ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Nature 雑草 フローラ/ファウナ

春の芽生え  雄花/雌花や葉芽の表情

二週間続きの大寒波が去って、早3月二週目。年明けから数え、十週目ですが、やや例年より植物の動きだしがぎくしゃくしているようだ。午後の一歩きで見つけたハシバミとサクラソウ、スレーと言うスモモ仲間の動きをおさめたのでご覧ください。九州は言うまでもなく、こんなペースは東北より遙かに遅いのではないかと思います。

Corylus avellana Collage 01

ヘーゼルナッツの欧州元祖の小木。ヘーゼルはブリテン風な片仮名。この果実を紀元前地中海に於いて、フェネキア(と言えど、詳しく知らない地中海民族…)人が交易したそうな。アヴェリナと言う港町が今でもローマ近辺にある筈で、ローマ期になり、その港からハーゼル(古ゲルマン風の仮名…)がジブラルタル海峡経由でドーヴァー海峡まで出荷されたそうだ。従ってこの樹木の種名をリンナエウスは``アヴェリアナ``と命名している。

日本列島に兄弟にあたる二つの仲間が自生するそうだ。ヘーゼルナッツと言うより、ハシバミで知られる。昔ツノハシバミなんて聞いたことがある。果実外形が角のように見える。中世以前から利用された果実と思われる。ハシバミ姫、そんな伝えがないだろうか? グリム兄弟の童話にハーゼルと言う名前の少女が登場する。ハーゼル果実の塩味を効かした缶詰はスーパーマーケットで入手できる。軽く炒ってあるらしく、そのままつまめる酒の肴である。

雌雄花が別々につく。右上が芽鱗から顔をのぞかせた雌花。この赤い柱頭が成長すると、芽麟は茶色に成る。その頃には他個体からの黄色い花粉を待つ状態になる。右下が猫の尾っぽのような雄花の集合花である。一つ一つの小花の中に複数の花糸が突きだし、先っぽに葯を乗せている。画像例は小花間の間隔が開き、まもなく風によって葯が飛ばされても良いように見える。一方、上にある雌花の花柱はまだ伸びきっていない。つまり受粉をまだ出来ない状態。恐らくハシバミ属は他家受粉の風媒花であると察せられる…、どうだろう。

春の芽だし Collage 01 Sleedoorn  Primula

画像説明通り、スモモ仲間で「スレー」とゲルマン古語由来の呼び名がある。それは北欧/西のゲルマン諸語に共通する。デンマークでもイギリスでも、ほぼ同じ命名である。スレー(英語仮名でスローと言うのを見たが…)は本来ザクセン語彙のスモモ仲間の甘い果実を指す。樹木は小動物を撃退するために、幹・枝にご覧のような棘が発達する。多くの諸語で、スレー+棘の熟語が呼び名になっているようだ。アルコールであるスレージンを愛する左党がいらっしゃる。地方の銘酒と言う感じである。

右の草は今日初めて、蕾らしい姿を見せた。多年生草で、一度落ち着くと、冬はロゼット(根からの葉っぱのみ)で過ごし、気温が上がると、この画像のように動き出す。和名をサクラ草と言うらしい。サクラの花と似ていないと思うが…。独蘭で数種が自生している。種名からプリメラと言う人もいる。Primaと言うラテン語からで、早く(咲く)ことからきている。

Corylus avellana 001-5 ハシバミ花芽Hazelaar 赤い雌花

再びハシバミに戻り、数年前の別個体例。雌花は雄花の穂状花の直ぐ上に数個付くのが良く見られる。雌雄花の成熟度が異なるので、近いほど自家受粉を避けることが出来ると思ったりする。和菓子にハシバミが使われたのではないか?と思うが、聞いたことはない。日本民族はどう消費してきたのだろう? 

欧州ではそのままを食する以外、チョコレートの様々にも、また小粒に砕きハシバミケーキ用である。粉状にしてピーナツバターのように、パンにつける製品もある。トンガラシや他薬草を混ぜたヘーゼルナッツバターはなかなかの珍味だと思う。自然食品屋に21世紀のヴァリエーションが並んでいる。

Prunus spinosa Collage 02

シュレィー・ドルンまたはスレードールンが独蘭それぞれの仮名になる。日本にない樹木で、桜の仲間のスモモ亜属に分類されている。何ぞ良い和名をほしい…。果実が凍てつく冬を越すと熟して甘くなる。それをこまめに集めてジャムにしたことがある。手間のかかる作業だが、大いに満足した。

昔この村でも、これを集めジャムにした。とりわけ戦時にこまめに摘み取ったそうだ。戦争経験主婦は熟年高齢になり、第一線を退いた。ブリテンでも自家果樹園を持つ昔からの小さなスレージンメーカーだけが伝統を支えているように思われる。希少なジンかも知れない。

シュレィー・ドルンは住宅街に何処にでも植栽されている。元々の自生種も広大な林縁にたくさん観察される。小さな白い5弁花が綺麗で、育ちやすさもあって専門圃場もあるようだ。果実寸法が日本スモモに比べるとかなり小さい。低い樹木で幹や枝に棘があり、直ぐにわかる。日本に導入されていない筈はないと思われるのだが、どうだろう。
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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