ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Nature 雑草 フローラ/ファウナ

勿忘草(3) [Fairy-tale>Mythology]

In 12 century in the early spring Rhine flowed fast and strong with full snow melt water. Rudolf, a young crusader walked along the river with his lover. He wanted parting gift to her because soon had to leave for Jerusalem.

He found some beautifl group of blue flowers which grew very nearby stream. Passion with which he wanted to present the beauty to her caused him to carelessness. In a moment, his foot slipped on wet grass and he fell down into the stream. He could not himself lift because of heavy armor. While being swallowed by the rapid water he cried towards her *Vergiss-mein-nicht*.


雑草Vergiss-mein-nicht(フェルフィス・マイン・ニヒト)はこの通称によって、良く知られる。もし神聖ローマ帝国時代の物語が異なる呼び名、例えば葉の形からつけられたと言うかつての`ネズミ耳(の鷹薬草)花(Mausohr-Habichtskraut)`であれば、これほど人気を博す植物に成らなかったに違いない。人に限らず動植物も名前による運不運があるのだ。

和名・勿忘草(ワスレナグサ)は上述ドイツ原語の主語抜きの訳だ。「勿」と「忘」の返り点読みで「わすれる=なかれ」に「草」を付ける。「ワスレナグサ」または「ワスルナグサ」と読めよう。すると「ナ」は否定語でなければならない。一方で後三つの文字ナグサは「菜草」と響き、快い連想につながる。偶然か、命名の妙あるいは巧みが感じられる。

忘れな草 Corrage 03


言葉がドイツ語のように、日本の庭で一般に見られるワスレナグサ種は欧州から明治期に導入されたとされる。軍医総監・森鴎外の知見が関わっているのだろうか? それが学名を参照する限り、上の画像のワスレナグサ種である。毛深いのは属の特徴であるが、比較的乾いた土壌に生えて、ふつう花直径が2~3mmの青い花弁を持つ。

しかし明治のその導入以来、日本全国に野生化したと言われる本種が2~3㎜径の花かどうか、私は確認できない。なぜなら時々日本のサイトで見る本種の花径はぐっと一回り大きい寸法に思われるのである。しかも一般的に「湿地を好み」と言う日本文の説明がついているので、疑問符を付けざるをえない。小さな青い花で湿地に育つのは「ヌマ(沼)ワスレナガサ」と言うのが別にある。紹介/観察者の方々が欧州自生種を実際に観察していないせいだろうか。もしも寸法違いの場合、野生する過程で他園芸種との交雑の可能性が考えられよう。



「忘れな草」と、始めと最後を漢字で表記した(1)と(2)記事で、学名綴りや日本自生種について述べた。それは「懐メロ」テーマとの関わりだった。その時、日本人2名による作詞作曲の歌題名が「忘れな草をあなたに」と言う事実をウッカリ見逃していた。先週、野原歩きの途中にちょっと珍しい個体に出会い、その縁でYouTubeでその歌を探して聞いた時に、うっかりに気づいた。



「勿忘草」と言う草花名だけの歌がある。それは日本人による作詞作曲でない。私は日本と欧州との二つの歌を混同していたようだ。あたかも幾つか知っているワスレナグサ仲間をまごまごして取り違えるように。

忘れな草 Corrage 02


見辛い現場写真だ。それは珍しい個体と普通個体(一番目の画像)とが隣同士にあって、紛らわしいためである。何となくピンク色、または肌色っぽい花をつけているのが滅多に見ない色変わり個体だ。左下の側面画だと、かなりピンクに思えるが、個体全体にある10カ所ほどの成長花序すべてがうっすらとしたピンク色、即ち右下写真の色味なのである。

果軸の先が無限成長していき、だいたい4つ5つの花グループを形成する。時に標準色ブルーにピンク系の花が混じる場合がある。しかし一つの個体全ての花がピンク系を示す例は、私の観察経験ではめったに無い。個人的に異例だけかもしれないが…。

もしこの果実を採取して播種してみて、同じピンク系の花が咲くならば、突然変異的な変種として認めて良いかもしれない。この個体の葉っぱと茎すべてが全体または部分的に微かに赤みがかり、明らかに隣や周囲の個体達と印象を違えるのも、変種としての期待を抱かせる。

忘れな草 Corrage 01


3つ目のコラージュは「森」ワスレナグサと勝手にした種である。花径がノハラ種より倍以上する。属名と種名の二名方だけなら、日本唯一の自生種エゾムラサキまたはミヤマワスレナグサと同じ種類になる。恐らくゲノム解析をすれば、その次に来る違いが出てくるのではないだろうか。

日本野生化種と種苗店で求め庭で育つワスレナグサの外観・印象は左上の青い花弁で花径8~10㎜と思われる。しばしば市場に出回る園芸種はもっと大きな寸法を持つ。この左上の種(シュ)は欧州(中央部)の自生種で、かつそのまま庭に植えられる代表ワスレナグサだ。普段の環境で最も目にする種類で、実際上これが90%ほど占めているのではないか。

二名方だけからの和名「エゾムラサキ」と呼ぶのはこの時点で避けたいと思う。日本の自生種と細部の塩基配列まで同じである確率は極めて小さいだろう。遠い昔の「祖モリワスレナグサ」を共通にするかもしれないが…。

Myosotis silvatica Ka 010 Witte kreur

白い花は青い花株と同じほど散乱したタネから生えてくる力がある。借り農園地などに広がっているようである。肥料を投入した土壌ならば勝手にドンドン育つと言うことらしい。いつか本物の野生種になるかもしれない。友人の借農園地の歩道端で採取したタネを我が庭に播種すると、一年目にかなりの白花個体が出た。しかしいかなる面倒も見ず、余分肥料もしないので2年目から徐々に減り、今年は数個体に過ぎない。

ピンクの花Cはこの10年ほどで、庭で見られるようになった。左上の標準種にたまたま出た色変わりを選抜育成して作出したのだろうか? 二つ目のコラージュのような例からの園芸種と言う気がする。明瞭なピンク色で、感心も寒心もする。その内に、これら三色以外の花色が出てくるに違いない。木本のライラック(ムラサキハシドイ)やチューリップの勢ぞろいのカラースキーム作出例があるのだから…。

「忘れな草をあなたに」…、この日本人による日本の歌が何故まだインターナショナルにヒットしていないのか、まだ考え及んだことがない。YouTubeでフォレスタと言うコーラスグループと倍賞千恵子のカバー版を聞いた。全く異なる歌唱と、コーラスとソロと言う違いがあるけれど、いずれも音楽音痴の私には心の底に響く。日本人によるこの歌は多くの日本人歌手によってカバーされている。メロディーの美しさに加え、魅力ある植物名も左様な人気に力を貸しているように思う。

一つの花は決して複雑な彩模様のような構造を持たず、そして綺麗だと私には言えない。乾いたあるいは水っけのあるビオトープに2~3㎜小花のグループを沢山持つ個体が軍団のように群れる時、ワスレナグサの真価が発揮されよう。

左様な遠景群団の美しさが、ルドルフ青年…十字軍遠征の若き将校であって重い金属鎧を身に着けていたに違いない…を荒れ狂う濁流に呑み込んだ。春先の雪溶け時期である。神聖ローマ帝国領内の大河ラインか、その支流の不幸な出来事だった。これ故に、ワスレナグサの名前が21世紀の今に継続している。
[may 18th 2012]
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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