ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

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Politics and economics 政治/経済

`Japan as Number One から失墜15年` をなぞる欧州?

2009年ギリシャの財政不足が表面化した。前政権の嘘を新政権が正直に訂正したに過ぎない。一挙にギリシャ経済の破産が持ち上がった[補註1]。これを契機にユーロー地中海圏の破綻財政が明らかになる。それ以降はご存知の通り、雪だるま式にユーロ通貨危機に拡大。2013年、大方のEU国家が不況に突入。言い換えれば経済停滞あるいはマイナス成長に陥る。

これからEUは過去15年に日本が経験なお引き続く``失われる期間``に突入するかもしれない。状況は似ている。栄枯盛衰…驕る(オゴル)平家は久しからず…歴史は繰り返す、そんな台詞を浮かべつつ成長期日本を振り返ってみよう。

欧州の失墜、イタリアの例。日曜24日の総選挙。下院で左派ベルサニは35%を得て勝利。現首相モンティは7~8%で惨敗。両者が連立すれば何とかなると思われたが、上院の過半数を抑えたのはベルルスコーニの右派保守。イタリア選挙システムによる奇妙な結果。下院と上院が180度ちがいだから、イタリア政治は半ば混乱するしかない。
Japan Number One 03
財政専門家モンティの節約は選挙民の怒り/失望を買ったことになる。庶民は、税金返還すると言う大口/法螺の自由人民党に逆戻り。ベル老所有のメディア企業の選挙一家は、選挙民に立派な大文字印刷「税金払い戻し」付き封筒を送付。いったい総額費用はどれほどだろう。文書は党宣伝と党首写真で、最下段に読めないような小文字で「自由人民党が勝利した場合に払い戻されるでしょう」と印刷されていたそうだ。詐欺っぽく、殆ど選挙違反と批判される代物。


1980年頃、TVドキュメントを覚えている。ベルギー/フラーンデレンTV局だったようだ。ブリュッセルに働く日本企業出向社員が麻雀に興じている。仕事後の若い社員に傍からインタヴュアーが質問する場面。ブリュッセルに拠点を置く日本企業人のために、麻雀店があると言う事実に、私はびっくりする。日本の凄まじい経済繁栄と海外進出を語っている。[補註2]

このヨーロッパに比べ、なぜ皆さん日本の勢いがいいのですか? 
マイクを差しだされた一人が配を取りながら、少し間をおいて答える;
We Japanese work hard, but European used to enjoy private life instead of work.
ほぼこんな感じだった。フラームス語字幕が流れたが、日本人英語発音に慣れたビジネスマンならば充分に分る内容。何気ないけれど一寸ぶっきらぼな印象から「あなたたちヨーロッパ人は仕事しないで遊んでいるから駄目なの」と言う本音が隠されているように思われた。[補註3]

企業出向や大学交流研究者の同胞に週末に会う機会が在った。彼らから、17時になるとさっさと退社する欧州労働常識に対する思いを私は聞いていた。何故17時に退社して企業が成立するのか? 日本の習慣に従うと、作業日程/計画通りに業務を進めていくと残業しなければならない。お尻が動かせないから残業は必然である。

これに対し、一般欧州人は日程に間に合わなくなると、作業のお尻をずらす。どうも計画日程に間に合わないと分ってくると、ずらせる日程変更に両者で合意する。受ける側又はクライアントがそれでクレームを付けたり困ったりしない。

こうした事象を象徴するのがしばしば起こる国家的プロジェクトのお粗末。見積り10億プロジェクトが日程/工期ずれで、ドンドン膨らみ当初の10倍になる。半分まで出来たが、隣国との調整が進まず5年放置される。10年を一昔とすると、はや二昔になる列車インフラストラクチャ―や防衛軍用機のプロジェクトの兆円規模の遅滞例がある。

仮名読みはグリローで良いか不明。彼は若い人々`5つの星`シンボルに新政治運動を主催。日曜に予想されなかった20%支持を得た。驚きの余韻が今日も続いている。従来の保守と革新と袂を絶つ。これが彼ら五つ星のコンセプトである。ベル右派とベルサニ左派と、いずれにも政権成立のために協力しないと演説。イタリアは舵取りが誰も出来ない国になった。
  Japan Number One 01
イタリア大統領ナポリタノは本日ベルリン訪問中。メルケルは彼を迎え「貴国は必ずや、解決策を見つけ、EUの大国としての責任を果たされるでしょう」と持ち上げている。ところが来たる9月総選挙に於いて、彼女の対立候補になるペール・シュタインビュルッケが伊選挙党首の二人について毒舌を放った。ナポリタノは「誇りある我が国への侮辱も甚だしい」と立腹。ペールも顔を出す今晩の晩餐会出席をキャンセルしたのである。


かような土地柄に、上述の麻雀エピソードと日本企業戦士の言葉を置かなければならない。1979年に上梓され、英版も日本語版もベストセラーになった本がある。著者エミルタス・エズラ・ヴォ―ゲル(Emeritus Ezra Vogel)は日本/支那に関する文書を多く書いている。苗字からドイツ系ユダヤ人と思われる[補註4]。「菊と刀」著者ルース・ベネディクト(Ruth Benedict)のような文献資料だけからの研究著作で無い。[補註5]

書名はJapan as Number One。生活体験とインタヴューとによるジャーナリスティックな本である。副題としてLessons for Americaと付いている。くすぐられるような「素晴らしき我が国」読後感を得た日本人読者が多かったのではないだろうか。We Japanese work hard, but European used to enjoy private life.と言う文が即応する書名である。

ヴォ―ゲル著作の10年後、The Enigma of Japanese Powerがベストセラーになった。著者はKarel van Wolferen(カーレル・ファン・ウォルフェレン)、在日経験の長いジャーナリスト。たしか蘭国高級紙NRCの東京特派員だった。原著英語版から、恐らく邦訳が出ていると思われる。日本の経済力の謎解き本と言う感じを受けて求める読者が多かった気がする。内容はより細部の日本観察を伝える高度経済成長期の文化論。彼は、言うまでもなく、やがて来る日本の失われる15年への文化的材料を提供している。

1989年はポーランドに発火した反共産運動が東欧に燃え盛り、ベルリンの壁が落ちる歴史の分かれ目だった。列島日本の土地価格は鰻登り、土地投機に沸いた。実体のない資産上昇と言う風船がまもなく爆発した。バブルと呼ばれる不健全な社会現象と共産主義とが同時期に崩壊。両者間にいかなるリンクも無い偶然だが、これからJapanese Powerは急速に力を失っていくのだ。

住宅金融US企業リーマン・ブラザース倒産を契機にする世界恐慌は記憶に鮮明である。もしブッシュ政権が2008年9月前にリーマン社を国有化していたなら、あの世界連鎖は起こらなかったと言う論者はいない。USもEUも`風船ブクレ`していたのだ。陽の上がる国と羨望の的だった日本は21世紀にかかる前にマイナス成長に陥り、やがてゼロ金利方式を採らねばならなかった。欧州大銀行は、その日本の苦く辛い軌跡を追うことになる。

ベルルスコーニの表情をご覧あれ。いや普通市民に出来ない選挙用プレゼンテーション…。過去10年この富豪振る舞いにEUたいていの真面目政治家はあきれ返っている。と言うよりも逆説として、並み政治家は危険を屁とも思わない破廉恥行為を出来る怪人ベル老についていけないのだ。
      Japan Number One 02
プロイセンの血を引くのであろう、第一次メルケル内閣財務相を務めたシュタインブリュッケ御仁が本日はっきりと言った。ベルルスコーニと喜劇役者グリローとが総選挙の顔になるイタリアを信頼することは出来ないウンヌン。ユーロ危機に対し、ドイツ連邦は真剣に取り組み、モンティ内閣と綿密協議を繰り返した。イタリアが採るべき財政改革や節約について約束合意を取り付けた。にも拘らず、それを反故にするマニフェストを掲げる好い加減な人物をEUパートナーとして迎えがたいウンヌン。シュタインブリュッケの豪胆演説を聞き、早速保守系紙が「これじゃメルケルに惨敗する」と喜んでいる。


1964年、米国の子供のような戦後日本が東京オリンピックを誘致、1972年に札幌冬季オリンピックを開催する。欧州と北米大陸を除く初五輪。その栄誉を日本が得た。かつての軍事的列強に代わる、文化的かつ経済的大国のシンボルと言って良いのではないだろうか。

これ以降、欧米以外の五輪開催は日本が示した同じパターンを踏んだと考えられる。韓国ソウルと支那ペキンがそうだ。やがて来るブラジルも同じ意味を担おう。支那事変以前ゴットフリード・スペングラーは`西洋の没落`と言う主題で数巻大著を表している。ヒトラー第三帝国と符牒が合う大作で今なお読まれる主題本。文庫本が出ている筈。半世紀前に同じ趣旨の邦訳ベストセラーが出ているが、これがスペングラーのダイジュス版かどうか知らない。その読後感を高校時代に精一杯書いた思い出がある。何を書いたのか覚えていないが、ヨーロッパがやがて没落すると言う歴史の一般的推移を理解できたのかどうか…

2013年2月28日、勝負の決まらぬイタリア選挙結果は多分再選挙を強いるだろう。主に高学歴イタリア若者たちのEU北諸国への`就職`逃避が増加している。しかし就職先国家が持ち直し、韓国/支那並みの一見`経済繁栄`する保証はない。辛い15年を忍んだ日本に習い、欧州はじっと耐えなければならない公算は大きい。

見よスペインやポルトガルのストライキを。パリ郊外のシトロエン・プジョー工場とベルギー・フェンクのフォード工場二つの閉鎖に対するストライキを!閉鎖しなければ過剰生産によって、欧州基幹産業である自動車分野自身が逼塞するだろう。EUいたるところで業種を問わず企業倒産/大量解雇の波が続く。防衛軍を含む公務員縮小も図られる。事務所建築の20%が空っぽ、個人住宅市場もさっぱり動かずだ。[補註6] 

かたや失墜日本の背景は欧州の轍を踏んだことかもしれない;
We Japanese are used to enjoy private life like European.
阿部政権の試みは、円安の通貨戦争と言われようとも、失墜から飛翔すること。
出来るかどうか… Jonathan Livingston Seagull (邦訳名;カモメのジョナサン)を連想しよう[補註7] 。打ちのめされ、弱弱しい環境から徐々に力を最充填して飛び上がり、自由に深い大空に飛翔すること。イメージの構築が未来を創る。

[補注];
1.参照;2012年1月25日「ギリシャ債務危機…」

2.ロンドン/パリ/ドュッセルドルフ/ハンブルグ/ミラノ/アムステルダム等日本人社会が形成され日本人小/中学校を必要とする都市の日常風景だった…か?

3 2013年現在、このような感覚を持つ国際ビジネスに携わる日本人がいるだろうか。なお残業は続き、土日しか子供の顔を見ないと言う人々は多い。残業/残酷社会だから、日本は浮かび上がれないとぽっつり漏らす若者に出会った。残業代が給与に加算されるならば、まだ救われよう。残業代の出せない中小/零細企業は珍しくない。勃興するインドシナや南米、支那を言うに及ばず、全ての所謂`開発諸国`常識に等しい状態か? ポストインダストリアル先進文化国家である日本の影の部分…。

4.US移民の初期はブリテン/フランス/オランダ/スエーデン等、20世紀初めの中心は独伊であろう。独系は知識人に多く、伊系は商人に多いような気がする。ユダヤ系は知/商いずれにも優れ、彼らは金融を支配。

5.例えば1940年と1979年との記述背景を同じまな板に於いて比較できない。戦前、海外渡航が異例であった。電話テレビも無い。故にルースの考察が際立つ。

6.欧州圏の需要はまず財務危機の南欧で30%激減、仏/蘭/北欧でも7~8%減らしい。例外は需要旺盛な露西亜だけである。かつての共産主義ラヴェル・ラダに変わる欧州ブランドが売れている。

7.小松左京がリビングストンのカモメに先立ち、インド仏教の曼荼羅に示されるような宇宙の階層を旅するカモメ物語を書いていたように思う。書名を覚えていない。
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

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