ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Nature 雑草 フローラ/ファウナ

蕗の塔 & フキノトウ(蕗の薹)

欧州の赤いフキ Collage 04

日本の今、あるいは数週前? フキノトウが収穫されたのでは。山野の湿地に自生する野生フキではなくて、種から育った畑のフキノトウ。秋田蕗と言われたり、幾つかの栽培フキがあるそうだ。野生種ほど苦くないそうだ。

上画像は雌だけの群落で、近く1㎞圏内に雄群落は無い。したがって地下茎で増殖する。クローン増殖にあたり、形質がすべからく等しい遺伝子情報を共有している。クマン蜂や蝶々が密を吸っているが、1㎞以上の距離をまたいで雄株の花粉を運んでくる場合もあり得るだろう。雌または雄だけの群落に滅多に見つけられないが、数回私は実生独立個体に出くわした。それは太い横に這う地下茎を持たず、長い細網根だけを土中に伸ばしている。

ヒブリデと言うのはもともと野生イノシシと飼いブタのアイノコを意味した。21世紀はハイブリッドと言われ、ポジティブなイメージだと思う。トヨタが先駆けて開発したガソリンと電気を組み合わせた交雑自動車だ。ややネガティブだった語彙をポジティブに衣替えした日本企業に敬意を表する。

しかし、古代のヒブリデも現在のハイブリッドの清々しいイメージだったかも知れぬ。荒々しい野生イノシシを囲いに取り込んで、既に家畜化されていたブタと見合わせ、二世を作ること。ここから良形質を選択繁殖するのは家畜文化における勝れた営為だったのだから。*では上記ブタは何処から来たのか?と言う素朴な疑問が生れる。鶏と卵のような話になる…。

昔の文部省が`間の子`を差別用語と決めたらしいが、勝手な偏見に満ちた差別用語リストだ。語彙の全ての意味は文脈によって決まる、語彙だけで差別用語ウンヌン論は同胞日本人を小馬鹿にしている。お上が下々(シモジモ)を導くと言う発想は陳腐この上無い。

本来のヒブリデは極めてニュートラルな語彙だった。上の赤紫の`フキノトウ`の学名はPetasites hybridusと記述される。正直に言って、何故``間の子`と言う種名がついているのか私には分らない。

この赤紫のセイヨウフキは日本`蕗の薹`と違い、塔のごとく立ち上がる。だから蕗の塔と私は呼ぶ。毒々しい印象を受ける。私は日本フキと同属ながら、ビビりながら試食してみた。すると日本の野生`蕗の薹‘と同じ、大変な苦さである。これでは食べることが出来ない。苦いだけでなく、鼻をつく特有のゴムっぽい臭いもある。

日本のフキノトウ食習慣はこの苦さを百%殺さずに、他の食材または調味料と組み合わす知恵でなかったか。天麩羅は代表的だが、微かな本来の苦さが地の天ぷら粉と天麩羅露と調和して美味いのでは…。蕗のほろ苦さが発揮される。ここから蕗の薹だけを生に近い形で食する人はいまい。各地/各料理屋で、天麩羅にしたり、おしたし風だったり、塩/胡椒で炒めたり、それぞれの工夫があるに違いない。

欧州の蕗 Collage 00

右は昨日出たセイヨウ蕗の薹の雌花。左の拡大像で分かるように、一つ一つの花が筒状になっている。中央に1個から3個の仮雄蕊が見える。仮雄蕊と言うのは雄蕊の先っぽにつく葯が言わば不能で、雄蕊の役目を果たさない。生殖機能を失っているが、その底にネクターをだし昆虫を呼び寄せる。周囲の白い線状群が雌蕊の花柱であり、先っぽ柱頭が二分かれしている。

欧州の蕗 Collage 01のコピー
右が♂群落の雄花。雌花と同じ筒状花だが、一つの花は5枚花弁を持つ、その真ん中から出ているのが雄蕊である。その底に蜜腺があるので、昆虫があつまる。すると、体長10~15㎜クマン蜂は腹部に葯を一杯引っ付かせるのだ。花粉即ち白い粒粒が持ち去られた後の雄蕊の先っぽは細い槍状の2本になっているのが認められる。表面積を広くして沢山の`粒`をくっ付けるためであろう。

上の左右の画像は日本フキノトウ雌雄とほぼ同じ構造と思われる。基本的な与粉・受粉の仕組みが同じものを一つの属にまとめるのは納得できる。日本フキの花びら色は白、茎は明るい緑だろう。色味から言うと、それは食べられそうな感じがする。なお両親が栽培していた畑のフキは巨大な葉と見事な長い茎を持っていた。それらは滑らかで、緑の光沢感があったのではないか?赤フキ葉の表面はやや縮れ、白い毛が生えているような印象を受ける。いずれしっかり観察してみたい。

欧日二つのフキ Collage 02

左: 西洋蕗の雄株。緑の垂直柱は竹。落下している竹の葉から蕗の葉が出てきた。
右: 雄株で、恐らく日本のフキと思われる。このグループも地下茎繁殖で、全て同じ形質を持つ。
左のセイヨウフキが右の日本フキより、わずかに早い開花である。いずれも花期の後に、茎が1mほどのびる。葉っぱ面積は日本フキの方が広いようだ。右画像の状態になる前の、筒状花が外皮に覆われている時の、砲弾状の蕾が料理屋で珍重されるのではないだろうか?

早い夏に両者とも葉っぱと茎を最大限に成長させる。すると日本人が昔から行ってきたように、欧州でも収穫できる。欧州人でフキを食べる人はいない。大きな葉っぱを雨よけ帽子に見立てた語彙が蕗の欧州名の多くであるから、食材としての発想は昔からなかった。そのかわり欧州民族は、牛豚などヒブリデ改良の肉製品と、子牛のために雌牛が出す乳からの脂肪に溢れた酪農品とに努力を傾注した。

北半球あちこちに十種近いフキ仲間があるようだ。上述二つに加え、欧州からアジアに掛けて自生する`白蕗`だけを私は知っている。これは蕗の薹状にならず、一つの株から数本の茎を伸ばして、同時に茎の周囲から花軸をのばす、色模様は日本フキと同じ緑と白の取り合わせ。

欧州の白いフキ Collage 03の2

赤フキの茎と葉、白フキの芽ぶきと茎、藪椿の葉で1日アクヌキ後に、茎は皮をむき、葉小刻みにして試食。苦みを上手に抑えれば、日本栽培種と同じように、美味い酒の肴に成る。今年の5月以降に、いろいろ試してみよう。
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

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