ライン・ワール・マースの狭間から、草の如し徒然の観察八景。 政ごと/商いごと/言の葉ごと/遊びごと。

Nostalgic Melody&Film 懐メロ&フィルム

Princess Susannah kidnapped  皇女 誘惑事件 発生

ソーシャルメディアの書き込みをそっくりコピーすると、↓このように並ぶ。これが、UK新聞に限らず欧州新聞の本紙とインタネット版に紹介されるようになったのは二年ほどまえではないか。編集されず、ふつう検閲も無いので、発生対象がどう推移しているのか、同時的に読者に伝わる。この画像を見て、反応する視聴者の書き込みが、直ちにこの画像最下部に並ぶ場合もある。双方向=Interactiveと言われる概念の具体的な一つ。視聴者参加型メディアというのだろうか。
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上の白抜き文字の文意;「首相の取替えは効くが、プリンセスは出来ない。だから彼女の安全帰還のために首相は要求を飲むべきだ!」何をグズグズしている、と言う感じの書き込みだ。本文後半を参照されたい。

Morning time 09;47 午前9時47分、突然のニュース。プリンセス誘惑事件が発生。ニュースキャスターの右背後にプリンセス・スサンナの顔写真。

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Morning time 09;48 UK王室 Beumont公[補註1]の皇女の誘惑事実を発表している。事件発生は数日前のようだ。誘惑犯から連絡があり、身柄交換条件もだされている。緊急対策会議とスコットランド・ヤードがフル回転で動いている。極秘の捜索だったが、メディアに漏れたらしい。首相は大筋を国民及び欧州一般に報告せざるを得なかったようだ。

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Morning time 11;02 そうこうする午前11時過ぎに、YouTube上に犯人側からのプリンセスの様子がアップロードされた。彼女は脅迫に怯え、泣きわめいている。首相はじめ重要閣僚と警察の対応が進行するのと同時に、ソーシャルメディアからどんどん成り行きが公開されてゆく。TVニュース画面にTwitterの文字が見える。事件に関する書き込みが既に溢れだしたと言うこと…。トゥイッター書き込み表示カウンターは1分間に10万。

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Morning time 11;03 YouTubeにアップされたヴィデオ。St. Paul's CathedralとCity金融街高層ビルらしきが見える。手前の白い橋はテームズにかかるミレニアム橋かも知れない。このTV局はおそらくUK企業であろう。画像下のキャプションがよく分からないだが、おそらくTwitterの書き込みを流しているのだろう…「こんなに脅かされ泣いているなんて、信じられない」。短い数行の投稿に、人々の素直な感想が伺えて面白い。

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Morning time 14;49 上のセントポール寺院のヴィデオから4時間近い後のBreaking News。普段の番組の途中に、割り込んで入るニュースをブレーキング・ニュースと言う。だが、CNNやAl jazeeraはひっきりなしに用いるので、特別臨時報道と言う緊急感を私は感じなくなった。
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右に皇女スサンナが婚約した時の写真を配しつつ、ニュースキャスターがややショッキングな内容を伝えている。UKNというのがこのTV局の名前らしい。ユナイティッド・キングダム・ニュースの略だろう。UKNに小包が送られてきた。中に一本の指が入っていた。犯人はプリンセスの指を切断したものと思われる。すぐ後の画面に小箱に入った切断指がクローズアップされる。彼女が泣き叫んでいたのは、切断の時だったのかもしれない。

Princess kidnapped 1
首相 Michael Callow. 顧問 Lindsay Duncan女史.
プリンセスの無事帰還のための条件を、誘惑犯人は既に緊急対策委員会に伝えている。対策本部はその内容をもちろん知っている。その情報を極秘に留めるうちに、対策本部は犯人検挙をしなければすならない。だが、誘惑犯がメディアに漏洩した。ソーシャルメディアのFacebookから具体的な条件が提示されたのである。

ふつう誘惑の無事帰還条件は現金要求である。したがってその引き渡し細部を誘惑側が漏洩することは無い。警察または家族と犯人のみで、事件は推移する。しかし今回は事情が違っていた。現金要求でないのだ。誘惑目的が全く異なるのである。さて要求を知った視聴者/国民が、なすべき今後について盛んに議論し始めたのだ。次回の選挙動向に、この事件は確実に影響するだろう。

こうして双方向(Interactivity)情報時代の新型誘惑事件が、皇女スサンナの絶叫をこだまさせながら、日数を重ねてゆく。警察情報部が犯人潜伏場所を徐々に解明しつつ在る。プリンセス囚われの場所をほぼ突き止め、重装備のタスクフォース部隊が該当ビルに接近している。

皇女交換条件は単純な内容である。首相カロウが豚とセックスする。その場面をテレビ実況せよ、と言う要求。人間が野獣と交わる物語は神話から漫画まで数多く在る。四本足家畜と内閣主班をセックスさせると言うのは誘惑犯の冗談である。しかし’冗談’をあくまでも真剣に首相個人に要求するのが、この風刺劇の味噌である。

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インターネット・テクノロジーを駆使する犯罪をコミック風に描くTVシリーズ。その一つがこのプリンセス誘惑である。ブレーキング・ニュース画面の本物は、上のBBCのニュース。看板ニュースリーダーのフィオナ・ブルースがシェフィールド郡の洪水を伝えている。

風刺に様々な解釈がされる。黒い冗談(BlackJoke)はブリテン特有のチクリと突き刺さり、しかし思わず笑ってしまうような意味に取れる。風刺とブラックジョークは分母を共有する語彙だろう。人と豚とのセックスをドラマ主要テーマにして、そこから派生する社会/関係者の反応あるいは影響をサブテーマにしているのかもしれない。

誘惑犯の要求がソーシャルメディアを通じて明らかになると、即時に数万/数十万のトィッターが飛び交う。首相と豚のセックスを前提にする書き込みが公然とインタラアクティブに登場する。例えば; #PMPig, #kidnap and – best of all – #pigfuckercallow are conceived with pinpoint accuracy 曰く;「豚野郎カロウは犯人検挙のため針の穴に等しい緻密な計画を考えている」。ここには隠された意味が在る。

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白抜きキャプション;ジェーンの心のなかの呟き[政治家にとって’気狂い’なんて無いのよ。みんな性的におかしい人種なんだから]

対策委員会の合間に寸暇の時間を見つけ帰宅した首相カロウと、事情を知る妻ジェーンとの葛藤。妻と夫たる存在は、正式にセックスを交わす配偶者故である。今、国民の信頼と皇女身柄安全を確保するために、同時に次期選挙を視野に入れた政治戦略のために、ジェーンの夫は豚と交わるかもしれない。

コミック風な風刺がありありと分かる内容である。しかし日本の茶の間に紹介されると、字幕の場合も、吹き替えの場合も翻訳者はきっと苦労する…。このエスプリを日本語の文脈に移すのは並大抵であるまい。

カロウ首相とお偉方がテレビに見いっている上の画像をもう一度見ていただきたい。中央のカロウにリンゼイ・ダンカン女史が耳打ちしている。彼女は次のように密かに伝えているのだった。"Otherwise, the public will think you are enjoying it rather too much." 曰く[さもなきゃー、豚とセックスするのをあーたがそれなりに楽しんでるんじゃない、と国民は考えるかもよ…] ガーディアンのコメント氏がこのセリフに''冴えてるなー'’と賛辞を呈している。

この劇の結びを、わたしは野暮用で見逃している。しかしおそらく次の様になったと思う。ジェーンが夫への愛を失い、政治に加え、おそらくインタラアクティブな虚構世界と決別すること/場面のように思われる。


【補註】:
1. John of Gauntはエドワード三世の息子でランカスター家初代。二人の妻を亡くしたガウントは、ずっと妾だったKatherine Swynfordを三人目の妻に迎えた。キャサリンとの子供四名が王家傍系として、 "Beaufort"姓を名乗った。ビューフォルトはガウントの大陸側フランス領地名。風刺劇Beumond公爵家はビューフォルトを参照にしている。The White Queenの中編に詳細あり。
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ken minatoya

Author:ken minatoya
Victor Westhoff(1916-2001)碑文Hij observeertからのHNを本名と苗字に先立つ屋号に変更。ウエストホフは生物フローラの相互生息環境を丹念に観察したBiotop概念の先駆者。ザザーッとフィールドを歩きつつ、こぼれ見える外史/雑人/雑草の風景

日本語→英語自動翻訳【星条旗】
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