ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Hacking, Spy and Battle of secuarity

マードック・ダイナスティー、US本国で裁かれる?

渋い表情のアンディー・コウルソン、思いつめ疲れた表情のレベッカ・ブルックス。`王様寄合`国家=UKですっかり知名になったポートレート。20数年前、彼らはゴシップ日曜タブロイド新聞ニュース・オブ・ザ・ワールドに入社、当時あたり前の取材方法を`学び`、そしてキャリアーと共にそれを発展させた。只の新聞編集者から社会アッパークラスへの道…。アンディーはキャメロン官邸の大黒柱になり、レベッカはメディア帝国マードックのUK筆頭にまで上り詰めた。

UKタブロイド紙市場に勝ち抜くため、彼らが進化させた取材方法は盗聴・買収・演出だった。これら嫌疑で既にかつての同僚たちと共に訴訟を受け、さらにブルックス夫妻には警察/検察の調査過程に行ったとされる偽証・証拠隠滅嫌疑が加わっている。三日前20日、レベッカとアンディーの44才組に国防省高官贈賄嫌疑が新たに加わった。
      Andy Coulson and Rebekah Brooks Murdoch

ルパート・マードックとジェームス父子。親父81才、長女を作り離婚。再婚して次女・長男・次男を作り再び離婚。零が10個並ぶ離婚慰謝料でゴシップ種になる。ジェームスはその次男。彼が香港テレビ企業を任された時の副社長がルパート3人目の妻。中国女性はジェームスの妹弟になる幼児2人を持つ。

成人子供たちの家族を加えたマードック・ダイナスティーが世界屈指のメディア複合企業を所有している。家族企業と言うのは日本ならば、羊羹/和菓子や酒作りの何代も続く老舗を連想する。傾きかけても損をしても、有能な第3者に経営をゆだねない企業形態。家族が優先する。

オーストラリアの親父が始めた新聞を継いだルパートがアメリカに押し出し、やがて映画製作会社フォックスやウォール・ストリートジャーナルなどを買収、コングロメラートに成長。言い換えれば個人的な財閥か。子供6人と孫たちの繁栄をかけて、老人を継ぐのはジェームスである。この40才は商才によってトップになるのではない。大学中退してから彼の手掛けた企業のおおかたは大損して身売り。ルパートは跡継ぎ授業代として数百億$を投資したと思われる。かくして次男は跡継ぎとして雇用者6万規模の企業トップになると見られる。立憲であれ独裁であれ、君主の血続きに準じる。

諺っぽく「初代がお起し、2代目が潰す」と言われる。UK下院の調査委員会(ビッグベンの建つ元宮殿の一室で開かれる)の問答を伺う限り、この観察は次男ジェームスにも適用できるように思う。商い天才でカリスマの親父ルパートをかばって懸命に委員たちに応えたのだが、数年UKトップ職の実務は`坊ちゃん`ぶりだったことを露呈せざるを得なかった。オーナーとその坊ちゃんに雇用員は精一杯尽くす、それが家族会社の一つの特徴。委員会はジェームスにとって批判と敵対的言辞を聞く初めての場所だったようだ。

三日前にバリスター[補足2]アリソン・ディヴィットが贈賄でレベッカとアンディーを、そして収賄相手の国防省文官ベッティーナ・ジョーダン・バーバルを、それぞれ容疑者として告発手続きを取った。2004年1月から2012年1月まで総額10万ポンドを国家公務員に支払った証拠をメトロポリタン(Met=ロンドン警視庁/警察庁)が掴んだ。10万ポンドを得たベッティーナが与えた便宜はタブロイド大衆紙最大手サンに国防省情報を流すこと。

盗聴スキャンダルが浮上した昨年6月末以降にMetに3つの捜査班が設置された。電話盗聴/コンピューターハッキング/贈収賄、以上3つ。それぞれ90/19/70名の陣容。最後のチームであるエルヴェディン・オペレーションによって、ニュース・インターナショナル・グループと公務員の癒着腐敗の細部が分り、国防省/警察/刑務所の公務員たち総計52名逮捕につながった。他2つのチームによる告発は既に行われ、今回は贈収賄に於いて裁判に入る分け。

このスキャンダルの新段階と思われる。ジェームスの「知らない」いってんばりの議会公聴会答0が偽証に当たることが明らかになってきた。全てのUKトップ職を辞し、ロンドン自宅から本国の豪邸に家族と共に引っ越した。今後ニュース・コープのテレビ事業部門に集中、同時に来たるべき`帝王`に坐すると見られている。

ルパートはまだカクシャクとしている。しかし81才ならば、誰が跡継ぎかを示す時期だろう。次女と長男とは彼ら自身の商いに専念するようだ。ニュース・コープの重役陣からも退き、距離を置く印象を受ける。するとUKから撤退せざるを得ず、ニューヨークに戻った次男しか残らない。

お家の大事に跡目がハッキリすれば家臣も下々も安堵しよう。しかしディヴィット女史の新しい訴訟から導かれるUS法律解釈如何によって、ジェームスの帝王座への移行がスムーズにいくかどうか?  

ニュース・コープ(News Corp)はニューヨークに本拠を置くUS国籍企業である。そして出身のオーストラリアに、UK/香港/イタリーその他に子会社を持つ多国籍企業だ。英国新聞界の老舗と言えるタイムを始め、幾つかの有力タブロイド大衆紙を買収、それらの統括会社としてニュース・インターナショナル(NI)を置く。

2011年6月、NI傘下ニュース・オブ・ザ・ワールド(NoW)の盗聴スキャンダルが一挙に噴出した[補足3]。スキャンダル≒腐敗として世に出たのはガーディアン紙の記事の力。調査を粘り強く続けた記者(Nick Davies)がいたのだ。ほぼ1年半の期間に動いた組織は、Met三つの捜査チーム、検事局(CPS)、リヴァーソン聞き取り調査委員会である。UK国家安全史上に於いて数多くのスキャンダルが並ぶが、これほど大掛かりで徹底的経緯は初めてではないだろうか。

この発生国での罪は発生国に登記された企業によって犯された。公聴委員会偽証を行ったのは親会社から派遣された人物だ。子会社(の経営者または被雇用者)が犯した法的責任は親会社の連帯責任になり得る…と言うUS法律が存在する。ニュース・コープは従ってブルックスとコウルソンの贈賄嫌疑を共有している。しかも2001年9月11日テロの被害者や他事件の関係者に対して、NoWと同じ取材方法・ハッキングをしている疑いがもたれている。それはオーストラリアの新聞子会社に於いても同様である。

もしもブリテン・スキャンダルに於いてジェームス・マードックに罪が課せられる場合、あるいは企業体として有罪宣告を受ける場合、それがニューヨーク本社に適用されうる。そうした裁判は数年を要する。嫌疑がかけられ裁判手続きに入る場合、ニュース・コープは懲罰金を支払い[補足4]、事を収める筈。

コウルソンとレベッカ二人が判決実刑を受ける場合、代りの金額支払いで収監から免れるのが可能になるかどうか?これだけUK社会を零款させた事件ゆえ、猶予つきの短期間刑務所暮らしにしなければならないのでは。腐敗に対する正義を示すために…。
 

[補足];
1.財閥解体以前のトップは家族/家系だったと思われる。戦後、第3者経営者がトップに座るようになった。この意味で、トヨタは家族企業である。USメディアによるトヨタ叩きの時、創業者の曾孫か曾々孫かの豊田氏が「私の先祖が築き上げた企業を守るため」云々と涙の記者会見をした。世界に伝えられ、標準的欧米企業人は驚き、かつ感銘を受けたように思われる。日本的と言うより、この場合、家族会社的と言うべきだろう…。

2.数百名バリスターがいる。参照→7月24日:「知らぬが仏」アサド/キャメロン/某々のキラボシが並ぶ … 
Alison Levitt(48)女史は23才でバリスター試験に合格したそうだから切れ者なのだろう。彼女が首相キャメロンの親しいグループに属するレベッカとコウルソンと他NIジャーナリストたちを歯切れよく告発してきた。
女性同士の敵味方とするゴシップ記事に出会った。アリソンは2人の子持ちで2007年に離婚。その直接理由は旦那の情事だが、彼女も貴族上院議員カーライル(58)と5年の密通関係にあり、冷い夫婦関係を清算したと言うこと。カーライルはUK議会テロ対策委員で、アリソンと常に仕事を共にしていた。学生結婚で同い年の古女房に「あんたがうるさくて耐えられない」+5年の愛人がいることを宣言。一方上さんは、昔むかし愛し合った亭主との子供3人は成人しており、はじめショックを受けやがて怒り、そして慰謝料裁判に勝ったそうだ。
58才議員が若手48才警察法務官に切り替えたドラマ。舞台が仕事場であった点などから、議員と法律家と言う公務員に求められる倫理観/模範性に反する…云々の記事キャンペーンが張れそうだ。もちろんレベッカとアンディーのゴシップタブロイド紙の売り上げに貢献するだろう。つまり女の`復讐`が見られるかもと言う他紙の観測。

3.誘惑/殺害された少女ミリー・ドーラ―の携帯電話の盗聴が契機。センセーショナル記事作りのための手段ハッキングはトニー・ブレア―やゴードン・ブラウン首相など政治家と王室メンバー、芸能スター・各界著名人を含む時事話題の人々4000名余を対象とした。この違法取材は私立探偵を使い、既に10年余前から関係者が事情聴取・逮捕・収監され、議会公聴会でNIマネージャーが質疑を受けていた。恐らく数億円以上の慰謝料を身内の被逮捕者と被害者に支払いながら、殆ど深刻な社会問題として浮上することはなかった。それはNIによる警察トップ陣の供応と、マードックによる労働党政権への支援とのお蔭だろう。巧みにカーバーアップがされていたということ。

4.嫌疑を受けた企業/個人が国家と折り合うために、支払う`調停金額≒課徴金`や逮捕者の保釈金は国家歳入だ。一定の比率が見込まれ、マードックのようなケースだと数十億$になり得る。塵も積もれば…重要な財源である。警察に課せられている交通取り締まりによる罰金財源のノルマのようなものがあるかもしれない。

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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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