ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

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Here&there lands 雑なるアレコレ大地

60年前 国を割る寸前だったベルギーだから、


ベルギー連邦は未だに新政権が成立せず、お古の”組閣なれば直ぐに辞職する”と言うかりそめの内閣”が日常を取り仕切る。ユーロ通貨危機に関する重要国際会議が頻繁に行われ、ベルギーの顔になるのは従ってイーヴェ・ レイテルメ前首相。[参照10月6日:ベルギーは素っ頓狂 不可思議な国 レイテルメ珍事…前/後編] 彼は止めたり返り咲いたり優柔不断と言うか、非常に柔軟で人柔らかな人物で、かりそめの宰相に打ってつけなのだろう。

ベルギー国家や国民の一人が何かの世界記録保持者であると言うのはまず滅多に起こらない。日本でもおいそれとない。ところが議会民主政治史上に、本物のキャビネット無しで1年半を走り続けると言う記録を見つけることは出来ない。紛れも無い世界記録だ。見上げた国家運営ではないか。後世に残る"誇り”になるかも知れない。

Nos Belgie

世界記録に並ぶ南隣のニュースを伝える蘭国番組。レイテルメ仮内閣が財政不足のため200億ユーロ国債を発行。イタリアと並ぶ数字の利子(6~7%)が異常だそうだ。ベルギー人々の半分は国債発行で良くなる?と懐疑的。あと半分は地中海諸国ユーロ国にならないようにと、国債を買うので、発行は成功したそうである。

Belgie toestand 2 Letelme en t

右が本物首相が決まるまでピンチヒッターのレイテルメ。左は今日"大事件"のインタヴューに応えるヘルマン・ド・クロー。フラームス(=フランダース)自由民主党の頭。これで組閣できるベースが出来たと喜こんでいる。

温厚なアルベルト国王は、祖国を案じ、居ても立ってもいられなくなり、我慢の限界に達し、一月前に天の御一声を放たれた。「オノオノ方、もうそろそろ切りをつけられよ。内閣立ち上げの時期ですよ」。それは初めてでなく、既に何度目かのお声なのだった。前ボウデワィン兄を継ぎ、アルベルト二世として貫禄と言うか、国王らしい風格を帯びつつも、まさかこんな前代未聞の世界記録に立ち会う君主になろうとは夢にも思わなかったでしょう。

二世と言うのは祖父が初代を名のっているから。王室と言うのは、何もベルギーだけが「素っ頓狂」でない。なれども、ナポレオン期にロシア将校だった"無職"で遊んでいたザクセン・コーブルグ‐ゴータ家系の男をベルギーの頭に迎え、何とかかんとか(しかし必死で)独立したベルギーだから、"素っ頓狂”がやっぱり続いていく。

アルベルト初代は山登りの際、墜落か何かの不幸でなくなる。継いだのは長男の三代目レオポルドを名のる現国王の親爺。レオさん(3)は自ら運転中の事故で上さんアストリットを亡くす。山岳地スイスか?馬鹿ンスる旅の途中だったようです。

独り身の彼はその後あちこちパートナーと庶子をもうけ、アストリットの親元スエーデン王家とベルギー国民からそっぽを向かれる。現スエーデン王室は(確か)ナポレオン旗下イエナの戦いでドジを踏んだベルナデット司令官を迎えた筈ですから、ベルギーと似たり寄ったり。あまり怒っても格好付かないと思いますが。

とまれ"素っ頓狂"をほかの言葉で何と表現するか…。そむかれる原因は第三独帝国による占領期間に、強引に行った同胞女性との再婚。リリアンと言う元西フラーンデレン知事の子女らしい。当時の常識は貴賎結婚を良しとしない。ヨーロッパの王室同士は絡み合い、言って見れば全てが縁戚で近親サークルですから、彼等が冷たい視線を送るのは当然でしょう。分家末裔の目立たぬ華族の子女ならば、そよ風だったかもしれないが…

ナチから解放された戦後、亡命先のスイスからのレオポルド3夫婦帰還に対して、国民投票があったことを特筆していいのでは。OKはフラーンデレン70%、フランス語圏50%をわったそうな。平均して辛うじ国王復帰が上回った。君主の是非を問うレフェレンダムは最近ネパールであった筈。これで決まったイタリア王政廃止は先例になる。あわやベルギーお前もか…。投票を巡る前後、賛否で国が真っ二つに割れ、内戦になる雰囲気だった…。

レオ3は今なら当たり前の"個の自由"を実践した勇気ある人だったのでしょうな。しかし、これでは不味いと長男擁立案が出る。成人するまでレオ弟を代理王として、60年前の1951年7月に、まず父が"辞職"に正式署名、翌日17日長男が就任。退位/即位と言うべきか? 21世紀に世襲なる不可解が存在するのも不思議。歴史のなせる業ですから、一つの職と理解するとやや合理的な気がする。

Belgie toestand 1 Lorent 2  De Rupo

蝶ネクタイが印の人物。顔は無くても良い。誰にも分かる。昨日夕方6時から19時間のマラソン会議の結果が出た。六つの政党による1日半の折衝を取りまとめた。役職名は"組閣お膳たてをする人"と言うと分かりやすい。エリオ・ディ・ルポと耳慣れない姓名はイタリア移民の息子だから。彼がフランス語圏社会党=PSの頭で、アルベルト2最後の"お膳たて"指名を受けた。

これまで何人も内閣作り屋さんが立ち、挫折してきた。ルポも2日前に、自由保守陣営の「税軽減/変革/節約」方針とぶつかり、大役返上を国王に具申した。だが6代目よりさらに進めるようにと要請され「左様ならば束の間のお時間をいただきつかまつる」と引き下がってきたばかり。

王の切ない願いが届いたのか、またもや6者会談が持たれた。6政党とは、CD&V(+N-VA)、PS、Vld、SP、MR、cdHのこと。VはVlaamse(英:Flanders=Flemish)の頭文字。ぶっとうし徹夜になり、各党の専門グループが忙しく出入りした。本日午後、2012~2014年の財政予算案の承認を見た。これがこの数ヶ月の懸案事項で折り合わなかった。奇跡に近い、と誰かが言った。そこはベルギーなのだ。

CD&V:イーヴェ率いる与党"フラームス・キリスト教民主"。1年半前選挙に大敗。
N-VA :バルト・ウェヴェルをリーダーにする"新フラームス同盟"。選挙にダントツ勝ち。蘭語圏フラーダレン独立を見据え"国を割る"勢いなのだが、意外に穏健で CD&Vと連携している。
PS:フランス語圏の社会党。蝶ネクタイのルポを党首に仏語圏(ブリュッセル)で大勝。
openVld :前首相フェルホフシュタットの"フラームス自由民主"。ド・クローが頭。
SPa:オランダ語圏の"社会党"にa をつける。昔の社会党と一寸違う新しい党だと言う。フランス語圏PSの友党だが、言語違いだからマニフェストも違う。戦後長く政権与党で副首相を務めたトッバックと言う人いたが、現在の党首はその息子だろうか。
MR:小さいキリスト教政党が合同した"変革運動"党。仏語圏のやや保守グループの連合党。
cdH: "中央民主人権"党。仏語圏の中道路線と言う意味…。EU委員のミッシェルの息子が代表。

onderhandelaars-hakken-laatste-begrotingsknopen-door-akkoord-zeer-nabij
予算案の最後のもつれを紐解いた。組閣の目処が付きそう…

国王次男ロランが旧植民地コンゴ(の組織)と付き合いがあり、父/兄と政府の助言にも拘わらず休暇に出かけた。N-VAのバルトが華族費を削るぞ!と言ったせいか「コンゴ気をつける」と洒落たのは前回に触れた通り。N-VA は同じ地盤の右翼政党"フラームスの利益≒フラームス優先"より遥かに穏健だが、党首ウェヴェルは右翼党の牽引車ド・ウィンテルと変わらない印象を与える。王族の坊ちゃんでは立ち打ち出来ない。下画像の左が継承順位の10数番目の国王次男ロラン。

Belgie toestand 3 Lorent en Albelt

右画像:選挙の勝者がアルベルト2に送られブリュッセル宮殿から出る場面。ウェヴェルはこの時、組閣のアレンジを依頼され、承諾している。しかしお察しの通り、連立すべき各党の政策調整交渉は直ぐに破綻した。今日の"合意なる"新聞一面ニュースは同時に欧州を駆け巡った。一年半に及ぶ政権不在が終わりになりそうだから、さすがにニュースヴァリューがある。

N-VA は組閣手順で、ルポと如何に立ち回るか、世間の関心事。ワロン言葉(フランス語の一形態)を話す人々にとって、バルトを代表とするフラームスの言葉を話すグループは国を分かつ恐ろしいヤクザに見えるようです。60年前のレオポルドの王冠復帰を反対したのはワロニアだった。ベルギーらしい"伝統"が生きているのだ。
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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