ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

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Ordinary People 雑人雑名

Boris + Boris & Ascot 二人ボリス と アスコット

[補注]; 補註の別名は脚注か? ここは脚でなく頭だから[頭注]。

1.クノイチは女性忍者を指す。普段は分らないが、実は使命を帯びた忍者と言うコミック筋がしばしばある。横文字だと、スリーピング・スパイになる。目的成就のために充分な時間をかける。左様に真面目なクノイチはするのだが、今風クノイチは好い加減で、ずっと遊び心に富んでいる。

ロシア人Anna Vasil’yevna Kushchyenkoが短いUK滞在中に知り合っったAlex Chapmanと学生結婚、UK市民権とチャップマン苗字のUKパスポートを入手した。アナはブリテンで名ばかりの職歴をつけた後、ニューヨーに単身で移住。イギリス人として表向き不動産業を営む。彼女の筋書きは「実は『防衛計画ロシア情報をUS企業/ペンタゴンに売込交渉する』大役を担っている」と言った類だった。

このトリックで機密を知るUS関係者に接触し情報入手する目的だったわけ。表向き商いのインタネットメディアを開始後まもなく、彼女は連邦捜査局の監視下におかれた。充分な学習訓練を受けたプロ即ちFSB要員でないため、FBI局員に直ぐに感づかれたのである。スパイごっこを楽しむような振りが見え、逆にFBIおとり捜査にはまり2010年6月逮捕される。仲間10名ほどと共に、翌月ウィーンに移送され、モスクワから飛来したジェット機に乗り移り本国に送還された。10名と1名との4半世紀ぶり露米スパイ交換劇だった。[参照2011年7月;ロシアスパイ]

在ること無いこと虚実ないまぜの女性で、元KGB勤務の父親がプーチンとリンクしているために担ぎ出された素人スパイの公算が強い。このスぺクタクルスを帰国後に売り物にして、講演活動/ヒューマン・ライト運動/ナイトクラブショーなど何でもありのゴシップスターになっているそうな。昨年はキャット・ウォークのファッションショーに出ている。稼ぐ手立てが31才になり枯渇してきたのかも知れない。``美しすぎるスパイ``は帰国後のキャッチフレーズだが、ロシアに何処にも転がるダサイ女に見える。


田園と森が周囲に広がり、池を傍に控える屋敷の俯瞰画像。この地域はアスコットと呼ばれる。似たような城や豪邸があちこちに散らばっている。大ロンドン圏と言う概念がある。行政上の正式名であり、即ち首都圏を指すが、UKでもっとも大きなメトロポリタン域と解して良いかも知れない。人口密集地域で、日本だと東京圏や大阪圏に相当。日本のメガロポリスは建築/住宅が途切れずに続くが、大ロンドン圏はご覧のようにゆったりと田舎に近い郊外の雰囲気を持つ。欧州大都市圏は平野部に多く、言わば普通の`広がり`だ。

ロシア・プーチン政権から`指名手配`的扱いを受けるボリスの屋敷。亡命者で富豪ゆえに、ボディーガード達が詰めている。映画ゴッドファーザーに登場するマフィアの屋敷の趣がする。厳重な監視装置が施されているそうだ。
Boris 4


アスコットは都心ウエストミンスターから西へ25㎞ほど。行政区Surrey countyに属する。広大な森、美しい湖、緑が起伏するゴルフ場、環境良し、都心との距離良し、アスコットに住いを定められるならば資産家に違いない。下々の庶民は一寸住み辛い。広い庭とデカイ家の維持に悲鳴を上げる。

6月にロイヤル・アスコットが開催される。英国らしい5日間ほどの競馬行事。ロイヤルだから、御婦人方は着飾り、何より帽子のファッションが知名。殿方は長高帽子に燕尾服。ヴィクトリア女王がご臨席される行事ゆえに、馬も人間も華やかであらねばならなかった。大障害レース/グランド・ナショナルと双璧の競馬行事ゆえ、映画場面にも良く使われる。エリザベス2世老人の趣味・競馬の醍醐味を味わいたくば、アスコット廻りをしよう。
Boris Boris 01

ボリス・イェルチンがゴルバチェフの後を襲い、大統領になった。赤地に鎌とツルハシを組み合わせた共産主義国旗は赤白青のオランダ国旗を真似た白青赤の三色旗に代り、ロシアは民主主義国家に名ばかりの衣替え。ボリス・ブレゾフスキーはイェルチンの気に召され、元国営企業2つを元手にあっと言う間に大富豪になった。


ブレゾフスキーを筆頭に1ダース以上のにわか富豪(Oligarchy)が輩出、共産時代から民主時代への混乱に乗じた無数の資産家が生れるのである。国営企業を民営にする時、管轄省の高級官僚たちが狡猾に動いた。彼らがマネージャーに横滑りしたケースが多い。言い方を変えれば、一党独裁下の企業を私物化すると言う前代未聞の流動混乱期だったと言える。

イェルチンからプーチンへの架け橋期に、マアマア維持か、全く新世代のプーチン支持富豪たちが出てきた一方、没落した成金がでたのは言うまでもない。戦国のような状況だった。先読みする人々は、自由と税金逃れのために、短期間に儲けた資産を欧州/南米など各地に分散移管。ビジネスに好都合な格安税地帯に移住する家族も多かった。極寒の土地しか知らない連中にとって地中海がパラダイスに成ったのは頷けよう。

Boris 3

3月16日土曜日、ロシアから資産を世界あちこちに移し`難民`として国外逃亡しなければならなかったブレゾフスキーが亡くなった。67才に過ぎない。直ちに全ての人々が暗殺の疑いを持った。警察は直ちにアスコット現場周辺を封鎖、化学物質の痕跡を屋敷内外で調査追跡。毒殺を疑った分けだ。遺体を浴室で発見したのはボディーガードの一人Nikolay Glushkovh。スカーフの跡が首回りにあり、首つり死と思われる。しかし自殺でなく、ボスは殺されたと考える。殺される以外、ボリスは死ぬ筈がないのだから、とニコライは信じる。

亡命者の死はロンドンと同様にモスクワを沸かせずにおかない。二つの面を挙げよう。一つは庶民にとっての、富豪おとぎ話の`落ち`として。もう一つは自国公安(スパイ)組織の`勝れぶり`としてだ。連邦内部のジャーナリストの口ふさぎからこうした海外における暗殺まで、「蓋然性の高い事実として私たちロシア人は考えている」と近くのインテリ露西亜女性が言う。

現地UKに於いて例えば下のオコナー。7年前のロシアスパイ毒殺が改めて浮上。類似性について述べているが、検証的な細部のような気がする。つまりはUKとRussiaその時の外交関係に収縮する。冷戦時代、MI5(メトロポリタン・インテリジェンス5課)とKGBとのスパイ合戦映画が懐かしい。これが21世紀に継続している。FSBは様々な形で学生/ビジネスマン/アーティストなど`素人`を活用している[補註1]。スパイされる側(この場合UK)は議会公聴会の専門部で審議したり、時に該当本人/グループを強制送還する。

21世紀に入る前後、FSB長官プーチンの快進撃が始まった。ボリス・イェルチンの後継者を探し、そこまで育てたのは他ならぬもう一人のボリスだった。彼はイェルチンの大統領当選の縁の下の力持ちを務め、その後チェチェン戦役を終了させる為に重要な役割を果たし、誕生まもないロシア連邦の参謀役だったと言える。だがイェルチン後継者選びが命取りになった。KGBで実施経験を積み、内向的な怜悧な人物像を見抜けなかった…。

ボリスはユダヤ家族に1946年モスクワ生まれ、数学の才に恵まれ、博士資格を取り科学アカデミー会員に出世。この知性を車販売ビジネスに生かし、まもなくロシア下院Dumaに当選、政界に出る。その時の同僚議員に Roman Abramovich(ラーモン・アブラモヴィッチ)がいる。彼はフットボールクラブ・チェルシーのオーナーになっている。

上述のようにボリスは、イェルチン参謀役でプーチンを取り立て、後にそのプーチンによる政敵/政商狩りによって2000年にUKに逃れる。4年後に亡命資格を得る。ロシア政府はその間ボリスの身柄送還をしつこく要求し、同時にボリス暗殺指令をおびたFSB要員を派遣。スコットランドヤードのレポートによると、ボリスはFSB数回の試みから逃れているらしい。

元スパイ専門家オコナーの解説。アスコット界隈で少なくとも2名亡命ロシア人が原因不明で亡くなっている。古い例だが、ソヴィエト時代の亡命者Alexander Perepilichnyyがジョッギング中に亡くなる。2008年にボリスの商売仲間 Badri Patarkatsishvili が自宅で突然死。いずれも心臓麻痺と言う専門家の見立てだが、ロイアル・アスコット界隈の`謎`として残されている。
KGBの後継組織としてFSB(国内公安治安局)が生れ、国内の名前を持ちながら海外で暗躍する。東独に常駐し西独市民をスパイに仕立てたと言うプーチンの直接指揮による。組織/技術共にソヴィエト時代にまして柔軟になっている。証拠を殆ど残さないので外交クレームにならないそうだ。逆にクレームが付くような仕事をしない組織と言うこと。
Boris 5

2006年に毒殺されたAlexander Litvinenko。ロシア連邦情報局FSB要員中にUKに亡命。北ロンドン自宅で、紅茶に放射線物質を入れられ、インテンシブケアー中に病院死する。ブレゾフスキーによるとプーチンの指令を受けたFSB2名が実行したらしい。


UK市民権入手後、ボリスは身辺を固める一方で、あらゆ手段で自国の反プーチン運動/人々を支援している。同時に数多くの裁判訴訟を起こす。成算ありと考えるケースは数学者のクールな算段だったのだろう。例えば長者ランクを発表するフォービス(のインタヴューを受けた後の出鱈目で被った損害)を訴え勝訴している。亡命ロシア人の商才躍如である。

ボリスとアブラモヴィッチの抗争は石油企業売却に関するらしい。二人のロシア人がビジネスをすれば、必ず内輪争いになる。シシリー・マフィアとの共通項が多い。彼らいずれも、争いの手取り早い解決手段は暗殺と心がけている。この裁判は昨年夏に、アブラモヴィッチに軍配が上がる。彼のバリスターが徹底的にボリスの汚い恐喝まがいの商い手口を立証したそうだ。

敗訴ゆえの裁判費用負担が3500万ポンド(現時点で40億円ほど?)。それに二人目妻の離婚慰謝料が1億ポンドと言われ、ボリスは破産に近いか窮乏状態になる。金目のタブローなど売却、資金作りに努めている。あれやこれや鬱病的な精神状態になっていたと親しい友人が証言する。愉快な調子の良い時と、ふさぎ込んで別人まがいの時と、浮かんだり沈んだりの半年だったと語る近親者がでている。

松本清朝の推理小説は動機を要にして一時代を作った。推理小説大作家は動機無し殺人はあり得ないと言ったのだ。数ある動機の持ち主を探っていくと、`ホシ`のランキングを挙げられる。モスクワの冗談に、1.プーチン、 2.が無くて 3.元の二人の妻(子供計6人)と言うのがある。モスクワおおかたの市民にとって、ボリスは不法手段で稼いだロシア税金を国外に持ち出した祖国の裏切者になるそうだ。左様な人物なら、別れた妻や子どもにも動機ありとする、やや品のない冗談である。

いったい何千何万のロシア人が暖かい海外に居住しているのだろう。ロシア国籍を持ちながら海外に住めるのは元手があるからだ。本音は資産隠しと税金逃れと思われる。ボリスのようなお尋ね者はまず少ない部類であろう。多かれ少なから彼らの商いは本国と関係するから、時の政権と良好な関係を保つ必要がある。因みにラーモン・アブラノヴィッチはプーチン取巻き/お気に入り新興財閥でない。と言ってボリスのような敵対亡命者でなく、ロシア石油含みのビジネスを巧みに行い、モスクワ-ロンドンを往復している。

アスコット周辺の封鎖が一段落しても、ボリス自宅内の鑑識調査、さらに彼のメイルや談話がトレースされ、家族/雇用者/接触者たちの徹底解明が続く。スコットランド・ヤード内の数部門が力を合わせ早く決着が付く…ことはないだろう。政府/企業との癒着でトップ陣の首がとんだ`官僚お眠り`組織だから。そもそも、債務危機による節約で予算不足にあえいでいる組織である。`憂鬱症による発作的自殺`で落着させるのではないだろうか。嫌疑あれど、証拠みつからず、真実は神のみぞ知る。

BBCの1と2局のニュース画像にアスコット封鎖現場の警察官たち姿が見える。ポリス帽子に白と紺の格子模様の帯が回っている。UKポリスのアイデンティティーで、なかな格好良い。帽子デザインは男女で異なり、それぞれブルーのネクタイとマッチしている。女性ネクタイは、紺色のアスコットタイ。首元の巾広いタイプで女性に似合う。蘭や仏でも採用されているから。警察官1/3の女性時代のスタンダードの趣がする。20世紀初頭、ロイアル・アスコットの競馬観覧で現れたファンションである。
 
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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