ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

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Politics and economics 政治/経済

ドイツに健全な民主主義が生きている

クリスチャン・ヴュルフ(Christian Wulff)が辞任。前任者ホルスト・ケラーの突然辞任は2年前確か6月だったか。その後継に保守キリスト教民主(CDU)宰相アンゲラ・メルケルが決戦投票3回目にしてようやく据えた人物なのだが、やはりボロがでた。女史は昨年秋のスキャンダル発生以来、何とか持ちこたえてほしいと切望していたのだが…。ニィーデル・ザクセン州政府の総理時代のちょこまかした役得が独大統領の品位にそぐわない。お粗末に尽きる人物をメルケルは支えていたわけ。[参照1月5日アンゲラ・メルケルの頭痛…]

Wulffu 02 Collage
ライブ時刻は11時5分。4^5分の退陣声明。ドイツ大統領はお飾り職だから、隣に立つファーストレディーも大切。

昨年12月一杯と、この2月半ばまで、間断なくメディアの調査報道が続いた。リチャード・ニクソンのウォーターゲート事件の小さなドイツ版だ。映画製作者から提供された豪華ヴァカンス等、似た様なホクホク行為が明らかにされ続ける。直接のきっかけは南バイエルンの別荘購入資金を富豪婦人から融通してもらった一件。

こうした便宜受け取りを欧米の民主国家は許していない。どこの国に於いても実情は、たいていの大臣たちは馳走を賞味するのではないか。そして何気なく、受けた便宜に見合う政治的配慮を採る。中には具体的指示を官僚に行うやり手もいる。言わば政治屋の商いであり、よほどのことがない限り話題に成ったり法廷に出ることはない。因みにゴルヴァチェフ(81)によると、過去12年にプーチンはこうした役得をシステムとして確立したと言う。プーチンはそれ故に腐敗ロシアの`独裁者`なのだ。

役得の美味いネタは、偶々タイミングが悪い場合や選挙戦術に使われる`不運`がある。フランスで重要閣僚を何度も務めたミシェル・アリヨ・マリーも昨年2月に外相兼欧州担当相を辞任せざるを得なかった。例年ヴァカンスの際、ベン・アリ独裁側の便宜を家族ぐるみで受けていた。逆に豪華を満喫できるから毎年チュニジアで休暇を取ったのだ。力を持つ地位について感覚麻痺する例。彼女は政権の意向を受けて弾圧サイドの警察訓練を提案したそうだから、タイミングは最悪。政治生命を絶たれたように見えるが、さて…。

ドイツスキャンダル成り行きを伺うと、いわゆる``融通``はヴュルフの腹を読んだ富豪による賄賂にあたろう。スキャンダル暴露後、あわてて上さん名義の低利率ローンのかたちにしたと言われる。総理月給でとても買えない物件を借金購入する間違いを犯した、と本人は真面目に反省する表情しぐさで釈明している。辻褄合わせに思える…、釈明するごとに職にしがみつく安っぽさがにじみ出す。

メルケル取り巻きを別にして、新年に入りCDUと友党バイエルンCSU(キリスト教社会同盟)の大方から支持を失いつつあった。そしてハノーファーの裁判所が先日、ヴュルフ訴訟案件に対する大統領免責を採らないと声明したらしい。連立CDUFDP議員から直ちに辞職する希望が述べられた。ハノーファーからのニュースが粘りの御仁の止めを刺す結果になった。発表後の様々なコメントに共通するのは、遅すぎた辞任だった。辞任を延期しすぎた批判で、それはメルケルへの批判になる。

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声明に同伴した若き奥方。2年前の大統領選挙の時、古女房に取り替わったのは38才ピチピチのベッティナだから、恰好がついて良いのではないか、と言う風刺画や皮肉が見られた。就任後、共に太陽をさんさんと受け、共に十分楽しんだと、彼は正直だ。サモアリナム。だから任期途中の不名誉な記者発表も共に行い、歩調を揃えて会見ホールから消えて行った。

世界で最も影響力を持つ女性ランキングがある。ランキングブームで、視点によって如何様にも変わるのだが、左様な番付を好むのも人の生業だ。統一ドイツ宰相をブンデスカンツレラ―と呼ぶが、女性だからブンデスカンツレリンになる。昨年ランキングもアンゲラ女史はヒラリー・クリントンを馬身で離すナンバーワンである。ギリシャ債務問題からのイニシアティブをみるなら、圧倒的なEU圏リーダーである。貫禄が出てきた。

しかし国内事情は別だ。連立するFDP(自由民主党)が議会生存権もない支持率に下がりっぱなし。[参照2011年9月5日165万州選挙 自由民主党の凋落] CDU/CSUコンビはおおむね健在だが、州政府選挙で与党をSDP(社会民主党)と緑環境党に明け渡している。今日のヴュルフ辞任を受け止め、保守党CDUと彼女自身のダメージは大きい。同時に近いサールランドとシュリヒスウィフ・ホルシュタイン二州の地方選挙にマイナスに作用するだろう。

それを織り込んで、先代亭主のメルケル姓を用いる政治家の談話の要旨は次にあった。なお現亭主の苗字も未婚時代の旧姓も使わない例は珍しいに違いない。昔の旦那メルケルが迷惑に思っているか、勝手にせーと知らん顔なのか誰にも分からぬが、アンゲラの強い個性/灰汁を示す一例だろう。

Wulffu 03 Collage

ドイツの民主主義は健全で強い。いかなる地位にある人に対しても、民主主義が公平に機能している。(この民主主義はヴュルフの関わる言論の自由/司法の独立などを指すのだろう)

自分が支えた党友の辞任に深い後悔を感じると前置きしながら、ドイツ史上初のカンツレリンの談話の中心テーマだ。その民主主義を実現するのが私であり、CDUであると言うメッセージに他ならない。ルター派新教牧師の娘は東ドイツ・ブランデンブルグで育った自由の無い``共産政権時代``やアラブ独裁政権それにならず者`露支那`を意識して述べているのだろう。

ヴュルフに罪があるかどうか、それは今後の民主主義による裁判が判断する。彼女が支えた党友が言論の自由を犯す行為をしたのだが、それを言うわけにいかない。黙ってより大きな民主主義のお題目を唱える他に策はない。

彼女は土俵際にちかい劣勢であるから、新大統領は昨夏から維持されている支持率上位政党そろい踏みで選ぶそうである。自分の2期めキャビネット内の数名やかつての野党候補もいる。退職年齢で`綺麗な手`ヴェテラン政治家なら誰でもいいと言えよう。各政党の最大公約数を満たす人物になるだろう。50代初めの安っぽい党友選択にこりごりした筈だから。

世間では早速、明日明後日のカーニバル巡行山車(ダシ)に退任Wulffの張子顔や人形を乗せる急遽作業にかかる。祭り中の祭に時事性に富む健康なユーモアが欠かせない。加えて謝肉祭盛んなのはカトリック地盤であり、保守党セーデーウー支持者が多い。その人々すら、うんざりさせていたのが辞任劇渦中の人である。このタイミングに喝采しよう。
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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