ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Uprising 抗議デモ/アラブの春

フェイスブック/ツイッター/ユーチューブ:ソーシャルメディア抜きで戦争はあり得ない

       アスマ・アル・アッサド。最下部`蛇足`参照 
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戦争が様変わりした。イラク戦の時、インベッドと言われる米軍提供の便宜によって、戦場を突っ走る戦車からの映像がライブで茶の間に伝えられた。

ブッシュと言うドイツ苗字の親子がイラクに関わる二つの近代戦争を主催した。ペルシャ湾に浮かぶキャリヤー(空母)から戦闘機が飛び立ち、戦艦から噴煙をだし巡航してゆくトマホーク・ミサイルを、あたかも戦争映画のように居間のテレビで見ることが出来る。テレビ画面だから`ホンマモン`戦争の迫力に欠けるような気がした。そうした映像は戦争報道の革命だった。連合国総司令部の記者発表は大画面に細部の作戦地図やピンポイント爆撃の命中瞬間を映すプレゼンテーションだった。


アレッポはシリア最大人口の商都。6年ほど前?地震によって東北大震災を上回る3万余犠牲者がアレッポに出た。私は初めてこの大都市の存在を知った。3万生命が一挙に失われる地震への備えが殆どなかったと言われる。同時にアレッポ市街の密集都市ぶりを想像した。一角が政府軍空爆で破壊され、自宅からわずかの所有物を持ち出す住民。
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Jihad Makdissi ジーハドと言うイスラム教えの語彙を名前にもっているシリア外務省スポークスマン・マキディシ。自由を求めるデモから既に1年以上経過した頃、政権テレビの顔として登場した。人気ある女性コメンテーターがフランスに脱走した後を継いだ。整然と確信に満ちたポーズで、いかに自由シリア軍がテロリストかを説明できる。Bashar al-Assadの政権正当性を海外メディアにむけてアッピールする重要職だ。スマートさに私は感心した。

戦時のプロパガンダをしないレジームは無い。前任者の女性もアサド政権の`顔`として、毎日のテロ攻撃を優しく伝えた。亡命後に彼女は嘘に満ちた側にもはや立つことができなかったと幾つかのメディアで告白している。テロリスト反政権の仕業と彼女が伝える惨事が、しばしばシリア政府軍による市街破壊(同胞殺戮)謀略だったこと。

シリアの顔・ジーハドが先月末から消息不明。彼のツイッター最後の書き込みは25日、私も確認できた。家族を逃がしたので単に脱走したか? あるいはFSAまたはUKやUSとの接触による政権離脱だろうか? 両国いずれかで教育を受けた筈だから、どちらかへ亡命したと思われる。


ジャナーリストは、しかし、インベッドと言われるUSアーミー提供の前線廻りやその発表内容をリレーするにすぎない。戦争の片側に貼りついた報道だから、片手落ちと言うか、US将軍たちの報道管制と言える。ヴェトナム戦争の自由報道で散々叩かれた苦い経験がジャーナリスト接待になったのだ。このインベッド方式戦争は今や語り草の過去になった。出来あい`官制`茶の間中継と言う革命は一時的革命にすぎなかった。

衛星を通じるポータブル超薄情報器機が個人によって用いられるようになったのは数年前。チジニアに於ける若者の焼身抗議自殺を契機にする民衆蜂起がアラブの春を導いた。隣国エジプトに飛び火、活動家達すべてが携帯機器を駆使して、抗議戦線を主導していく。発生する事象情報と画像とが世界に直ぐに伝わる。既成の報道大手がこれらを取り入れ、言わば総体として事件全体にからんでいくような現象…。

リビア紛争に於いて、ヴォランタリー兵士による画像とソーシャルネットワーク書き込みが戦闘推移に影響するようになる。戦争なまの姿を現場にいる誰もが世界に紹介できる。未確認情報も偽の謀略もありうる。しかし現実はそれを超えて動く。アル・アサド政権は初めから、ソーシャルネットワーク対策を取り、出来る限りの謀略情報をインタネットに流す。サイバー戦争の現実化だ。

カタール首都ドーハでちりちりばらばらの反政府グループの統合が実現。パリで発足トルコで活動したシリア民族協議会のメンバーは祖国を離れた長期亡命者たち。現地戦場の指導者と噛み合わなかった。しかし状況は進展、ドーハで一本化した組織幹部たちが仏英を訪れ、EU/USバックアップを得る。トルコやカタールなどから対飛行機射砲のような高度で強力な武器供給がスムーズに動き始める。個々の小さな戦闘グループに携帯情報機器が支給され、FSA全体の動きが効率化。緩急自在な迅速なゲリラ作戦を始めている。


下はシリア戦況分析地図。BBCがUSワシントン市のシンクタンク戦争研究所(ISW)の最新分析レポートから拝借加工したもの。ソーシャルメディほか様々な出所情報があふれ、まとまった信頼すべき流動的戦況をとらえるのは難しい。だからこのレポートは趨勢理解に重宝。
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広大な砂漠の国土すべてを管理コントロールするのはアサド政府にとって最早不可能になっていることがわかる。東部や西部の空軍基地に出没する反政府軍(FSA)が占領声明する例が増えた。政府軍は空爆を行う施設をそのままにしておけない。奪回作戦がとられる。するとFSAは反撃せずに引き下がる。戦闘要員/武器の消耗を防ぐためだ。典型的ゲリラ手法である。滑走路を奪回した政府軍部隊への補給が出来辛い場所だから、政府軍の維持は長続きしない。こうして広い国土殆どはFSAの自由活動域になっている。対するレジームは点と線を辛うじて支配区にしているように見える。


それがISWのレポートに反映している。これとジーハド・マキディシ消息不明がリンクしていると思われる。彼は欧米生活経験者で、その達者な英語をいかし祖国レジームの高官への道を歩いていた筈。ドーハ会議と、昨日行われたトルコとロシアの経済案件の調印式、これらを俯瞰すると大よその見当がつく。彼はバッシャー・アル・アサドの終末を読み、十分な準備をしていたのだろう。プーチンのアンカラ訪問とその共同声明の結果を恐れ、姿を消したのでは。

FSAの新しい武器による政府戦闘機の追撃や空軍基地の占領の画像だけでなく、ダマスカス市内・ヨルダン国境付近からの女性たちの解説付きの画像が見られるようになった。つまり、反政府の女性活動家がアサドの足元で動いていること。ここでも`戦争(内戦)の様変わり`を感じることができる。

戦争研究所レポートを露西亜外務省が検討解析、トルコとの外交折衝に織り込んだと考えても良いだろう。恐らく既に一週ほど前に、USに於いてシリア政権崩壊の時間読みがあった。数ヵ月以内から、一月以内…。
ひょっとすると、元シリアレジーム・スポークスマンは詰めのアサド情報をオバマ政権に伝えている可能性がある。追い詰められた政権の化学薬品武器使用を、あらためてオバマが警告を発した所以である。ナトーのボス・ラスムッセンが直ぐにこれをオーム返しに先ほど発表して、追い詰められたアサドに冷静を呼びかけている。

経緯が掌に写って見えるような気がする。情報機器≒危機技術が戦争を様変わりさせた結果と言わねばならない。中近東に特派員を派遣していない日本大手紙が欧米紙記事を映している間に、事態は次に移っている。日経記事はFT翻訳/引用が目立つから、やはり同じような時間差が出る例が多い。

数か月以内のシリア崩壊予想は、これまでの多くの西側紙予想と同じで当たらないかもしれない。そんな感じになると露支二つの外相/スポークスマン発表が口をそろえてシリアを支えたので、予想は的外れになった。しかしあっちやこっちの最近の傾向と対策を眺めると、とどのつまりアサド交代劇が起こる。今度は本当になるような気がする。

蛇足を書こう。ロンドンで学生時代を遊んだアサドと共に過ごした上さん・アスマは何処にいるのだろう。大統領夫人つまりファーストレーディーである。デモ圧殺が起きた20ヶ月前。彼女はパリで家具調度品の買い物をしていた。両親シリア人。母親;元外交官、父親;元心臓外科医師と言うより、シリア-ブリテン・コネクションのアドヴァイザー。紛争勃発後、娘婿に盛んに助言を行う。独裁者支持ゆえに沈黙しているが…。娘は令嬢として育ち、しばしばヴォーグネタになっている。UK育ちでUK国籍を持った人だが、既にその国籍も資産も剥奪され、欧州全域で入国禁止されている。あるいはサウディアラビア滞在かも。石油王様大国は二枚舌使い、民主化を支援しつつ独裁者/家族を受け入れ保護している。そこに独裁者/その身内/高官の妻たち…、わずか数年に過ぎないのに、かなりの数になる。



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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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