ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Euro crisis 通貨危機

危機の本家 ギリシャ 

ベルギーGenk市は6万5千人口。ベルギー・フォードはほぼ5千人を雇用する。工場閉鎖によって人口1/13の雇用機会が失われる。インタビューを受けた組織担当者が溜息をもらした:「ギリシャ倒産の騒ぎさえなければ…」。

これを前項の落ちに書いた。書いた後、直ぐに思った。ギリシャ政府が真面目に国家運営をしていれば、フェンク最大の雇用企業の閉鎖は無かったか? 彼の呟きは5千名市民の正直な感想だろう。こぼれた水は盆に返らない。ギリシャの水はこぼれて当たり前だった。[補足1]

パルテノン神殿と稲妻。我が数千年ヘレニズム文化に亀裂が走る、ジョークするトィーターがいる。
EU財政超過指標(当時3.3%あたり)を遙かに超えるギリシャ事情が明るみになって以来、ギリシャはカオスに続くカオス。
ギリシャ危機 04
銀行員のデモ。先日の内閣方針、増税と節約をあげている。15年前、銀行利率ゼロ政策の日本で抗議デモが起こっただろうか。失われた15年は膨れ上がった風船の破裂だった。[補足2] 


昨日コスタス・ヴァクセヴァーニス(ギリシャ語を読めないので私流読み)と言うギリシャのジャーナリストが逮捕された。彼は政府文書を密かに入手して公開。無用な社会不安を起こした容疑らしい。文書はスイス銀行に口座を持つギリシャ資産家名リスト。

政府要人や重要経済人、ほか多くの著名人を含み、長年に渡る彼らの脱税証拠になろうと言う代物。特に借金国家運営が明るみに出た後、スイスへの資産移管が進んだ。総額€1.5bn (補足3) のスイス口座所有者はギリシャ社会上層部を網羅している可能性がある。

海外資産逃避と無関係な庶民こそが危機の被害者だとするなら、このリスト公開のインパクトは大きかった筈。月初めのジェネラルストライキさらに組織別ストライキが派生的に起こる一つの原因になっている。

資料は2009年1月にジュネーブ勤務のフランス銀行員による``ハッカー産物``。スイス大銀行安全管理のお粗末だが、ウィクリーク創始者アッサンジュ口座凍結へのハッカー攻撃とリンクするかもしれない。そして多くのギリシャ名がリストに散らばる噂が広がる。スイス当局の盗難批判にも拘らず、資料は仏財務省に渡り、時の大臣クリスティネ・ラガルデがCDコピーをギリシャの同僚パパコンスタンティノウに引き渡している。ゆえに資料はラガルデ文書と言われる。

政治もカオスにドタバタ混迷を続ける。この6月に、EU残留、EU債務融資を受け、EU指示に従うと言うサマラス保守党が左翼との連立内閣を発足させる。前途は多難、誰もどうなる実は分らない。その財務相ストルナーラスが当面の緊縮政策のEU合意を得たと発表する。
     ギリシャ危機 03
ところが車椅子で知られるウォルフガング・シェーブルが「イヤ、俺は合意しとらぬ」と、一もんじゃく。世界金融安定策論議でギクシャクした東京からシンガポールへと車椅子と共に廻って来た彼はどうも気分が乗らないようだ。既に3~4年、この問題に掛りっきりである。ドイツ財務相と言えど、ユーロ圏からのギリシャ離脱を数か月前から織り込んでいると思われる。


前々財務大臣パパコンスタンティノウはラガルデからCDを受けとり、それを昨年7月に後任者に引き継いだそうだ。しかし税務当局は脱税取締りに動かなかった。政権の意向だろう。取り締まれば恐らく緊縮政策に支障をきたすほどの障害が起こる…。国家の非常事態に`些細な`脱税問題で火を煽る事態を避けなければならない。[補足4]

希臘社会の税制が全く機能していない。手短に言えば、税金が集まらない。国家歳入が少なければ、ギリシャ国債保持諸国への支払いすら滞る。税金をちょろまかすのはラガルデ・リストにある著名資産家だけではない。中間階級も庶民もすべからく巧みに脱税を試みるそうだ。公に語られないが、政治家と公務員と市民と…みんな仲良しなんだとギリシャ通が言う。

アテネの国会議事堂はすっかり有名になった。何かあるとこの建物と前の広場が画面に紹介される。
     ギリシャ危機 01    
右:ゲオルギオス・パパンドレウ 2009年秋から2年間の首相。パパンドレウは世襲の首相職家系かと、私は錯覚した。日本政治家に世襲が多いが、長い目で見ればマイナス面が強いのでは…。左:パパンドレウ政権時の財務相ゲオルゴス・パパコンスタンチノウ。


30日(火曜日)の小さなニュースは:スイスのUBS(Union de Banques Suisses)銀行の1万人削減計画。名うてのスイス銀行だ。フィクションだが、ゴルゴサーティーンも口座を持つ。独裁者たちと家族その取り巻き、軒を並べて秘密口座を持ち/持ったと言われる。フィリッピン元大統領マルコス、リビア42年支配のガダフィー、池田大作の風評もある。自国銀行をもはや信用できないギリシャ資産家は3年前からスイスに殺到した。当然…。

USBは1998年にバーゼル本社のスイス(連盟)銀行とチューリッヒ本社USBとの合併で誕生。欧米日で巨大銀行が生れた時代。ゴルゴや池田某氏は合併以前だから、バーゼルかチューリッヒかどちらに詣でた? 現在も2本社制を取るが、投資/資産/マネージングの3本柱がどう配置されているか不明。世界50カ国にフランチャイズ展開、6万名以上を雇用する。

昨日の人員削減発表の対象は主に投資銀行。つまりギリシャに端を発した金融危機は`投資`を直撃した。ギリシャ`帳尻合わせ借金`経営が判明する以前、南欧は投資ブームに沸いていた。ギリシャからイタリア・スペインを経てポルトガルまで豪華なホテル/邸宅が建ちあがった。日本土地バブル期に酷似する。

ギリシャ`発覚`で`投資`も鎮火した。新建築は閑古鳥が鳴く。売りたいが買い手無し。やがて朽ち果てる。USB投資銀行の利益計上は1年前が最後である。連続して4半期決算に莫大な損失を被った。企業再編は人員削減から始まる。そのスイス金融機関にギリシャ顧客がどっと増えたのはきっちり理屈に合っている。

逮捕チームが彼の居間に入ってくる様子までラジオ実況で伝える。画像は連行される様子で、拍手をする人が見える。税務当局は脱税者の氏名リスト`ラガルデ`文書を持ちながら、いかなるアクションも取らなかった。曰く;リストを入手した以上、これを公開するのはジャーナリストの義務である。昨日の事件であるから、支持メディアや組織が保釈措置を採ったかどうか不明。、
     ギリシャ危機 02
2009年初めにハッカー資料をコピーしてギリシャに引き渡した仏財務相クリスティネ・ラガルデは、国際通貨基金IMFボスに横滑り。初の女性ボスだが、それは前任者DSKことドミニック・シュトラウス・カーンが昨年5月にセックス・スキャンダルによって辞任したからだ。同じフランスからと言う理由が大きい。彼女は先の10月半ばの年次総会のため東京・仙台に顔を出している。IMF融資はEUと並び、ギリシャ救済の要になっている。


28日、ギリシャの抱える天文学的借金処理について、トロイカ裁断があった。トロイカとはEU(欧州連合委員会)ECB(欧州中央銀行)IMF(国際通貨基金)の三者。昨年、債権側の銀行は任意に焦げ付き(損失)計上を行う。今回は債権諸国が保有ギリシャ国債を部分棚上げする[補足5]。言い換えると、買った国債を紙屑として捨ててしまう措置。国民が納めた税金が無駄使いされるわけだ。

2年前、隣村のお上さんが危惧していたことが現実になった。オーシ―(旧東ドイツ)復興に継ぐギリシャ救済のために村道の舗装が後回しになる。蘭国に於いては二次ルッテ内閣のサムソム労働党との政策締結に5千億円だか5兆円だか(数字は大きすぎて分らない)戦後初めての未曽有の節約額を折りこんだ。先月、消費税率が19%から21%に上がったばかりだ[補足6]。豊かな中央欧州も北欧もこうした緊縮を余儀なくされているのだ。全てがギリシャから始まった債務問題に起因する。

30日は今日。ギリシャAntonis Samaras(アントニス・サマラス)首相が国際金融機関との折衝に於いてきたる新節約案と予算について了承を得たと声明。次の手続きはギリシャ議会が正式承認すること。もし議会が認めない場合、我が国はカオスに陥る。つまり手立て無し、ギブアップの状態になるのだと。300議席中176の過半数だが、社会党との連立なので、造反議員が26名以上になる場合がありうる。

サマラスにとって正念場だから、決意してあらためて下院議員全員に警告を発した格好になる。トロイカ了承については既に先週Yannis Stournaras(ヤニス・ストルナーラス) 財務省が懸命にメディアに説明している(上の画像参照)。さらに念を押さざるを得なかったのは彼自身が経済専門家であること、加えてドイツ財務相やブリュッセル議会の`疑問符`が伝わっているからだ。

Troikaとギリシャとの意思疎通/解釈が今一つハッキリしない。(テレビ電話による会議だったためか?) 仮に融資側三組織が了承したならば、来月期限の債務支払い必要額3兆円が融資される。(但しECBとIMFの試算額はそれぞれ異なり、出所によって違う数字が見られる)。ギリシャは一息つけるが、真剣な細部にわたる節約を実行しなければならない。失業率25なにがし%でスペインよりコンマ以下の差で増しなのだが、失業手当は直ちに最低生活費になるそうだ。これまでのサラリーの70&と言う常識を破らなければが国家再建を出来ない…。

一方、救済の主役ドイツ各紙にギリシャ自身の財政再建具体策について喧しい論議が展開されている。約束済みの国家企業の民間化や歳入増加が全く実現していない。もう3度目の救済はないのだから…。いったい本気で(健康体に戻るために)極貧に甘んじる覚悟があるのか? 国家倒産してEU離脱しても、その後は何もない。地獄が待っているとドイツのある新聞。こうした批判と悲観論がある一方、約束を守るなら峠を越せる。左様な期待論もあるのだ。

借金返さなくても良いよ!と公組織がギリシャに好ゼスチャーを示す。民間債権者(銀行)でない公の組織とはEU加盟諸国に他ならない。彼らにとって大いなる損失であっても、統一通貨ユーロ維持のために他の選択手段がない。そう、少なくとも独仏は確信して他諸国を説得している。トロイカが知恵を集めた三月レポートと間もなく出る調査研究レポートもギリシャの通貨圏離脱はユーロ崩壊の初めだと示唆するだろう。

隣村の知り合いの上さん曰く;ユーロが無くなったら、不便だわね。マルクを再びギルダーやポンドに両替するの‼ 
ギリシャ・エーゲ海の島嶼ではレストランやホテルさらに青く輝く海と海岸までzu verkaufen *(売り)看板が林立して、ドイツ人観光客を待っている。

[補足]:
1.過去ずっと財政不足を補うため政府(から省庁/市町村まで)海外金融機関から借りまくり、EU報告への帳尻合わせをして来た。欧米大銀行にとって国家(公行政組織)の破綻はありえない筈だから、ギリシャ国債を買い、喜んで融資を継続してきた。ECBに調査チームが出来たり一日査察が入るなど深刻な事態が明るみになる。欧米金融機関は昨年30%前後の焦げ付きを計上。ブリュッセル(EU)による一種の徳政令お達しだった。独仏銀行とUSモルガンなど数行の損失額が目立つ。

2.おおかたの日本人は優しく上品になったのだろうか。実体のない``土地投機``経済運営をした政権に対する、正当な抗議も怒りも表明できない/しない気質になったのだろうか。

3.1500億円か? $と€は¥に対し、やや換算しやすくなった。対ドル80円、対ユーロ95円と言った感じが続くならば、大目に百円勘定すると体感を得られるような気がする。

4.国家危機に事件に関わる重要人物を救済すること。言い換えれば臭いものにきっちり蓋をすること。たとえだが、佐藤榮作の造船疑獄を思い出す。前パパンドレウと現サマラス政府は時間もなく、何年もかかる裁判沙汰を優先させる具を犯さず、ラガルデ文書の一件は`何もせず傍観`そしてジャーナリスト短期拘留で済ませると思われる。

5.これを英語彙ではhaircutと呼んでいる。ギリシャを身軽にするために全部の髪を刈り取る分けに行かない。救済側諸国民が自政府のそんな勝手を許す筈がない。わずかだけヘアーカットすると言う揶揄。

6.失業率25%のスペインでは、消費税を8%から23%に大幅アップ。逆に言えばこれまでの8%が非現実だった。スペイン国民はラクチンを享受していた。と言うか政権は国民に迎合していたのだ。消費税に限らない、休暇期間に年金取得年齢、、。南欧は一般に労働組合が強く、思い切った政策が採り辛い。


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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

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