ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

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Uprising 抗議デモ/アラブの春

Anglo-French vs Syria/al-Assad 何もせず傍観するのが良策? 

Anglo - France (又はFrench) は政治用語か両者の歴史的関係を示す用語。12世紀ノルマンのイングランド征服あたりから近・現代までの抗争あるいは同盟の経緯を述べる時に用いられる。アングロはUnited Kingdamではない。UKは16世紀半ばのスチューアート朝から成立した`王様を一人に寄せ集めた`呼び名で、イングランド/ウェールズ/スコットランド/アイルランドを含める大ブリテン全ての民族を含む概念。それより4世紀前に起ったノルマン侵入はプランタジネット朝をおこし、その支配領土はイングランドと大陸側ノルマンディーであった。海峡を挟むこの親和性をアングロ-フランスと言う概念で示す…と考えると分りやすい。

1月末のアレッポ。アサド・レジームはキリスト教徒とバース党エリート集団と出身地北部(Alawitesアラウィート)に支持基盤をもつが、それらから決別した人々は多い。国内の数多くの女性がソーシャルメディア上に苛烈な状況を伝え、国外(EU圏)ではメディアを通じ反政府パブリケーションを行っている。画像は自由シリア軍(FSA)1グループの女性リーダー。スカーフをかぶり武器を取る女性。
       Syria 03
        2月17日シリア民族連合体会議、正面の雛壇。


先ごろUKとフランス、言い換えるとヘイグ(William Hague)とファビウス(Laurent Fabius)両外相がEU/NATOの合意なく両者コンビだけで、反政府グループに武器供給する姿勢を公にした。政府への抗議デモが血で染まってから既に2年を経過、子供を含む3万名近い生命が失われている。例えばナトー長官ラスムッセンが「間もなくアサド政権は崩壊する」と幾度も声明、首都ダマスカスすら政府軍と反政府軍の市街戦になるまでに進展。政権の実効支配域はダマスカスの半分くらいに過ぎない。北部と砂漠の広がる東部、つまり国土の大部分が既に行政も届かぬ無政府地帯。にも拘らず、政権はまだ居座っている。

なぜか? ヘイグによるとロシアが武器と軍事顧問を常に供給しているからだ。さらにイランが武器供給に加え、イスラム革命軍の部隊を潜入してアル-アサド・レジームを支えている。これでは「倒れんわね」とある解説者がぶっきらぼうに言った。あまりの長丁場に疲れ「どうしようもネー」半ば匙を投げた風情。

ソヴィエト時代から仲良し国家であるロシアが中東権益の手掛かりを失ってはならないので、黙々と武器追加とそのメインテナンスを行っている。`西側`は建前があるので、堂々と援助できない。ロシアの厚顔無恥なふるまいをとても出来ない。なぜならロシアよりずっと増しな民主主義であるから。このシリア今日の状態を``不公平``と仏英は見なすのだ。また今年に急増した避難民(計二百万と言われ、人口1/10以上になる)、さらに子供を意図的に殺害するレジーム戦術に、堪忍袋の緒が切れたと思われる。

アングロ-フランス共同作戦は実績を持っている。リビア蜂起の時、サルコジー・フランスとキャメロン・ブリテンは及び腰を演じるUS[補註1]に代り、軍事的イニシアティブを採った。今、シリア軍の目を覆うような蛮行に腰をあげざるを得なくなったとも解される。

左の地図に、アナトリア半島を占めるトルコ共和国の北西部が欠けている。東と西の架け橋、バルカン最大の都市イスタンブールがそこにある。右は昨日のイスタンブールのデモ。シリア民族連合(SNC、反政府グループの連合体)の会議があり、主張を掲げるシリアの人々。SNCを亡命政権のように見なすと、アル―アサド独裁に代わる政体を必要とする。即ち首相及び内閣を必要とする。そこで、まず首相を設置しようと言う会議が開かれた分け。
    Rebel gourbament 1
六つの矢印線はシリア内部から逃れる避難民のルートを示す。2013年に入り、避難人数規模が大きく且つ避難度が加速している。首相選びの会議は順調に進み、30年US住まいのGhassan Hittoなる人物が首相に選出された。


シリア状況を当初``アラブの春``平和的デモと誰もが受け止めた。現在、内戦と呼ばれる。正確には様々な外からのアラブ勢力が侵入する混沌カオスである。大部分の武装グループはシリア人主体の自由シリア軍と言われる範疇に属する。ここに、政権を離れFSAに加入した司令官/将校クラスも含まれる。各地のヴォランティア的グループもあり、詳細は不明。兵站(ロジスティクス)はバラバラ在って無いような不統一。例えば弾薬や糧食の供給が追い付かず、正体のわからぬ野武士のような小部隊がいる。以上のシリア人を除き、北部クルド人グループ、ヨルダンのヒズボラ、パレスティナのハマス、アフガニスタン/イェメンなどからアル・カイダ、さらに先述のイラン革命軍などが動めいている。[補注2]

アラブ人によるアラブ国家の構築。昔シリアはエジプトと合体して、この夢を実現しようとした。だがアラブ人同士の憎しみ、典型例はシイア派とスンニ派の血で血を洗う抗争を見れば十分だろう。シリアとエジプトの連合国家は直ぐに解消した。その後いずれも軍人政権が続き、独裁化。彼らのアラブ中東は欧米露の軍事産業の大市場になった。シリア/エジプトは首位を争い、壮観な武器ミュージィーアム国家に育っていった。

イラクそしてアフガニスタンを見よ!泥沼と混迷、先は見えない。ゲリラ的テロリズムの舞台に化している。同胞が同胞を殺しあう。彼らは和すことが出来ない地球上の民族グループに思われたりする。共に和せないので、アラブ大国は軍備に熱を注いできたのかもしれない。`大将`が軍人だから、昔むかしの王様たちの戦争ごっこを彷彿させる。

       アレッポ市街、政府軍空襲/ロケット弾による瓦礫
      Syria 04
       五角のSNC(シリア民族連合体)のシンボルマーク


啓蒙的な価値観は長い血みどろの抗争をかいくぐって育まれてきた。典型例は、ナポレオンから続く仏蘭西革命である。10年ほどの期間にパリは血の流れにそまりながらも、人類にようやく光が差し込みつつあった。あるいは日本の近代革命(尊王攘夷の時代)もこれに属すると考えていいかも知れない。さもなければ日本現在、それなりの`民主度`を得るに至らなかったかも知れない。露西亜/支那/朝鮮半島(特に北)について乱暴に言うならば、そこに啓蒙主義はまだ着地していない。故に彼らはアル-アサド軍事的独裁政権の友好国なのである。

アングロ-フランスの自主的`武器供与`はEU内の賛否両論を呼んでいる。リビア紛争の時、露支と歩調を共にしたドイツが反対する。外相ウェステルウェッレの談話;「火事場に油を注ぐ」。
リビア・ケースでは仏英コンビ爆撃によって短時間決着を見た。あの間際の空爆が無ければ、ベンガジが墜ち、ガダフィー政権が息を吹き返す可能性があった。安保理リビア決議の独逸はチョンボをしたと私は思った。奇妙な外相声明に過半数のベルリン議員が首をかしげたが、今回はどうか…。

ウェステルウッレと異なる文脈で、逡巡する人々がいる。欧米人が人間性を標語にして平和を唱えるが、砂漠の激しい環境に育った掟/戒律、即ちその価値/文明観を変革することは出来まい。もし平和をもたらせると考えるならば、あまりにも安っぽい偽善ではないだろうか。あたかもロシアの疑似民主主義について考察するように…。共産主義独裁は東欧から消え失せたが、おおかたロシア人は欧州に存在する`民主主義`を体験したことはない。シベリア西部は厳しい極寒の地、そこに温暖域に生まれた民主主義が育つ筈はない…、そう少なくとも当面育たないだろう。

人口2千万ほどの国家が空陸海3軍合わせ50万兵を持っていた。数週前に出た英戦略シンクタンク研究レポートによると、シリア動員/展開中の3月現在の実働兵力は5万である。9/10が脱走・戦死など何らかの理由で消え失せ存在しない。

国境に沿うヨルダン側の街ARSALにも自由シリア軍の根拠地がある。昨日シリア空軍機が初めて国境を越えて、この町を攻撃した。既にトルコとの国境線2ヶ所に、ドイツとオランダ両軍のパトリオット・ミサイル抑撃部隊がそれぞれ布陣している。ヘズボラ武装集団の居るヨルダンにNATO部隊を展開出来ない。と言う事情もあって、土壇場のアサド側がARSALを襲ったと思われる。新状況になり、アングロ-フランスの動機を後押しすることになるだろうか。
    Rebel gourbament 2

EU圏主要諸国はアングロ-フランスを含め既にアサド政権を認めていない[補註3]。カタールで実現した反政府勢力の一体化(SNC)、次のアルジェリア会議でSNCを認証する国数が増加、そして先日の移管政府首相誕生と言うお膳立てが整いつつある。これをバックアップするのは`シリア友の会`メンバーである。[補註4]

こうした状況をタイミング良しとキャメロンとオランデの両首脳は読み、決断したと思われる。武器選択と運搬、配布先部隊プログラムはおおかた出来ているだろう。アルカイダと連携するグループは除外されよう。武器供与によって、さらに戦闘火力が増し互いの戦死数が加速、巻き添え市民犠牲者が鰻登りの数になるかどうか? 

あるいは追い詰められたアル-アサッド側が化学兵器(サリンガス等)使用に踏み切るかも知れない。まきぞえを食うかもしれないイスラエルが警告を出す。イスラエルは妥協無しにアラブと対して半世紀を経験。解決の在りえないパレスティア紛争と、``アラブの春``後の騒動とは恐らく同じ性質だと実感しているようだ。もしもそうなら、アングロ-フランスの試みはするもしないも未来は変わらない。何もせずが良策だと言う人がいて、何故と問われると極めてシンプルな答えが返ってくる。アラブ人自身が経験して、血を流し、他に助けを求めず[補注5]、自分自身を見つけなければならないのだと。


[補注];
1.UN(国連安保理)に於いてリビア空軍機の飛行禁止(No-fly zone)可決されるや否や、間髪を置かず仏英の空軍機がベンガジ前線に向かうべく離陸した。同時にUS地中海と紅海に浮かぶ第5艦隊の艦船から百発余トマホークミサイルが火柱を伴って発射された。この仏英米によるNATO連携一次攻撃後に、US海軍は指揮を仏英両軍に譲った。オバマ政権の既定戦略だった。アングロ-フランスの賭けであったが、結果は上首尾に行った。
2.紛争アラブ圏各地からシリアに`応援`に出向くグループを除いて、欧米に移民したアラブ系2世3世の若者がヴォランティアとして反政府側に参加している。失業中ですることも無く、軍事体験ゼロの連中。例えば蘭国からおよそ500名が現地にいるそうだ。戦闘訓練無し20代青年が食料も十分でないグループに何とか入れてもらう…、素人だから標的になりやすく、負傷者が多い。初の`戦死`も伝えられている。
3.日本国のシリア姿勢について不明。
4.アラブリーグに加えアフリカやEUから選抜的に構成されている。アラブリーグはアラブ諸国殆どが参加するアラブ権益グループ。既にシリア現政権を一時的に棚上げしている。
5. アラブの春に限らず、こうした紛争当事者と難民とは常に(当然だが金切り声を上げて)欧米/国連に救助を訴える。助けを求める側と助けを差し伸べる側とは追いつ追われつの関係になる。需要と供給の経済法則で捉えられる… 

     
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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