ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

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Politics and economics 政治/経済

ドイツ・ニーデルザクセン州も`戦術`選挙  [九月連邦選挙に向けて]

Niedersachsen州選挙が昨日の日曜日に在った。ドイツ北西の平野部に位置する州、首都ハノーヴァー、人口800万弱。州政府はCDU+FDPの保守連立。首相は前任者クリスティアン・ヴュルフ(Christian Wulff)が大統領に横滑りした2010年からCDU党友でスコットランド兵の息子デーヴィッド・マックアリスター(David McAllister42才)。[補註1]

選挙結果は最終の正式でないが、次のようになる。()内は2008年選挙。[]内は会得議員数。
  36,0 %   (42.5) CDU キリスト教民主  [54]
  32,6 %   (30.3) SPD 社会民主  [49]
  9,9 %    (6.2) FDP 自由民主  [14]
  13,7 %   (8.0) Grüne 緑  [20]
  3,1 %    (2.3) Linke 左
  2.1 %    (0.0) Piraten 海賊
  4,7 %    (3.9) Sonst. その他
      image-351662-thumbflex-oysm.jpg
左/海賊/その他は5%割なので議会参加権を持たない。[補註2]

連立政権たる議員数を比較すると右派CDU+FDP=68、左派SPD+Grüne=69となる。一人差で政権が交代する。マックアリスターは昨夜、涙をにじませながら敗北を認めたそうだ。アンゲラさんも負けたのは悲しいとアリスターに同情を寄せている。中道左派新政権の首相になるのはステファン・ヴァイル(Stephan Weil)。

左;ニーデルザクセン首相・アリスターと連邦首相メルケル、昨日の敗れた後の記者会見。
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右;SPD議長(≒党首)ジグマル・ガブリエル(Sigmar Gabriel)と新首相になるヴァイル(手前)、1人差の左派政権「勝って兜の緒を締めよ」今後の政策運営を説明…


FDP[補註3]は全国で支持基盤を落としている。保守党CDUとビジネス第一のFDPと連立州政府いくつかが野党連合に敗れ、過去1年に軒並み城を明け渡している。これをニーデルザクセンで繰り返すまいと、メルケル陣営はFDPに票を譲る戦術を取る。勘定によると、6万票しかない自由民主党に上積みして10万票にすると、5%以上の得票率を得る。州議会権利を失わず、9月の連邦選挙に照準を当てた中道右派による州連立政権を継続することができる。

メルケルさんは(Angela Dorothea Merkel-Kasner旧姓)ブンデス・カンツレリン(Bundeskanzlerin)に2005年に就任、党首3期目の信任をえて、来たる9月に3期目カンツレリンに挑む。2期目のギリシャ債務問題発生以来、確実に欧州一の実力ある宰相。世界でもっとも力ある女性と見なすことが出来よう。東北大震災発生3日目にして、ドイツ原発政策を見直し、17基全て原発の予定稼働期間後の廃棄を決定したのは殆ど彼女一人に負うだろう。国家の柱であるエネルギー政策を、このような鶴の一声で決められるのは彼女を置いて他に誰もいまい。

ドロテーと言う美しい伝統名も持つ彼女なのだが、美しさに代わる剛腕を発揮する。ニーデルザクセン選挙に於いて、CDUだけでなくFDPをも舵取りする存在感をしめした。もし彼女が州政権保持のために票譲り作戦をしなければ、フィリップスのFDPは議会から消えていたのは明らか。過去選挙の敗北続きと、今後の全国調査に於いても``商い保守``凋落傾向は止まらない。[補註4]

DWO-karte-deutschland4-2-.jpg
2009年と2013年の州政府のふりわり。現在、保守政権に留まるのはヘッセン/ザクセン/バイエルンの三州に過ぎない。

      FDP top
        左;Philipp Rösler              右;Rainer Brüderle

本日ニーデルザクセン選挙に`勝った`FDP党首レスラーが意外なことを言い、独蘭新聞の一隅をにぎわしている。党ベルリン議会議員団長を務めるライネル・ブルーデルレ(Rainer Brüderle、67才)が承知するならば、党首交代をしたいと言うもの。真意は何処にあるのだろう? ウェステルウェッレのような大きなしくじりをしていないのだが、党勢ジリ貧を止められない。ヴェテランにバトンタッチすれば、あるいは落ち着いた信頼できる自由民主党イメージを醸成できるかも知れない…。そんな印象を私は受ける。ひょっとすると、自由民主党を支える保守層の偏見とまで言えないが、アジア=ヴェトナム人への違和感を拭い去る意味かも。支持低迷のいわれなき理由の一つでありうる。[補註5]

党首交替のもう一つの理由を深読みすると、九月の本選挙への備えの具体策ではないか。アンゲラオバサン陣営の読みかも知れない。選挙準備チームによる今回の微にいる細にいる地区別割り振り`戦術`は微妙な差で失敗した。逆に言うと、殆ど成功しそうだったのだ。キリスト教民主同盟の支持基盤は教会に通う熟年層に厚い。それと同じで、もし自由民主党々首が熟年の落ち着いたドイツ人ならば、かなりのプラス要因と働くのではないだろうか。連立パートナーは存在しないに等しいチッポケ党で、ただ政権取りのためにCDUによって辛うじて生かされているにすぎない。けれども、一人でも二人でも上積み出来るのであれば、選挙戦術として党首交替させるべきであろう。

メリケルオバサンのユーロ通貨死守の構え、ヴュルフのような腐敗政治家と縁のない女性としての綺麗で健康なイメージ、債務危機の中に合ってドイツのみ例外な順調経済、これらからメルケル女史個人の人気に迫るライバルが党内にも野党にも存在しない。野党・社会民主党の対抗馬シュタインブルックだったか、知名度に於いて牧師の娘で諸大臣を歴任して経験を積んだメルケルと比較できない。対抗馬になり得るのはノルトライン・ウェストファーレン州総理ハンネローレ・クラフト女史だろうか。昨年5月のSDP勝利は彼女の魅力に負うところが大きい。知名度とイメージは申し分ないのだが、連邦首相への野心が無いように見える。[補註6]

SDP全国支持率はCDUに一馬身及ばない。今回のニーデルザクセンで、著しい勢力を伸ばした環境党グリューネンがどれだけ`全国` 区で頑張るか…だ。緑党首カトリン・ゲーリング・エックハルト(Katrin Göring-Eckhardt)は自信を得たようだ。この勢いならば、不可能と思われるメルケルからの政権奪取が可能になるかも知れない、と控えめに昨日インタビューに答えている。

1998~2005年9月、ゲルハルト・シュレーデル(Gerhard Schröder)を首班とする`赤-緑(rot-grünen)`政権だった。外相として緑党首ヨシュカ・フィッシャー(Joschka Fischer)が意外にも実質的ドイツ利害を示し活躍した[補註7]。ヴェテラン党友フィッシャー時代を、ゲーリングは2013年の秋に実現できるだろうか。


[補註];
0.「ドイツ・ニーデルザクセン州も`戦術`選挙」`も`は昨年9月の蘭選挙に於いて起こった奇態な戦術的投票に続くと言う意味。参照;9月10/13日

1.ヴュルフはニーデルザクセン時代、支持者から別荘購入の便宜など細かな収賄を行い、大統領わずかにして辞職((参照;2012年1月5日「アンゲラメルケルの頭痛」、2月17日「ドイツに健全な民主主義が生きている」、3月21日「行く人来る人」   

2.海賊党;2011年9月に出現した無頼風な若者党。昨日の5%に遠く満たない得票率が何故か? (参照;2011年9月19日「ベルリンに出現した海賊党」

3.参照;2011年9月05日「165万選挙」

4.メリケル女史はFDPに恋焦がれた。FDP抜きで彼女の政権は成立しないからだ。FDP党首フィリップ・レスラー(Philipp Rösler40才)は2011年5月に前党首Gウェストウェッレ辞任の後継者。前任者の幾つかの`チョンボ`によってこれまでの各地州選挙でFDPは凋落を続け、議会参加権5%を割る事態になっていた。レスラーはドイツ人両親の養子として育ち、FDPで頭角を現したヴェトナムの人。アジア人で初の副宰相になるユニークな経歴。ウェストウェッレがそのまま外相にとどまり、新党首は経済大臣で副首相兼務。

5.日本人の私は時々、そうした感じを受けることがある。彼らの表情と全く異なるので、時にマイナス(時にプラス)が生じる。良い悪いの範疇でない。人が無意識に抱く何気ない`表情/動作/感覚`を人自身で管理することはまず困難と思われる。この点で人は正直であるべきだ(と聞くことがある)。日本捕鯨への欧米主導の反対禁止の根底に人種的偏見ありとする主張をしばしば聞く。これには別解釈により、一理あるように思われる。

6.参照;2012年5月20日「51才と58才 ドイツのオバサンたち」

7.その後、第一次メルケル政権が立ちSPD+CDU/CSUの大連立になる。しかしメルケルはこれに辟易した。もう二度と左派野党と組まずと決意した結果が頼りにならぬFDPの`奴隷化`である。
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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