ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Nostalgic Melody&Film 懐メロ&フィルム

The Chapel covered by ivy つたの絡まるチャペル***ブドウ科とウコギ科を巡りつつ

木を伝うツタの画像を見ていると、学生時代という歌謡曲のメロディーが浮かんで来る。歌と関ることも歌うことも滅多にない私が覚えているのだから、よほど世間に知られヒットした歌謡曲に違いない。ペギー葉山が歌っていた。

Peggyはよく鳴く鴬類の鳥から転じて歌手を指し、自然に女性愛称になった。ジャックとペギーに太郎と花子…そんな感じを受ける。神武景気の頃に厚木あたりの米軍基地からポピュラーになったのでは…。子供心にもう一つ馴染めない芸名に思われ、私の従って"評価ゼロ"の歌手。しかしさすがに南国土佐とこれは知っていたのですね。

ツタの絡まる一つのチャペルを覚えている。キリスト教の女子大学が御所の近くにあり、レンガつくりの建築が立ち並ぶ中のややこじんまりした一つだった、と思う。あそこのツタが夏ヅタだったか、それとも冬ヅタだったか分からない。蔦と大学の関係は、アイビー・リーグやアイビー・ルックと言う熟語に見られる。この歌謡詞が読まれて不思議でない。

ペギー葉山が在学したのは東京のどこかのキリスト教の学校でしょう。彼女が作詞者と共に見たツタは`枯葉散る`から冬に葉を落とす夏蔦だと分かります。甘く切なく、返ってこない学生時代を素直に詠い上げて見事。平岡はペギーを学生時代に歌手業で食っていけるまで育て、同時にペギーに惚れていた人なそうな。それが歌詞に読み取れるか…。

ナツヅタの葉っぱは変幻自在。小さなハート葉、三枚細葉、三裂した一枚葉、それぞれに表情がある。秋になると葉緑素が抜けて黄色から紅に染まってゆく。この歌にはやはりブドウ科のツタが似合う。

    つたの絡まるチャペルで 祈りを捧げた日
      夢多かりしあの頃の 想い出をたどれば
        懐かしい友の顔が 一人一人うかぶ
           重いカバンを抱えて 通ったあの道
              秋の日の図書館の ノートとインクの匂い
                枯葉の散る窓辺 学生時代

セイヨウ蔦 St.JansBerg 02 Klimop


冬ヅタは別名キヅタと呼ばれ、ウコギ科のクライマーです。上のつたは正確に同じ種(シュ)でありませんが、兄弟と言える欧州版。ナツナラにくらいついていながら、主(アルシ)に負けない威容ぶり。主木は(見づらいですが)直系80センチほどですから、樹齢150~200年でしょう。ツタは天辺まで軽く這い上がり、その貫禄振りから半世紀前後の生命では…。値打ちモンだ。セイヨウキヅタと和名をあてられ、ブリテン諸島を含め南欧から北欧まで旺盛に自生している。隣村でエフェ、海向こうでアイビーと言う具合で各地に多くの呼び名があります(記述はHedera helix)。

ヴィンセント・ファン・ゴッホは静養中のサン・パウル・ド・モゾール療養所の樹木の茂る庭を描き、地上を這う植物をツルニチニチソウと見たようです。ツルニチニチソウも蔓性の樹木。濃い影と白い陽光が交錯するゴッホだけの画材と執拗な観察です。這う植物は多分地中海沿いに多い黒松によじ登っているので、エフェのほうだと思いますね。

Klimop huis 1 GenHaag

手入れの届いた住宅街のデコレーション。下は細部で、別の小木が混じる。”このきなんのき'と言う粋で楽しいサイトに勝れた鑑定団がいて、ぜひ当ててほしい。

Klimop huis 2 GenHaag 別木 混じり細部


ブリテン島に世間ひろく賞賛される造園術とその庭園がある。時々、屋敷一面を覆うアイビー作りを観賞できる。世話が大変だと想像するが、人々に愛でてもらうのが目的だから、費用も人も充分にかけている。それが出来ずに、放ったらかしアイビーも多い。お化け屋敷の表情も似合うのがアイビーである。

下はツタにびっしりと這いつかれた冬の珍しいたたずまい。冬芽の先端が赤いのがユニークで、春の葉出しの際、ドォーッと茂るぞーと囁いているのか? ただし本個体が何者か正確に私に分からない。ペギー葉山が親しんだナツヅタがこんな汚い野世味ならば、熟年を超えたかも知れぬ彼女の思い出に傷をつけるかも知れない。

Kranenburg 日米のどちら 家ぜんたい


赤い葉のような先っぽと葉痕とおぼしき物らを見ると、普段のナツヅタに見られないような表情なんですね。壁に残る枯渇した吸盤は欧エフェ日ナツヅタのいずれにも思える。あるいはアイビー古木が充分な栄養物質を得られず、もはや家屋周りに葉を付けられず辛うじて赤っぽい春に出す葉だけを見せているのかも知れない。なぜなら、稀にここを通る時、ブリテン屋敷のような豊かな風情を目撃した記憶が無いのです。上の物知り鑑定団諸賢に教えをいただかねばなりません。

Kranenburg 日米のどちら 冬芽細部


角家の飾りツタとやや趣向が違うのをご覧になられるでしょう。ツタ園芸種の由来が違い、加えて斑入り葉が見える。ナツヅタにも斑入りがあると思います。エフェ/アイビーの斑入りは19世紀の何時でしたか?山中で発見され、選抜育成され、今では相当数の斑入りヴァリエーションが市場に出ています。それが角家例とこの厚みのある例との印象を違えている。下例の住人は、家屋の内部から常に暗い感じを持つのでは…と想像します。

ツタの家B 近くの坂道


つたの絡まるチャペルに毎日曜日に出かける人々が少なくなりました。かつて75名余の圧倒的過半数だった蘭国下院キリスト教民主党が今日選挙をすれば消え入るよう11名に過ぎなくなるコンテンポラリー性と関係がある。ドッコイ隣のメルケルオバサンはまだキリスト的保守の真面目選挙民の裾をしっかりつかんでいる。マアお国柄…。

街にあるカソリック大学は広大なキャンパスと森を広げています。パルテノン礼拝堂のような同じ色・白壁のチャペルが勿論2ヵ所用意され建っています。名高い宗教学科があり、キャンパス背後に建つ大規模で古風な僧院風建築にかつての教授/司祭たちが老後を送っています。学生たちのチャペルを訪れるわずかな若者たちは、敬虔な…と言うよりも、日々学業の束の間に取る休息のような時間を過ごすのではないか。

三番の歌詞に若い女学生たちが愛し合うイメージが込められ、綺麗だと思う。アラブの男同士の宗教的挨拶には勘弁してほしいですが、女性同士の愛と言うのは 洒落た美しさがある(ような気がする)。女性はヘテロとビーセクシュアル兼用でも良いのではないか。勝手ながらに思うんです。すると女性方から、はかなくも綺麗なホモの古代・中世の歴史を勉強あそばせと言われそうですナ。


  ロウソクの灯(ひ)に輝く 十字架をみつめて
   白い指を組みながら うつむいていた友
    その美しい横顔 姉のように慕い
     いつまでもかわらずにと 願った幸せ
      テニスコート キャンプファイヤー
       懐かしい日々は帰らず
        すばらしいあの頃 学生時代
         すばらしいあの頃 学生時代

           作詞・作曲:平岡精二
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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