ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

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Ordinary People 雑人雑名

Papa退職の大祝典 警護費ヤ~イ? [もう一人Papaは富に健在]

ヴァティカン教皇庁はプロモーション一環として、`パパ`Twitterを昨年に開設する。ベネデット16世はトィッター講釈を受けて、`ハッハーこりゃ面白い`と言ったとか…。ローマ本山に関する世間の話はたいていこんな軽さに思える。
     Papa Benedetto XVI 02
イタリア(≠ラテン)語彙papaの広義は聖職者すなわち神父を指すようだ。ヴァティカン市域でパパと言うなら、イタリア人にとっては教皇を意味する。ロシアなどスラブ語圏の東方教会の筆頭聖職者名をアルファベットに移すとPopeと綴られる。英語彙も同じPope Benedict XVI。教会ミサをつかさどる普通の神父だった先祖を持つ家はPope姓をつけたのだろう。変異が限りないが、パパっぽい名前や苗字はこの職業名由来である。ポッペ(Poppe)は苗字と同時に頻出する男子名。


イタリア共和国にシルヴィオ・ベルルスコーニが君臨した3期足掛け9年間、経済は横に這うだけで縦に伸びなかった。ブンガブンガ・パーティーで十代娘に小遣いをばらまく傍ら、リビア酋長のガダフィー資金企業の世話見をして、リビア石油売り買いで互いの王国を肥やした。無二の親友だから…。独裁者と気があい、プーチン家族を別荘に招いている。ヒヤッとクールなプーチンは妻と娘二人を同行しつつ、助平ベル老の視線に煙たかっただろう。シルヴィオらしいスキャンダルを振りまき、訴訟された十件近い裁判全て欠席しながら、政権舵取りのヒッチャカメッチャによって、若作り`年寄り`御大は2011年暮れに辞職せざるを得なかった。

この付けが2月末日祝典に影響する。パパが600年ぶり、生存退位を行う。退職するという稀なる出来事だから、世界中から信者/観光客が押し寄せると見られる。突然、嘘のような難儀が持ち上がった。大行事の警備費を誰が出すのか? 28日は木曜日で、前後1週間の治安管理が必要になろう。警備が手薄で穴ぼこだらけならば、過激イスラムの絶好テロ機会になる。

ヴァティカンは独立国家の体裁を取っている。一般の市よりずっと小さい1km四方に満たない。いわば部落のような区域に過ぎない。それでもなんとか`市`として、それに「国」をつけて「市国」としている。体裁だから、警察に当たる治安機関をもたない。ローマ教皇クレメンス7世を名乗ったメディチ家当主を守り救ったのはスイス人傭兵だった[補注1]。その1527年以来の伝統に従い、現在もスイス人が儀礼兵として勤めている。スイス・ドイツ語を話し[補注2]、スイス軍によって訓練を受けヴァティカン庁に就職する。御所内裏で行われる蹴鞠に値する伝統と解していいだろう…。マサカリ形飾りつきの槍を抱え、ボディーガードとして役に立つかどうか? たたないだろうな、と私は思う。

2005年4月前教皇パウルス2世(伊;Papa Giovanni Paolo 2)(英;John Paul)葬儀の時、警備は言うまでも無くイタリア共和国が請け負った。各国首脳/要人が参加したので、それぞれの警護に万全を期さねばならない。債務危機もユーロ危機も無く、欧州は不況のさなかにまだ入っていなかった。

高学歴の若者に職が無い。彼らは北のEU諸国にどっと逃れる。頭脳流出とも言われる。大方の責任はベル政権にある。マリオ・モンティ実務内閣が厳しい節約政策を取っている。ベル老人の尻拭いをさせられている介護士モンティと言う画になる。したがって警察/軍隊の財布が空っぽで、突然振って沸いたエキストラ警護費を捻出できない。これを当惑気味に当局担当者がインタヴューに応えている。どうしよう?そんな思案顔をしているように見える。

 
1927年生まれだから86才。昨日窓からの最後の身振り手振りから、やや疲れた印象を受ける。3年前からペースメーカーを入れているから当然かも知れぬ。ヴァティカン域内に初めて引退教皇のための住居がしつらえられる。すると新任官者が引退前任者を訪ね、アドヴァイスを仰ぐ状況がありうるかも。日本天皇史に、しばしば発生したことが思い出される。
      Papa Benedetto XVI, 01
後継者に幾人かが挙がっている。ガーナの大司教Peter Kodwo Appiah Turkson(64才)が初黒人教皇として候補の一人だそうだ。内部通によると、教皇選挙権を持つ百数十名カトリック大司教たちは十分に保守的だから、まず黒人はありえないそうだ。南米か地元イタリアの人だろう。欧州でカトリック教会に行くのは人口28%、その倍以上が南米らしい。信者人口からして、南米初の教皇が出るべきか...


深刻なイタリア共和国・国家財政不足において、退職祝い警護費用の拠出ところは三つある。ゼスチャーをしてみたものの、もちろんイタリア共和国。二つめは教皇庁そのものだろう。ラートジンガー自身の音頭取り引退だから、彼自身がヴァティカン事務長や侍従/執事に当たる大司教たちと共に決定できる。教皇とは権力を一手に握る最高位。共産主義の書記長/主席ごとき非民主的`拍手`決定でないが、やや似ている絶対的聖職位なのである。

もう一人Papaがいる。イタリア国内に於ける世俗的`Papa`と言えよう。シルヴィオ・ベルルスコーニだ。ミラノ普通の家庭育ちからイタリア全ての富と産業とを一手に握ったかのような偉大なる俗物。77才にしてメイクアップ、これを皮肉に言っても頑として平気。事業決算の粉飾、裁判官買収、役人取り込み、彼に出来ないことはない。有力民間TVの三局、イタリア1の新聞メディア出版企業、二つの大建設企業、1番のインタネットプロヴァイダー、数多くの基幹産業企業などを所有、イタリアダントツの富豪[補注3]。もし警護費が真面目な政治課題に突然なるならば、彼が拠出すると...巧みに選挙戦術に取り入れるだろう。
        Beruluskoni 01
上左;素頭 上右;一つの裁判関連の当時Call girlアリジェリア十代少女。 下;最近

まもなくイタリア選挙が行われる。長靴あちこちがボロボロで床下浸水に耐えられるかどうか? まことに重大なイヴェントである。彼の個人党に等しいPopolo della Libertà, PdL党は2011年暮れどん底に落ち込んだ。三局テレビチャンネル総動員、分厚い彼自身の宣伝雑誌を200万部配布、有り余る軍資金。選挙チームは党ではなく、彼の(電通/博報堂に当たる)メディア企業にある。先日の選挙予測において二番手に急上昇。リベルタ=自由とポポロ=人々とは、そこらのオッサンオバサンなのである。小難しい論は必要ない。ムッソーリーニは悪くなかったと言えば、彼らはむしろやんやと喝采する。しょっちゅう出る失言が逆に彼の屈託の無い陽気さとして受ける。 

口八丁手八丁でころりと庶民は酔って心地よくなる。学生や知識人、左派や環境派がどう論破しようが、肝っ玉母さんのシルヴィオひいきを覆せない。加えて岩手県のオザワ某を支える万年支持パターンがある。ミラノ地元の人々が常に彼を支える。何があろうと年を取り呆けようが、彼を支持する地元愛国者。それゆえに、逆に敵は多い。敵とは中道右派から左派まで、確とした民主的公正な市民感覚を持つ人々を含む。

有り余る企業を巧みに操縦するコンセプトは庶民に受ける宣伝をすること。利益につながる宣伝。高尚な技術やレトリックはいらない。彼のテレビラジオ企業の質はおそらく欧州の最悪かもしれない。最悪だけれども、利益を生み出す有能企業である。それがベルルスコーニの商い基本ということ。この御大は商いの天才である。商(アキナイ)成り、政(マツリ)始まる。

マキャヴェリ(Niccolò Machiavelli)は、主人フィレンツェ公が皇帝カルルに付いたことがあり、フランソワ1世とローマ教皇側から疎んじられた筈。彼はフランソワに対峙するブルボン末裔シャルルのローマ攻撃の年に他界した。シャルル配下傭兵たちがローマをあさり空っぽ廃墟同然にし、クレメンスが命からがら生き延びた1527年だ。実はその教皇からフィレンツェ外交官は執筆依頼を受けていた。ニッコロは「優れた君主は演説の才能に恵まれていなければならない」と一つの君主条件を挙げている。

1930~40年代のアドルフ・ヒトラーの天才的演説(プロパガンダ)が思い出されよう。シルヴィオはある傾向の人々にとって``演説の名手``である。君主と言うか独裁的な才能である。欧州議会議員にとって、このベル演説の魅力が分からない。殆どのEU議会議員がモンティの首相継続を望み、ベルルスコーニ再登場を忌み嫌っているのだが…

宗教上Papaはまもなく退職、のんびり余生を送る。世俗上Papaは再び蘇り、イタリア半島に陽気なパーティー気分あるいは混乱を引き起こす...。


[補注1]
1.16世紀前期、シャクリ顎の神聖ローマ皇帝兼スペイン王カルル(カルロス)5世とヴァロワ家フランソワ1世、テューダー朝2代目ヘンリー8世等が生きた時代。その前からイタリアをめぐり英仏西墺など争い、これにローマ教皇レオやその従兄弟クレメンスが絡む。日本では、室町幕府の管領・細川家が内紛争い、戦国の前哨時代だった。数年前、テレビ時代劇 The Tudors がブリテン側から見たおおよその欧州史を描いた。北米でもヒットした番組。日本放映されたのであれば、血沸き肉踊る16世紀を感じられたのではないか。

2.スイスで話されるドイツ語を聞き取るのは(私見であるが)非常に難しい。同じドイツ語と思えない、なんだか巻き舌めき、てんで分からない。例えばハンブルグ市で使われる言葉に慣れた人なら、方言スイスドイツ言葉は東北ズーズー弁のように聞こえるだろう。両者は互いに聞き耳を立てないと会話できない。ジュネーブ近くに住む親しい夫婦が時々きて、私に分からないのでわざわざ英語になって申し訳ない。フランス語方言ワロニア弁はパリ人に分かると思うけれども...

3.イタリア1ですら世界で170~180位あたりらしい。恐るべき大富豪があまたいるんだ。
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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