ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

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Nature 雑草 フローラ/ファウナ

春の七草の一番 野草グルメ序編

Stellaria media 2012

三月三日ひな祭りの日にコハコベが花を開いている。毎日の軽い一歩きの途中で見つける。森と墓地公園の間をゆっくり足を運んでいる時、暗い藪に白い花が目立ち分かった。春一番の記念にシャッターを切る。

ハコベ仲間の花さし渡しは3㎜から15㎜までだろう。15㎜のは「大ハコベ」という感じになろう。昨日撮った上幾つかは出たばかりの生成過程だから、まだ数ミリ大きくなるだろう。標準で5㎜、最も小さいハコベなので、和名はコハコベとなっている。北半球広く見られる有用雑草である。

何故有用? さもなければ春の七草に上がらないのでは。「鳥の草」なんて欧州名もあるので、鳥たちの餌になっているのだ。間期の畑の覆い(カバーリング)雑草としても良いそうだ。同時に堆肥として役立つのだろう。春の七草は平安時代に広く知られていた。清少納言だろうか、季節の記述にこのハコベを含む七種=七草粥の風雅を詠っている。

ハコベ属の花はご覧のように星のような感じなので、分類をしたリンナエウスはStellaria(Stella→星)と言う属名を、小さな本種にはmediaと言う種名を与えている。片仮名のメディアだと報道に絡むけれども、ハコベの場合は寸法に絡んでいる。中間サイズの、、、と理解すると花ではなく種子のサイズを指しているのかもしれない。

私は海辺の村で4才頃まで暮らした。親父が元の職場へ戻れるまでの期間だったようだ。北京-ソウル-釜山-日本の長い道のりで両親と祖母は苦難して引き上げてきた。そこは祖母と父の故郷。全ての人々に苦しい戦後すぐの時代。キジ/野兎/川蟹、もちろん海の魚たち、そうした`猟`の風景が微かに記憶にある。自分がしたのでなく、大きい子供たちや大人の猟だ。海辺の村は私のかけがいのない心のふるさとである。

鶏は素人百姓の家には大事な家畜。卵は普段の生活にとても大事だった。そして祭などの祝い事のカシワ料理に役立った。ハコベと言う雑草を知っているのは鶏を飼っていたからだ。だがハコベとは言わなかった。時折ニワトリを囲いに入れなければならない時、この草を餌にして誘ったのではないか? と思ったが定かでない。とまれ、この草とニワトリまたはヒヨコとは常にリンクしていたのだ。だからヒヨコグサと呼んでいたと思う。

いま考えると、ありのままの原始的飼育であり、卵も肉も正真正銘の健康食品だったのだ。彼等は放し飼いにされ、自由だった。可笑しい書き方ながら、鶏の生きる権利が保障されていた。それ故、我が家のでかいチャボ雄鶏は毎日まだ暗い明け方に、数回のコケコッコーとたくましく雄叫びを聞かせてくれた。

現在の鶏の卵と肉は工場から出荷される。鶏はホルモンと人工飼料だけで計画スケジュールに従い水含みで太らされる。身動きも羽ばたくのも難しいメガ工場である。動物ではなく工場食品なのである。嗚呼。

Stellaria media 003 DeSikkel 41
紫の葯を持つ雄蕊が見える。普通三つの花柱は見え辛い。尚これ以下の画像は昔のもの

我が家の白や茶色の鶏たちは庭あちこちの地面をつつき、きっとこの草も好んでついばんでいた…。しかし、ヤギやヒツジが新鮮な柔らかい草を食むように、鶏がハコベの卵型の葉っぱや白い花を直接ついばむ姿を覚えていない。ハコベ仲間はこの弥生から秋深くまであらゆる場所に姿をみせ、頻繁に世代交代を繰り返す。咲いては熟し、種子を形成するし。つまり鶏を含め鳥たちが啄ばむのは種子なのである。

嘴(クチバシ)を持つ鳥は種子を啄ばめる。牛や馬に羊/ヤギ、その他哺乳類はその代わりに葉っぱ(+果実や樹皮・枝)を食する。食べ方と食べ分けが出来ている…

せり なずな ごぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ
これら春の七草は本草和名(ホンゾウワミョウ918年延喜18年上梓)に所収された日本自生草からの命名と思われる。延喜式と言う大部の法律が作られ、宮中の春の行事として定められた七つの野草である。四つ目の「はこべら」がハコベ即ちヒヨコグサを指す。

一般にはこべらの漢字に「繁縷」が当てられている。本草和名の記述は「波久倍良(ハクベラ)」とあるらしく、こちらが古いと思われるが、両語彙の関係は私に分からない。やや後の清少納言等宮中の知識人の言わば常識になるのは、本草和名と延喜式による仕来たりが定着していったためであろう。

欧州の10世紀に於いても「鳥の啄ばむ雑草」と言う知識はあったのではないか…。薬用として公式になっていないけれども、鳥が種子をついばみ、そのタネあるいは草そのものを人間たちも利用していたと私は想像する。

0.5㎜から20㎜までの葉っぱは茎に対生に付き、茎は匍匐する。花をつける茎は立ち上がり、コハコベの場合はしばしばこんもりと柔らかな絨毯を広げている。寒波期間に花を出せないが匍匐する茎も葉っぱも場所によって、認めることが出来る。強靭だから代表的な雑草なのである。[日本のコハコベの茎は赤みを帯びる場合があるそうだ。我が村でその観察例はない]

110517 May Flowers  Stellaria en Cerastium Base copy
ハコベの幾つかの仲間。[フレーム=額の上の1行目は素材に用いた樹木名] 
花弁の先が裂けて10枚に見える。それぞれで雄蕊/雌蕊の数や長さ、また花弁と愕の比例が異なる。パット見でも、星のように綺麗な花々である。


欧州で延喜式にある七つの種類の草を一時期に集めることは出来ない。確か二つほどが自生していないのだ。代替の仲間が無いわけでないが、出る時期がずれる。ハコベに限るとこれから採りたい放題。絨毯の大群から一掴みすくって、良く洗い、サラダに混ぜる。さっと湯がいてもいい。綺麗に葉っぱだけをを選んで、好みの薬草を混ぜ、オリーブ油と塩コショウ、そして上に白い小さなハコベの花を添えよう。

私は根っこも茎も一掴みそのままを水にさらしておく。一つの草のすべての部分を食べることが肝心だと言う健康食法を信じているわけでない。とは言え、たまに水の流れで綺麗になったハコベまたは他の美味なる野草をもぐもぐ食べると、胃が綺麗になるような気がするのである。雑野草を食べるとは繊維分の採食ゆえに、胃を始め食道ルートを清めてくれる…

美味なる野草とは個人の好みである。代表はタンポポである。これはしっかりした草だから`調理加減`が要る。クレッソン=オランダ辛しの野グサは癖があるので何かしないといけない。なるべく自然の風味でいただくのが良いのだが、やはり食べ辛い雑草も多い。その場合は日本の方なら醤油と鰹節、欧州人ならフランス式ソースの数々をぶっかけると上首尾に行く。生の刺身すら、ワサビや醤油が付くのであるから…。

三月三日に見つけたハコベは、香りは強くなく、従って味も青っぽい文字通りの草だ。ところが鳥たちの無上の食糧であるだけに、ビタミン類が豊富。それに鉄分や他の追跡エレメントを含んでいるような気がする(実際を知らないが)。もしも草原や川岸、山野でハコベの大群を見つけられたら、野草グルメを試されるようにお勧めする。
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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