ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Hacking, Spy and Battle of secuarity

UK宰相のチョンボや読み違い

ゴードンとセラ夫婦がメディア脚光をあびた。2年ぶりだろう。彼はリヴァーソン聞き取り委員会に招かれ、昨日その一問一答が実況中継された。夫妻の前回中継はダウニングストリート10番地を去る時だった。その仲睦まじい別れの場面が記憶に新しい。ブラウン率いる労働党が大敗した。10年以上のレイヴァー政権が保守党に衣替えする。キャメロン新首相夫妻が官邸に入る。上さんをサマンサ、旦那をデーヴィッドと言う。彼は40代半ばで、ゴードンより一回り若返る。

前任者トニー・ブレアがイラク干渉絡みで辞任、彼と2人3脚を組んだ女房チャンセラー役を務めたブラウンが新首相に就任した。だが世論人気はもうひとつだった。鍵を預かる人を意味するチャンセラーは即ち国庫番人。財務大臣でUK内閣にあって№2になる。時あたかもギリシャのお粗末、アイルランドの危機ゆえに、財務相ヴェテランからの宰相への昇格は歓迎されても良い。しかし内閣解散の好機をうかがわねばならないほど、労働党を取り巻く状況は激しかったのだ。

何故か? 長期ブレア政権への飽きと、それにあのマードックが絡んでいる。ブラウンは総選挙にあたり、世論好転を期待する。味方はブレアを支えたマードックのメディア帝国。国の新しい舵取り人のイメージ・アップが必要だ。タブロイド紙サンがブラウン夫妻の子供の病ネタを上手に仕立て、彼の勇気を称え同情を買うストリーを考えたらしい。誰もがウム、さすが我が宰相や、続投すべきとなるように…。

この事実内容をどうしてマードック系タブロイド紙サンが入手したか?結果論で言うと、サンは電話やコンピューターのハッキングと言う手段を用いたとブラウンは主張。プライヴェイトだから、非常に不愉快な出来事だったと。本日もこれまでの同趣旨を、彼は陳述した。

だがニュースインタナショナルNI当時の責任者レベッカ・ブルックスは不法手段による入手を否定していた。なぜならば、労働党不利を覆すため、このストリーを家族自身から入手、そして夫妻の暗黙の了承を得たうえで公表したと言う説を唱えた。労働党サポート代償は、NIによるBSkyB放送会社の全株買収への内閣了承を得ることだった。

これらは水面下で進行していたのだが、盗聴の波紋が徐々に広まる中で、ブレアとの蜜月を過ごしたルパート・マードックとRブルックスとがゴードン・ブラウンとの乖離を感じた経緯であっただろう。不人気の政権を支持するのはマードックにとって不本意である。同時に保守党が支持率を増やしつつあった。保守党の政策が受けたのではない。政権党の「賞味期間」が切れたのである。選挙民の手は新鮮な食品に行く。

メディア帝王はスカイテレビ100%支配を保守党に委ねることにした筈だ。老いたりと言え明晰な判断では…。NIレベッカ側は既に保守党の野党時代(2008~2009)、その報道責任者にアンディー・コールソンを布陣させていた。彼のボスはレベッカの亭主チャーリーの同窓なのだ。RC夫妻は常に最大野党々首の最も近い親友だった。野党側のスカイTV交渉支持も必要である。新聞経営の常道は与野党いずれにもパイプを持つこと。

ほぼ勝利の選挙予測がでて、デーヴィット・キャメロンはマードックの推すAコールソンを党の報道責任者から官邸首席報道官に据える決断をする。盗聴関与の疑いに包まれる人物を政権中枢に配する批判がガーディアン紙を始めとして数紙によって既に公にされていた。キャメロンにとって賭けであった。だが強力なバックは何物にも代えられなかったに違いない。あるいはキャッシュの選挙支援に与かった可能性は大いにあり得る。ブリテン選挙も巷間いろいろ裏話があり、日本の選挙違反の風景と変わらない。

こうしてゴードン・ブラウンは選挙後、直ぐに敗北を認めた。マードックに見捨てられた事実によって、電話盗聴スキャンダルの彼の私的侵害コメントを強化したと思われる。特異な病を持つ子供の記事が不法手段によるかどうか? ブラウンかブルックスのいずれかが嘘をついているということ。真実は分らない。

戦後第11代首相夫妻 Gordon/Sarah Brown
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戦後第12代首相夫妻 David/Samantha Cameron

この同じ日、宰相のチョンボがサブトップニュースと言う感じで話題になった。読み違いではなく、酒飲み過ぎのウッカリだったのか、要人にあるべからず不注意だったのか…、首相と家族の話題だから、ゴードンとセラとの対照として書き記そう。

2ヶ月前、サマンサとデーヴィッドのキャメロン夫妻は子供たち3人とチェッカーズ近くのパブを訊ねた。子供たちも一緒だからむしろレストランだったのだろうか。チェッカーズと言うのは馴染のオックスフォード中心街の地名だろう。UKトップ要人だから数名ボディーガードが付く。陽気に飲んだ後、夫はボディーガード付きで約束地へ発った。妻は別の運転手付き車で長女と共に、幼い2人の子どもはこれも別の車で子守のお手伝いと共に帰宅した。 

彼はそう思っていたそうだ。妻の方も似たように考えていた。ところが長女はどちらにもいなかったのである。夫と妻の間で、どちらがハッと悪夢を感じ、どういう順序で連絡し合ったのか一切不明である。夫の総理大臣は、偉い身分と思われないほど取り乱し、あわててパブに取って返した、と事後話にある。

実際はサマンサがパブに先に駆け付けたらしい。8才の少女は彼らがパブを去る時、トイレにいたそうである。子供たちを全くチェックせずにパブを出る夫婦がいる。加えてかなりうろたえた印象を目撃者に与えたらしい。ウッカリ夫婦のドタバタにも思えるが、少しアルコールが入ったくらいでおたおた取り乱す首相と言うのはどうだろう…と疑問符をつける下々もいるのだ。

眠っている我が赤子を車内に残したまま、ディスコで夜明けまですごし、殺人罪まがいで逮捕された若いカップルがいる。ホームアローンと言うクリスマス・コメディーはご存知の通り、多すぎる子供たちの一人を取りのこすのをきっかけにして始まる。休暇がいかに優先するかと言うブラックジョーク…、と言うか世情風刺とも取れよう。子供を忘れると言うのはかなり一般的な現象かもしれない。だから同工異曲のコマーシャルや映画が流行るのだろう。

かつてアンディ・コールソン関与のニュース・オブ・ザ・ワールド詳細情報がめぐり、亭主のデーヴィットは「泣いて馬蜀を切る」代りに自らのチョンボを自戒しながら、報道官辞任を認めなければならなかった。キャメロン政治判断ミスの初例だ。かなりのダメージを今になってもこうむり続けることになった。本日の子ども忘れトピックが何処からリークされたのか? これも笑い話で重用でないのだが、天秤がマイナスに傾いたことを否めまい。

良くしたもので、「デーヴィットもサマンサも楽しんでダンスに打ち込んでいたのよ。誰でにでも起こることだからさ。逆にウッカリ庶民への警告を与えたのだから、立派立派」とニヤニヤ笑いをしながら持ち上げる御仁が結構いるのだ。確かに一国の宰相と言えども、気楽なオッチョコチョイがいても許されるのも良いかもしれない。人のあげあし取りと失言追及に明け暮れる国会ゆえに、総理が腰をかがめ頭を下げる謹厳実直スタイルを強制される。これはブラックユーモア過ぎるのでは…。

列島住まいの日本人は真面目で、東北大震災の互いの助け合いによって、俺私僕だけの殺伐たる欧米人の尊敬をかちとった。そのコインの裏は活き活きとした人間的ダイナミックの欠如かも知れない。礼儀・謙譲を知り振る舞わねば、社会人ならざるとする…。腰を折って丁寧を尽くす日常作法が、たとえば創造性をよわめ、生産性を著しく阻害している。

フト思う。政治意見をそのまま話し、失言を恐れず、時にチョンボも評価され、ネクタイせずの溌剌たる宰相が日本に現れることは永久にないんだろうな。日本だけでなく殆どの議会にも出てこないと思われるが、総理は何処からみても真面目であると言う筆頭モデル国である必要はない。
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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