ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

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Plagiarist Annette Schavan ; メルケルおばさんの みたびカード切りか?

カード切と言うのは賭博場カシノ職人の技術。どうさばくか、難しい。英語だとリシャッフルに当たるだろう。政治用語としては内閣改造になる。昨日と今日、きっと明日も当面、ドイツの一寸スキャンダルめいた話題がこれだ。楽しいなぞり、ほのめかしの記事が一杯出ている。ドイツの人と言うのは、67年前の昔、あまりにも深刻に暮らしていたので、アホらしゅうなって、戦後は洒落と見え見えの冗談をブッ飛ばすようになっているのかもしれない。

暗示めいた説明だと分らないので、やはり細部を追いながら目を通した新聞と耳に入った独テレビの覚えを書いてみよう。でもでも、、、事実を発掘する人も突然肩書き採られた人も、日本だとだ信じられないようなメルフェンかと思ってしまう。鏡に映してみると、我が文化文明のあれこれがこだましているような気がする。

アネッテ・シャァバーンは育った村に近いデュッセルドルフにあるハインリッヒ・ハイン大学に通っていた。その頃の1978年、ノルトライン・ウェストファーレン州に私は数週間滞在。ユーゲント・ヘルベルゲは簡素で実質的、サワーブレッドとジャムの朝食付き一泊10マルクほどだったと思う (現在は簡易ホテル並みに快適、一般客も多く€30~40ほどか)。大司教区ケルンと州都デュッセルドルフにそれぞれ2つあったと思う。それらユースホステルの一つを利用、たまに調べものを兼ね、量と安さとで大学の学生食堂に通った。

ハインリッヒ・ハインは詩人。その名の大学を昨日初めて知った。恐らく小さなカレッジ。テューリンゲンやベルリンのフンボルト、ハイデルベルグ大学など有名大学は数多い。一方、小さな大学が百/千あちこち転がっている。マア似ている大学制度の日英米と同じだろう(英独大学人に怒られるかも)。哲学・神学を学びつつ、在学中1975年にCDU入党。アネッテは古臭い神学と政治活動との両輪に熱心だった。

結果として、この二つが保守的田舎風ドイツ社会における出世ファクターの基本であることを彼女は知っていた…。ノルトライン・ウェストファーレン16~19世紀は新/旧同盟の領土争いでややこしく、飛び地ツギハギだらけのドイツ特有小領邦地方の一つ[補註1]、近代にようやくプロイセン領になり、現代の二つ大戦中ルール工業地域を中心に抱く大人口州に発展。そうでありながら、美人と言えない糞まじめ女学生が伝統学科の哲学/神学を採ったのが味噌ではないか。[補註2]

欧州はイエスと神の土地だ。11世紀末の創立ボローニャ(Università di Bologna)とオックスフォード(University of Oxford)、14世紀半ばプラハ(Univerzita Karlova)、沢山ある古い大学の基幹は神学である。神の土地の大学は神を研究する場所。神の解釈/運用による理屈が戦いと領土取りの大義になっている。

首相と二人の閣僚が並ぶグーテンベルクの昨年半ばの辞任前の写真。彼は博士論文をほぼ盗作で仕上げていた。東独出身の二期目の宰相内閣にして第一回目の閣僚すげ替えだった。
  Schavan affea 01
シュアバーンは若い同僚大臣の不手際に、科学/学問にあるまじき行為と言う正論を述べた。昨年11月にインタネット上に匿名による「シュァバーンの博士論文は盗作」と言う批判が掲載された。写真に収まる二名の閣僚も彼らを選択した宰相もカトリックの信奉者。キリスト教信奉者の大半はカトリックで、`不正`の大半もカトリックに属する。


1980年卒業と共に、博士資格を得る。博士資格はドイツに於いて飛びっきりの価値を持つ。このタイトルの輝きで社会階層を登ってゆく。彼女の就職先は殆どロスの無いプロセスに思われる。30代にして幾つかの公機関要職を経験、1995年バーデン・ウュルテンベルク州の文化相に引き抜かれる。ここでモスリム女性の被り物方針などカトリックの本髄を見せ、連邦で知られるようになる。メルケル政権成った時、同じ女性として教育相に迎えら、それ以来今日まで宰相の最も信頼できる党友である。9月にもしメルケル三期目になるならば、シュァバーンは副首相格でみたび入閣するのは間違いない。

VroniPlag Wikiと言うサイトがある。VroniはVeronika Saβから。フェロニカ・ザシュはバイエルン州キリスト教社会党の8年前党首ストイベルの娘。論文盗作を暴かれ、2011年ドクター資格を失った。Plagはドイツ語彙Plagiatから Wikiはインタネット辞書ウィキペディアから。ドイツ社会の上層を代表する政治家や学者の踏切台になる資格≒博士論文の真正を調査するサイト。ソーシャルネットワーク時代の落とし子。

盗作は何時の時代にも存在した/する。小説の盗作は各国で取り上げられる。それほど一般的でないと思われるが、将来のキャリアーを作る博士資格を得る手段の博士論文は最も盗作の舞台になる。左様な論文は通常、引用文献で溢れる。引用だけが論文のボディーになるのが多いと審査側が頭を抱える。しかし引用をきちんと示す場合はそれはそれでいいのである。ドォーッと引用しつつも出典を示さず、知らぬ顔であたかも自分の思弁・発想かのような申請者が沢山いる。

原典と比較して、部分そのままのコピーが明らかな場合、盗作になる。昨年初めインタネット上のハンドルネーム(匿名)Robert Schmidt 情報から、デュッセルドルフの該当大学・博士論文審査部門が30年前の申請論文`Person und Gewissen`を予備的に検討。1980年のこの論文によって、アネッテ・シュァバーンは25才にして`博士`タイトルを得ている。故に慎重を期して。数か月の作業を掛けた。その結果、ハインリッヒ・ハイン大学哲学科は更なる本格的調査を決定。なぜなら著述者は現教育大臣であるから、厳密な分析/検討を要する。専門家チームが10カ月近い調査をして昨々日に大学発表を行ったのである。

資格剥奪の評決が15名審査委員によって採られた。12名が剥奪賛成、反対2名、保留1名。十二分の多数決による剥奪が決定。理由;「明らかなシステマティックなコピー≒引用が各所にみられる。学問発展のための真実公正な姿勢に著しく背いている。引用コピー量の規模と(引用を除く)内容水準から盗作と結論つける」。彼女は引用コピーをしつつ、合い間に自分自身の創案のように記述しているらしい。委員会は詳細な検討点と証拠をあげている。

アネッテの三模様。1.27歳頃 2.昨年だろう、実際の印象に近い 3.この本を上梓した数年前。さすがに本物を欺いて、別人美形に撮っている。   そこらに転がる写真家の基本は女性を美人に撮ること。さもなければ客が来ない。それにしても、女は男より遙かにメタモルフォーゼする。57才この人物の変わりようは政治と言う奇態な世界をなぞっているかも知れない。
      Schavan affea 02
1.ヘッド見出しとして「いつも頭にある気がかかりな人について、人は片耳だけで聞いているものだ」。両耳でほんとの人物像を捕えていないと言う意味だろう。右コラムは小さくて読み辛いが、アネッテは1975年にCDUに入党している。学生時代から政治に関心を持つ積極的な活動家だったと推測される。 2.Person und Gewissen(個人と良心)は博士論文。厚い本で、こうした体裁でプレゼンテーションするのはドイツらしい。 3.私たちが考える以上に神は偉大、と言う題名の著作。


告発者Robert Schmidtは間違いなくチームワークによる作業班のハンドルネームだ。分厚い大部の博士論文の出典を探しだし、申請論文と比較検証する作業は並大抵でない。不満な只の告発者には出来ない仕事だ。時間とコストがかかる。スポンサーが居るはず。作業のかたわら、調査対象の政敵などに交渉すると思われる。調査対象者がCDU(キリスト教民主党)員ならば、SPD(社会民主党)や左派系メディア企業に密かに交渉するだろう。

バイエルン州のCSUは戦後いつもCDUと連立する保守内閣を形成してきた。独連邦の最大面積を誇る州で、歴史的に言わば独立国家の様相を持っている。バイエルン州境がオーストリアだ。そこからヒトラーがバイエルン連隊に入隊、1次大戦の悲惨を極めたイーペル戦で伝令兵として活躍。戦後に首都ミューヘンからベルリンに凱旋、政権奪取した。バイエルンはドイツならぬバイエルン国である。

バイエルンCUS党員 Karl-Theodor zu Guttenberg は活版印刷を実現したかのグーテンベルグの末裔かどうか知らない。バイエルン以外のキリスト教民主党と連立がなった2008年だったか、彼はバイエルンCSU党の若きホープとして防衛大臣に入閣する。彼にバイエルンの人々は将来の連邦首相を見ていたのだ。ストイベルが2005年の首相指名選挙でメルケルに敗れているので、彼に賭ける地元選挙民の期待の大きさが想像できよう。

任期初めに省内役人をも動員して集めた資料を引用した論文を書き、博士資格を得るのである。嘘のようなほんとの話。バレバレだから告発する`ロベルト・シュミット`も簡単に証明できたようだ。大騒ぎと言うか、実は素朴な盗作ぶりに人々は天晴れ寒心しつつ、辞職をすっきり了承したのである。小貴族家系のお坊ちゃん気質だから、罪なき幼稚な印象だった。

2011年6月頃、彼の盗作騒ぎについて一言書いた。その時、ついでにFDP(自由民主党)の目立つ大柄女性 Silvana Koch-Merin について触れている。グーテンベルグと同じ疑惑があり、どうなるだろう?と言う段階だった。昨日の保守系紙フランクフルテル・アレゲマイネ・ザイテュング(Frankfurter Allgemeine Zeitung On Line)によると、コッフ・メリンも資格剥奪されたらしい。と言うことは最早、彼女は党首候補でもなく議会メンバーでもないだろう。ドイツに於いて、博士資格は金に匹敵する社会的価値だ。それをカンニングで手に入れたのが明らかになれば、社会が許さない。

南アフリカのヨハネスブルグ市内現場視察;公式訪問でない休暇中だが、同胞ドイツ大使の案内で夏の28度天候下を歩く。悠々のように見えるが帰国前で`資格失効`ニュースは彼女の耳に届いている。
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保守系支持者に限らないが、資格剥奪はアネッテに激しすぎると言う同情論が見られる。ほぼ8年`教育と学問`に尽くした実績を評価する意見、また1980年の行為は時効になっていると言う法律論、そして3期目CDU+CSU内閣成立のために、ここで閣僚交代は大きなダメージゆえに踏んばらねばならないと言う動機論、幾つかの支持背景がある。

辞任当然とする側;交通取り締まりの責任者・運輸相が酒を飲み過ぎ検挙されたに等しい。犯罪者を裁判する役所の法務大臣がスーパーマーケットで万引きするに等しい。若きシュァバーンは目の前の素晴らしい就職機会を逃さないために、オリジナル文献を巧みに器用に``我が論文``に仕立てる才能を持っていた。その才能は惜しいが、科学技術の公正で正直な態度を持たなかった責任を採らねばならない。時効と言う小賢しい話ですまない。しかも2011年、同僚グーテンベルグに対し「学問を裏切った行為を恥ずべき」と言う言質を残しているのである。

嗚呼、世も末! と批判サイドは空を仰ぎ溜息をつく。教育相は金曜日午後に、休暇先南アフリカから帰国した。そこでは非公式に南アフリカ共和国首脳に接待され、ドイツ援助による現場視察など忙しい日程をこなしてきたばかりだ。その最中に博士剥奪ニュースが届く。内心の動揺を見事に抑え、人々に囲まれながら彼女は多忙なスケジュールをこなした。インタヴューに「デュッセルドルフの決定に法的反撃をする。大臣辞任もするつもりはない」と第一声を発した。つまり、さる大学での講演肩書はベルリン自由大学名誉教授と書いてある。もし裁判になるならば、決着するまで確かに哲学/神学の教授職と公言して許されよう…

功なり名を成した人は密かな自負に溢れつつも、功に至った悪しき部分を抱えているのではないか。陽あれば陰あり。万人にあり得るゆえに、暗黙にそっとするのが世の習わしか…。それとも普段は好人顔の知識人、ほんとは口喧しい大威張りだったと言うお里が見えただけなのか…。彼女第一声の印象から、こんなオバサン、嫌ダネーとふと思った。

[補注];
1.参照;ボヘミア女王:エリザベス・ステューアルト、UKとして連合したジェームス初代の娘。新教プファルツのフリードリッヒに嫁ぎ、波浪の生涯をおくる。ドイツ発声はエリザベト

2.わずか30年前、今と変わらない。神学科の学生はそれ自体ユニークである。極めて少数。親が神父・牧師の率が高いだろう。学生数二万の総合大学で数百名と、神学科学士を得た知人に聞く。オランダに大学は11しかない。日本の無数にある大学は専門高等教育機関に当たる。ほんとの`学問`を志す学生が`大学`に行く。従って途中で落伍するのが多い。神学もしかり。神学を学ぶ人はニュートラルな意味においても`変わり者`。就職はキリスト関係組織に限られる。将来像は唄を歌い説教する教会人、あるいは宗教文献に押しつぶされそうな神学研究家?
日本にある幾つかの仏教大学学生は殆ど親が僧籍にあるようだ。父親を継ぐのであろう。一般人より経済的に恵まれ場合が多いような気がする。門徒数を確保する苦労を強いられようが…

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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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