ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Here&there lands 雑なるアレコレ大地

泡がはじけた小さな島国の民族


Mícheál D. Ó hUiginn こうアイルランド・ゲールIrish Gaelic 語で書くのが先の11日大統領選挙で当選したヒギンス氏。Oの上に点をつけ、hのあとに大文字Uが来る。印欧語に属するケルト語がこう言う感じになるんですね。彼の本来の苗字はオー・サリバンとかオー・ブライアンと同じで、オー・ヒギンなのかも知れません。アイルランドはEUから財政援助を受ける危機の渦中、それゆえ政権が交代。大統領は名誉職だから、ヒギンスさんの当選は危機と関係ないかも…

UntiIreland Crisis 03 Higgins

この国を本来ゲール語でEireと書く。Eが消えてireの土地/ 国がIrelandアイルランドと言う英綴りになっている。ゲールの言葉を21世紀の今日、実際に用いるのは非常に少ない。現在アイルとスコットの両ランドで10万に満たない、とケネディさんに教わった。アイルランド人口450万(都市圏"大阪"の2/3に相当)からするともはや"絶滅”言語の感じです。

ブリテン連合に政治経済で呑まれ、従属的立場に立ち、英語化が進んだ。ケネディー一家も英語です。彼女は自国語を分かるけれども…と微笑しております。1次大戦中に連合王国から離脱宣言、戦後に各国から認知され、2次大戦後に大英帝国圏からも離脱。完全な独立国家なのよ、と誇らしげに彼女は言う。

30年前に出あった当時大陸で職探しのアイルランドの若者達を覚えている。そして修学旅行で100人ほどの生徒を引率するダブリンの教師とニュールンベルグで二晩飲んで話しを聞いた。彼のブリテン政府への怒りは今でもよく覚えている。何も知らなかったので強烈だった。[7月の日記:だいだい色…オレンジマーチ…など参照ください]

30年前の殴り描き:Krating/McDonnell/Hammondとサインしてくれた彼等も50を越しただろう
Irish young peoplein  Dusseldorf

アイルランドが例えばユーロ通貨を用いNATO加盟国であるのは、スコットランド+イングランドの連合国家と全く無関係な自主独立だからである。連合国家にコケにされ迫害され続けた歴史の中でIRA(≒アイルランド独立軍≒テロ組織としてブリテン政府に見られるが)が生まれている。英国国教会/アングリカン側と旧教側との内戦の過程から継承されるのが現在のIRA。これがブリテン支配域(首都ベルファスト)で、主に活動している。

21世紀になりアイルランド経済は好調に向かい、2005年には世界で最も経済成長する国といわれる。今の支那に匹敵しよう。高い利息ローンで大きな新築がドンドン売れたのである。銀行は自己資本の100倍以上を貸し付け、且つアイスランド/ブリテン/大陸の銀行と連携して投機に走った。アイルランド島のいたるところに格好良い新築住宅が、ショッピングセンターにビジネスコンパウンドビル/リゾートヴィレッジが計画され、実施された。セルティック・タイガーと言う語彙が未曾有の好況をシンボライズした。中世から近代までブリテンに虐げられた貧しいケルト民族が経験する夢のような時代…。

UntiIreland Crisis 02 houses empty

2008年リーマンショック大波がもろに島を直撃。銀行は債務負担に耐え切れず国有化された。人々は職を失い、ローンを支払えず、新居から追い出される。銀行家だけでなく、高額年金を勝手に決めて左の手で有頂天になっていた大臣/官僚のズサンが明るみに出る。建設の槌音はパタッと止み、空になった新築家屋だらけの風景が出現し始める。栄華の極みから奈落の底だ。土地とその投機ブームで沸いた日本のバブル破裂と同じ現象に思われる…。

UntiIreland Crisis 01 houses empty家のみ

グレイト・ブリテン連合国家はアン・スチューアート治世1707年に既に同君連合であったスコットランドとイングランドの正式承認によって実現した。これにアイルランドが加わるのは1800年である。大きな島とそれに寄り添う小さな島が一緒になる。二つの政府が同時に統合国家になる法律を批准して実現。これから1世紀の期間「グレイトブリテンand アイルランドとの寄り合い王国」と言う正式名称が第一次世界大戦終了まで用いられることになる。

大西洋に臨む海岸線は北海道や日本海にもありそうな感じだ。いつかの夏の終わりに、鯖釣りヴァカンスと言う地元アイルランドの魚村企画に参加した知人から、そこで直ぐに燻製にした鯖を5~6匹もらったことがある。海も村も、自然が溢れている土地だと話してくれた。人情もブリテンと全く違うそうな。その海岸の画像に、雨と風にさらされ朽ちていく住宅を並べると、今のアイルランド危機が理解できよう。

Ireland See and Crisis

ヒギンスもケネディーもアイルランドで珍しくない苗字で、他にクリントン・オーコナー・マッカシー・マックドナルド・トンプソンなど聞き覚えがあるけれども、面白いのは鈴木/佐藤にあたる一番と2番がマーフィーとケリーだそうだ。 MurphyとKellyなら白黒映画コメディーにあったような気がする。極貧の島から北米に新天地を求め移住せざるを得なかった人々の末裔の苗字数順位が脚色者に採用された結果であろうか…。

この7月頃、何世紀ぶりかで向かいの大島から君主をダブリンに迎えた。三日間の訪問で、1次2次大戦慰霊記念碑に参る高齢エリザベス二世夫妻を助けるように、若いアイルランド首相夫妻が同行した。随行者はウィリアム・ヘイグ外相で、アラブと通貨危機との超多忙にある人だが、隣国への義を尽くさねばならない。歓迎夕食会が放映されていたが、こじんまりとして世紀のわだかまりをほぐすに充分な雰囲気に思われた。

最重要貿易関係に加え、同じ"英語"言語の国どうし。激しい緊縮ユーロ国と何とか持ちこたえるポンドの国との歴史的な友好外交行事である。人口と国内総生産高が1対10以上の差があっても、隣同士と言う地理的因果から逃れることは出来ない。行事のかたわら、わずかのIRA積極支持グループがプラカードや垂れ幕を掲げ、意志表示を行うのが印象に残った。


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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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