ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Politics and economics 政治/経済

アンゲラ・メルケルの頭痛  クリスティアン・ヴュルフ 20ヵ月持たんでしょうな


アンゲラ・メルケル女史は昨々年6月初め、突然ホルスト・ケラー(68)から電話を受けた。大統領辞めるって言うんですね。メルケルオバサンには寝耳に水。その2時間後、彼は辞任。アフガニスタン訪問後の心理的動揺…。連立政権3党、保守キリスト教民主(CDU)/キリスト教社会(CSU)/自由民主(FDP)の支持で1期5年後の2期目の途中だった。いかにも”国民の頭領”と言う人気ある感じをうけたが。

ヴュルフ大統領 01 

探した代わりがネーデルザクセン州総理(日本風に言うと知事)のクリスティアン・ヴュルフ。対抗馬が左派の押すガウク。連立与党の本命だから連邦議員と州議員を合わせた選挙で直ぐに決まると思われた。ところが2回めもならず。3回目決選投票でようやくヴュルフに決まった。カリスマ性に欠けポピュラーな訴えどころもない中途半端な印象と、メルケル政権の初期の圧倒的支持が最早消えつつあった結果であろう。

ドイツ連邦大統領は仏米と違い、国家行事のシンボルに過ぎない。条件はそれゆえ、道徳の代表のような立派な印象を与えること。そして出来れば前任者のように人々に人気があるのが望ましい。そこでタブロイドのビルド紙がスター/政財官界人のゴシップ最大手として手を貸すわけ。曰く「一人娘の父で、離婚し若い上さんをもらい、それでも大統領に当選する果報者。我が国に運がつく良い知らせ」。

滅多にない三度の決選投票で連邦ドイツのシンボルになったクリスティアンを持ち上げた。ビルト紙は勿論若い上さんベッティーネとの浮き浮き話なんかの記事を作り上手に売るんです。彼はふんだんにネタを提供し、報道陣の前で上さんと並んでポーズをしょっちゅうとったんですね。大統領とタブロイド紙の蜜月。DキャメロンとUSニュースコープ/UKニュースインターナショナルの仲良し、つまり英国盗聴スキャンダルをホウフツさせる。

ところが場面はどんでん返しになる。昨年秋、ビルト紙が州総理時代の50万ユーロ(現在約5400万円)受領をすっぱ抜いた。親しい(商人の)奥さんから、不動産買いの資金借用ウンヌン…などチョコマカ小出しにでる理由説明がハッキリしない。州知事であっても5000万を女性から借りると言うのはチョットと無い話だから、大方のドイツ人は腐った匂いをかいだんですね。

12月にヴュルフは大統領当選の前後から熟知しているビルト編集長カイ・ディクマンにヴォイスメールを残す。曰く:貴方が予定している私に関する特集記事を出さないでほしい。もしも公開するなら必要な手段をとる。知っているから脅しが効くと読んだ…。前後してビルト出版元のアクセル・スプリンガー社オーナーに同趣旨の電話を入れた。オーナーは"報道の自由"をやんわりと諭し、お引取り願ったそうな。

Intaview

4日水曜日、ベルリンのスタジオにヴュルフがやってきた。連邦2大公共放送二つARDのウルリッヒ・デッペンドルフとZDFのベッティーナ・シャウステンの合同インタヴューに応えるため。場慣れしたテレビジャーナリストと狸みたいな大統領との攻防だから、この2つのネットワークの多くがライブで流している。地方公共放送ネットの細かな網の目に驚く。この領域でドイツは欧州一の大国だ。

52才のこの人物は真面目に言い訳をしている…、平凡な人物が何とか選挙民の寛大さを得ようと努力している。しかし理屈ばかりでウン臭い印象をぬぐえない。金の受け取りは体裁を繕い誤魔化すことが出来ても、すっぱ抜きからの釈明経緯が既に連邦大統領としてのラベルと品位に合わない…。

やましくなければ報道するなと何故ビルトを脅す? その行為を悪かったと釈明するのだが、視聴者/普通人からすれば、後の祭りで正体がばれてしまっている。大統領の傘をきて、明らかに報道の自由を犯す蛮行ではないか。辞職しないと見栄を張ったところで、ひと月ふた月持つだろうか? 

辞職がどう推移するか? 野党の突っ込みディベートにも左右される。CDUヴェラ・レングスフェルトと言う女性議員曰く: 殆どの同胞にとって、もはやクリスティアンは信頼出きる大統領で無い。通貨危機で忙しい宰相メルケルは昨年末、キチンと仕事をこなす大統領に何等問題は無いと後押ししたが、こんな党内の雰囲気だと今後の軍配をどう振りますかね。

6年目中途でケラー辞任、その後を襲わせたヴュルフが不祥事でまたもや辞めるとなると、政権と彼女自身も土俵際です。2010年7月の候補選択が失敗だった。と言うか人物を見ることが出来なかった。では辞職させずに、何とか支えてここは我慢のしどころか?平凡な男だから平凡なチョンボをして、平凡に任期を終えさすのが傾いたメルケル丸の唯一の選択で有り得る。とまれ、誰が推しはかっても、オバサンの頭はガンガン痛いでしょう。

実は一週間前に届いたハンブルグの知人ヨンスのカードに添え書きがありました。「僕のところは汚職ばっかり、君のところは無いから立派や」。長年勤めそこそこの公務員になり退職、社会民主(SPD)牙城の都市だから、どうやらヴュルフのスキャンダルにうんざりしているらしい。

君のところと言われても、私は選挙権を持たぬのであまり関係ありませんが、そういわれれば、英独白仏の`腐った`華々しさに比べると、殆ど蘭では聞かない。ホーと意外ですが、考えるとローッキードスキャンダルで著名なベルナルド殿下のあちこちで首を突っ込んだ汚れぶりは相当だった。オット彼はドイツ小貴族家系でしたね。見栄っ張りプレイボーイなのと庶子もあり、女王亭主の俸給ではとても足りなかったんです。
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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