ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

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ウィーンの元旦 ニュー・オーストリアを観る

Kwier en Dans


王朝栄華の物語やモーツアルトやシューベルト音楽ファンの方はウィーンの街は堪らないでしょう。コスチューム映画そのままの宮殿や庭園がゴロゴロ転がっています。ハプスブルグ家の本拠ならば当たり前ですね。皮肉っぽく言うと、それだけ古い垢がたまり、悪しき伝統と言うか官吏汚職が当たり前の大都会のようです。(参照10月15日 ウィーンは華麗なれど、、、ご覧ください)

それもあり元旦に組まれるオペラ劇場のウィーン交響楽団音楽会はつとに知られる。いつから始ったのか知りません。モーツアルトの頃からか、ヨーゼフ・シュトラウスの時か、あるいはもっと遡るグレゴリオ暦採用16世紀末から、皇帝夫妻を正面に迎えた同趣旨の音楽会があったのかも知れません。

知り合いの熟年オバサンが本物の新年コンサートがあっても、このユーロヴィジョン番組だけは見逃さないと言います。ユーローヴィジョンは欧州合同テレビ放映機構なのでしょう、同じライブ映像を加盟国が受け自国語解説をつける番組。EUと連動する共通組織の一つと思われる。毎年のユーロー・ソング・フェスティバル実況もこれでしょう。

ワルツの国と都のウィーン発ですが、モーツアルトや更にベートーベンにバッハの曲が演奏されるのかどうか不明。これまでの好い加減な印象だと、観客が指揮者の招きに乗って手を打って興ずるワルツ・ポルカのたぐいだけのような気がする…。音楽と縁のない輩なので、朦朧となってしまう。


由緒あるオペラホールの収容人員数はあまり多くなさそうです。大使/外交官のような官界または政財界の人々なら優先的に券をまわしてもらえる。一般の観光客たぐいでは券入手は一寸無理だと、通のオバサンが言う。彼女はかつて一度”臨席”したことがあるのです。

昔はそれほどでなかったけれど、今頃は闇値が付いている可能性があるそうな。さもあらん…。なにやらフットボールやオリンピックの入場権のようなプレミアムがつく感じ。10~20万円…? サアー、ウィーンは別世界。

Neujahrskonzert 3


大晦日の日記が、基本になる冬時間の8時間差のため、元旦の日付けになり、新年にふさわしい話題と思われずチョット腰が引けたのです。天使のような少年合唱団が登場したのは偶然ですが、少女合唱団でない点が"教会"の性向を示している。善悪で語られぬ、男女の存在のあり方とか役割の違いとか、途方もない深い理由なんでしょう。

やむを得ずでなく、やはり日本に何度も遠征した少年コーラスに起ったスキャンダルは書き添えるべきかも。先の世紀から教会を揺るがしている主題から逃れられず、元ウィーン少年合唱団だった人々が悲痛な鐘を鳴らしたのです。オーストリアを代表する親善使節で、清らかな天使達の教会組織の内情ゆえに国をひっくり返す騒ぎになりました。

パイプオルガン手前の狭い部分に並ぶ少年達は恐らく、当局と主催運営する教会とが寄宿制ほか合唱練習制を全面的にあらためた新しいウィーン合唱団の筈。それともあの有名合唱団と異なる別グループかも知れません。とまれ歌唱と生活指導する当時の疑惑ある聖職者たちは既に引退と言うか、身を引いたのではないでしょうか。

ウィーンに偉いと思うことが一つある。議会が原子力発電所を許さなかった(そうです)。また聞きですから、信用しないでほしいのですが、オーストリアに原発がないと聞いて私はビックリした。山岳国で水力発電か火力発電で充分だったのでしょうね。欧州中央から見ると東方にあり、”東にある遠い東方の土地”と言われる国名ゆえに、西の国々と違っていたわけ。まさかこの時代に原発無しでエネルギー政策をなす国家があったと言う点が脅威です。

自動車産業は無く、精強に走るオートバイメーカーがあるくらいか。昔ずっと重工業は北の従属国家のようなチェコに担当させ、伝統的にエネルギー使用量が少ない? 聞いたことも調べたこともなく全くチンプンカンプン。オーストリアはワルツや先のとんがった白鳥城、シェーンブルン宮殿の若かりしマリア・テレジア肖像画など観光産業で優雅に食っているのかしらむ? アドルフ・ヒトラーの生地や下宿は観光地にならない(10月17日ザルツブルグの痛み…ご覧ください)。その代わり夏場の山ヴァカンスや冬場スキー休暇先として、ふんだんに観光資源に恵まれている。

三画像


左様なユニークな国家経営が新年の明るい希望をホウフツさせる音楽会に象徴されているのかも知れない。かつてのハプスブルグ家による天下の一大国家としての威厳・誇りを見事に平和な小国家のそれらにフンワリ着地させたように思えてくる。

そういえば、最後の皇帝にして長く務めたフランツ・ヨーゼフの血統が昨年春頃だったか絶え果てたそうだ。彼の上さんエリザベートは言うまでもなくシシーとしてオーストリア/ウィーン観光のキャッチフレーズで活躍する。バイエルンのオテンバじゃじゃ馬プリンセスが嫁ぎ先の未来21世紀オーストリアに貢献しているのだ。

名ばかりの帝国であっても、プロイセン/統一ドイツの陰になる列強であっても、ナポレオン以前の栄光に輝くライッヒ(=国家)ならば、つい露西亜や支那のように遠吠え・威嚇の見栄を張りがちになるのではないか。ところが、帝国も列強も、"つわものどもの夢のあと"かのように綺麗に流し去り、逸早くスマート身軽な国家コンセプトを実現しているのではあるまいか。

本日かろやかに指揮棒をふり、時おりニンマリ風な微笑を団員に投げかけ、シュトラウス・メロディーをホールに響かせるヤンゾンスを見ながら、聞きながら、この人による洒脱な楽団マネージメントぶりを普段思わぬニュー・オーストリアに重ねてみるのです。

二階観客席にマリア・トラップを演じたジュリー・アンドリュースがチラッとみえる。彼女がサウンド・オブ・ミュージックで(独/墺を除く)大スターになったのは半世紀前である。ユーロヴィジョンのクリスマス番組にしばしば声楽的キャロルを披露していた人だが、喉を痛め高齢でもあり現役を退いたのでしょうか。その彼女の席から見下ろすと、中央部観客列に着物姿の女性が散見される。

大ドイツに組みこまれた墺太利は枢軸した大日本帝国と共に既に67年を経て、ますます歳月の向こうに遠ざかってゆく。ノーモアーヒロシマとノーモアーフクシマが日本多くの人々の感覚ならば、放射性物質と無縁なニュー・オーストリアを評価するのはどうか…。
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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