ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Here&there lands 雑なるアレコレ大地

蘭国は失墜/悲劇にありて いかにせむ?

国家が打ちのめされ、落胆して失望のどん底に陥ることがある。この悲しみをどう乗り越えるか?

例えば1945年8月15日の陛下の玉音放送をつとに思い浮かべる。
「……朕ハ時運ノ趨ク所堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ萬世ノ爲ニ太平ヲ開カムト欲ス……」

昨年3月11日東北大震災の発生直後から全てのサテライト局はこの報道に集中した。常時衛星局または初期の海底ケーブル24時間ニュース局の核プログラムはニュース報道だ。数か月の進行過程で幾つか印象に残った山がある。

3月17日の天皇ご夫妻の声明はその一つと思われる。中継とその後の録画が終日サテライト局から流された。それは上記の8月15日放送を連想させた。1945年国民への呼びかけは二つに分けて極秘に録音されたレコードであったと言う。

平成天皇声明はそのまま同時に世界に伝わるライブである。66年を隔てる全く異なる時代の二つなのだ。しかし人々を労わり、励まし、力を合わせ復興に向かおうと言う内容において等しく重なる。父君裕仁・ご子息明仁の二代にわたる君主がきしくも同じ文脈の言葉を述べられた。

なぜなら国家の未曾有の危機に直面しているのだから…。民主時代における3月17日君主の表情が画面一杯に大きく私に感じられた。真摯な誠実に満ちた言葉を伝えるこの稀なる放送は(欧州に限るとして)大いなる共鳴を持って、恐らく受け止められただろう。21世紀の玉音放送と言って良いかも知れない。

それから被災者自身と日本人の互助精神を伝える報道が続いた。殆どの欧州人は驚きの目を見張った。わたしの知る人々ですら「あなたの同胞を尊敬する」って言うんですね。その意味するところは「私たち民族にまず取れない協調と優しさに満ちた行いをあなたの同胞は実行できるのね」という驚きを含む新発見なのだ。

この日本人再発見と管政権及びテプコ(TEPCO=東京電力)のスッタモンダとは論理上なんら無関係である。福島第1小爆発が引き起こした恐怖と、その後の立ち退きと避難に世界は注目するからこそ、当の日本の人びとの列を乱さず待つ忍耐強さに目を見開いたのである。
曰く: 極東に四つの国あれど、三つは蛮族国家で、一つは欧州のモラルを遙かに凌駕する。

Euro2012

蘭国の失墜は彼らにとって深刻な事態である。1980年以来起こったことのない恥である。対デンマーク戦を大人と子供の対戦とみていた殆どの蘭国人は、`下手に蹴られた`ボールがキーパー両脚の間を抜けて自陣ゴールに入るのを目撃して信じられなかったのだ。そしてインターナショナルスター選手で溢れるダッチ・イレブンは得点することが出来なかった。

第1戦の取りこぼしの後、オランダは隣国ドイツと戦った。ドイツ選手は簡単に2点を先取して驚いた。ドイツ連邦の11人マンシュハフトは万全の準備をして強敵オランダに向かったのだが、こんなに手ごたえがないとは想像だにしなかった、と彼らの後日談。

思っても見なかった一回戦敗退は目の前だ。もしも蘭国が第3試合日の対ポルトガル戦に2点差で勝ち、もしも既に2勝するドイツがさらにデンマークに勝つならば、オランダは得点数でポルトガルとデンマークを上回り、2回戦に進出できる。他人任せの希望であって、現実に起こるかどうか…だ。

2敗したのだから、オランダの火は消えたと無関心な第3者は思うのだが…。フットボール欧州選手権に特別売り出しキャンペーンを展開したスーパーマーケットの多くは声を失いつつ、わずかな望み、つまり奇跡的立ち直りを祈る。さもなければ、飾りつけやプレゼントの山を処分しなければならない。

続けて敗れた。国家の汚名だ。打ちのめされた後にいかに勇気を取り戻すか? テレビ解説とフットボール週刊誌の`権威`達は業界言葉で原因あれこれを呟き、彼ら自身の予想が狂ったことの言い訳をしているように聞こえる。あるいは選手の想定外の不調をあげつらい、あたかも事前に承知していたように言う。英語で言うところの「サッカー」ジャーナリズムのいい加減さ…。

このグループでもしも奇跡的逆転が起これば、`権威`達は元気百倍になる。それに加え、こうした大試合の場合に限って現れる1600万余(蘭日の人口比ほぼ1:8)のナショナルチームのトレイナー且つ解説者が狂気する。彼らは悲し涙に代えて嬉し涙を流し幸せに浸るだろう。同時に目算商い気分が再浮上、店と言う店がもっとオレンジ色になる。

成績が悪ければ監督/コーチは直ぐに解雇される。あるいは自ら身を引く。このスポーツに限らないが、数か月や一年で去らねばならない。基本契約期間があるのだが、お構い無しなのがこの業界のやくざな部分か…。

昨日ロシア連邦チームのコーチ・アドフォカートが辞任表明した。ロシアチームは意外にも0:1でギリシャに敗れたのである。国民の期待に添えられず、責任を取ると言うこと。彼は蘭人であるが、この世界の常識に従った。ところが同じく一回戦で去らねばならなかった主催国ポーランドのコーチは契約に従い、今年度末まで職を全うするそうだ。号泣した同胞ホリガン的なファンがどう反応するだろう…。

フスボル即ち球を蹴る世界を日本漢字で`蹴球産業`と私は呼ぶ。英語だと語彙違いのため一目瞭然を欠く。独語:Fußball-Industrie綴りは概念として明快。球を蹴って稼ぐ産業分野と言うこと。

欧州各国にプロリーグがあり、並行して国内カップ戦がある。リーグ優勝/準優勝チームが争うチャンピオン大会と、それと似た(私に分からないチャンピオンでないチームによる)欧州大会とがある。加えて2年毎だと言うこの国単位の欧州選手権がある。おまけに陸上やラグビーなど他スポーツ分野に軒並み生まれた2年だか4年だかに一度の世界選手権もある。

この産業規模はスポーツに於いて最大だけでなく、油や自動車と言う主要産業に及ばずとも、例えば映画産業に並ぶのではないだろうか。欧米日にくわえ、伝統の南米、人気沸騰するアフリカ、これらの日常に溢れる産業である。元サッカー選手が村の青年チーム監督業で糊口の途を凌ぐ、なんてことは普通なのである。

別に言うと、昨日今日のごとく、欧州半分の人口が関心を払うような狂気に近いフェノメーンでもある。ホリガンと呼ばれる丸坊主連中はUK生まれの`サッカー気違いファン`であり、自国・他国の試合場に進出して、狼藉を働く。治安警察費用を主催組織と折半する国が多いそうだが、この額もターンオーバー(総売上高)に釣り合って例えば開催行政地の財政困難を引き起こす。欧州一般慣例として、警察は行政区の市町村長の管轄下にある。

2年前の南アフリカの世界選手権だったか、華麗なる技で世界を魅了したダッチ・イレブンは見る影もなくガタガタになっている。2戦してポイント零。共に肩を組んで将来の復興を目指すなんてことを彼らに期待出来ない。欧州リーグのスター選手が多く、とりわけ世界選手権後、、個人プレーに走りすぎる傾向が強い。、

トラウとエヌセアールと言う二つの高級紙は敗北の記事を一切書かず、ただひたすらにフットボールの試合がなかったかのような新聞紙面を作った。誠実に書けば書くほど、心の傷が深まる…。一刻も早くこの惨めさから逃れ、事件を忘れることが一番だと言わんばかりに。もしも大逆転が起これば、大騒ぎして幸せな1600万のコーチたちの様子が紙面を飾るのは言うまでもない。しかし大逆転の確立はきわめて少ない。残念だが…
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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