ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Nature 雑草 フローラ/ファウナ

シロザとヨモギ [Lamb's Quarters & Japanese mugwort] 【Update: additional pictures】


Shiroza and Yomogi col 03
Left: Lamb's Quarters / Melganzenvoet Right: Bijvoet / Mugwort(Artemisia vulgaris)

シロザはこのヨモギの親戚の隣にしばしば生えています。ユーラシア大陸の何処でも同じでしょう。いずれも1mを超える背丈になりまが、歩道の隙間だとご覧のようなミニシロザ。でかいのとミニとの間に、デザインの違う葉っぱが一杯出てきます。でかいのは葉も大きく、摘み甲斐があります。

画像のシロザは数ある変種の一つでしょう。例えば北海道に生えているものと同じではない。しかしそうすると、西洋タンポポの300以上の変わりをいちいち説明する学者馬鹿になってしまう。左様な進化した愛好家も沢山いらっしゃる。到底出来ないことは初めからあきらめた方が良い。と言う次第で、シロザ一つで勘弁してください。

普段見向きもされない草ながら、飢饉や戦争で食糧難になると俄然見向きされる。ボヘミアでも長靴半島でも、北アイルランドでも、欧州の何処でも生えるから。シロザ類はビタミcの供給源。アミノ酸を含み、コレニモアレニモ良いそうですぞ。

無尽蔵な種を挽いた粉で団子のようなパンも作れる。沢山摘んでよく洗い、バターでいためて卵一つも混ぜると、オムレツシロザが出来る。塩コショウと、外壁沿いのカキドオシ葉っぱ数枚を微塵切りして散らすと、シソウ味ッぽくピリッとして美味しい。
シロザ/ Lamb's Quarters / Melganzenvoet (Chenopodium album)
Chenopodium album L. 010 アカザ科/属シロザ

Chenopodium noDore Collage 01 アカザ科/属


藻草をMoxaと書き、これがヨモギ葉裏の白い毛らしいですね。私の祖母はシワシワしながら日焼けした腕や肩に、円錐形高さ5~10mmの藻草を置き、蚊取り線香の火種でくすぶらせておりました。巻きタバコが許されていた戦後直ぐの時代です。熱いだろうな!と子供心に心配しますが、祖母は気持ちよく転寝をしています。

一番目画像右の種(シュ)からもMoxaが採れそうです。Sailor's Tobaccoと言われたりするのでタバコ代わりに吸っていたのかも? マケドニアのアレクサンダー大王やローマのカエサル(Gaius Iulius Cæsar)が大軍をあちこちに動かした際、行軍する兵達の足元にこのヨモギ葉がいつも撒きついていたそうです。

呼び名として、足につける/足に巻くと言う感じの言葉が多くの欧州言語に採用されている。独:Beifuß、蘭:Bijvoetなど文字通りです。古来から足の疲れを取る、または足を癒すと考えられた。他にも多くの呼び名があり、たいてい医学性を意味するようです。Artemisia vulgaris の後者はそのような薬用植物と言うことで付けられています。前者は神話のアルテミス嬢だそうで、白衣の看護婦だったのでしょう...。

Artemisia vulgaris 002-1 col Bijvoet

餅草のヨモギそのものが何故欧州に植生しないのか、分かりません。ヨモギ学名Artemisia indica var. maximowicziiを、こちら雑草図鑑で探しても見つからない。日本産ヨモギの代用は、何処にでも見られるマグワート(Mugwort英)、 バイフート(Bijvoet蘭) (Artemisia vulgaris)になる。これををインドネシア産もち米に混ぜるのだ。ヨモギ餅として必要充分かどうか?私には、それなりの出来栄えと思われた。切り餅にしてフライパンで膨らませて客人に供すと、紀元前後からの”足薬”伝統を知っている御仁には、美味いと褒め言葉をいただいている。

シロザはアカザ科アカザ属と思っていた。と言うか1980年代から小難しい植物分類名を見たので、その頃の普通の方法にしたがっていた。新エングラーと言いましたが、記憶を手繰ると21世紀になって買った本にクロンキストと言う方法がもてはやされていたようです。 Arthur Cronquistと言うUS の天才分類屋さんで、無限にあると私に思われる彼の分類項目は殆ど理解できない。その代わり、なんと印象に残る苗字か!と馬鹿なことにとらわれておりました。

どちらの方法でもアカザ科のアカザ属だったと、思い込んでいるわけ。ところが殺人などにDNA解析による"動かせぬ証拠”が登場してきた。呼応して、この頃、支援グループや辛抱つよい弁護士による裁判再審要請が認められ、DNA証拠無き時代の有罪がどんでん返しの無罪になるケースが出てきている。これに世間は驚きつつ、遺伝子鑑定は手続きの常識になった。
生物分類分野でも分子系統による方法が採用された。APGによる見直し作業が進むにつれ、入れ替え/消滅/新規の変更が出てくる。

アカザ These reddish plants are one of variation that is described as ''Chenopodium album var. centrorubrum)
Chenopodium rubrum L. Collage 01アカザ科/属アカザ

植物や動物でパンをあがなう人には。これまでのしがらみがあります。今後も過去幾つかの方法を思いやって、仕事・作業しなければならないでしょう。大変だ! その分、趣味愛好の好い加減な私などは簡単で助かる。Angiosperm Phylogeny Groupと綴り、略してAPGと言う。これも小難しい名前である。意味は辞書を繰っていただくと分かります。

英語綴りの場合エー・ピー・ジーだ。私はつい生活語でアー・ぺー・フェーまたはゲーと読みます。既にかなりの移籍と言うか、こっちからあっちへ、あっちからこっちへ移動があるようです。こんなツメノアカにもならない個人的知見ですから、ほんとはたいしたことがなく、基本的分類は昔と変らないのかも。

アカザ属シロザは変わらず、しかし科が変わっています。ヒユ科と言う聞いたことが無いので初め戸惑いました。属和名がアカザなのに、種名が何でシロザや? と言うのがミソと思っていたんです。アカザ科に代えて、ヒユ科がAPGによる所属科です。ぐうぜんスベリヒユ科は知っていましたから、滑らないたぐいを言うのだろう、と覚えるようにしました。

スベル方の草は18世紀後半、野菜として導入された植物。いつの間にか顧みられなくなった帰化植物です。我森や土手の小さな流れ沿いに、春から秋まで出て、いつでも摘んでいろいろに料理していただける。分かり易い英語つづりでWinter Purslaneとか Spring Beautyとか言うようです。冬のパセリかな?春の美?こっちはちょっとオーバーかなと思いますが、名づける人の思い入れがあるんですね。

Spring beauty / ツキヌキヌマハコベ / Witte winterpostelein (Claytonia perfoliata)
Claytonia perfoliata 004 Witte winterpostelein

花色に紅白あり、いわば姉妹のスペイシーズです。少し味がちがい、スーパーマーケット野菜と混ぜてサラダなどに出来る。私は決してしませんが、間違ってキューピッドなマヨネーズをドボーッと入れる日本の若いのがいます。もう何がなんだか分からずヒッチャカメッチャカになる。

そのヒッチャカメッチャカは、赤ら顔の大男バイエルンのオジサンと大きな手で小まめに料理するヘッセンのオバサンが30センチ盛り上げるジャーマン・ポテト・サラダのコンクリートのような味です。左様な手合いをドイツ家庭料理と思わないでほしい。マヨネーズをドイツの人が考え出したのか、それとも、かの"ハンブルグer"の例に倣い、何でもありUSへ移民した独系パーフォーマンスかも知れません。日本の繊細であるべき女性の方々に、市販マヨネーヅ少し距離感を保っていただければと希望します。自家製好みのマヨネーズなら文句を言う筋はございません。

ホワイトとピンクパセリの味に関し、後者がややホーレン草に近い味と思います。ただし、太陽志向性が違うのか、影好みのピンク花の葉と茎(これが食材)の緑色が濃い。少なくとも私のフィールドの話デス。

ここの題目は「シロザとアカザ」が分かり易かったかも知れませんね。白っぽいと言うか灰緑をシロザ、赤っぽいのをアカザと言います。基本的に同じ植物ながら、赤味がかりを含めた多くのヴァリエーションの一つで、アカザ属の研究者なら、子細に説明できる世界でしょう。

‘白と赤‘の対照ゆえ、雰囲気が異なると言えば異なる…。ポパイで知られるホーレンソウはシロザのいわば従兄弟に当たり、雄蕊を四方に突き出す表情もそっくり。西ゲルマン諸語に於いてこれら多くの仲間を、葉の形から想像できる「雁またはアヒルの足」草と呼びます。これら植物の殆どは、オリーブを助けるポパイの力の源になる成分を含んでいると思われます。

[記:2011-07-30]→[画像追加 2014-09-26] 
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Comment

No title

こんにちは。
以前の記事へのコメントで申し訳ありません。
私はアメリカに住んでいるのですが、やはりこちらでもvulgaris種が主流のようで
日本のヨモギは手に入らないのです。
そこで、タネを買って育てようと思っているのですが、vulgaris種のヨモギは日本のヨモギの味と似ているのでしょうか?

ヨモギとUS版vlgarius

貴子さん こんにちは
A. vlgariusを蘭語でバイフートと言います。隣村でバイフス(Beifuß),誰もが知っている雑草。和名をハタヨモギと言うらしいので、以下そう書きます。ヨモギ餅への使用が最も多く、その見た目と食感に於いて、ヨモギに劣るような気がするのです。しかし祖母の時代の郷愁と言う点、二つの種を実際に食材として入手、料理して、公平に比較した分けでありません。沖縄自生の有用雑草を紹介する本によると、世界の主要Artemisia仲間はほぼ同じ薬用効果と味を持つそうです。中央欧州にもう一つA. absinthiumが知られ、名前の通り防虫剤として役に立つそうです。アブセントまたはハタヨモギを洗い、他の野菜といためオカズとしていただきました。我が‘食勘‘のガサツのためか、二つの違いをこれと言うことは出来ません。なお種違いは異なる葉形、そしてその擦った匂いの違いで分かります。これら二つとヨモギとの区別は、托葉の有無もありますが、寸法の大小で直ぐにできますね。

タネを入手され、試みられる!ぜひ結果お知らせください。なお私のフィールドはド田舎ですから、時期に繁茂します。パンに混ぜようと思えば、果熟期に丹念に集める根気だけが必要です。実際は私を除き、そんなバカをする御仁はいません。

ブログを始めた頃の記事に眼をとめていただき、驚きました。その後の画像を加え、アップデイトする良い機会になりました。ご縁になり、感謝申し上げます。
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Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

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