ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

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Oh every day 日々そうそう

食欲の秋

         食欲の秋はキノコ狩りから
         russula lepida mogelijk 01-2


こんな仏様の台座風な茸というか菌類は多い。
この仲間はその一つの代表例。左右2つの直系は20㎝。右と中は1個体、左は数個が集まり上面から見るとほぼ正円
          Tonderzwam 005-1
上からみると、白い縁と濃緑の内側から構成されている。側面で分かるように茸ボディーカラーは白い。濃緑部分は本体のキノコに付着する地衣類。異なる色や外観の地衣類がつく場合、全体の印象も違って見える。`地衣`は苔でない。茸に寄生していると言うよりどうやら共生関係にあるようだ。`衣`として茸を保護しつつそこに棲息地を得ているわけ。彼らは倒れた`欧州ブナ`に頻繁に見られる。キノコ自身を`平らなトンデル`と呼ぶ。和名一般名ヒラタケも`平らな茸`で、共通する。Tonderは火付材で、良く乾燥した`台座`仲間は燃えつきが良く重宝されたらしい。本種の学名はGanoderma applatamuで、和名をあいにく知らない。


週末に森歩きをする。連れがあると、普通にのんびりと歩く。そう、徒然にである。土日に沢山のリクリエーションの人々に出会う。乗馬ルートやマウンティンバイクコースなどが複雑に絡み合い、良い天気だと広大な森も賑やかな感じになる。

我が村の四方八方を囲う森に入ると、今でも迷う時がある。縦横に走る維持道[補足1]とその間を繋ぐ小道の網がはられ、さらに踏み分け道もあり、ほかに気をやるために方向感覚を見失うのだ[補足2]。森の屋敷土塀をグルグル回りするだけで森から出られないスリリングなフランス映画があった。運転する若い女性が恐怖に駆られていく過程が見せ所。それに似た感覚を味わえる場所である。

普通の日に、観察歩きをする。独りで自由でなければならない。ルーペで細部を眺めていたり、水たまりに入って愚図愚図しているのを、のんびり待ってくれる女性は少ない…。長靴履きだとカッコ悪いとクスンと笑われ、そはあれど、この頃はもっぱら二重ズボンと厚手皮手袋、帽子とサングラスの恰好。曇り日はグラス交換できるタイプの眼を守る目的。ブッシュブッシュの枯れ木や枝、棘のある蔓など、それらの跳ね返り…。カメラなど必須道具入りリュックは勿論だが、加えて余分の肩さげカバンに数個のプラスティック容器と数枚ビニール袋を入れて行く。

     Paddenstoel eten
     上;まな板に素材が並んでいる。キノコがみえますね。隣の水切りネットの素材は茹でた`うどん`。下;これはさて?なんでしょう


料理ワークショップは出来ない。繊細でない野暮な雑草や雑木果実、そして秋のキノコを食べる会を好事家を集めてやったするのだ。とは言え、キノコはご存知のようにおっかない真菌類。怖いです。無謀をする年を過ぎている筈だが…。キノコを食材とした嚆矢は支那だろうと想像するのだが、どうだろうか。日本では仲哀(チュウアイ)天皇期に栽培記述があるとか…神話っぽい感じだが、要は古代から食材だったと言うこと。

欧州は比較的新しい現象らしい。分類の父・リンナエウスは殆ど知らず、オランダ出のぺルソンやスエーデンのエリアス・フリースが19世紀に多くの研究を発表してキノコ学を開拓したそうだ[補足3]。菌類だから顕微鏡が出現してから、ようやく学問として定着した印象を受ける。

欧州に於いて茸を食用とするのはスエーデン・フィンランド、それにロシア・ポーランドなど。オーストリアも盛んだと聞く。フィンランド・ポーランド・ロシアあたりでは政府機関による茸指針、あるいは教育と言うか、取扱い情報が徹底していると言う。知人の数名ポーランド人曰く;春も秋も茸狩りの人々がドッと森にはいるのよ。たいてい保存食として塩漬けや乾燥させる。年中それをたべるられる…。
これを聞いた蘭人がびっくりする。北欧や東欧人の生活力と茸通ぶりに驚くのである。キノコ類を見て「それって食べられるの?」と聞くのだが、実際に集めて食材にするのは殆どの蘭人にとって想像になる。

その波蘭人をしても、失敗が起こる。戦後ある村で一度に20名以上が死亡した例が知られる。紅い地に白い丸が散らばる天狗茸は毒キノコとして有名だが、これは死ぬほどの有毒度を持たない。派手な茸が有毒、落ち着いた茶茸なら大丈夫、そんな`常識`が広がり過ぎていた所為かもしれない。

上画像にある白と緑(付着した地衣類)ツートンカラーのトンデル茸は徐々に固く木質化する。下の画像は倒壊ブナ大木に出るトンデルとほぼ同じ付き方と半円形状の茸。触ると、普通の`柔らかな`キノコである。右上は上下をひっくり返した状態で、明るい白い襞(ヒダ)が根っこ真ん中から放射状に広がる。柄があっても殆ど無いのがトンデル仲間で、肉部が柔軟ですぐ崩れるような普通キノコ風もあると言うこと。
      Elfenbankje achtig lichtbruin 07 Cor
大きい個体の寸法は5㌢ほど。食材になる可能性大。さらに大きく育つかもしれない。もう少し観察して、様子を見よう。なおこのポイントは既に数回来て迷わない。
↓似たものどうし。短い柄が無いようである巾10㎝標準的ヒラタケ。文字通りの`平らな茸`で高名な食材だ。支那・韓国で自国市場を除き日本市場向け、現在欧米へも出荷されているそうな。栽培種はやや乾燥させて出荷されると聞く。湿ったまま梱包されている茸もあるが、これは半乾燥と言う感じだ。5~6㎝巾で、常に白っぽい色味。その香りは野生種よりやや強いように思われるが…

     Oesterzwam Preurotus ostereatus Cor 01

ヒラタケはオイステル又はウスター・マッシュルームのように呼ばれる。キノコを食用とする国々で栽培される。やや小型トンデル形状と相似形である。灰+紫ミックス調の色味で、自然状態の野生種。ご覧のとうり、ヒダのある下面は明るく白っぽい。形状と発生場所とが一つ上の小型茸と共通する。両者は近縁に思われる。と言うことは、上面色が小型版のような薄い茶黄色になる変化形がありうる。一種が色味や形態上で多彩な姿を示すのが茸のようで、左様な千種万別の変化を紹介する実質本はまだ上梓されていないのでは…。学者が研究実績を示す厳めしい分厚い本はあるが、高価な上に専門的であり過ぎる。また何千何万とあり、真菌類分類紹介本はたいてい限られた種類で、編者著者の選択観に左右される。

昔むかしと書かねばならない。松の茸、即ちマッタケが時々食卓に上がった。秋になると栗御飯と共にお袋が吸い物や煮物に合わせてくれた。今は昔。昨日、時差ぼけの残る身内が京のある老舗店先の写真を見せてくれた。マッタケ3本入り竹笊に三万円の値札がついている。マッタケはみすぼらしい風体をしている。十年前の3万円セットの数本はずっと大きく傘が見事な栗色でみほれるようだった。嗚呼、、悲しくも情けない。そして庶民に縁のない食材になった。

ならば、食欲の秋に相応しいキノコを提供してくれるのは我がド田舎と思い、この身を慰めて見よう。
      花びら茸とニワトリ茸 Cor
左;裂片が次々に出てくる。柄の無いキノコ。黄色が私は綺麗だと思う。家主と言うか寄生先はソメイヨシノ系の桜。台木は本場・欧州サクランボ。かなりの古木だから樹盛が弱り、この茸の出番になったのでは…鶏茸(チキン・マッシュルーム)のような名前がある。一枚一枚の形状を雄鶏のトサカに見立てたのだろう。 
右;3枚目の写真コラージュの下側食材の正体。パスタ製品に、先端に幾つか切り目を入れ、根っこを閉じた銀杏葉形がある。そのモデルはこの茸ではないだろうか。カリフラワーに似た成長をする。若い個体は白く、盛りを過ぎると黄色っぽくなる。20㎝ほどの立方体容量になる。「大きなスポンジ」と言われる。


黄色いトサカ状キノコも白いマカロニ風キノコも楢茸グループのようにどこにでも出てこない。希少でないけれど、根気で探すと見つかる。`マカロニ`は欧州赤松や針葉樹切株根っこに接して発生する。`トサカ`はブナや楢(≒)オーク類に出るような印象を受けるが、数度の経験しかないので不確か。いずれも小口切りで、バタで炒め塩胡椒すると言うまず基本で本来の風味・味を知ろう。後は肉と野菜と合わせ、薬味を効かせたり、醤油味醂と言う手や、好み調理法で召し上がれ。珍味か、奇怪な味か、人それぞれだろう。なおこの`一株`を一人でいただくと、小さな私には夕食に充分な量。

      Paddenstoel kleine maat
Pad=Pathつまりd=th式からすると、パッデンストールとは小路(散歩道)の傍らにある椅子を連想させる。パッドには綿などを入れた軟らかな詰め物と言う意味もある。するとクッションを置いた椅子と言う感じも受ける。そのクッションのある頭部が傘のように広がっていると、茸形状になる。どっちが先なのか分からないが、野外の歩行/自転車ルートの標識案内もパッデンストールと言う。キノコのようなデザインで、四方の行先と距離を表示している。ドイツ/ザクセンでPilzと教えてもらった。現在のチェコにピルセンて言うビールのピルセン発祥地がある。麦芽も一種の菌類だから…。こんがらがった顛末で恐縮するが、こうしてピルス=パッデンストール=マッシュルーム=茸=菌類と言う式が書ける。


ある午後、六つのキノコを集めてきた。2日後、この画像を撮る。乾燥して全てが水分を無くし委縮している。3㎝直径の傘が5㎜になる。たいていが元の表情を失い、威厳あるいは可愛さや美しさを失う。似たものどうしがあっても、乾燥させると違いがハッキリしてくる。団扇型のキノコはしかし少し縮まっただけだ。採取時に団扇巾25㎝、その大きさと厚みとしっかりした肉とに驚いた。やや小さくなっているが、まだ十分なヴォリュームを持っている。

柄の短いこの茸だけを玉ねぎと芽キャベツと共にニンニク+薬味数種を加えオリーブオイルで炒める。素材三つがご覧のように小鍋の半分を占領している。バターとおろしチーズを加え、引き続きミルクを注ぎ、茸+チーズのソースを作ってみる。黄色いチーズが茸の濃い茶色と混じり、紫灰の毒のようなソースになった。これでは誰も食べない。やってみないと分らない失敗!
味は、色と正反対で、椎茸に似た味覚にチーズ味が加わり捨てがたい。

食欲をそそらない失敗が、わが`食欲の秋`。

[補足];
1.維持する道の意味。用材生産を兼ねる森であるからトラックやブルトーザーが通れる広い地道。たいてい名前がついている。両サイドにブナの大木が並ぶような`主道`である。

2.樹木好きの方々が良く仰る。珍しい木を見つけ正体を知りたく然る有用サイトに質問される。けれども証拠不足だから特定してもらえない。そこでもう一度、資料集めのため山中の現場を訪ねる。しかし各当ポイントを見つけられなかったと…。何とも無念。しかしそろそろカーナビだけでなく、電話/時計/カメラなどあらゆる携帯機器にGPS(Global Positioning System)機能がつく時代だから、もう探す苦労も恐怖体験も無くなるでしょう。地球表面を覆う数十のサテライトネットワークによって、どこでも現在、10mほど範囲でそのポイントと標高を示してくれるそうです。

3.数年前、銀杏の`精子`を調べている時、粘菌学者・南方熊楠(ミナカタクマグス)を知った。19世紀半ばから20世紀半ばまで生きた超人と言われる天才且つ奇人。粘菌の守備範囲を全くしらないが、菌類を修めた植物学者として世界で恐らく初めての人ではないだろうか。南方のキノコ考察をご存知の方があれば教授いただきたい。


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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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