入してアル-アサド・レジームを支えている。これでは「倒れんわね」とある解説者がぶっきらぼうに言った。あまりの長丁場に疲れ「どうしようもネー」半ば匙を投げた風情。

ソヴィエト時代から仲良し国家であるロシアが中東権益の手掛かりを失ってはならないので、黙々と武器追加とそのメインテナンスを行っている。`西側`は建前があるので、堂々と援助できない。ロシアの厚顔無恥なふるまいをとても出来ない。なぜならロシアよりずっと増しな民主主義であるから。このシリア今日の状態を``不公平``と仏英は見なすのだ。また今年に急増した避難民(計二百万と言われ、人口1/10以上になる)、さらに子供を意図的に殺害するレジーム戦術に、堪忍袋の緒が切れたと思われる。

アングロ-フランス共同作戦は実績を持っている。リビア蜂起の時、サルコジー・フランスとキャメロン・ブリテンは及び腰を演じるUS[補註1]に代り、軍事的イニシアティブを採った。今、シリア軍の目を覆うような蛮行に腰をあげざるを得なくなったとも解される。

左の地図に、アナトリア半島を占めるトルコ共和国の北西部が欠けている。東と西の架け橋、バルカン最大の都市イスタンブールがそこにある。右は昨日のイスタンブールのデモ。シリア民族連合(SNC、反政府グループの連合体)の会議があり、主張を掲げるシリアの人々。SNCを亡命政権のように見なすと、アル―アサド独裁に代わる政体を必要とする。即ち首相及び内閣を必要とする。そこで、まず首相を設置しようと言う会議が開かれた分け。
    Rebel gourbament 1
六つの矢印線はシリア内部から逃れる避難民のルートを示す。2013年に入り、避難人数規模が大きく且つ避難度が加速している。首相選びの会議は順調に進み、30年US住まいのGhassan Hittoなる人物が首相に選出された。


シリア状況を当初``アラブの春``平和的デモと誰もが受け止めた。現在、内戦と呼ばれる。正確には様々な外からのアラブ勢力が侵入する混沌カオスである。大部分の武装グループはシリア人主体の自由シリア軍と言われる範疇に属する。ここに、政権を離れFSAに加入した司令官/将校クラスも含まれる。各地のヴォランティア的グループもあり、詳細は不明。兵站(ロジスティクス)はバラバラ在って無いような不統一。例えば弾薬や糧食の供給が追い付かず、正体のわからぬ野武士のような小部隊がいる。以上のシリア人を除き、北部クルド人グループ、ヨルダンのヒズボラ、パレスティナのハマス、アフガニスタン/イェメンなどからアル・カイダ、さらに先述のイラン革命軍などが動めいている。[補注2]

アラブ人によるアラブ国家の構築。昔シリアはエジプトと合体して、この夢を実現しようとした。だがアラブ人同士の憎しみ、典型例はシイア派とスンニ派の血で血を洗う抗争を見れば十分だろう。シリアとエジプトの連合国家は直ぐに解消した。その後いずれも軍人政権が続き、独裁化。彼らのアラブ中東は欧米露の軍事産業の大市場になった。シリア/エジプトは首位を争い、壮観な武器ミュージィーアム国家に育っていった。

イラクそしてアフガニスタンを見よ!泥沼と混迷、先は見えない。ゲリラ的テロリズムの舞台に化している。同胞が同胞を殺しあう。彼らは和すことが出来ない地球上の民族グループに思われたりする。共に和せないので、アラブ大国は軍備に熱を注いできたのかもしれない。`大将`が軍人だから、昔むかしの王様たちの戦争ごっこを彷彿させる。

       アレッポ市街、政府軍空襲/ロケット弾による瓦礫
      Syria 04
       五角のSNC(シリア民族連合体)のシンボルマーク


啓蒙的な価値観は長い血みどろの抗争をかいくぐって育まれてきた。典型例は、ナポレオンから続く仏蘭西革命である。10年ほどの期間にパリは血の流れにそまりながらも、人類にようやく光が差し込みつつあった。あるいは日本の近代革命(尊王攘夷の時代)もこれに属すると考えていいかも知れない。さもなければ日本現在、それなりの`民主度`を得るに至らなかったかも知れない。露西亜/支那/朝鮮半島(特に北)について乱暴に言うならば、そこに啓蒙主義はまだ着地していない。故に彼らはアル-アサド軍事的独裁政権の友好国なのである。

アングロ-フランスの自主的`武器供与`はEU内の賛否両論を呼んでいる。リビア紛争の時、露支と歩調を共にしたドイツが反対する。外相ウェステルウェッレの談話;「火事場に油を注ぐ」。
リビア・ケースでは仏英コンビ爆撃によって短時間決着を見た。あの間際の空爆が無ければ、ベンガジが墜ち、ガダフィー政権が息を吹き返す可能性があった。安保理リビア決議の独逸はチョンボをしたと私は思った。奇妙な外相声明に過半数のベルリン議員が首をかしげたが、今回はどうか…。

ウェステルウッレと異なる文脈で、逡巡する人々がいる。欧米人が人間性を標語にして平和を唱えるが、砂漠の激しい環境に育った掟/戒律、即ちその価値/文明観を変革することは出来まい。もし平和をもたらせると考えるならば、あまりにも安っぽい偽善ではないだろうか。あたかもロシアの疑似民主主義について考察するように…。共産主義独裁は東欧から消え失せたが、おおかたロシア人は欧州に存在する`民主主義`を体験したことはない。シベリア西部は厳しい極寒の地、そこに温暖域に生まれた民主主義が育つ筈はない…、そう少なくとも当面育たないだろう。

人口2千万ほどの国家が空陸海3軍合わせ50万兵を持っていた。数週前に出た英戦略シンクタンク研究レポートによると、シリア動員/展開中の3月現在の実働兵力は5万である。9/10が脱走・戦死など何らかの理由で消え失せ存在しない。

国境に沿うヨルダン側の街ARSALにも自由シリア軍の根拠地がある。昨日シリア空軍機が初めて国境を越えて、この町を攻撃した。既にトルコとの国境線2ヶ所に、ドイツとオランダ両軍のパトリオット・ミサイル抑撃部隊がそれぞれ布陣している。ヘズボラ武装集団の居るヨルダンにNATO部隊を展開出来ない。と言う事情もあって、土壇場のアサド側がARSALを襲ったと思われる。新状況になり、アングロ-フランスの動機を後押しすることになるだろうか。
    Rebel gourbament 2

EU圏主要諸国はアングロ-フランスを含め既にアサド政権を認めていない[補註3]。カタールで実現した反政府勢力の一体化(SNC)、次のアルジェリア会議でSNCを認証する国数が増加、そして先日の移管政府首相誕生と言うお膳立てが整いつつある。これをバックアップするのは`シリア友の会`メンバーである。[補註4]

こうした状況をタイミング良しとキャメロンとオランデの両首脳は読み、決断したと思われる。武器選択と運搬、配布先部隊プログラムはおおかた出来ているだろう。アルカイダと連携するグループは除外されよう。武器供与によって、さらに戦闘火力が増し互いの戦死数が加速、巻き添え市民犠牲者が鰻登りの数になるかどうか? 

あるいは追い詰められたアル-アサッド側が化学兵器(サリンガス等)使用に踏み切るかも知れない。まきぞえを食うかもしれないイスラエルが警告を出す。イスラエルは妥協無しにアラブと対して半世紀を経験。解決の在りえないパレスティア紛争と、``アラブの春``後の騒動とは恐らく同じ性質だと実感しているようだ。もしもそうなら、アングロ-フランスの試みはするもしないも未来は変わらない。何もせずが良策だと言う人がいて、何故と問われると極めてシンプルな答えが返ってくる。アラブ人自身が経験して、血を流し、他に助けを求めず[補注5]、自分自身を見つけなければならないのだと。


[補注];
1.UN(国連安保理)に於いてリビア空軍機の飛行禁止(No-fly zone)可決されるや否や、間髪を置かず仏英の空軍機がベンガジ前線に向かうべく離陸した。同時にUS地中海と紅海に浮かぶ第5艦隊の艦船から百発余トマホークミサイルが火柱を伴って発射された。この仏英米によるNATO連携一次攻撃後に、US海軍は指揮を仏英両軍に譲った。オバマ政権の既定戦略だった。アングロ-フランスの賭けであったが、結果は上首尾に行った。
2.紛争アラブ圏各地からシリアに`応援`に出向くグループを除いて、欧米に移民したアラブ系2世3世の若者がヴォランティアとして反政府側に参加している。失業中ですることも無く、軍事体験ゼロの連中。例えば蘭国からおよそ500名が現地にいるそうだ。戦闘訓練無し20代青年が食料も十分でないグループに何とか入れてもらう…、素人だから標的になりやすく、負傷者が多い。初の`戦死`も伝えられている。
3.日本国のシリア姿勢について不明。
4.アラブリーグに加えアフリカやEUから選抜的に構成されている。アラブリーグはアラブ諸国殆どが参加するアラブ権益グループ。既にシリア現政権を一時的に棚上げしている。
5. アラブの春に限らず、こうした紛争当事者と難民とは常に(当然だが金切り声を上げて)欧米/国連に救助を訴える。助けを求める側と助けを差し伸べる側とは追いつ追われつの関係になる。需要と供給の経済法則で捉えられる… 

     
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Euro crisis 通貨危機

Referendum & CEO`s income そのⅡ [ワンサカ富豪が出る理由]

昔ドイツ;Wehrmacht Kraftwagen 軍用車両(将校専用)。67年前も現在も基幹産業。
     文末参照→スザンネ・ハンナ・ウルズラ・クアント。
 
   BMW 03

欧州連合加盟国の政権担当全員が2月28日末にブリュッセに集まり、2年前からの懸案事項の合意に達した。金融業経営トップのボーナス額は定額年俸の2倍を超えてはならない。来たる4月に正式決定、2014年から施行実施される。このEU方針はスイス連邦,先ごろの国民投票提案と一線に並ぶ。

リーマン・ショックの大津波によって、2008年例えばアイスランドやアイルランドで日本バブル破裂と同じ事態になった。通貨クローナは円に対し急落、円建て住宅購入したアイスランド人々は破産に等しく購入家屋から追い出された。アイルランドでも湧きに沸いていた住宅投機は氷点下になり、失業者が急増。震源地の米国と同じ状態に陥った。

  The City
      欧州金融中心。 上;The City 遠景  下;Bank of England

続いて上二つの国と緊密な関係に在る銀行が傾いだ。互いに貸し借りする欧州銀行の経営と財務内容が露出されて行く。手持ち資金の100倍貸出しと言った例に見られる融資実態。連鎖的に住宅金融や高金利で顧客を釣った銀行のパニック資金引き出しが発生、不安が現実になり倒産が続き、大銀行は国家移管された。巨大銀行不安が起こると、欧州/世界は壊滅するだろう…と言う切実な理由によってどの国も必要資金を融資、半ば国有化と言う国家保証を与えなければならなかった。

王様連合のUnited Kingdom (UK)では、最大銀行 の香港上海銀行(HSBC)とロイヤルバンクオブスコットランド(RBS)の二つ大手も住宅金融銀行等と共に 国家融資(税金)を要請して受け入れられた)。前年に蘭ABN-AMRO買収によって資金不足をおこしたRBSはリーマン連鎖で二重苦に陥り、経営陣の無様が明るみになった。サー称号CEOの辞任は避けられなかった。彼を支えた重役陣は議会公聴会で、無責任経営実態を淡々と告白するのである。

ロンドンの一角Cityは欧州金融の中心である。世界の大銀行が軒並み出先を置いている。City銀行間取引の標準金利(Ribor)の非法操作スキャンダルで、資産量で世界有数バークレイズ銀行の当時CEOボブ・ダイアモンドは2012年30ミリオンポンド(円安になり現在40億円ほど)を稼ぐ予定だった。不法商いの責任を取り`切腹`したが、30に代えて10近い`退職ご褒美`を懐にして、税金おおかたを持つブリテン庶民が呆れかえっている。コモンセンスも良心もないなーと呟く実に`優しい`トゥイーターがいた。[補註1]

2月20日頃ブリュッセルに27ヶ国財務相が集まった。26ヵ国は金融業トップ報酬規制に賛成した。ボーナス目当てで経営者は短期的な利益追求に走る。それが金融恐慌に加担したのは明らかである。手早く業績を上げることが報酬アップに繋がる。そのためにトリックや半ば不法のグレイゾーン行為に走る。公に言わないが、業界の常識と言う理屈が用意されている。左様な悪循環を断ち切らねばならない。その手段がボーナス抑制手段である。

2008年11月に政府融資を受け2013年なお`国有化`状態のロイヤルバンクオブスコットランドのロゴ。CEOのJohn Hourican今年ボーナスは£4m(現時点の5億7600万円)。政府管轄組織でとびぬけた報酬額。「損失計上金融機関トップのボーナスを抑制する」つまり褒美を出すに値しないと言うキャメロン首相の声明にも拘らず…。
      The City 02
ブリュッセルのオズボーン財務相(右縁)。規制案に独り反対したが、26対1で時勢に逆らえなかった。


26ヶ国の同僚に対しキtャメロン内閣の財務相(チャンセラー;独宰相と同じ語彙)オズボーンは、孤軍奮闘した。UKには、金融業ボーナス規制に反対する理由があった。もしもCity経営陣が年俸サラリーの2年分ボーナスしかもらえないのであれば、シティーそのものの価値が低下すると考えるのだ。

英国にとってシティー金融街は国家的利益に関わる。大英帝国はシティーと共に天下を謳歌した。この刷り込み思想は容易に消えない。シティーがマイナス価値になると、国民総生産もマイナスになる。故に自由なボーナス額によって優秀な経営陣を常に集めなければならない。言い換えると、金融専門家への報酬の多寡によって、商い儲け度が左右され、それが国家経済に諸に影響する。利益を創出する人は勝れたマネージャーである。言い換えると、優れたマネージャーに報酬を惜しんではならない。[補註2]

これは哀しいかな、従来繰り返されてきた保守論理である。これをドイツ連邦アンゲラ・メルケルも信奉する。正当な保守だから。彼女の右腕シェーブレ(Wolfgang Schaeuble)財務相はドイツ産業を牽引する企業トップへの影響を恐れ、やはり定額年俸と連動するボーナス規制に反対する。

      BMW 02
 上;メルケルとシェーブレ 下;Bayerische Motoren Werke(バイエルン発動機工場)ミューヘンの3シリーズ生産ライン。同じ3シリーズの工場が支那に稼働した。最も小型廉価なタイプで、1980年代に着地し、30年後もBMWファンで普通の人が購入できる人気車種。支那においては高級車に属しようが、大金/小金持ちが無尽蔵に居るので商い繁盛している。
九月に総選挙を迎えるキリスト教民主(CDU)は、しかし、ボーナス規制の荒波に殆ど抵抗できないと思われる。メルケル-シェーブレはスイス・レフェレンダムから四月の規制案承認までの主要政治課題を受け入れざるを得ないだろう。さもなくば、社会民主SDPマニフェスト「際限のない経営トップ報酬への枠作り」に選挙民を奪われるだろう。わずか一年に何十ミリオンユーローを稼ぐアメリカ式資本家を擁護する政党のイメージを払拭しなければならぬから。

億万長者あるいは富豪と今は言うのだろうか。半世紀の昔は百万長者と言ったように思う。つまりインフレ率が百倍と言うことかも…。さて本稿は、富豪は吐き捨てるほど生まれると言う趣旨だ。とは言え、富豪の定義を私は知らない。億万長者はボーナス込の年俸が最低一億円以上と言えるかもしれない。それくらい稼ぐ人を資産家とか大金持ちとか、羨望をこめて普通人は呼ぶと思われる。

例に挙げたRBS/HSBCはセミ・ナショナル銀行と言える。後者の定額年俸+ボーナスの収入額が£2million以上のマネージャーは190名ほどあり、£1m(1.44億円)以上なら500名余になる。各省庁の高級官僚が内心カンカンに怒っている、と言うのは頷ける。いずれも言わば公務員なのだから。

以上の二つで千名前後の億万長者がいることになる。するとシティー金融街すべて合わせると数千名になるだろう。数千と言うのは2~3千名を意味するが、過去の資料も現時点の信頼すべき出所も皆無だから、実際はもっと多くの億以上の収入者がいると思われる。政治的要請に負け、しぶしぶ公開する年俸とボーナスは数字操作で下限に抑えられる筈だ。

ベルギーでは経営失策のトップ銀行家が退任時に数百万ユーローを受けとり、やはり億万長者ぶりを発揮している。メディアで明らかになると、ほぼ千万の国民があきれ返り、議会は国庫に返済させる方法を議論している[補註3]。議論になるが、実際は何の効果もない。銀行が自ら定めたボーナスとゴールデン・ハンドシェイクのルールあるいは習慣に第3者は干渉できない。出来る場合はスイスの採ったレフェレンダムのように法制化の手続きを踏まねばならない。

組閣出来ない混迷イタリア共和国ではイタリア銀行幹部のボーナス抑制が新聞をにぎわしている。ひょっとすれば、国家中央銀行も銀行ボーナス習慣に染まっているのかもしれない。過去10年、ベルルスコーニ政権だったから、ホクホク報酬が産業界の常識になっていた公算は大きい。大富豪ベル老に続く富豪がとりわけ銀行家に多いために、下院で過半数を得た左派が声だかにスイス法制化に続けと叫んでいるのだ。

沢山ある`狼の砦`と言う町で一番有名なのはニィーデル・ザクセン州にある。ドイツ国民車ビートルズが生れたハノーヴァーに近い町。フォルクスワーゲンの実質的総本山である。イタリア超高級車ランボルギーニ、チェコのスコダ、スペインのシアット、国内ではアウディ―等を傘下におさめ、トヨタと世界一を争う。昨年の伸びは普通なのだが、他欧州メーカー売り上げが数十%落ちたために、目立つ。相当数いる取締役の一人が2011年よりボーナス減ったのが分らないとこぼしている。8億円が7億円になったと言うようなことだ。CEOのウィンテルコーンだけが14億から20億円に増加したに過ぎない。曰く;わずか6億円増に過ぎない。

取締役平均年俸はワーゲン工場ラインの組み立て労働者年俸の700倍と言うレポがある。同じ企業で同じ人でありながらブルーカラーとホワイトカラーの差は人間的比率を逸脱している、と緑環境党議員が指摘。ロンドン金融街の下っ端と幹部との差はこれほどのギャップはない。なぜなら金融企業一般の報酬は他産業より抜きんでて高いからである。

先述のフォルクスワーゲン取締役ご仁はこぼしながらも、選挙に向かうメルケル政権に同意している。ドイツ連邦は欧州1経済力。企業トップ陣は多かれ少なかれVWと同じ`富豪`報酬を得ている。これら多くの富豪も時代の変化に妥協してゆくと思われる。つまり政治的雰囲気/流れが、常識知らずのCEOと重役陣ボーナスについて、トーンダウンした。人間的公平な給与比率に実際なるかどうか、それは疑問であるが…。

15年前ダイムラー・ベンツがクライスラーを買収、ダイムラー・クライスラーに社名変更。CEOは確かシュランプ某と言う人で、独米企業合体の成功により、特別ボーナスを得た[補註4]。とてつもないその額が当時の世界を驚かした。同じ時期トラックメーカー・マンネスマンがインタネット事業に参画、独市場1/3を占有していた。これをブリテンのフォーダフォーンが買収。マンネスマンCEOはこの売却でシュランプに並ぶボーナスを得た。この2例が言わば、大富豪に手早くなる見本になった。買収・合併が盛んになり、巨額報酬を入手して優雅に引退と言うパターン。

こうした美味い汁を狙ったのがABN-AMROの買収ドラマだ。英/白/蘭/西の銀行トップによるプロジェクト。表面はダイナミックな経済活動である。裏面は謀略めいたボロ稼ぎである。関連4か国でアッパレ事業大失墜したマネージャーたちの買収経緯の法的調査が行われた。議会公聴会や特別委員会などが設置され、金融業の`汚い`面が世に知らされる。

現代大富豪の古典的な例はヘンリー・フォードや松下幸之助である。近い例では本田宗一郎もいる。発明家で製造事業を起こし、その努力が報われた。誰もが認め尊敬に値する現代史の偉人。この頃の金融業マネージャーはサラリーマンから組織を這い上がりトップに成った人々。人事だけに長け、一見ジェントルマンと言うタイプ。ヘンリーや幸之助と比べるべきもない雑魚である。自分で必死で起こした事業でない。願わくばラクチンして富豪になろうと言う連中。

Integrität(インテグリテート)これをアンゲラ女史が何度も使った。先日のブンデスターク、ベルリン議会の答弁やり取りである。キプロスとハンガリー財政破綻で忙しい合間の、余談のような大企業経営者報酬についてだ。多少キプロスと関係が無いでもない。彼女のキリスト教民主党CDAや自由民主党FDPへの献金は大企業とその経営陣による。有り余る利益と報酬ゆえに、`インテグリテート`気分で献金するのでは…。

この語彙は政治的腐敗の際に登場する。全ての国で繰り返される。良心・正直・正義・人間性etct..それらが秩序だって個人内部に備わっていること…だろうか。残念ながら、ドイツ連邦にもインテグリテートに欠ける御仁が満ち溢れている。何かにつけて税金をチョロマカス議員に公務員、警察トップに州議会から市町村の役人まで…。

師のヘルムート・コールと並ぶ三選を目指す女性宰相の言葉を翻訳するとこうなる;「選挙に勝つために、どうかトップの方々、御自分に厳しく良心的な態度をお取りください。懐を温めるだけの卑しい振る舞いをくれぐれもなさらぬように切に望みます」。総選挙前の夏までに、天文学的ボーナス習慣を金融業だけでなく一般産業に適応させる何か法律を定めたいようだ。報酬だけでなく、企業の社会責任や行動指針、文化や国民健康・介護面における取組などに及ぶ内容である。

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BMW R 75/Wehrmachtsgespann:数多くのハリウッド戦争娯楽映画に必ず登場するつとに知られるサイドカー。ロンメル将軍のアフリカ軍、特に機甲師団と共にこのサイドカーが砂漠で良く機能する。ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」に各種軍用車両が登場してカッコウイイ。冷戦時代のスパイ映画にこのサイドカーがリチャード・バートン演じる主人公たちを追う場面がある。バイエルン発動機製造の晴れ姿である。

スザンネ・ハンナ・ウルズラ・クアントと言う人を2007年テレビで知った。ドイツ公共第1局放映の半ば告発ドキュメントの印象を受けた。先の大戦でヒトラー政権に協力した資本家とその企業と言う筋だった。クアントはメルケル宰相と共にドイツ連邦の代表的女性と言って良いだろう。メルケルより8才若く、バイエルン発動機工場(Bayerische Motoren Werke)オーナーの長女で、遺産相続と油の乗り切った実業家としてドイツ一の大富豪だからである。因みにベルルスコーニの富豪度110位代で、彼女は50位前後。

戦後すぐ蘭国からBMWはBoeren Mest Wagenの略とからかわれた。百姓の糞荷車と響く。占領支配され憎しみは深かったから頷けよう。1960年代半ば、Hans Glas自動車製造会社を合併買収したベー・エム・ヴェーは2輪車に加え4輪車市場に打って出る。スポーツカーレースで腕を磨き、70年代にスポーティーな乗用車イメージを浸透させ、80年代にドイツ自動車産業の雄として名実共に国際ブランドに成長。ホンダと並行する経緯である。ライバルと言うのが正鵠を得ている。

戦争犯罪を犯した企業と言う批判。クアント家はそれを認めていない。と言うか公に Nein oder jaを明かにしていない。BMW筆頭個人株主で最重用監査取締を務めるスザンネ・クアントの発言はなく、誰にも真意は分らない。クアント家族は大富豪を連ね、告発ドキュメント後に調査基金協会を発足させている。そして21世紀に入り、所有する企業群労使の公平な分配を目指すと言う異例な企業姿勢を公にしている。次世代は汚名返上すべき努力しているのだろうか。

メルセデス・クライスラーとフォルクスワーゲンとが、やがて先発BMWに習い、企業社会公共性に転ずる公算が考えられる。すると連鎖的なボーナス抑制気分が好むと好まざるにかかわらず広がるだろう。
スザンネに続くハンナ・ウルズラは親の二人祖母名と想像される。つまりこれら女性たちが一次二次大戦に間接的に協力した雰囲気があるならば、その責めをプラスに変えたいと言う気持ちになるかもしれない。クアント家の富豪たちがメディアに登場するのは皆無であるが、彼女を先頭に彼らは偶然スイス・レフェレンダムのホットアイテムの先を歩いているのかもしれない。

蛇足のように一つ書き加える、富豪がワンサカ生まれる理由が本題であるから。クアント家メンバー例をだすまでもなく、富豪はいまやワンサカ存在する。共産主義を基礎にして成立する支那に於いてこの20年に急増したのだ。2013年の今日、中華人民共和国に一体何十万の億万長者=富豪が存在するのだろう。[補註5]

支那ファンによると、Jiang Zemin(前々主席)とWen Jiabao(前首相 温家宝)の側近と家族に富豪が数多く生れているそうだ。不思議な現象と解するより、北京雛壇に座る連中の巧みなコネ使い/腐敗、そして13億あたまかずを制御できない共産式資本社会の混乱結果であるまいか。ソヴィエト連邦崩壊後にドッと出た1次富豪現象とやや似ているようにも思われる。現在は1次がプーチンに淘汰され、2次富豪時代になる[補註6]。支那の富豪現象が今後どうなるか、誰にも予測できない。ビッグバンのような政治/社会/経済上の爆発が十二分に起こり得る…。

[補註];
1. 参照;2012年7月11日; 拝啓小沢一郎殿 ダイアモンドに続かれよ [茶割焼酎おでん屋 談義]

2.TUC(600万会員を持つブリテン商業組合連盟)の議長フランシス・オーグラディー曰く;全ての労働者が賃金カットを受ける苦しい危機にあって、ポケットを知らん顔でふくらます例えばHSBCトップStuart Gulliverのボーナス£2m(2億9千万円)を許すことを出来ない。
2008年末にHSBC/RBSにテコ入れした労働党政権当時のアリスター・ダーリングは既にその時に、天井を突き抜ける経営陣ボーナスについて激しい批判をしている。リーマンショックが衣替えしたニュー・レイバーを再び動かしたのだ。ブレア―は労働者の党をアップグレイドした。プロレタリアの党でもはやない。シティー経営陣がいくら摩天楼のような報酬を取ろうが、法人と個人の税金を収め、ブリテン経済に貢献するならばし、OKだった。ニューレイバー支持者は豊かな人々にシフトするかのようだった。そして今2013年、新しいし地平がもとめられている。

3.2007年ベルギー/オランダ・FortisグループがRBSとスペイン・Santanderと組み、蘭大手ABN-AMROを買収。その翌年にリーマンショックの波が襲った。三つの銀行連合による無理やり買収が露呈され、それぞれ手深い傷をおう。フォルティスグループ株価はゼロに等しく下がり、バラバラに解体されざるを得なかった。この過程でCEOフェルウィリストのお粗末な采配と共に、取締役陣との株価維持する情報操作が問われた。フォルティスはベルギー/ルクセンブルグ/オランダそれぞれの部分に国有化され、前者はその後フランス大手BNP Paribasに売却された。ベルギー資本の大手銀行はデキシアを残すのみだが、これもスキャンダルで分割されヨタヨタ。

4.Fokker社は世界最古の飛行機製造企業だった。フレンドシップと言う知名な軽快な型番を覚えている方は多いだろう。ロッキードやエアーバス両社大型化の波と苛烈な市場状況によって経営危機に陥った。この機に乗じてシュランプは蘭国の名門を欲した。メルセデス・ベンツと航空事業の2本立ての野心。8千名ほど雇用員と関連会社を救うため、政府援助を前提にした交渉が繰り返され、買収合意に達した事情がある。
だがシュランプ目論見は落墜。蘭政府に税金無駄使いさせ、技術者たちは主にUS軍事航空企業に散って行った。フォッカーは消滅、雇用員殆どは失業。世紀の合併と喧伝されたベンツとクライスラーも相乗効果は出ず、成功と言えな。シュランプの報酬がカットされたと言う話は聞かない。

5.百万名富豪説がある。支那に対する羨望/願望説? それとも百万程度ならば人口1/1000=0.1%ゆえに確率的にあり得る説だろうか?

6.今日もEUは小国家キプロス救済にテンヤワンヤ。露西亜富豪がこの小島の銀行に資産を隠しているのが判明。スイスへの財産逃避はあるが、キプロス`洞窟`に隠すのは名案ではないか。税官も普段一寸考えつかない。大枚のねむるかなりの口座数が確認された。キプロス国家予算を上回る莫大なブラックマネーだとか。財務当局は一種の`封鎖`を行うだろう。ブリュッセルはこうした税逃れ口座に15%の課徴金を取る方針。十万ユーロ(1500万円弱)以上の預金を持つキプロス国民も数%を国庫に支払うようにするらしい。つまり預金額に応じ、と言うこと。数十ミリヤルド(兆)ユーロ援助融資をEU/ECB/IMFが決定するので、キプロス自身も痛みを分かたねばならない、と言うのがメルケルさんの昨日の言い分。ロシア富豪にとって片腹痛いか? 次の駐車地を探すか?
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Politics and economics 政治/経済

Referendum & CEO`s income 国民直接選挙 とスイス航空の自沈

左右パッと見だと同じ航空会社に見える。良く見ると、ロゴが異なる。左は`前`、右は`後`である。 Swissair Bankrupt 01
スイス航空は日本でも良く知られるエアー・ブランドだった。昔の鶴マークの日航と同じ、スイス国策企業と見なされる。1995年経営危機のベルギーのサベナ航空の買収に動く。同時にポルトガル航空も傘下にして乗客航空企業五大手の一つになる勢いを示す。再生新会社・スイス国際航空雇用員数はかつての1/10、無駄と贅肉の無い合理的適正規模、と業界通の記事にある。


2001年9月11日、乗客飛行機を乗っ取り突撃自爆するテロ``ナイン・イレブン``が発生。これに世界の耳目が集中。傍ら人口わずか700万余の山岳国家スイスでは国家を揺さぶる事件が進行していた。航空業界イメージNO.1に近いスイス航空の、根も葉もないかに思われた``油を買えず機体飛べず``が現実になった。乗っ取り自爆を防ぐもっとも確実な安全策…とジョークが出そうだったが、根も葉もあるズサン風船経営実態が徐々に明らかになる。

債権側二つの大手銀行Union de Banques Suisses(英:Union Bank of Switzerland =UBS)とCredit Suisseが融資栓を堅く閉じたのである。スイス国民の誇り`おらが飛行機`が世界中空港に釘付けになり、人々は仰天して二つの銀行本社に`栓を開けろ`とデモ抗議をおこした。油を買えない事態は未曾有だが、飛行機会社を愛するこんな人々の行動も珍しい。

USAを例外にしてどの国も代表的航空会社をもつ。いわゆるflag carrierあるいは"National airline"と呼ばれる。民間だが、国家利益に関わるので、常に自国航空行政の優先的扱いを受ける。国策企業としてスタート、半官半民的な印象を受ける場合もある。そうした典型的大手はエアーフランス/ルフトハンザ/ブリティッシュエアーウェイズ/カーエルエム(オランダ航空)etcである。JAL日航もこの範疇だった。

南欧のアリタリア(伊)/イべリア(西)、カナディアン/カンタス(豪)などほか無数のナショナル・エアーラインがある。これらの中に、貧しい国家の多い低開発諸国が国営企業として航空会社を営む。文字通り国の面子になる顔である。これら100%税金に負う企業は相対的に小規模で業界競争の外にあり、大手グループ化/合併と殆ど関わらない。例えば`危険が一杯`リビア航空や良く落ちる図体大きいエアローフロート(ロシア)と共同事業をしようと言う欧米大手は存在しない。

東欧共産国家群の消滅した1990年代前期、航空業界は需要大幅伸びを予測した。新国際秩序に対応する経営理念と経営拡大策が模索され、弱者が強者に飲み込まれる戦国時代が有体になる。グループ化と言う業界再編が試みられ、何度も壊れ、経営苦の例えば伊アリタリア/西イべリア/葡TPA等はあちこち翻弄して波間に浮かぶ難破船ごときであった。初の犠牲は白耳義サベナで、生き延び努力甲斐なく倒産寸前に陥る。

スイス航空はスカディアビア航空と事業協定に挫折した後、サベナとTPA買収計画を進めた。人口わずか700万余の国家の航空会社がそれより大人口国家の代表航空企業を傘下に収めるのだ。1995年基本合意に達する。国内と国外それぞれほぼ3万名雇員をもち、スイスブランドの強力なイメージをもつスーパー優良企業だから、白耳義と葡萄牙両政府は肩の荷を下した気分だったに違いない。

サベナとTPAを加えると大手五指に入る。狭く住み辛い山岳国スイスをして、左様な企業を育てた誇らしい気持を理解できる。上述の抗議デモはそんな気持ちの発露である。しかし1995から2001年まで、地球をくまなくカバーするネットワークを持ち、主要国首都に大支店を構えるスイス航空の台所を知る人はいなかった。6万雇員の給与水準は業界で群を抜いていた。パイロットたちと幹部の人件費が営業利益の伸びを食ったとカラカイ半分で言われた。贅沢な投資がソフトウエア―子会社やジュネーブ多数関連企業含みで引き続き、いざサベナ買収費捻出の段になり、財布の底が空っぽだったそうな![脚註1]

スイス国土面積は四島日本の1/9ほどに当たる。人の口は上述のように東京都より少ない。その国にUSBやクレディット・スイスと言う世界最大資産級の銀行があり、これらが政府と共にスイス航空の大株主である。スイスフランを干し上げた`おらが飛行機`の実態がさらされ、アルペン山脈が揺れ氷河の氷解が始まったような騒動が起こった。

とばっちりを受けたのはベルフことベルギー人士である。サベナはやはり`おらが飛行機`であり、救世主になるのがスイス航空の筈だった。ブリュッセル議会は騒動の本命スイスに習い、年末まで紛糾を重ねる。結局ブリュッセル郊外ザーヴェンテムを母港とするサベナは清算され、失業率を押し上げる苦い汁を飲まねばならなかった。他欧州大手にとって、中堅一つが消えて商いし易くなったのかどうか…。

12年が流れた2013年、光陰矢の如し。機体は大きく軽くなる。ブジェット・エアーライン[脚注2]出現で大手は従来通り変わらない厳しい競争下にある。破産前のCEO(最高経営責任者)初め経営失墜のスイス航空幹部たちの退任ボーナス額が既に数年前に明らかになっていた。

スイス航空株主USBはリーマンブラザース倒産による金融危機の際、莫大な損失を計上。投資部門に於けるそれまでのやはり`風船`営業の結果。損失責任者のUSBトップ陣は辞職せざるを得なかった。辞職の`足労`として支払われる金額を「ゴールデン・ハンドシェイク」のように呼ぶ。株主と監査取締陣が退任者と握手して与える`ご褒美`の意味。さらに損失と関わりなく、自社株や老齢年金あるいは配当金と言う形を取ったボーナスになる。

倒産を導いた経営者、金融危機に冷静に対応できなかった銀行家、元CEOがサラリー年俸と別に退任時に得た特別賞与金額は50~60ミリオンスイスフランらしい。次席や専務など個人それぞれ細部は異なるだろう。だが零の数が一つ違ったとしても、普通のスイス人にとって天文学的な額に変わりはない。因みに50ミリオンスイスフランの現在為替換算すると、ほぼ51億円。

経営者の退任ボーナス習慣とこうしたゼロ並びの額は金融業界に於いて驚くべき現象でないようだ。銀行業過去30年に顕著になった超高額ボーナスは一般に公開されなかったので、ジャーナリストを含め`下々`に知る機会がなかったと言うこと。ところが21世紀に入り金融業を中心に経営責任モラルが問われ、議会によって公開法が制定されたり、徐々に透明性が高まりつつある。その結果の一つがこのスイス例になる。

モラルを欠いたボーナス額に激怒する世論が高まった。一人の小企業経営者がレフェレンダムと言う国民投票運動を始めた。彼の動機は、膨大な額をネズミ泥棒的に懐に入れる`社会悪`と並び、雇用6万名と関連会社人員を路頭に放り出した責任を問うこと。具体的内容は、馬鹿げた無能経営者への報酬を法律で規制、違反者に数年の実刑を課すると言うもの。彼の運動はレフェレンダムに必要な規定署名数を集めたのである。

スイスからこの実施が伝わると、仏外相と独SDPトップが積極的支持声明を出す。英国高級紙も「何故アメリカにレフェレンダム法が無いのか? 今や十分に下地は揃っている」とUK国内での早期実現と共に論調を揃えている。スイスでは何か懸案があると国民投票が行われる。スイス国民は慣れっこになり、関心を呼ばないテーマだと投票率が過半数を少し上回る程度らしい。今回、高投票率は期待されていない。事前予測によると68%が報酬額の法規制と違反者の実刑とを支持している。

EU圏一般で様々分野の節約と昇給凍結措置が採られている。失業保険も年金もカットされる。通貨危機による不況/経済停滞のど真中にあって、金融業の異常なボーナス習慣への批判が相次ぐ。こうした寒々しい気分をスイス68%の数字が示していると言えるだろう。

[脚註];
1.個人的経験を言うと、宣伝アイテムである機内食用テーブルウェア―で美しく使い勝手がいいのはスイス航空のセットだった。個人の好みとは言え、専門家のはしくれとしての意見。明らかなコンセプトがあり、デザインに金がかかっているのが見て取れる。当時の大韓航空やキャセイ航空の比でない。機内アイテムのデザイン/質が一般的に下がったのは`ナインイレブン`テロ以降である。
2.座席を詰め、食事を出さない。格安の短距離乗客航空企業。例;フランクフルト-ロンドン往復90ユーロー。アイルランド人のアイディアだそうだ…


   Switherlands Referendam 01

来たる週末に、スイス連邦で又もやレフェレンダムが行われるそうだ。直接民主主義と言われ、選挙資格を持つ成人すべてが意思表示を示すことが出来る。先々年、Turmspitze(=尖塔)が並ぶ宗教的建築に対する国民投票が行われた(補註1) 。2011年その時の記事を下に移行。この週末レフェンレンダム背景は長い歴史を持つ金融業トップ`天文学的`報酬の見直しに関わる。おおかたのEU政権がピリッと反応…金融業の殿さまたち冬の時代? 
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Arabisch-muslimischen Minarettenと綴り、本来のキリスト教国家にも拘わらず、アラブ・イスラム教に属する"ミナレッテン”が林立する風景にお目にかかる。スイス で昔、これらの搭をスイスの独語で表現していたそうだ。ところが、いつの間にかミナレット/ミナレッテンと呼ぶようになった。イスラム教とその単語に見慣れったと言うこと。

チューリッヒ近くに住む我が息子の叔母が半ば怪しからんと言う表情でこう言う。「湖の手前 に搭が突っ立つミナレット(単数)、イスラムなのよ。風景破壊もいいとこ。困るわね」彼女一家はカルヴァイン新教です。ミナレッテンに ついて旧教も皆が大反対しているそうだ。

レフェレンダム元祖の連邦国家だから、喧々諤々あって、わずかの差で尖塔イスラム建築反対が多かった。バーゼルやジュネーブの西南域では建築OKが上回る。東北のチューリッヒ方面域では70~80%もの反対があった。多数民主制にのっとり ``アラブ宗教尖塔許さぬ``結論が出たわけ。

この問題は欧州の極右政党の大きな反応を呼ぶ。ポピュリズム(≒芸能的な人気取り主義)とは現在ではイスラム教と不可分の関係にある。ミナレット反対多数の結果を知った他EU圏の超保守主義または反イスラム政党が"良識ある国民判断”として歓迎したのは言うまでもない。スエーデンなど北欧は「民主主義の許容性/寛大性を逸脱する。イスラムへの偏見」と言う世論が強かったようだ。

先日ギリシャ支援に異議を唱えた独CDU 古参ウォルフガング・ボスバッハすらもスイス投票結果に否定的感想を漏らしている。メルケル宰相自身も開かれた許容度の高い民主主義を望むと述べ、CDUの気前良い路線を匂わせる感じだった。

ナインイレブンとその関連テロが、ドイツで起こっていないせいだと私は思う。このあたりはベルギー/UK/フランスと一味違う。ドイツ保守はカッコイイ所を見せたい…。アドルフ・ヒトラー狂気に戦後ずっと耐えてきた心性の裏返し、ドイツ人はこんなに開かれているんですよ…、私はそう感 じる。

スイスのレフェンレンダムが実行され、結果が明らかになると、例によってモスリム諸国が怒りだす。リビアの"酋長”がスイス製品ボイコットを提唱。彼の家族親戚一味はスイスの銀行に何十億フランを置いているにも拘わらず。奴さんが如何に好い加減に世界をもてあそび、一方それをアラブ均衡維持と石油との為に長年支援してきたのは主に西側"列強”に他ならない。着せ替え旦那にしてみれば、トリポリ陥落させたサルコジー+キャメロンのコンビ が恨めしく思え、同時に`ロクデナシの恥知らずめ`と心底思っているに違いない。

   Switherlands Referendam 02のコピー
シュヴィーツは連邦を構成するKantonと言う26地方行政区の一つ。ほぼ国土の中心に位置する。この旗から現在の国旗が作られた。裏返すと国際赤十字の旗で、その本部はスイスにある。マッターホーン(英読み)はシュヴィーツに属するようだ


[補註];
1.スピッツとはブンデスリガ(独サッ カーリーグ)等のシュート役のこと。先頭に突出して攻撃する位置のプレーヤー。空に突出する搭の先端と言う語彙からの借用。日本サッカー記事に司令塔が出てくる。Trum=塔と言うか物見櫓 (ヤグラ)から状況を見て各員へ指示を出すリーダーを指す。
鼻の尖った犬をスピッツと言うのも多分同じ…。スパイアーと言う英語彙があり、Spireは語源に近いspitzeからの匂いがする。カールスルーエ北にスパイエル(Speyer≒スパイアー=Spire)と言う小粋な町があり、双搭の司教区教会がある。これと絡む可能性あり…、尖った双塔が町の由来かもしれない。

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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

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