ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Politics and economics 政治/経済

no minimum wage in central European axis 欧州中央軸に規制なし

なぜドイツだけが、ギリシャ危機からEU大不況に展開した状況にあって、好況と言うか例外な経済充実をしているのか? 南欧ポルトガル/スペイン/イタリアなどから高教育を受けた若者たちがドイツに集まっている。就職機会があるからだ。南欧側は人材流失と言い、EU圏のドイツ独りがちに苛立ちを隠さない。アンゲラ・メルケルをアドルフ・ヒトラーに重ねたデモ看板はすっかりおなじみになっている。

一つの理由はドイツは雇用者最低賃金法を持たないためだ。周囲の国々はその法律があるために、ドイツより高い給料を支払わねばならない。その分、競争力がなくなる。逆に安い労働力でドイツは他国より生産性を上げられる。この最低賃金法を持つ/持たない国のイラストが下図である。なんと欧州まんなかがスッポリ赤色である。ドイツと共にスエーデン/フィンランド/イタリアが並ぶ。なるほど、思い当たるこれら四国の`強い業界`がある。

Minimumloon col 01

最低賃金の最も高いのはルクセンブルグ、以下順にベルギー/オランダ/アイルランド/フランス/イギリスと続く。数字は一月の税金込みの収入額。時給に翻訳すると、どうなるだろう。ルクセンブルグの場合、9ユーローぐらいだろうか? これまでドイツ連邦の最低時給は6ユーローほどだったそうだから、たとえば農業季節労働者に8~9ユーロを支払うオランダと比べると、非常に有利である。
 

昨々日、5週間のドイツ連邦・連立政権交渉がまとまった。5週間の短い間に、宿敵`CDU+CSU`対SPDの保革が合意したのだから、先の選挙結果によるドイツ政治事情を如実に示している。大連立と言われるキリスト教民主+キリスト教社会同盟の保守、そして社会民主党のコンビである。第一次アンゲラ内閣は早8年前になるが、保守二つで過半数に満たず、今回と同じSPDを加える大連立だった。まだ60手前の女性にとって、再び大連立になる。

初回例は何とか4年をこなしたが、本音は社会民主党と前首相ゲルハルト・シュレーデルとに辟易していた。2009年選挙で、FDP(自由民主)が政党資格支持率5%を超え(9%ほどだったか)たので、SDPと手が切れて顔色セイセイしていた。今回は、その連立相手のFDPが5%に達せず、政界地図から消えた[補注1]。前回は嫌で嫌で仕方なかったが、それから今日まで鍛え上げた`鉄の女性宰相`手腕がものを言う。


↓左;コアリチオンこと連立政権・協定をまとめあげた水曜日の記者会見。三党々首の揃い踏みだが、左SPDのSigmar Gabrielと保守連合CDU+CSUつまりAngela Merkel+Horst Seehoferとの二陣営。右;この日、ベルリンは秋の日差しを浴び、人々は公園歩きを楽しんだ。スプレー川の流れる都心歩きは半ば観光客用で、住宅街や郊外にこうした森があふれている。

berlin col 01

SPDは総選挙敗北政党として、新政権誕生に口出しせずと謙虚に引き下がっていた。もし我党なしで政権運営できないと言う判断をメルケルが下す場合にのみ、連立参加を検討すると公言。連立検討過程半ばで、政権の相棒の要請が出た。請われた立場だから、肝心なSDP政策主張をずらっと並べたのであろう。来週に組閣発表があるだろう。一説によると、メルケル三次内閣にかかるコストは年次予算をはるかに上回る規模になる…、全く現実性の無い合意と言う分析である。

ガブリエルの求めた連立合意条件の要の一つは、最低賃金法である。メルケルはこれをのみ、欧州真ん中を走る最低賃金なしの軸が壊れるわけだ。ついに戦後(西ドイツ成立以降)はじめて、労働者保護法が成立する。画期的と言わねばならないだろう。ホモ・レスビ罰則法が撤廃された1960年代の変化に重なるような感じを私は受ける。


【補注】;
1.ドイツ政治にFDPの存在基盤は最早無い…左様な一般論が出てきている。二次メルケル内閣の副党首を務めたFDP代表Guido Westerwelleの慣れない危なっかしい外相ぶりが目立った。彼は党首辞任し、外相のまま任期を勤め上げたが、かつてのゲンシャー(Hans-Dietrich Genscher )(コール16年政権のパートナー)のようなカリスマ性に掛け、FDP凋落に一役買った。  
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3 women held captive for 30 years were brainwashed

Lambeth SLAVES 02

Lambeth(ランベス)はロンドン中心部テームズ川南の地区名。初めて知った場所で、昨日夕刻から今日まで欧州のトップニュースの一つになっている。

ランベス地区の目立たぬ普通家屋に、3人の女性が30年に渡り監禁され、奴隷状態にあった事件。それぞれ国籍はマレイシア(69才)、アイルランド(57才)、ブリテン(30才)。地元の女性は生まれて以来、ずっと監禁されていたことになる。家主は67才夫婦で、UK国籍でないと言う。大都市の住宅区で起こった稀な長期間の奴隷監禁事件である。

2008年4月、オーストリアでヨーセフ・フリッツ(当時73才)の実娘エリザベスの監禁事件が発覚。地下に別住居を作り7人の子供を産ませる地獄図が世間を驚かした。昨日の公表はフリッツル事件に匹敵する現代の悪夢になる。

Lambeth 04

上;現代のスレイブだった三人女性のシルエット。下;スコットランドヤード(ロンドンの元警察本部の所在地の住所名。一般に日本でロンドン警視庁と呼ばれているようだ)の屋外で記者団発表する調査官ケヴィン・ハイランド。女性たちの実際の解放は10月25日で、公表は昨日だった。

隣人や近所では、``その家``は平凡かつ平和な家庭に見えたそうだ。30年間、内部に奴隷状態の三名がいることを、誰も気づかなかった。大都市の住宅街にまさかそんな家があろうと予測する人はいない。だから盲点になり、今まで来たのよ、とインタヴューされた通りがかりの若い女性が答えている。

発見がどうして起ったのか? たまたま年上の一人がTVか何かで「奴隷自由協会」の存在と電話番号を知り、異常事態と救出を訴えたからだ。それ以外の詳しい情報は殆ど分らない。本稿タイトルはThe Washington Post紙の見出し。洗脳されなければ、ありえないた奴隷状態と言うのはThe Independent紙の見出しにも共通する。
Beaten and brainwashed: Story of the women held as slaves - and there may be 6,000 others across Britain

詳しい細部はこれからの調査による。逮捕された夫婦は保釈金を積み自宅でない秘密の場所に移ったと言う。調査進行に従い、尋問出頭する。ユナイティッド・キングダム(UK)現代史にかつてなかった長期監禁事件だから、ウエストミンスター議会もスコットランドヤードと共に議論が盛んになるだろう。

しかしある筋によると、少なくとも六千名の同様な`奴隷`が存在するそうだ。怪奇な話題である。さてこうした事件が日本にもおこり得るだろうか? ありえまい、と思う。しかし…そう思われたUKで発生した。怖く、おぞましいトピックと言うほかない。
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Politics and economics 政治/経済

Thanks to Abe 日本経済はアベノミクスのおかげ?

FTSE 100 6,693.44 +0.41%
S&P 500 1,798.18 +0.42%
Eurofirst 300 1,297.85 +0.28%
Nikkei 225 15,165.92 +1.95%
Shanghai 2,135.83 +1.68%

本日11月17日 UKファイナンシャル・タイムズの出来高指標。失われた20年これが欧米経済人の`日本経済`への贈り言葉だ。1990年代の半ば、土地投機に由来する日本`風船`経済が爆発した。なんてことだ!以来こんにちまで日本は零どころかデフレーションの暗い谷間に落ち込んでいた。上の4行目ニッケイ出来高は過去15年8000~9000に留まり、いったい誰が本日の15,165.92までの回復を想像できただろうか。

日本の奇蹟が、1980~90年代に喧伝された。その奇蹟は20世紀末から21世紀きょうまで過去の栄光にを過ぎなくなっていた。↓のイラストは弓を射る侍の顔を阿部首相に置き換え、三つを繰り返している。毛利元就「一本の矢は折れても力合わせた三本ならば決して折れまいぞ」と言う故事をなぞっている。書き手はオランダ人だから、一寸感心する。
Abenomix 01


簡単な記事によると、阿部政権の3本矢とは;1.デフレーションからインフレーション(1%ほど)に旋回させる。2.二倍財政額によるインフラストラクチャ―投資。3.広範な構造改革…(内容不明)となっているらしい。それら3本矢が功を奏しているのか、普段の24時間サテライトやFT(ファイナンシャル・タイムズ紙)からでは見えてこない。

日本の話題は2年前の地震/津波/原発破壊、つまり`フクシマ`以外に何もない。ニュースの焦点は中国とシリア内紛くらいだろう。スマートフォン市場に於いてサムサングばかりでソニーを聞かない、車に於いて現代(ヒュンダイ)はトヨタにひけをとっていない…Etc、即ちテクノロジーに於いても日本は韓国に追い越されている。ざっとこんな印象がはびこっている。

ここに突然、アベノミックスが登場。りーガンやクリントンミックスの焼き直しだけれども、今年の中旬から何か変わってきているようだ。それがギリシャ危機からユーロー圏停滞までの泥沼につかる欧州に「オヤッ、あの日本が…」と微かな注目心をおこさせている。日本の失われた20年が欧州にはびり付くかもしれないのだから、ここは先例から学ぶべきものがあるかもしれない…。

アベノミックスが、100円=1ドルをもたらし、輸出ドライブに貢献…したのかも知れない。しかし前途は多難。日本は高齢化の最先端を走っている。より少ない`若い`のが`老い`世代を支えなければならない。経済停滞/財政困難に陥るのは、いわば自然である。これは、中・北の欧州の近未来にくる。それ故、女性が労働市場に盛んに進出し始めている。これに反し日本では、高教育を受けた女性が結婚育児で労働市場から離脱する。日本のやや特殊事情だが、アベ首相のトンネル向うの明かりは遠い。

 
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Art 絵画/ 建築

奪われ、秘匿された芸術 [Treasures of Nazis]

``子ヤギを抱く村娘``コーベ―の作かどうか? シャガール風の婦人像。いずれも本物ならば、合わせて数十億円の値が付くだろう。画像は北ドイツテレビ局の今夕ニュース。全ての画像が記者会見スクリーン上のスライド。普通コンパクトディジタルで充分だから、鮮明な写真公開が待たれる。
Art Treasure 02

秘匿芸術の発見!いつだったか、週刊(?)時事誌Focusが第一報をだし[補註1]、大騒ぎになった。昨日あらためて地元Süddeutsche Zeitung(南独新聞)がやや詳しい記事をだした。それをベースに各国の24時間サテライトニュースも記者会見模様を伝えた。ミューヘン市のアパートに保管されていた1400余点の絵画が警察によって発見された。しばらく秘密にされ、当局は公開のタイミングを計っていたようだ。しかるべき準備処置が必要だったと思われる。
アパート所在のミューヘンでなくバイエルン東端の独立市アウグスブルクで行われた。
Art Treasure 04

何故か? 1400点の本来の所有者が主にユダヤ人とみなされ、世界中に散らばるその子孫/近縁関係者からの返還要請に対応する準備期間と言う。過去の同様なケースと、係争中の有名コレクションが知られ、量の多さを考えると納得できる。大都市アパートの居住者の行方が分らない。その父親は戦前戦後に知られた美術商ヒルデブランド・グリット(Hildebrand Gurlitt)。彼の100点余のコレクションが知られるが、残り1300点の由来が謎である。

Art Treasure 01

記者会見の雛壇に並んだ美術史家マイケ・ホフマン女史いわく;ドイツ即物派の雄ディクスやヴェラルーシ人でフランスに帰化したシャガールの知られざる作品を含めた多くのトップレヴェル(市場価値が高い…と言うこと)、総計で数億ユーロー価値の可能性があるそうだ。これが検証されるならば、ドイツ連邦だけでなく絵画競売史上のレコードになる。

Art Treasure 03


大騒ぎになるのは金額の桁違いに加え、二次大戦中にナチスが収集したこれらの作品が何故ひとりの美術商に集まったのか?ドイツ敗戦と同時に作品はバイエルン州ヴィスバーデンにある米軍施設に押収され管理され、5年後に元の所有者に返還されたと言う。なんとも漠然とした話で、ユダヤ人ドイツ中央協会が徹底調査の要求声明を昨日出している。

絶頂期に限りなくデブッチョになったヘルマン・ゲーリング(Hermann Wilhelm Göring)は美術品に眼が無く、今回の作品中の数十点を所有していたらしい。総統ヒトラーは華美な元帥を笑って許していたそうだが、占領支配する土地の価値ある芸術作品の収集方針を知っていたと思われる。軍事財政と絡み、専門部あるいは担当官をもうけ、組織事業であったようだ。

来たる月々に徐々に細部が分ってくるだろう。なお美術品競売に於ける戦争との関係で最もノウハウを持つのはUK(≒+大英帝国時代の情報局MIA)である。何でもかんでもオークションにかけ、総国民競売国家のブリテン面目躍如の分野である。


【補註】;
1.Focusのすっぱ抜き記事を私はどこかに残しているが、一寸見つけられない。
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Art 絵画/ 建築

芸術 Art 藝術 Kunst

フラーンダレン語彙の綴り;Slet/Hoer/Verkrachting/Stenigingなどが見える。ふしだらな女/娼婦/強姦/石投げ…などの意味。フラーンダレンは`低い地域`の南側、英語の仮名はフランダース。ベルギー連邦のオランダ語圏。
Vlaamse Belang 01.

一週間前(25日だったか)、アンケ・ファン・デルメールシュ女史(41才)は著作権侵害裁判に敗れた。訴訟側はカナダ人19才の女性ロシア・レイク。デザイン学校(おそらく在学中)の作品を勝手に使われた…と言う分け。41才の元ミス・ベルギーで現在ベルギー極右政党の上院議院団代表と、ヒヨコデザイナーとの裁判。内実は極右政党`Vlaams Belang(フラームスの利益)`の反イスラム・キャンペーンに使われた図柄を盗作だとして、デザイン学生に共鳴したベルギー人たちが訴えたもの。

デザイン盗用や真似の類は日常茶飯事で、そんな手間暇と時間/金額を要する手続きを採るような人は普通いない。ファッション/写真、二次元/三次元、それらありとあらゆる所謂アート/芸術はコピーと創造の国境なき、グレーゾーンたる世界だから、このベルギー案件はオヤッマーと言う印象を受ける。

訴訟動機は、極右の反イスラム姿勢を怪しからんとする罪なき善良な若者たちの`怒り`かも知れない。あるいはキャンペーンを考え、少女の作品を利用した元ミス・ベルギー追い落とし作戦かもしれない。モデル業から政界進出できたのは、民族主義の人気に便乗したからだろう(と、私は思う)。ベルギーでも左様なケッタイな政治現象がしばしば起こるのである。

アンケ・マリアがロシア・レイク`出世`作「脚線美とコメント」アイディアを使ったのは悪くない、と私は思う。女性蔑視の過激イスラムに対し、女性の美を手段にする政治的主張を表現しているのだから。

Vlaamse Belang 02.

ソフトウェアーUS産業が支那による破廉恥な著作権侵害に文句をていしたことがある。マイクロソフト/アドーブなどによると、支那(人)に知的財産を尊重する思考は無いそうだ。いちおう法律を作ったらしいが、国内巨大市場の過酷な競争に勝たねばならず、闇商いは支那社会の常識だから、コピーライトは在って無しのごとく。訴えられても、該当商品はすでに過去になっている。ウインドー98支那語の摸造版によって、MSは数百億円の損害を受けたと言う。

著作権は主に科学(学問)/芸術において、とやかく言われるのが一般的で目立つ。英独語彙でPlagiarism/Pragiatとそれぞれ言い、ときどき剽窃/盗用で学者や政治家がメディアを賑わす。これは仮名でプラジアートと書くほどに、出世する箔作りに巧みに分らぬように他人の仕事を盗むアートでもある。近年の`芸術`はドイツ連邦政府二次アンゲラ・メルケル政権の国防相と教育文化相の例だろう[補註1]。いずれも最初のキャリアーを始める時に、役立った資格である。それが盗作だった。小説家が名を成してから他作家や研究書の頁/段落を安易に写すのとやや異なるのだが、証拠を上げやすい点で絵画/彫刻より`論文コピーのプラジアリスト`は社会的制裁をはっきりと受ける。

ベルギーの極右と言うと、日本における黒い宣伝カーの極右団体を思い浮かべるかも知れない。欧州各国に極右政党と一般に形容される政党が存在し、自国民を第一、移民排斥(従ってもっとも多いイスラム人が対象になる)、欧州連合離脱、と言った政策で共通する。それぞれの国でかなりの支持率を持つ。しかし黒い宣伝カーと違い、普通人々に受ける`人気取り政党`と見なされる。「人気とり」はドイツ語彙Nationalsozialismus省略形NAZISM(国家社会主義)からのメディア用法である。しかし21世紀の極右は、それなりに真面目な民族主義政党である。`左の環境政党`と同じ環境政策を掲げる`極右`もあり、連立政権の一角を似合うデンマーク極右党もある。

政治的主題と無関係なグラフィック作品を政治的手段に利用した「フラームスの利益」党はオリジナルの持つ芸術的思想を蹂躙している、と言うのが一つの判決理由らしい。もちろん学生デザイン作品の創造性を侵害しているのが主理由である。ベルギー連邦司法当局はクソ真面目に、近代民主国家に於けるコピーライト権を擁護しているのだ。支那で行われる闇あきないはいけない、と欧米文化の良識を示しているのである。

ベルギー・アントヴェルペン地方裁判所は「フラームスの利益」党に反イスラムキャンペーンの中止命令をだし、`判決結果とそれに従う党声明を地元有力紙シタンダールトに掲載する`要請を添えている。上院議員の当事者アンケ・マリアが党スポークスマンでスポットライトを浴び、彼女は勇み足を引き戻された格好になる。だが、党勢(≒支持率)に影響は出ないだろう。イスラム圏からの難民+2世3世の文化的融合は一向に進まず、彼らによる欧州イスラム化は隠れたる政治主題であり続ける。

Badeend col 01

ロシア嬢作品の著作権話題はとどのつまり、芸術とは何なの? と言う一般的ナゾナゾを投げかけた。彼女の紹介に`芸術家`とあり、その`芸術`を功利的/政治的に利用した事件だからである。一世期前まで、芸術は比較的はっきりしていた。戦前`現代芸術`も、中世キリスト宗教絵画/彫刻/建築並みに理解されていた。戦後に繋がるブランキュージ/ジャコメッティ―・勇ノグチ…etc..

半世紀前、ニキータ・セルゲィヴィチ・フルシチョフがモスクワ展覧会に訪れ、ある抽象画を見て「こりゃ馬の尾っぽに過ぎん、馬鹿馬鹿しい」と言った。いまや故事になっている。彼はキュビスム(ピカソ)を分かっても、馬の尾は分らなかったのだ。19世紀、立体要素をバラバラにして再コラージュすると言った`非芸術`に対し、フランス議会が教育上このましからずとして非難問答をする時もあったから、丸坊主頭のニキータ書記長は`普通の凡人感覚`だったかも知れない。彼の言説に`裸の王様`少年を重ねる人がいて不思議でない。

芸術は個人の内なる感性に属する。言い換えると「好み」の問題だ。Aにとって芸術なるものはBにとって紙屑になる。フルシチョフ言は、正直を超える`芸術`本質を示している。まことしやかに芸術論をくっつけると芸術になり得る現象もある。

上のお風呂に浮かべるアヒルは`芸術家`が作ったので`芸術`になり得た。看板/広告屋が作れば、そうはならない。普段のスケールを何十倍も拡大するありふれた手法で、そのあたりに浮かべるとアトラクションになる。子供・家族連れにも面白いので、スポンサーが付き、6年ばかし世界巡業してこのほどアムステルダムに帰港。先頃ポンプ作業中に誤って爆発。2つ目を作るかもしれないが、既に話題の峠を過ぎているので、商い価値は半滅している。

ヒヨコは黄色い羽毛に包まれている。黄色いヒヨコは、何時からだろう、人々に可愛いイメージを植え付け、童話や絵本に常に登場する。民族を問わず地球上いたるところにヴァリエーションがある。Florentijn Hofmanはそれをそのまま真似したスケッチと事業プランを考え、スポンサー探しをして、実現したのだ。芸術であれ無かれ、チョットしたアイディアを具体化すること。そうしてパンをあがなう`芸術家`{補注2}は国民の数%に及ぶだろう。

「あがなう」ほどに、たいていのクンストナールはカツカツで生きている。しかし自分の趣味だから、必死で苦しんでいる人はいない。旦那が稼ぎ、女房が芸術家と言う例も多い。その女房の芸術稼ぎがよく、とうとう旦那が画廊めぐりの運転手やお絵かき助手を務める例に出会ったことがある。とはいえ何十/何百万の大部分の芸術家は町や村の野外催しに出展する貧しくも陽気な人々であるだろう。


【補註】;
1.国防大臣はバイエルン州キリスト教同盟のグッテンベルク。昨年、盗作調査グループによる疑惑がでて、大学調査委員会で`犯罪`認定され、法学博士資格を失う。大臣辞任とその数日後に議員を辞任。政治生命を終える。Karl-Theodor Maria Nikolaus Johann Jacob Philipp Franz Joseph Sylvester Freiherr von und zu Guttenbergと言う長い名前は昔の貴族家系の証明だが…、華族/貴族の安普請ぶりで、各国何処も地に落ちている。
今年カーニヴァルの頃、Annette Schavanも辞任せざるを得なかった。バーデン・ヴェルテンブルク州スポーつ大臣中にメルケルと懇意になる。連邦教育省に抜擢されベルリン入り。宗教学の博士号で出世街道を歩んできたが、テオドールのように論文盗作が明るみになった。シャーヴァン女史は同性としてメルケルの片腕的位置まで登り詰め絶頂期にあった。嘘でキャリアー作りをするのは紙一枚の資格社会の裏面かもしれない。

2.芸術の独/蘭語彙;Kunst。Künstler/Kunstenaar。Artはロマン語系フランス語彙ゆえ、そのまま英語彙になっている。フロレンタインは自分を万と転がるクンストナールの一人としつつ、でかいアヒルがどう呼ばれようと気にかけていない。所詮`芸術`は普段の`通り`に何気なくあるオブジェに過ぎない、と言う認識。だから商いして儲けたい。食うや食わずのヴァン・ゴッホ的芸術家は`個人`芽生えの近代的存在だが、そんな真面目な芸術修行者は決して一人前アーティストになりえないだろう。
日本で芸術は買いかぶられ、特殊化されている節がある。美術館に収めるのが芸術…、そんな大それたことは私に出来ない、才能も無い。と言う按配で、床の間の掛け物や書道に似た扱いを受けているのが芸術家であるような印象を受ける。限られた人々が行っているような印象を受ける。俳句/川柳は国民みなによって`たしなまれる`。そこまで絵画・彫刻・アッセンブラージュ(工業製品/生活道具の寄せ集とパーフォーマンス)もたどり着くと、楽しいのだが…。
 

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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

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