ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Ordinary People 雑人雑名

51才と58才のドイツのオバサン

Nortrhine Westfahren 地方議会選挙 Corrage 02

ライン川沿いに平行に走る街道をなぞると、左右に置いてある選挙看板がまだ目立つ。先週の日曜日に行われたNRW(ノルトライン・ウェストファーレン)州選挙の立て看板だ。この街道は21世紀の昔、ローマ軍がケルンからナイメーフェンまで進出したルートである。逆にたどると、NRW州を貫き、州都デュッセルドルフやバラ香水の古都ケルンに至る。ローマの軍兵たちが足にヨモギを結わえ進軍制覇した地域に軽い地すべりが起きた。

前回選挙で互角の連邦政権党CDUと州政権党SPDのバランスが崩れた。社会民主党の州首相・ハンネローレ・クラフトの大勝だった。前回とほぼ同じ支持率を得た緑環境党との連立、赤+緑の州政権が継続する。ただし今回は少数でない多数与党なのだ。

彼女のライバル・キリスト教民主党ノルベルト・レットゲンは水膨れ対策の薬用植物ヨモギの手当てを忘れたのだろうか。選挙は足次第なのだから…。逆にクラフト51才が前回に3%上乗せした薬は「人気」なのだ。中道左派SPDキャンペーンの掲げた政策がCDUのそれより優れていた、なんてことはないのだ。選挙政策は公約に過ぎない、選挙民は知っている。皺の増えつつある51才オバサンの印象がレットゲンより遙かに良かった、そういう人気なのだ。

連邦首相・元カトリック司祭の娘。娘であるが既に58才・アンゲラ・メルケルは13日以前にデュッセルドルフの応援に駆け付けた。彼女自身の内閣メンバーで同時にNRW州CDU党首を兼ねる`大物`ノットゲンの勝利を信じていた節がある。少なくとも10%弱の支持を失う大敗を期すとは夢にも考えなかった。すっかり貫禄をつけた女性初のキャンセラリンは「黒い日曜日」の三日後に、ベルリンで突然の内閣改造を発表した。環境大臣の首を挿げ替えたのだ。ノットゲンに代えて、彼女に忠実な議会調性委員のアルトマイヤーを任命。

女性宰相は福島原発事故発生の三日後に、ドイツ原発17基を将来全面廃止する宣言をした。以来、彼女はノットゲンの具体的原発政策を期待していた…。魔の日曜日敗北によって、この苛立ちが爆発した。盟友バイエルン州のキリスト教社会党CSU党首ホルスト・ゼーホーフェルと緑党幹部とが辛辣なノットゲン批判を公にしたから、挿げ替える腹は固まっていた。支持率10%減少だから当然のすげかえと言うべきだが、大方のジャーナリストやSPD党首ジグマル・ガブリエルには意外で`非情`な措置に映ったと伝えられる。

メルケルおばさんに州選挙敗北があい続く。連立内閣人事の交代とスキャンダルも続く。先般、安っぽい小金受け取りスキャンダルによって任期途中で大統領クリスティアン・ヴュルフが、それに先立って国防大臣カルル・テオドールが博士論文盗作で、それぞれ辞任せざるを得なかった。かつてメルケルのライバル、ヘッセン州首相ローランド・コッフも移民嫌いの過激さで辞任状況に追い込まれたようだ。加えて連立パ-トナーであるFDP党首ウェステルウェレも国連安保理リビア票決に於けるチョンボなどで党首を退いた。ギリシャ債務問題に端を発したユーロ危機に立ち向かわねばならない東独出身の宰相は身内人事に於いて踏んだり蹴ったりなのである。土俵際と言って良い。

Nortrhine Westfahren Corrage 03

13日選挙の小さな驚きは先の地方選挙で負けがこんでいた自由民主党FDPが生存圏5%をクリアーする支持率を得たこと。これもクラフト人気と同じで、説明するのは難しい。対照的に東独由来の極左政党‘左‘が生存支持率を大きく下回った。その代りに、国民総管理システムに代わる透明な政府を訴える若者集団‘‘ピラーテン=海賊党‘‘が伸長している。つまり自由保守右派と市民的前衛左派と言う相反する二つの党がNRWで勢力を得たのである。この頃の選挙はさっぱり分からない。と言うか、こう言うのが今風な選挙なのだ。アメリカ的人気選挙と言うのはこの今風なチンプンカンプン選挙をも指すと言えるだろう。

Nortrhine Westfahren 地方議会選挙 Corrage 04

日曜選挙は二つのCDU要職を兼ね、次期首相と言われたロットゲンの個人的失墜物語だった。そのコインの裏側はハンネローレ・クラフトの舞い上がる人気である。18日現在の「もし今、総選挙があれば」大手調査によると、ハンネローレvsアンゲラの首相になる比率は39%vs36%である。クラフトは党友で党首のジグマル・ガブリエルを上回る支持を集めているのだ。シュレーデルに続く中道左派首相で、加えて社会民主党の女性初首相が実現し得ると言うこと。

メルコジー(Merkel Sarkogy)の蜜月時代は去った。本日シカゴG8で、メルケルとキャメロンとがギリシャのレフェレンダムについて記者会見をしている。曰く:ギリシャのEuro圏離脱はギリシャ自身が決めるべきだ。G8公式見解は、ギリシャはユーロ圏に留まるのが望ましい。メルコジーがあんなに必死になったギリシャ救済のニュアンスが消えている。

公式発表とは大違いで、廊下や会食の何気ない雑談に於いてNATO参加各国首脳の腹は決まったようである。ギリシャのユーロ離脱はあり得る。もうジタバタしないと言うこと。車椅子の独財務相シャウベルは多くを語らないが、もう用意はできていると言う感じだ。ドイツ首相と財務相の表情が落ち着いているのは「ほぼ国民半分がユーロ導入を失敗と考えている」と言う有力新聞の調査結果によるのかもしれない。その先に地中海諸国(ギリシャ・イタリア・スペイン・ポルトガル)グループと北部グループの内部分離案が控えている。

ハンネローレ・クラフト:私はそんな案件と無関係、NRW州に集中すべき仕事が山積している。連邦首相への意気込みは皆無である。現時点でのスタンスは、2013年総選挙においてメルケル対立候補をSPDトップ三名の党友に任せること。しかし選挙が近づくと、人気具合で立つ可能性はある。彼女は政治家である。

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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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