ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Nostalgic Melody&Film 懐メロ&フィルム

スミレの花咲く頃はクリスマスの日々

スミレの花咲く頃
作詞:Fritz Rotter・白井鐵造 作曲:Franz Doelle [宝塚歌劇団のホーム頁より]
  春すみれ咲き 春を告げる 春何ゆえ人は 汝(なれ)を待つ
  楽しく悩ましき 春の夢 甘き恋 人の心酔わす そは汝
  すみれ咲く春 すみれの花咲く はじめて君を知りぬ 君を思い
  日ごと夜ごと 悩みし あの日の すみれの花咲く頃 
  今も心奮(ふる)う 忘れな君 我らの恋 すみれの花咲く頃


シャンソン「すみれの花咲く頃」はパリから宝塚に導入された。モクセイ科ハシドイ属からスミレ科スミレ属に演出家白井鐵造(シライテツゾウ)が゙移籍した。ハシドイことリラ(=ライラック)はその当時、関西でみられなかったのだろう。さまざま属‣種に満ちる日本で愛されるスミレは相応しいピンチヒッターだった。

12月23日にスミレが咲いている。近未来に冬のスミレが珍しくなくなるかもしれない。毎年の南欧フローラ北上前線報告を仔細に見ると、珍しいスミレが挙げられている筈。これら冬姿をここに留め記録しておくと、5年後ほど後に参考になるかもしれない。30年前の12月クリスマス頃、これらの野草がこんな画像のように咲いていた? 記憶にないけれども、咲いていなかったような気がする。

     すみれの花咲く頃 02
このスミレはViola arvensis Murrayと記述される。素直に訳すと「野原スミレ」になるだろう。5月の普段のものより大きく見える。注目を浴びず、この園芸種は存在しないようだ。白い花弁5枚の内側に花柱一つに雄蕊一つが収まっている。従来の花期は5~10月[補註1]。

和名ノボロギク。ラテン記述は Senecio vulgalis 日本に明治20年(1887)に入ったとされる。これ以上開かず、一種の閉塞花と言えるだろうか。背丈30㎝までの小さな雑草で生命力に溢れる。12月も平気のヘイザだ。ヘウケンスは年中咲く餓鬼坊主と書いている。
     すみれの花咲く頃 01
ハコベ(Stellaria)仲間、この一枚しか撮っていず、詳しく分からない。コハコベか``森ハコベ``当たりか、色々あるからややこしい。4月から7月くらいまでが昔の彼らの花期だった。この10年くらいの感じだと、秋頃から深もぐりして上から見えない。この姿を見ると白い蕾が出てきたいように見える。気温10度前後に落ち着けば、安心して花弁を広げるのではないだろうか。

     すみれの花咲く頃 03
左;アブラナ科アブラナ(Brassica)属と思われる。セイヨウアブラナとかセイヨウカラシナと呼ばれ、今では栽培園芸種のヴァリーエーションが一杯あって、特定するのが無意味に感じられる。逸出して野原に陣取って、まだがんばっている。これなら摘み取って、オシタシやてんぷらに出来る。
右;`ヒルマカッコウ鳥花`と言われる。筒部分に成熟した数ミリの黒い種子を蓄える。他の仲間と形状や上端切り込みの反りや数で違いが分かる。本個体は雪に叩かれながら、花を出している。雌雄異株の植物で、もう少し開き花柱や雄蕊が見えると雌雄の区別が出来る。冷え込んでブルッと寒さに耐えているように見える。なら出てこなければ良いのに…。半世紀昔は5~9月に咲いた。3ヶ月のずれだから、寒そうなのが分る。
 
左写真;スミレの隣に見える植物は赤桃色の花を咲かせる。近くに開花個体が幾つか見られた。ホトケノザと思われる。シソウ科オドリコソウ属。しばしば冬場の耕地肥料として蒔種される。カキドウシなどと並んで出る雑草。
     すみれの花咲く頃 04
中‣右; オランダフウロ(Erodium cicutarium)、オランダ通称は``サギのクチバシ``。花弁を落とした後の花柱が長いサギくちばしを連想させるから。熟した種子を巻き上げ飛散させるメカニズムは一見に値する。前述ノボロギクよりやや早く日本に進出している。オランダ東インド組合会社の帆船によって侵入したので、オランダを冠した日本通称になっている[補註2]。5枚花弁の一枚に黒っぽい小円模様が出るのが普通、しかし日本帰化種に見られないような気がする。あるいは下位の変種が入っているのかも知れない。従来花期は春から10月当たりまで。

ノボロギクとオランダフウロは「すみれの花咲く頃」メロディーと同じように欧州からやってきた。日本列島の緯度は中央欧州よりかなり低いため、これら帰化種の師走咲きは既に珍しくないのではないか。`スミレの花咲く頃`にリンクしながら、ドンドン温暖化順応している…。因縁と言うか、激しい変化ですね。

私はメロディーを聞くことができるが、なぞって歌えない。明るいロマンティックなラブ・ソング歌詞2番を下に沿えよう…



 花の匂い咲き 人の心 甘く香り 小鳥の歌に 心踊り 君とともに
 恋を歌う春 されど恋 そはしぼむ花 春とともに逝く
 すみれの花咲く頃 はじめて君を知りぬ 君を思い 日ごと夜ごと
 悩みし あの日の頃 すみれの花咲く頃 今も心奮う
 忘れな君 我らの恋 すみれの花咲く頃
                       [宝塚歌劇団サイトのスミレの花咲く頃の2番より]


[補註];
1.Flora van van Nederland, Heukens-van Ooststroom 1956上梓 半世紀前の花期による。以下同じ。
2.生物和名にオランダがつく例は多い。当時の蘭植生レンゲやセイヨウタンポポはオランダから直接平戸/出島に紛れ込んだ。それと別に(オランダ出自でない)どこか知らない異国から来たと言う含みがある。唐=カラが付く和名も同じ使用方。
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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