ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

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Politics and economics 政治/経済

国と国土のメインテナンス

彼が座っているのは、議事場前の広場と下側街を繋ぐ階段だろうと思われる。ギリシャ共和国の救済援助を得るため、パパンドレウスが半年ブリュッセルほか主要EC都市を駆け巡り、この階段と広場に帰ってきた。それは既に1年と半前になろうか。彼の努力とEUの大いなる`干渉`とは一体何の成果をもたらしたのだろう。

ハッキリ言って、温和な顔立ちの善良なこのアテネ市民にとって、ゼロでしかなかった。パパンドレウスがEU離脱に関するレフェレンダム案を掲げ、錯綜と混乱の後に辞職。それから再び時間が流れた。状況は変わらないばかりか、転がり落ちるばかり。ジェネラルストライキが打たれ、閉鎖する企業と店じまいの店舗の数が増える増える…。

   Duits en Griekenland  01

増えるのは、彼と同じ苦痛と未来を描けない人々の数だ。会社がつぶれると不安がつのる。彼の勤め先は既に店じまいしたそうだ。200名余りが路上に放り出された。借家アパートの家賃を、カットされた失業保険で支払えない。その日暮らしを半年続けている。この生活にいつまで耐えられるか、自信を無くしつつある。彼を助ける人々がいる。彼らは出来る範囲で、精一杯かれに手を差し伸べているのだ。人間愛/友情をインタビュアーに向かって説明するのではなく、彼自身の内部に向かって言い聞かせるように…。彼の瞳に涙が光っている。怒り、それとも感謝、あるいは悲しみの涙か…。

東京都より少ない千百万余国民の労働人口はどのくらいになるのだろう?その4分の1が失業している。さらに4分の1が困窮状況にあるそうだ。大雑把に考えると国民半分がアップアップしている印象を受ける。想像してみると、共和国ギリシャは北朝鮮よりかなり増しだけれど、日本戦時中の耐乏生活に近くなるのではないだろうか。買い出しと闇商いの時代に入る…。

ギリシャ共和国は自分自身のメインテナンスが出来なかったのだ。ひた隠しにしていたわけでない。あらゆる機関から名義を飾って堂々借金して来た、返却のめど無しにだ。他者頼り国家運営をしてきた政治とは自分で自分の世話をできない人生晩期の老人だったのでは…。国家に必要な様々をメインテナンス出来なければ、死期に向かうのが当然。人間には尊厳がある。しかしギリシャ式国家運営には、他人任せの無様しかない。

本日、スピーゲルの記事が伝えられた。連邦ドイツは予想に反して、きたる新期年度に財政不足が出ないと言う。EU加盟国は国家予算3%を超える財政不足を生じさせてはならない。この約束を破る事態はしばしば起こり、ギリシャ例は最悪ケースである。シェーブレ財務相は半年前1.5%不足を予想していた。しかし堅実な節減政策と、良く回転する経済によって、全く不足無しの財政運営になると言うニュースである。

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昨日ベルリン・ブンデスターク(議会)。宰相アンゲラ・メルケルと財務相ウォルフガング・シェーブレ。難題山積、ドイツ的やり取り議会も面白い

EU全ての加盟国は深刻な節約政策に直面している。ミニ国家スロヴェニアから大所帯ポーランドまで大規模で過激なストライキが行われた。あたかもギリシャ/イタリア/スペイン/ポルトガルを追うように。するとパリでも同じストライキだ。ロンドンでは教育予算(奨学資金など)大幅削減によって、学生たちのデモが盛んに打たれる。また防衛予算にメスが入り、軍幹部が悲鳴を上げている。

これらEU以上に激しい経済運営を強いられている日本で抗議する市民デモが行われていない筈はない…と想像される。日本と並んで戦後世界を牽引したドイツ連邦の堅実ぶりが目立つ。最低賃金を抑え、優秀な中小企業を支那に売却して、その支那で高級車から中級の普通車までの市場占有率を独り勝ちして伸ばしているせいかもしれない。ギリシャがエーゲ海の無人島をドイツ人目当てに売りに出すのがうなづけよう。

さきほどから笹子トンネル事故が各サテライト局と各国主要局のメイン報道になっている。昨年のベルギー子供たち20数名のスイスアルペン・トンネル事故と事情が違うようだ。やや詳しい内容をきくと、日本で似たようなトンネル事故が続いているらしい。山岳国家の宿命かもしれない、、と言う同情的解説がある。果たしてそうか?

建設から30年経つと、もちろん老朽化する。金属疲労や自然天候による強度劣化が起こる。50年すると更新/再建築しなければならないだろう。常に維持・管理するシステムをそなえていなければならない。それが国を維持すると言うことなのだ。どうやら日本の本質的弱点が見えてきたのではないだろうか。橋一つ、トンネル一つ、経済活動を担う構造物のメインテナンスをしない国家は廃る。

目によるチェックをして来たと言う翻訳ニュースがある。技術立国のトンネル管理が目視だけと聞こえて、びっくり。翻訳トチリか、現場取材での目立つ語彙がニューステキストになるためだろう。とは言え普段の目視に加える技術細部にわたるチェックが不十分だった結果では…、
嗚呼、世も末!そんな気分に犯されてくると、昔は地球や宇宙の終末を御宣託する預言者がでてきた。富士の裾野でオームもそんなことを言っていたかも。とまれ、それらから学べることは、国家/社会/人々の心の持ちようと言うこと。

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上:現在の都市景観 中;人類消滅後の300年後、上の右端ビルの崩壊 下;徐々に緑に浸食されていく

好例がいくつもある。時代時代の人々の暮らしを豊かにし、かつ守ったのは城壁であり道路や橋梁の構造物/インフラストラクチャ―である[補足1]。近年続く日本のトンネル事故はアメリカの例を思い出す。アメリカ巡業するトラップ・コーラス・ファミリーを描いた映画・菩提樹に高速道路や橋梁が華やかに登場する。私たちはそれを見て、多層に柔らかな曲線模様を描く高速道路、ケーブル吊モダンなブリッジデザインに息をのみ、圧倒されたのではないだろうか。

これらアメリカが体現した構造物は30年経ち50年に至る頃、老朽化して朽ちて行く。ボストンからサンフランシスコまでいたるところで事故が頻発したのは当たり前だ。USは戦争に忙しく、軍事技術は大発展したが、それを支えるインフラのメインテナンスを怠っていたと言うこと[補足2]。

鉄骨や鉄筋コンクリートの現代構造物は300年寿命と言われる。薬師寺塔を再現した大工頭領によると、ヒノキによる寺社仏閣建築は10世紀を生きるそうだ。それは日本各地の奈良・平安木造構造に見ることが出来る。笹子トンネル事故における天上吊パネル落下の鉄接合部は30年以上経過している。その部分だけでなく、トンネル全てがチェックされ新材料で更新されるべきだったと思われる。列島全域のこうしたインフラストラクチャー見直し(≒Reinstall)に要する費用は天をつく。けれどもこれを織り込まねば、ギリシャのように転げ落ちるしかない。

地震・津波・原発の自然災害/人災と言う途方もない数世紀一回の出来事と同じように、その小型版トンネル事故が、やがて福に向かうべく心構えと努力を私たちに課している。人柱になられた事故被災者の方々の冥福を祈る。


[補足];
1.日本全土を守る陸自・海自・空自のそれぞれ防衛ミサイルもこのインフラに加えて良いかもしれない。イージス艦ミサイル運用システムはEU主要海軍に羨ましがられている。陸自パトリオットは欧州でNATO/蘭/独の3つにしかなく、シリア内戦に絡む万が一に備えトルコ軍が派遣を要請している。自国を守る、同盟国との連携訓練と言うのも平和を守るインフストラクチャーと捕えたい。特に支那の法螺ばかりの見えよがしに対する重厚で信頼できるハードとソフトウェアーの静かな充実…

2.構造物劣化の見本は長崎の沖に浮かぶ軍艦島に見られる。本名は端島(ハシマ)だが、高層住宅群のスカイラインが軍艦そっくりに見える。昭和49年この三菱炭鉱は閉山して無人島になった。30年経った21世紀初めの廃墟ぶりを見られよ。まもなく無人化40年だ。人類がもし消滅すると、その40年後の姿を軍艦島で見られるのだ。恐らくこれから3世紀後に、全ての人工構造物は残骸となり、10世紀後に緑あふれる原始的環境に再生するだろう。人類消滅後のモデルとして観光資源になっているそうだ。石炭/石油/核物質/太陽・風力…エネルギー考察の教育的世界遺産になるかどうか。
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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