ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Here&there lands 雑なるアレコレ大地

皐月の木曜日 飲めや歌えや 庶民の祭

埋葬されたイエスが消えた。スワッとオロオロするところが、もぬけの殻を見たマルガレータは「彼は蘇ったのだ」と確信した。さる一群の研究者によると、彼女はイエスの妻である。世帯者であったイエスを最も知るのは妻だろう。彼女は、その足で12信徒の幾人かを尋ねた夫の多忙なスケデュールを知っていたようだ。

復活後の40日目に、神は彼を天にお召しになるのだ。それは今日の木曜日にあたる。毎年、必ず木曜日の祭になる。来たる明日/明後日、そして日/月/火曜日までそれぞれいかめしい形容詞が付いている。何しろ、神とその子に関わる行事なのだから、、。

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イエスの天国行きにサキソホンを奏でるのはサキソホンを商う御仁である。一番お買い得サキソホンは600ユーローだった。彼は通り過ぎる人々にわき目もふらず、ずっと吹き続けていた。讃美歌なのかジャズなのか、周りの騒々しさで分からなかった。

昇天祭と言う熟語を用いる日本キリスト教組織があるそうだ。天に昇るキリストを祝うお祭りと言う分けだ。溝向こうもこちらも伝統的にカトリックの土地である。人々は毎年、この行事を祝う。村の目貫通りをトウセンボして、カフェーやビールスタンドが並び、沢山の屋台の商店が出る。子供の仮設遊園地も設置される。

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日本の商店街でかば焼きを売っている。開いた一匹が3~5千円だろうか。高級百貨店の地下1~2階の食糧品街だと、それ以上する。ある炭焼き専門店で一万円…、本日売り切れの詫び状が出ていた。味わう達人がいるのだ。世間は広い。

細長いメクラの魚の加工品`かば焼き`のこうした値を、もしも燻製ウナギ屋の親父さんが聞いたら腰を抜かすだろう。かば焼きと燻製とそんなに違うはずがないと彼は思うだろう。オランダ伝統の燻製は夏楢と言う木材で燻すのが最高とされるそうな。チップ状の乾燥サマーオーク材の得も言われぬ至高に燻し出されたウナギだ。イエスの祭であれば、丸い白パンを半分に割り、そこにややトロッと甘い切り見を数枚のせて、かぶりつく贅沢なのだ。1個四百円なり。

日本産米コシヒカリの御飯にかば焼きを乗せていただく日本料理を燻製ウナギサンドイッチと一緒にすべきでないか…。土用の丑の日、ウナギを食べる。脂の乗ったかば焼が重箱の一面をおおっている。日本人ならググッーとお腹が鳴る気分に陥る。料理素人の私には醤油と砂糖に加え秘密の味付けがあるように思われる。従ってかば焼とオーク材の燻しウナギとは完全に文化の異質物で、比べることはナンセンスかもしれない。
 
だが日本国内ウナギの生産と卸手続きはどうなっているのだろう? ハドソン川のウナギは17世紀初め、欧州植民者の眼を引かなかったが、日本人舌のグルメと分って以来、俄然注目を集めたそうだ。世界中の泥川から日本にウナギが輸出されているはずだ。ならば、かば焼き一匹3千円は出過ぎる値に思えてならない。なぜなら御飯抜きと言え、写真の親父が売る燻製ウナギの一匹値10ユーロ(≒千円強)なのだから…。食うや食わずの放浪自由人の台詞に過ぎないとしてもダ。

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合唱団がうたう。この時は讃美歌だった。カラフルなユニフォームのコーラスグループが広場やカフェの前に陣取っている。メンバーは思い思いに、ビールを飲んだり、踊ったり…。若い家族はメリーゴーランドあるいは風船ハウスの滑り台で子供サービスに忙しい。

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日本の繁華街に蛸焼き屋が多い。半世紀昔は盆踊りや秋祭の縁日に出た。今は銀座にも普通の商店街にも不似合いではないのでは…。国民的おやつ、と言うか立ち食いアイテムに昇格したようだ。たこ焼きはどこから来たのだろうか? 

ターフェル・アナトミア(≒手術台の解剖学)を導入した蘭学を思うならば、ヒントを得られるかもしれない。ワーフェルと言うのはやはりパンケーキである。リンゴエキスを挟むせんべい風な菓子もある。全て鋳型により二枚金型で焼くお菓子である。

黒いシックな道具建てと白赤モチーフとの屋台二つをご覧ください。イメージ違いだが、扱うのは同じ蛸焼きと同じ形のパンケーキである。`ポッフェルチェ`と南蛮人は言う。小麦粉+卵+膨らし粉の生地を焼くだけ。具の無いただのお好み焼きとも考えられる。これに細かい砂糖を振りかける。つまりパンケーキと言うか、`パンネンクック`に他ならない。

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キリストが神の国に行く。人々はビールで祝うのである。日本人も何かあると飲むのはビールが一番多いのではないか。イエスのワインはピルセンと言うビールに変わり、たいてい人々は液体だけを飲み続ける。肴なしで飲み続けることが出来るのはでかい体躯のせいか? 

アルコールをたしなむ際の惣菜の華やかさにおいて、日本を凌ぐ民族はないだろう。殆どが野菜・魚を素材とする。一方、欧州チーズのヴァリエーションが並ぶ`付きだし`や`お通し`は勿論すばらしい。酪農食品と言うか、四つ足脂肪分によって生存する民族のグルメである。体をうごかした20世紀以前はそれらを摂取する必然性があった。車社会で動かぬようになった21世紀、毎日100%脂肪食品を採る必要はなくなったのだ。こんな単純なことを百花繚乱の痩せるメソッド商いが言わないのである。

ビールに合わせる摘みは、チーズまたは燻製ビーフ`シンケン`の数々。ピーナツなどナッツ類。あるいはジャガイモ/魚/鶏/パン(葡萄入りやドーナツの類)の揚げ物。ブリテン風だと、フィッシュ&ポテトと言う塩梅になる。神の子はこうした肉と脂肪と油の食習慣を21世紀にわたって見て来たのではないか。彼は痩せ細り、5月に咲き誇るサンザシの棘に擦られながら、その冠をかぶらされている。飽食の現代欧米(+スラブ)人に代わって、ナザレの若者が全ての罪を背負っているように思われる。 

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10日近くすると、天国に旅したイエスの霊が地上に降りてくる。復活祭から数え49日目または50日目と言われる。毎年異なる日付で、私には何十年経ってもややこしい。五旬節とも言われる。ペンテコステの和訳らしい。ユダヤ(イスラエル)の春の収穫祭に由来するが、イエスを語る新約聖書では完全な彼の魂の降下物語になっている。

そう言う話はしかし、教会に行かない一般人にとって無縁である。大切なのは雰囲気を盛り上げ、スイングできる音楽である。木曜日の昇天祭は国によって異なり、必ずしも祝日にならない。しかし気分として、休みになっているようだ。ひねもす音楽が喧しいから、仕事にならない…。先日、選挙ポスターが溢れたドイツの村でも、こうしたバンドと音楽機器テントが立ち並んだ。

選挙結果に小さな驚きがあった。けれども、勝者も敗者も今日の昇天祭と来たる聖霊降臨祭との連続する祭を精一杯楽しむ。天照大御神の国`日本`ほど真面目でないが、マア同じような文脈で、キリストの神国`欧州`は息づいているのだから。飲めや歌えや、風薫る皐月なり。





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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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